168 / 171
第二部 セルフィニエ辺境伯領編
第百六十八話 湖でのピクニック ①
しおりを挟む
今日は待ちに待った新しい月の週末。
つまりお兄ちゃんとの湖でのピクニックの日だ!
アウトドア用の身軽な服装に着替えさせてもらって準備は万端だ。
お兄ちゃんと共に馬車に乗り込み、僕らは湖へと出発した。
「森まで行った時より距離があるからな。寝られるなら寝た方がいい」
隣に座っているお兄ちゃんが優しく言った。
「せっかくお兄ちゃんと一緒だもん。お兄ちゃんとお喋りする」
「体力が保つのならいいんだが」
「大丈夫だよ、僕最近元気だもん!」
初めてお兄ちゃんと会話した時に僕がお兄ちゃんの部屋で倒れたことがすっかりトラウマらしい。お兄ちゃんはいつまでも僕のことをひ弱だと思っているのだ。
「湖に着いたら何をするの?」
「釣りをしよう。湖ではいくらでも魚が獲れるそうだ。そしてランチにそれを焼いて食べるんだ。今日の釣果いかんによってはランチは主菜なしになってしまうぞ?」
「頑張らなきゃ……!」
ふん、と気合を入れる。
「お兄ちゃんとの釣り勝負には負けないからね!」
「ほう、勝負したいのか?」
お兄ちゃんは片眉を上げてほくそ笑む。
う、嫌な予感がする。
カタクラズムで本気を出してきたお兄ちゃんのことだから、大人げなく本気を出してきそうだ。
「それはいいな。楽しい休日になりそうだ」
何故だか僕たちは本気の釣り対決をすることになってしまったのだった。
「カレン。着いたそうだ」
うとうとしてきた頃、声をかけられてはっと目を覚ます。
大丈夫、寝てない寝てない。寝そうになっただけ。
お兄ちゃんが先に馬車から降り、僕はお兄ちゃんに下ろしてもらった。
それからお兄ちゃんは長い棒状の荷物を二本手に取る。
大事そうに布に包まれているけれど、それはもしかして……
「お手製の釣り竿だ。カレンの分もあるぞ」
この日のためにわざわざ作ってきたの!?
「まさかこの間みたいにまた徹夜とかしてないよね?」
「ははは、大丈夫だ。湖でピクニックの予定を立て始めた時から作り始めていたからな」
お兄ちゃんは本当に物づくりが好きなんだなあ。
それとも僕のためだろうか。
お兄ちゃんの生き生きとした表情を見るに、その両方だと思われた。
お兄ちゃんお手製の釣り竿を手に、釣り勝負開始である!
つまりお兄ちゃんとの湖でのピクニックの日だ!
アウトドア用の身軽な服装に着替えさせてもらって準備は万端だ。
お兄ちゃんと共に馬車に乗り込み、僕らは湖へと出発した。
「森まで行った時より距離があるからな。寝られるなら寝た方がいい」
隣に座っているお兄ちゃんが優しく言った。
「せっかくお兄ちゃんと一緒だもん。お兄ちゃんとお喋りする」
「体力が保つのならいいんだが」
「大丈夫だよ、僕最近元気だもん!」
初めてお兄ちゃんと会話した時に僕がお兄ちゃんの部屋で倒れたことがすっかりトラウマらしい。お兄ちゃんはいつまでも僕のことをひ弱だと思っているのだ。
「湖に着いたら何をするの?」
「釣りをしよう。湖ではいくらでも魚が獲れるそうだ。そしてランチにそれを焼いて食べるんだ。今日の釣果いかんによってはランチは主菜なしになってしまうぞ?」
「頑張らなきゃ……!」
ふん、と気合を入れる。
「お兄ちゃんとの釣り勝負には負けないからね!」
「ほう、勝負したいのか?」
お兄ちゃんは片眉を上げてほくそ笑む。
う、嫌な予感がする。
カタクラズムで本気を出してきたお兄ちゃんのことだから、大人げなく本気を出してきそうだ。
「それはいいな。楽しい休日になりそうだ」
何故だか僕たちは本気の釣り対決をすることになってしまったのだった。
「カレン。着いたそうだ」
うとうとしてきた頃、声をかけられてはっと目を覚ます。
大丈夫、寝てない寝てない。寝そうになっただけ。
お兄ちゃんが先に馬車から降り、僕はお兄ちゃんに下ろしてもらった。
それからお兄ちゃんは長い棒状の荷物を二本手に取る。
大事そうに布に包まれているけれど、それはもしかして……
「お手製の釣り竿だ。カレンの分もあるぞ」
この日のためにわざわざ作ってきたの!?
「まさかこの間みたいにまた徹夜とかしてないよね?」
「ははは、大丈夫だ。湖でピクニックの予定を立て始めた時から作り始めていたからな」
お兄ちゃんは本当に物づくりが好きなんだなあ。
それとも僕のためだろうか。
お兄ちゃんの生き生きとした表情を見るに、その両方だと思われた。
お兄ちゃんお手製の釣り竿を手に、釣り勝負開始である!
