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ときは少し前に戻る。家同士の喧嘩を始めると決めたお父様は一人の男性を連れてきた。
「どうも、初めまして。この国の王子でーす」
「えぇ……」
突然過ぎて敬うとかそういう感情よりも困惑が来てしまった。王子が、そんな軽い気持ちで家に来るなんてことある?
「あはは、そこまではっきり反応されるのは珍しいね。いいね君、面白い!」
そういってファリス王子は私の肩をばしばしと叩く。……すごく変な人。
「というか、どういうことですお父様!」
「ファリス王子には協力を頼んだんだ」
「そう、僕は君のお父さんに少し借りがあってね、協力させてもらうよ。とりあえず、今年の最後のパーティでこの子をエスコートすればいいんだろう?」
え、私をエスコート? 王子が?
「頼みますよ。王子」
「いいよー、僕もあの侯爵家の馬鹿さ加減には呆れてたしね、国王も気にしてたみたいだし。なにより面白そうじゃないか! いやー、調子に乗ってる馬鹿な貴族の鼻っ柱を折るのって楽しいんだよねー!」
そういってファリス王子はケラケラと笑う。私は心の中でドン引きしているのだけど、顔に出さないように出来てるだろうか。
「それに、君は面白そうだからね。僕は面白い女性が好みなんだ。あぁ、面白いっていうのは笑えるってことじゃないよ?」
「わかっています。ですが、私は王子にエスコートされるような見た目ではありませんよ」
王子はおかしな人だけど、顔は凄まじく整っている。黙っていれば寄ってくる女性は後を絶たないだろう。黙っていれば、だけど。
「そんなことはない。君は素材がいい、きちんとしたドレスコードと化粧をすれば立派な美しさを持つ令嬢になるだろう。安心して僕にエスコートされればいいのさ」
そういって王子は私の頬を軽くなでる。この顔でそんなことをされると、いくらその気がなくても照れてしまう。
「さぁ、喜劇を始めよう。主人公は君、お相手は侯爵家だ。存分に君の思いをぶつけてごらん」
「どうも、初めまして。この国の王子でーす」
「えぇ……」
突然過ぎて敬うとかそういう感情よりも困惑が来てしまった。王子が、そんな軽い気持ちで家に来るなんてことある?
「あはは、そこまではっきり反応されるのは珍しいね。いいね君、面白い!」
そういってファリス王子は私の肩をばしばしと叩く。……すごく変な人。
「というか、どういうことですお父様!」
「ファリス王子には協力を頼んだんだ」
「そう、僕は君のお父さんに少し借りがあってね、協力させてもらうよ。とりあえず、今年の最後のパーティでこの子をエスコートすればいいんだろう?」
え、私をエスコート? 王子が?
「頼みますよ。王子」
「いいよー、僕もあの侯爵家の馬鹿さ加減には呆れてたしね、国王も気にしてたみたいだし。なにより面白そうじゃないか! いやー、調子に乗ってる馬鹿な貴族の鼻っ柱を折るのって楽しいんだよねー!」
そういってファリス王子はケラケラと笑う。私は心の中でドン引きしているのだけど、顔に出さないように出来てるだろうか。
「それに、君は面白そうだからね。僕は面白い女性が好みなんだ。あぁ、面白いっていうのは笑えるってことじゃないよ?」
「わかっています。ですが、私は王子にエスコートされるような見た目ではありませんよ」
王子はおかしな人だけど、顔は凄まじく整っている。黙っていれば寄ってくる女性は後を絶たないだろう。黙っていれば、だけど。
「そんなことはない。君は素材がいい、きちんとしたドレスコードと化粧をすれば立派な美しさを持つ令嬢になるだろう。安心して僕にエスコートされればいいのさ」
そういって王子は私の頬を軽くなでる。この顔でそんなことをされると、いくらその気がなくても照れてしまう。
「さぁ、喜劇を始めよう。主人公は君、お相手は侯爵家だ。存分に君の思いをぶつけてごらん」
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