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CMの完成が進み、その事を青井に報告されながら密会の予定も組まされる。意外だったのがシンと2人で来てほしいと言われたことだった。
「…ってことなんだけど」
「嫌な予感しかしねー」
一応確認のために2人でドレスコードに合う服を厳選していく。
「まじでお前白シャツ似合わね」
げらげらと笑いながらグレーのジャケットを羽織らせ、尚も浮かぶシンの焼けた肌の色の似合わなさにすすむの笑いが止まらなくなる。今日が何事もなく過ぎそうで、すすむもシンとの洒落た服を着ながらのデートのような時間を思い浮かべ楽しみで胸が弾む。
「やっぱこっちでいんじゃね」
無難にスーツにネクタイを締めるシンを見て、普段着ない体のラインが分かるスーツ姿に痩せた体が引き締まって見せて惚れる。すすむはと言えば無難な紺のシャツにジャケット姿で、こちらも普段着とは違う服装である。
「すすむ酒飲むなよ」
「んなこと出来るかよ」
「俺が飲むから」
「ふつーにばれんじゃね」
「少しでいいから」
シンの顔を窺い見ると細い眉が下がり不安そうな顔をしていて、きっと青井とまだ何かあるのかと疑心暗鬼になっているんじゃないかと思う。
「まーたメンヘラ発動してんの」
「お前が酒飲むと隙だらけじゃん」
「まぁそれは確かに」
浮足だっていたすすむが我に返り、落ち込みそうになる。
「CM発表の日も決まったよ。お疲れさま」
青井がワイングラスを傾け、すすむとシンも青井のグラスを鳴らす。
「お疲れさまです」
個室でフランス料理のコースが運ばれながらワインを堪能し、すすむとシンは微笑む。
「この前はごめんね。何か気を悪くさせちゃって」
「そんなことありませんよ」
「こちらこそすみませんでした」
シンが素直に謝る。この前、とはすすむと青井が2人でいるところにシンが遭遇した時の事だろう。シンがその時の苛立ちを思い出したのかテーブルの下ですすむの膝を突き、責められているようにすすむの体が硬直する。
「waraさんの選任はぴったりでしたね」
話題を逸らそうと必死になり、他の人間の名前を出すと、
「うん、彼も良かったね」
青井が言うと意味あり気に聞こえるのは何故なのか。思わず舌打ちしそうになるのを堪え、黙り込む。
「気になる?」
「え?」
すすむが聞き返すが、青井は笑って答えない。すると青井の足がすすむの太ももに触れ、わざとなのか靴を脱いだ足の指先で靴下ごしになぞられる。
そして料理を待つ間、シンの手がすすむの手を握りすすむが強く握り返した。
「2人とも丸くなった?」
「え?太りましたかね」
すすむが頬を押さえる。青井が笑って、シンもつられて笑う。
「この後どう?まだ時間ある?」
「この後、ですか」
すすむとシンの2人が顔を見合わせ、すすむは青井に体をいじられており恥ずかしさに顔が熱(ほて)る。
「青井さんが良ければ」
「もちろん。プレゼントも用意しててね」
「え?俺たち何も用意してなくて…すみません」
「気にしないで。僕が勝手にあげたいだけだから」
二人の会話をもじもじとしながらすすむが聞きながら、撫でられ続ける足に敏感になる。
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