音楽業界のボーイズラブ

おとめ

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CMの流れる日時が決まり、とりあえずすすむは安堵していた。二人でその時間に見ようとすすむの部屋でシンとテレビを前にソファで寛いでいる。
CMが流れると、ゴールデンタイムの番組の間に透明感のあるwaraの声が流れて、強い印象が残るラブソングに自画自賛で感動してしまう。
「この歌のモデル俺?」
ニヨニヨしながらシンに体をもたせかけ、シンの顔を掴み振り向かせキスをする。
「こんなイメージか?」
嫌味を言われながらもすすむはご機嫌で酒を空けた。
「大成果の俺すげー」
するとリンネから着信が入り、リンネもCMを見ていたのか、
「俺はもっとハードなのが歌いたい」
とクレームが入る。
「何で俺には言わねーんだよ」
隣でシンがすすむとリンネの会話を聞きながらすすむと顔を見合わせる。
「まだこっちのシングルの曲も残ってるしレコーディングも出来てないし」
文句を言うリンネは今日は大分ご立腹だ。
「ごめんって。今度いつ空いてんの?」
「シンもおる?代わって」
すすむが訝しみながらもシンに電話を渡すと、何を言われたのか顔つきが険しくなった。
「何?なんだって?」
「戦線布告」
 不謹慎な言葉と共にシンはため息をつくと、
「作詞と作曲、あと一曲どっちからやる?」
「俺からやる」
すすむが名乗り出てラブソングにはラブソングをとシンに向けての曲を作ろうと策士する。
「早い方がいいな」
「どのくらいかかる?」
「イメージは出来そうだから…でももう一曲の方もハードだから、ちょっと時間かかるかも。3日くらい」
「分かった。ここにいていい?」
「…いいけど…」
集中の度合いで言えば一人の方が気楽でいい。しかし付き合ってからというもの日々メンヘラ度合いが増していっているようなシンに、すすむは困惑する。
「このまま一緒に住んじゃいそうだな」
「嫌?」
「嫌じゃないけど…」
返事に困ると、シンがすすむを押し倒しすすむの服に手をかけ脱がせていく。
「…お前手ぇ早いって」
「すすむ朝型だからこの後は曲作れねーだろ?」
勝手知ったるシンに二の句が告げない。肌を撫でて胸の突起をいじられ、シンに見られながら自分だけが半裸を晒している羞恥心に全身が熱くなる。
「羞恥プレイ、好き?」
「恥ずかしいからやだ」
「この前コスプレでも興奮してたじゃん」
「…あれは…、ばりばり女役だったから…」
「変態」
刺すような言葉に胸が詰まるが、シンのなぞる指を感じながらすすむは変態なのかと自問する。自覚は無かったが変態というより、
「どMなんじゃない」
と自答した。
「俺はSでも無いけどな」
「いい。そのまま優しくして」
女のありがちな誘い文句のような言葉がついてでてきてすすむは自分でも頬を染めるが、見上げているシンの動きが止まり、窺い見るとシンまで頬を火照らせている。
「よくそんな恥ずかしいこと言えるな」
「自分でもハズかった」
「やっぱ羞恥プレイ好きなんじゃね」
「嫌だ。ネコやってるだけでも恥ずかしいのに。てかシンには変態って思われたくない。」
すすむがシンの体に腕を回し、シンが抱き込む。そしてそこら中にキスをする、この甘い行為が好きだ。頭をぽんぽんと撫でられながらちゅっ、ちゅ、と口づけを落としていく。子供のように二人とも触れられ触れるだけで満足してしまう、その後は濃密な絡みをした。シンの優しい手つきに、大切に愛されていると感じる。
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