悪逆第四皇子は僕のお兄ちゃんだぞっ! ~商人になりたいので悪逆皇子の兄と組むことにします~

野良猫のらん

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第一部 リューナジア城編

第六話 お兄ちゃんに会いに行く!

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 自室に戻ったら乳母にこってりと叱られてしまった。
 説教の内容は身体が弱いんだからやたらに走り回らないこと、悪い人もいるんだから知らない人に近寄らないことなどなどだった。

「でもおにーちゃんは知らない人じゃないよ? 僕のおにーちゃんだもん」
「う……っ」

 目をくるんと丸くさせて無邪気に尋ねると、乳母は言葉を詰まらせた。
 ウィルフリートの好感度を稼ぐ為には、ウィルフリートに会いに行くことがいけないことみたいな風潮になってはいけない。僕の顔を覚えていてもらわなければ、彼が暴君になった時にお願いを叶えてもらえないかもしれないのだから。
 出来れば毎日兄の所に遊びに行くのを許してもらいたい。
 更に言葉を連ねようとした時だった。可愛らしい咳が口から飛び出す。

「けほ、けほ」
「ほらはしゃぎ回るから。暖かくしてじっとしておかないと、またお熱が出ますよ」

 もこもこと身体を上着に包まれて、ベッドの中に押し込められてしまった。
 くそう、体力のないこの身体が恨めしい。
 いっそ隙を見てベッドの中から抜け出してやろうかとも思ったが、何だか身体がだるくて重くて、気が付いたら瞼が閉じてしまっていた。



 それから軽く熱を出して一日ずっと部屋の中から動けなかった。
 ご飯も乳母にあーんしてもらって食べた。
 こんなにも体力がないのはまだ身体が小さいせいだと思いたい。大きくなってもこのままだったら、行商人になるどころか城の外に出ることすら難しそうだ。

 翌日の午後になって、ようやく熱が下がって身体を起こせるようになった頃。

「さあカレン様。今カレン様の好きな砂糖入り溶き卵ミルクエッグノッグをお持ちしますね」

 と乳母が部屋から席を外した。
 ぱたんと扉が閉じて、部屋が静かになる。

 今がチャンスだ……!
 僕はベッドから起き出すと、ドアを開けて部屋の外へと出た。
 さあ、お兄ちゃんに会いに行こう!

 とてとてと廊下を歩き回りながら兄の姿を探した。
 だが流石に広い王宮の中闇雲に歩き回るだけで兄が見つかる筈もなかった。
 少し疲れて物陰で休んでいたら、メイドさんたちのコソコソ話が聞こえてきた。

「ちょっと、そんな険しい顔で何処に行くの?」
「実はウィルフリート殿下に紅茶を頼まれてしまって……」
「それは……早く行った方がいいわね」

 今、ウィルフリートって聞こえた!
 兄の名前に反応して物陰から顔を出すと、深刻そうな顔をしたメイドさんたちの姿が目に入った。
 ティーポットとカップを載せたトレーを持っている方が兄の所へ行くメイドさんだろう。
 あのメイドさんの後を付いていけばウィルフリートお兄ちゃんに会えるに違いない!

 僕は足音を忍ばせて行動を開始した。
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