22
お気に入りに追加
4,107
あなたにおすすめの小説
【第1部完結】悪役令息ですが、家族のため精一杯生きているので邪魔しないでください~僕の執事は僕にだけイケすぎたオジイです~
ちくわぱん
BL
【11/28第1部完結・12/8幕間完結】(第2部開始は年明け後の予定です)ハルトライアは前世を思い出した。自分が物語の当て馬兼悪役で、王子と婚約するがのちに魔王になって結局王子と物語の主役に殺される未来を。死にたくないから婚約を回避しようと王子から逃げようとするが、なぜか好かれてしまう。とにかく悪役にならぬように魔法も武術も頑張って、自分のそばにいてくれる執事とメイドを守るんだ!と奮闘する日々。そんな毎日の中、困難は色々振ってくる。やはり当て馬として死ぬしかないのかと苦しみながらも少しずつ味方を増やし成長していくハルトライア。そして執事のカシルもまた、ハルトライアを守ろうと陰ながら行動する。そんな二人の努力と愛の記録。両片思い。じれじれ展開ですが、ハピエン。
推しの完璧超人お兄様になっちゃった
紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。
そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。
ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。
そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。
愛され末っ子
西条ネア
BL
本サイトでの感想欄は感想のみでお願いします。全ての感想に返答します。
リクエストはTwitter(@NeaSaijou)にて受付中です。また、小説のストーリーに関するアンケートもTwitterにて行います。
(お知らせは本編で行います。)
********
上園琉架(うえぞの るか)四男 理斗の双子の弟 虚弱 前髪は後々左に流し始めます。髪の毛の色はご想像にお任せします。深い赤みたいなのアースアイ 後々髪の毛を肩口くらいまで伸ばしてゆるく結びます。アレルギー多め。その他の設定は各話で出てきます!
上園理斗(うえぞの りと)三男 琉架の双子の兄 琉架が心配 琉架第一&大好き 前髪は後々右に流します。髪の毛の色はご想像にお任せします。深い緑みたいなアースアイ 髪型はずっと短いままです。 琉架の元気もお母さんのお腹の中で取っちゃった、、、
上園静矢 (うえぞの せいや)長男 普通にサラッとイケメン。なんでもできちゃうマン。でも弟(特に琉架)絡むと残念。弟達溺愛。深い青色の瞳。髪の毛の色はご想像にお任せします。
上園竜葵(うえぞの りゅうき)次男 ツンデレみたいな、考えと行動が一致しないマン。でも弟達大好きで奮闘して玉砕する。弟達傷つけられたら、、、 深い青色の瞳。兄貴(静矢)と一個差 ケンカ強い でも勉強できる。料理は壊滅的
上園理玖斗(うえぞの りくと)父 息子達大好き 藍羅(あいら・妻)も愛してる 家族傷つけるやつ許さんマジ 琉架の身体が弱すぎて心配 深い緑の瞳。普通にイケメン
上園藍羅(うえぞの あいら) 母 子供達、夫大好き 母は強し、の具現化版 美人さん 息子達(特に琉架)傷つけるやつ許さんマジ。
てか普通に上園家の皆さんは顔面偏差値馬鹿高いです。
(特に琉架)の部分は家族の中で順列ができているわけではなく、特に琉架になる場面が多いという意味です。
琉架の従者
遼(はる)琉架の10歳上
理斗の従者
蘭(らん)理斗の10歳上
その他の従者は後々出します。
虚弱体質な末っ子・琉架が家族からの寵愛、溺愛を受ける物語です。
前半、BL要素少なめです。
この作品は作者の前作と違い毎日更新(予定)です。
できないな、と悟ったらこの文は消します。
※琉架はある一定の時期から体の成長(精神も若干)がなくなる設定です。詳しくはその時に補足します。
皆様にとって最高の作品になりますように。
※作者の近況状況欄は要チェックです!
西条ネア
主人公の兄になったなんて知らない
さつき
BL
レインは知らない弟があるゲームの主人公だったという事を
レインは知らないゲームでは自分が登場しなかった事を
レインは知らない自分が神に愛されている事を
表紙イラストは マサキさんの「キミの世界メーカー」で作成してお借りしています⬇ https://picrew.me/image_maker/54346
転生したら弟がブラコン重傷者でした!!!
Lynne
BL
俺の名前は佐々木塁、元高校生だ。俺は、ある日学校に行く途中、トラックに轢かれて死んでしまった...。
pixivの方でも、作品投稿始めました!
名前やアイコンは変わりません
主にアルファポリスで投稿するため、更新はアルファポリスのほうが早いと思います!
ある日、人気俳優の弟になりました。
樹 ゆき
BL
母の再婚を期に、立花優斗は人気若手俳優、橘直柾の弟になった。顔良し性格良し真面目で穏やかで王子様のような人。そんな評判だったはずが……。
「俺の命は、君のものだよ」
初顔合わせの日、兄になる人はそう言って綺麗に笑った。とんでもない人が兄になってしまった……と思ったら、何故か大学の先輩も優斗を可愛いと言い出して……?
平凡に生きたい19歳大学生と、24歳人気若手俳優、21歳文武両道大学生の三角関係のお話。
奴隷商人は紛れ込んだ皇太子に溺愛される。
拍羅
BL
転生したら奴隷商人?!いや、いやそんなことしたらダメでしょ
親の跡を継いで奴隷商人にはなったけど、両親のような残虐な行いはしません!俺は皆んなが行きたい家族の元へと送り出します。
え、新しく来た彼が全く理想の家族像を教えてくれないんだけど…。ちょっと、待ってその貴族の格好した人たち誰でしょうか
※独自の世界線
ヒロイン不在の異世界ハーレム
藤雪たすく
BL
男にからまれていた女の子を助けに入っただけなのに……手違いで異世界へ飛ばされてしまった。
神様からの謝罪のスキルは別の勇者へ授けた後の残り物。
飛ばされたのは神がいなくなった混沌の世界。
ハーレムもチート無双も期待薄な世界で俺は幸せを掴めるのか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる