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もしかして?

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「こちらになります」
「ありがとう」
「猫山くんの友達って美男美女ね!」
先輩店員の糸井いといさんに個室に案内されておしぼりを貰う。
「こちら今日のお通しの鯵のなめろうでーす」
「真白は俺の隣、あとは適当に座って」
真琴が俺を奥に座らせる。別に警戒しなくてもいいんだけどね?ここの店員さんとても良い人達なんだけど・・・・・・。
「相変わらず真白の事になると真白の事しか頭にねーな。真琴は」
侑希が呆れて。俺の目の前に座る。その隣に真理が座る形だ。
「俺、取り敢えず生」
「私も」
「俺も生にしようかな?真白は?」
「俺あんまり冷たいもの飲むとお腹下すんだよね~」
メニューをめくる。
「真白は焼酎のぬるかん貰ったら?」
「え~良いのかなぁ・・・・・・みんなに合わせなくて大丈夫?」
「社会に出たらこんなワガママ出来なくなるんだから、私達が集まるときくらい気を遣わないで?」
とっさに真理がフォローしてくれる。昔はこんなに気を遣える人間じゃなかったような?
「ありがと。じゃ糸井さん焼酎のぬる燗で」
「かしこまりました!」
パシッと障子を閉めて退室する糸井さん。みんなくつろいでくれているみたい良かった。掘りごたつになっていて正座しなくて良いし個室はプライベートもしっかりされてて良いんだよね!
「ところで、みんなはさ将来とか決めてる?」
俺はやりたいことが未だに無いから何となく親のところで働くことになるんだろうなぁって朧気おぼろげな計画しか立ててない。みんなはどうか訊いてみた。
「俺はまだ」
真琴もまだか。真琴はなにやっても成功しそうだけど、真面目だし。
「俺は家の工場手伝う感じかな~?」
侑希の家は町工場だったから、それを継ぐ感じか。俺と似た感じなのかなぁ?
「私は~また確定ではないけど、今通っている看護学校出たら国境なき医師団に入りたいと思っているの!」
「まじか!」
「すげーな」
「真理凄いな!外国語も勉強しているのか?」
「まだまだだけど。それにこれからもっとやりたいこと見つかるかもしれないし!」
真理は凄い。昔から当たって砕けろ的な考えだったから、高校の時も考える前にまず行動だから男子が引いてたな・・・・・・美人なんだけど、そのせいで女子にあんまり受け入れられなくて大変だったんだろうなぁ。
「真白は?親父さんの会社手伝う感じ?」
「一応はそんな感じ、取り敢えず三個上の兄さんが会社と言うもののノウハウ的なの教えてくれるみたいだから、来年には今住んでるアパートも出るつもり、バイトも辞めろって言われているよ」
俺はため息を着きながら声を漏らす。
「そっか、頻繁に会えなくなるのは寂しいな」
「そうなんだよね」
するとシャッと障子が開いて。
「生と焼酎ぬる燗でーす!」
糸井さんが入ってくる。ぬる燗準備していたから遅くなったのだろう。
「こちら、お下げしますね~」
「美味しかったです!鯵のなめろうってこんなに美味しいんですね!」
真理は魚あんまり得意じゃなかったな。食べるの大変って言って。
「家はお刺身もおいしんですよー!」
「じゃあ、俺刺身好きだし刺身盛り合わせたのんます!」
「私はサラダお願いします」
「真白は?」
真琴が訊いてくる。
「じゃあ、カニクリームコロッケ」
「俺は、豚の角煮にします」
「はーい!少々お待ちください」
そう言って再び障子を閉めて行く。
「じゃあ!乾杯しようか?」
「かんぱーい!」
カチンと生ビールと焼酎のコップがぶつかり合う。俺も久しぶりにお酒を飲んで良い心地だった。

***

どのくらい店に居たのだろう?俺はぐでんぐでんに酔っぱらってしまって。意識が朦朧としていた。元々そんなに飲めないのにここにいつまでも居たかったし。真琴とも別れたくなかった。
「真白~大丈夫か~」
「う~ん・・・・・・」
「珍しいんじゃない?真白って自分の弱いとこあんまり見せないのに・・・・・・今日は真琴がいたからかな~?」
「侑希、真白のアパートどこか知ってる?」
「さぁ~訊いたこと無い」
「私も、」
「しょうがないな、真白は俺が連れていくよ」
そんなやり取りが耳に残っていたが俺は体に力が入らなくて。相当酔ってしまっていたんだと思う。
「そうね、それが一番安全ね!」
「まこと~だいしゅき~、むにゃむにゃ・・・・・・」
「真白っ?あちゃー寝ちゃった」
それから先俺は覚えていない。

***

朝、俺は頭痛で目が覚めた。
「いった・・・・・・飲みすぎた」
起き上がると俺は知らないベッドに横になっていることに気がついた。そして隣には・・・・・・。
「!!」
スースーと静にかに寝息を立てて眠る真琴が居た!
「え?え?なんで?あれ?」
混乱して良く見ると俺も真琴もパンツしか履いていない。
「えー・・・・・・っ」
ダメだ全然思い出せない。
「うーん、」
ゴロンと仰向けの真琴がこちらの方を向いて寝返りを打ってくる。
「~~~っ」
引き締まった筋肉にゴツゴツだが優しく大きな手。自分とはまるで違うその姿に惚れ惚れした。俺は幾ら鍛えてもそんなに筋肉が目立たないから。
「違うくて!俺の服は?」
辺りをキョロキョロとするとベッドの下に乱雑に脱ぎ捨てられていた。俺は服を着て素知らぬ顔をしてこっそり出ていくつもりでベッドから出ようとした。すると

グイッ!

「わっ!」
「真白?起きたか?」
真琴が目を覚まし腕を引っ張って来る。俺はベッドから出るつもりだったが。引っ張られた方向つまり真琴の胸の中へ吸い込まれた。
「真琴?俺、あの・・・・・・」
「安心しろ。なにもなかったよ?」
その言葉に胸を撫で下ろし、真琴を見上げる。
「【俺は】何かあっても良かったけど真白に嫌われる方がずっとやだから」
「ごめん」
「なんで謝るんだ?真白?俺はお前と居れればいいよ?」
「そう、じゃないんだ・・・・・・」
「ん?」
「俺がもっと早く真琴を受け入れていれば、よ、良かったのかな?って、思って」
それを聞いて真琴は抱き締める力を強くする。
「真白は真白のペースで良いんだ・・・・・・俺はマイペースに頑張る真白が好きなんだ」
「ありがと・・・・・・!え?」
「ん?」
今!今!す、好きって!言いましたよね?
「真琴って俺の事、その。好きなの?」
「うん、ずっと昔から大好き」
「~~~~っっっっ!」
それを聞いて俺は頬が熱くなるのを感じる。お、俺も好きなんだけど!
「どうした?赤くなって?」
「ありがと」
「どういたしまして」
幸せな朝だった(二日酔いなの忘れるくらい)。そして真琴と起き上がると真琴が近い~っ!

ちゅ

そのリップ音がした時。目の前に整った真琴の顔があって。すぐ離れていった。
「今は、ここまでにしような?」
「はぃ・・・・・・」

それから俺は起き上がり、着替えて、常温の水を貰いそれを持って近くのタクシー乗り場まで案内されてそのまま自分のアパートに帰った。
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