18 / 19
18
しおりを挟む*** ***
CMの流れる日時が決まり、とりあえずすすむは安堵していた。二人でその時間に見ようとすすむの部屋でシンとテレビを前にソファで寛いでいる。
CMが流れると、ゴールデンタイムの番組の間に透明感のあるwaraの声が流れて、強い印象が残るラブソングに自画自賛で感動してしまう。
「この歌のモデル俺?」
ニヨニヨしながらシンに体をもたせかけ、シンの顔を掴み振り向かせキスをする。
「こんなイメージか?」
嫌味を言われながらもすすむはご機嫌で酒を空けた。
「大成果の俺すげー」
するとリンネから着信が入り、リンネもCMを見ていたのか、
「俺はもっとハードなのが歌いたい」
とクレームが入る。
「何で俺には言わねーんだよ」
隣でシンがすすむとリンネの会話を聞きながらすすむと顔を見合わせる。
「まだこっちのシングルの曲も残ってるしレコーディングも出来てないし」
文句を言うリンネは今日は大分ご立腹だ。
「ごめんって。今度いつ空いてんの?」
「シンもおる?代わって」
すすむが訝しみながらもシンに電話を渡すと、何を言われたのか顔つきが険しくなった。
「何?なんだって?」
「戦線布告」
不謹慎な言葉と共にシンはため息をつくと、
「作詞と作曲、あと一曲どっちからやる?」
「俺からやる」
すすむが名乗り出てラブソングにはラブソングをとシンに向けての曲を作ろうと策士する。
「早い方がいいな」
「どのくらいかかる?」
「イメージは出来そうだから…でももう一曲の方もハードだから、ちょっと時間かかるかも。3日くらい」
「分かった。ここにいていい?」
「…いいけど…」
集中の度合いで言えば一人の方が気楽でいい。しかし付き合ってからというもの日々メンヘラ度合いが増していっているようなシンに、すすむは困惑する。
「このまま一緒に住んじゃいそうだな」
「嫌?」
「嫌じゃないけど…」
返事に困ると、シンがすすむを押し倒しすすむの服に手をかけ脱がせていく。
「…お前手ぇ早いって」
「すすむ朝型だからこの後は曲作れねーだろ?」
勝手知ったるシンに二の句が告げない。肌を撫でて胸の突起をいじられ、シンに見られながら自分だけが半裸を晒している羞恥心に全身が熱くなる。
「羞恥プレイ、好き?」
「恥ずかしいからやだ」
「この前コスプレでも興奮してたじゃん」
「…あれは…、ばりばり女役だったから…」
「変態」
刺すような言葉に胸が詰まるが、シンのなぞる指を感じながらすすむは変態なのかと自問する。自覚は無かったが変態というより、
「どMなんじゃない」
と自答した。
「俺はSでも無いけどな」
「いい。そのまま優しくして」
女のありがちな誘い文句のような言葉がついてでてきてすすむは自分でも頬を染めるが、見上げているシンの動きが止まり、窺い見るとシンまで頬を火照らせている。
「よくそんな恥ずかしいこと言えるな」
「自分でもハズかった」
「やっぱ羞恥プレイ好きなんじゃね」
「嫌だ。ネコやってるだけでも恥ずかしいのに。てかシンには変態って思われたくない。」
すすむがシンの体に腕を回し、シンが抱き込む。そしてそこら中にキスをする、この甘い行為が好きだ。頭をぽんぽんと撫でられながらちゅっ、ちゅ、と口づけを落としていく。子供のように二人とも触れられ触れるだけで満足してしまう、その後は濃密な絡みをした。シンの優しい手つきに、大切に愛されていると感じる。
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

ある少年の体調不良について
雨水林檎
BL
皆に好かれるいつもにこやかな少年新島陽(にいじまはる)と幼馴染で親友の薬師寺優巳(やくしじまさみ)。高校に入学してしばらく陽は風邪をひいたことをきっかけにひどく体調を崩して行く……。
BLもしくはブロマンス小説。
体調不良描写があります。
Take On Me
マン太
BL
親父の借金を返済するため、ヤクザの若頭、岳(たける)の元でハウスキーパーとして働く事になった大和(やまと)。
初めは乗り気でなかったが、持ち前の前向きな性格により、次第に力を発揮していく。
岳とも次第に打ち解ける様になり…。
軽いノリのお話しを目指しています。
※BLに分類していますが軽めです。
※他サイトへも掲載しています。
日本一のイケメン俳優に惚れられてしまったんですが
五右衛門
BL
月井晴彦は過去のトラウマから自信を失い、人と距離を置きながら高校生活を送っていた。ある日、帰り道で少女が複数の男子からナンパされている場面に遭遇する。普段は関わりを避ける晴彦だが、僅かばかりの勇気を出して、手が震えながらも必死に少女を助けた。
しかし、その少女は実は美男子俳優の白銀玲央だった。彼は日本一有名な高校生俳優で、高い演技力と美しすぎる美貌も相まって多くの賞を受賞している天才である。玲央は何かお礼がしたいと言うも、晴彦は動揺してしまい逃げるように立ち去る。しかし数日後、体育館に集まった全校生徒の前で現れたのは、あの時の青年だった──

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる