音楽業界のボーイズラブ

おとめ

文字の大きさ
上 下
15 / 19

15

しおりを挟む


*** ***

CMの完成が進み、その事を青井に報告されながら密会の予定も組まされる。意外だったのがシンと2人で来てほしいと言われたことだった。
「…ってことなんだけど」
「嫌な予感しかしねー」
一応確認のために2人でドレスコードに合う服を厳選していく。
「まじでお前白シャツ似合わね」
げらげらと笑いながらグレーのジャケットを羽織らせ、尚も浮かぶシンの焼けた肌の色の似合わなさにすすむの笑いが止まらなくなる。今日が何事もなく過ぎそうで、すすむもシンとの洒落た服を着ながらのデートのような時間を思い浮かべ楽しみで胸が弾む。
「やっぱこっちでいんじゃね」
無難にスーツにネクタイを締めるシンを見て、普段着ない体のラインが分かるスーツ姿に痩せた体が引き締まって見せて惚れる。すすむはと言えば無難な紺のシャツにジャケット姿で、こちらも普段着とは違う服装である。
「すすむ酒飲むなよ」
「んなこと出来るかよ」
「俺が飲むから」
「ふつーにばれんじゃね」
「少しでいいから」
シンの顔を窺い見ると細い眉が下がり不安そうな顔をしていて、きっと青井とまだ何かあるのかと疑心暗鬼になっているんじゃないかと思う。
「まーたメンヘラ発動してんの」
「お前が酒飲むと隙だらけじゃん」
「まぁそれは確かに」
浮足だっていたすすむが我に返り、落ち込みそうになる。


「CM発表の日も決まったよ。お疲れさま」
青井がワイングラスを傾け、すすむとシンも青井のグラスを鳴らす。
「お疲れさまです」
個室でフランス料理のコースが運ばれながらワインを堪能し、すすむとシンは微笑む。
「この前はごめんね。何か気を悪くさせちゃって」
「そんなことありませんよ」
「こちらこそすみませんでした」
シンが素直に謝る。この前、とはすすむと青井が2人でいるところにシンが遭遇した時の事だろう。シンがその時の苛立ちを思い出したのかテーブルの下ですすむの膝を突き、責められているようにすすむの体が硬直する。
「waraさんの選任はぴったりでしたね」
話題を逸らそうと必死になり、他の人間の名前を出すと、
「うん、彼も良かったね」
青井が言うと意味あり気に聞こえるのは何故なのか。思わず舌打ちしそうになるのを堪え、黙り込む。
「気になる?」
「え?」
すすむが聞き返すが、青井は笑って答えない。すると青井の足がすすむの太ももに触れ、わざとなのか靴を脱いだ足の指先で靴下ごしになぞられる。
そして料理を待つ間、シンの手がすすむの手を握りすすむが強く握り返した。
「2人とも丸くなった?」
「え?太りましたかね」
すすむが頬を押さえる。青井が笑って、シンもつられて笑う。
「この後どう?まだ時間ある?」
「この後、ですか」
すすむとシンの2人が顔を見合わせ、すすむは青井に体をいじられており恥ずかしさに顔が熱(ほて)る。
「青井さんが良ければ」
「もちろん。プレゼントも用意しててね」
「え?俺たち何も用意してなくて…すみません」
「気にしないで。僕が勝手にあげたいだけだから」
二人の会話をもじもじとしながらすすむが聞きながら、撫でられ続ける足に敏感になる。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

年上の恋人は優しい上司

木野葉ゆる
BL
小さな賃貸専門の不動産屋さんに勤める俺の恋人は、年上で優しい上司。 仕事のこととか、日常のこととか、デートのこととか、日記代わりに綴るSS連作。 基本は受け視点(一人称)です。 一日一花BL企画 参加作品も含まれています。 表紙は松下リサ様(@risa_m1012)に描いて頂きました!!ありがとうございます!!!! 完結済みにいたしました。 6月13日、同人誌を発売しました。

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

催眠アプリ(???)

あずき
BL
俺の性癖を詰め込んだバカみたいな小説です() 暖かい目で見てね☆(((殴殴殴

好きな人に迷惑をかけないために、店で初体験を終えた

和泉奏
BL
これで、きっと全部うまくいくはずなんだ。そうだろ?

処理中です...