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第一部 リューナジア城編
第七十二話 ボードゲームで遊ぼう ③
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さらに一手一手、進ませていく。
ゲームは中盤。現在は一点差で僕の方が勝っている。
まだお兄ちゃんも僕も駒は一つも落ちていない。
僕は皇帝の駒を主に動かしてマナを回収していた。
そろそろ皇帝が取れる黒のマナが残っているマスも少なくなってきた。
僕は数少ない黒のマナが残っているマスへと皇帝を進ませた。
「ふっ、本当にそこでいいのか?」
「え?」
不意にお兄ちゃんがニヤリとほくそ笑んだ。
そしてお兄ちゃんは愚者の駒を手に取り動かす。
動かした先は……僕の皇帝の駒の一つ隣だ!
マナを取るのに夢中でいつの間にか愚者の駒に近づきすぎてしまってたんだ!
「あわわっ!」
逃げなきゃ!
皇帝の駒が取られたら負けちゃう!
僕は慌てて黒のマナが残ってて愚者から遠ざかる方向のマスへ皇帝を逃がした。
皇帝だけ動かしまくっていたから、他の駒はほとんど自陣付近に固まったままだ。
「ふふっ」
お兄ちゃんの愚者の駒は当然追ってくる。
「あれっ」
不味い、もう逃げる方向にはもう白いマナしか残っていない。
だけど皇帝を取られたら負けだから逃げなきゃいけない。
僕は仕方なく白いマナの上に駒を動かした。
ちなみに駒はどれも足を広げて立っているポーズなので、マナを足の間に挟むようにして駒を置くことができる。
「あっ、あっ」
お兄ちゃんの愚者の駒は尚も追いすがってくる。
僕が慌てて駒を動かすのを面白そうにニヤニヤと眺めながらお兄ちゃんは駒を動かす。
僕の皇帝の駒が白いマナを回収できないのを後目に、お兄ちゃんの愚者の駒は悠々と白のマナを回収していく。
結局自陣営まで皇帝の駒が逃げ込む頃にはお兄ちゃんと僕の点差は逆転していた。
そのまま僕は点差を覆すことができずにゲームは終了した。
「もおーっ! おにーちゃん初心者相手に大人気ない!」
僕はゲームが終わるなり足をぱたぱたさせて抗議した。
「はははっ、すまんすまん。慌てるお前が可愛くてつい」
「おにーちゃんって好きな子に意地悪しちゃうタイプでしょ」
「す、好きな子!? いやそんなことはないとは思うが」
ぷくっと頬を膨らませてむくれていると、お兄ちゃんはあの手この手で宥めようと慌てたのだった。
「えへへっ、そんなに怒ってないよ」
機嫌を直してにこりと笑うと、兄はほっと胸を撫で下ろした。
「さ、もっかいやろ! 今度は僕が勝つぞー!」
そうしてもう一度対戦が始まったのだった。
何度も対戦し、大満足の休日を過ごした。
「それにしても何で愚者なんて名前なんだろうね、この駒。『暗殺者』とかにした方がかっこいいんじゃないかな」
駒を手に取り眺めながらしみじみと呟く。
「ふっ、そりゃ為政者の命を狙う者など愚かだと刷り込んでおきたいんだよ」
「あっ、そうか」
暗殺者が皇帝を下すゲームなんて庶民が遊んでいたら、皇帝としては縁起が悪いか。
「だがオレは嫌いじゃないぞこの愚者という駒。周りから愚者と目されている者こそが皇帝を下せる……ククク、いいじゃないか」
お兄ちゃんは愚者の駒に自分を重ねて笑うのだった。
ゲームは中盤。現在は一点差で僕の方が勝っている。
まだお兄ちゃんも僕も駒は一つも落ちていない。
僕は皇帝の駒を主に動かしてマナを回収していた。
そろそろ皇帝が取れる黒のマナが残っているマスも少なくなってきた。
僕は数少ない黒のマナが残っているマスへと皇帝を進ませた。
「ふっ、本当にそこでいいのか?」
「え?」
不意にお兄ちゃんがニヤリとほくそ笑んだ。
そしてお兄ちゃんは愚者の駒を手に取り動かす。
動かした先は……僕の皇帝の駒の一つ隣だ!
マナを取るのに夢中でいつの間にか愚者の駒に近づきすぎてしまってたんだ!
「あわわっ!」
逃げなきゃ!
皇帝の駒が取られたら負けちゃう!
僕は慌てて黒のマナが残ってて愚者から遠ざかる方向のマスへ皇帝を逃がした。
皇帝だけ動かしまくっていたから、他の駒はほとんど自陣付近に固まったままだ。
「ふふっ」
お兄ちゃんの愚者の駒は当然追ってくる。
「あれっ」
不味い、もう逃げる方向にはもう白いマナしか残っていない。
だけど皇帝を取られたら負けだから逃げなきゃいけない。
僕は仕方なく白いマナの上に駒を動かした。
ちなみに駒はどれも足を広げて立っているポーズなので、マナを足の間に挟むようにして駒を置くことができる。
「あっ、あっ」
お兄ちゃんの愚者の駒は尚も追いすがってくる。
僕が慌てて駒を動かすのを面白そうにニヤニヤと眺めながらお兄ちゃんは駒を動かす。
僕の皇帝の駒が白いマナを回収できないのを後目に、お兄ちゃんの愚者の駒は悠々と白のマナを回収していく。
結局自陣営まで皇帝の駒が逃げ込む頃にはお兄ちゃんと僕の点差は逆転していた。
そのまま僕は点差を覆すことができずにゲームは終了した。
「もおーっ! おにーちゃん初心者相手に大人気ない!」
僕はゲームが終わるなり足をぱたぱたさせて抗議した。
「はははっ、すまんすまん。慌てるお前が可愛くてつい」
「おにーちゃんって好きな子に意地悪しちゃうタイプでしょ」
「す、好きな子!? いやそんなことはないとは思うが」
ぷくっと頬を膨らませてむくれていると、お兄ちゃんはあの手この手で宥めようと慌てたのだった。
「えへへっ、そんなに怒ってないよ」
機嫌を直してにこりと笑うと、兄はほっと胸を撫で下ろした。
「さ、もっかいやろ! 今度は僕が勝つぞー!」
そうしてもう一度対戦が始まったのだった。
何度も対戦し、大満足の休日を過ごした。
「それにしても何で愚者なんて名前なんだろうね、この駒。『暗殺者』とかにした方がかっこいいんじゃないかな」
駒を手に取り眺めながらしみじみと呟く。
「ふっ、そりゃ為政者の命を狙う者など愚かだと刷り込んでおきたいんだよ」
「あっ、そうか」
暗殺者が皇帝を下すゲームなんて庶民が遊んでいたら、皇帝としては縁起が悪いか。
「だがオレは嫌いじゃないぞこの愚者という駒。周りから愚者と目されている者こそが皇帝を下せる……ククク、いいじゃないか」
お兄ちゃんは愚者の駒に自分を重ねて笑うのだった。
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