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第一部 リューナジア城編

第七十話 ボードゲームで遊ぼう ①

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 何がしたいと言われても僕には遊びが思いつかなかったので、お兄ちゃんのお気に入りのボードゲームだという「カタクラズム」をやることになった。

 お兄ちゃんがカタクラズム一式セットをテーブルに置く。
 一式の内容は六十一個の六角形のマスで構成された六角形のゲーム盤とチェスのような駒が五種類ずつ、そして碁石のような白と黒のつやつやの石がたくさんだ。
 一体どんな遊びなんだろう。

「これは駒を使ったマナ取りゲームだ」
「マナ取りゲーム?」
「ああ、この白と黒の石がマナに見立てられている」

 そう言って兄はゲーム盤の上に白と黒の石をバラバラに並べ始めた。
 一マスに一個ずつ、手前の五マス以外に石が並べられていく。
 白と黒の石の配置に規則性はなく、無作為に並べているように見える。
 そして最後に五種類の駒が向かい合って座っている僕と兄のそれぞれの手前五マスに並べられた。

「この駒たちを動かしてマナを取っていくんだ」

 なるほど。チェスと陣地取りが組み合わさったようなゲームのようだ。

「駒の名前は左から皇子プリンス魔術師ウィザード皇帝エンペラー騎士ナイト、そして愚者ジェスター

 駒は兄の側にも兄から見て左から皇子、魔術師、皇帝、騎士、愚者の順に置かれている。
 つまり僕の皇子の駒の直線上には兄の愚者の駒が置かれているのだ。

 話を聞いている内に思い出してきた。
 そういえばタソトキのミニゲームにカタクラズムというボードゲームがあった。
 カタクラズムを極めてプロのカタクラズムプレイヤーになるルートもあるらしい。
 例によって行商にしか興味の無かった僕は一回か二回ぐらいしかプレイしていない。ルールももう覚えていない。

 ちなみに皇帝ではなく王様が治める太陽の国では皇帝エンペラーの駒はキングと呼ばれている、とお兄ちゃんが教えてくれた。

「駒はどれを動かしてもいいの?」
「ああ。自分の手番になったら駒を一つ、隣り合ったマスに動かせる。そのマスに取れる色のマナがあれば取ったプレイヤーのものになる」
「取れる色?」

 首を傾げると、お兄ちゃんは教えてくれた。
 皇帝と皇子の駒は黒のマナを取ることができ、魔術師と騎士は白のマナを取ることができる。
 そして愚者の駒だけが白と黒の両方のマナを取ることができる。
 ゲーム終了時により多くのマナを取っていた方のプレイヤーが勝つというルールだ。
 マナの白と黒の配置はランダムだから毎回違ったゲームを楽しめるのが魅力らしい。

「えーと、どの駒がどれに強いとかあるんだよね?」

 あやふやながらもカタクラズムのルールを思い出しながら尋ねる。

「ああ。騎士は魔術師に強く、魔術師は皇子に強い。皇子は騎士に強いという三竦みだ。さらに皇帝は愚者以外の全ての駒に強く、反対に愚者の駒はほとんどの駒に弱いが唯一皇帝に勝てる駒だ。そして、マナの取得数に関わらず皇帝を取られたプレイヤーはその時点で敗北が確定する」

 ふむふむと頷きながら説明を聞く。

「まあ説明ばかりも何だから、実際にやってみるか」
「うん!」
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