御伽の国の聖女様! 婚約破棄するというので、聖女の力で結界を吸収してやりました。精々頑張ってください、私はもふもふと暮らします

地鶏

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三章 龍の花嫁

82 不穏

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side???

「おい、クソ龍! お前はまた勝手に暴れて! 後始末をする俺の身になれよな!」
「ふん、うるさいぞ人間が。勇者だろうとなんだろうと、たかたが人間如きがびゃーびゃーわめくな」
「ああ、そうか。3枚に下ろされたいんだなてめぇは!」

 ノアの国から遠く遠く離れた場所。

 小さな小国家が徒党を組んでひとつの勢力圏を確立する連合国家、その中心地となっている大森林で一匹の龍と一人の男、そして何人かの女が共に暮らしていた。

「今日も元気ねー」
「毎日毎日、疲れないんですかね?」
「さぁ、馬鹿の考えることはわからないわよ。それより、次の計画を考えるわよ」
「この前みたいな暗殺の依頼だと儲かるんですけどねー。今回は何でしたっけ? 誘拐でしたっけ?」

 女たちはそろって依頼書を覗き込む。そして、誘拐対象となっている人物の名前を見て、驚きの表情を浮かべた。

「……王国、第三王女アナスタシア」
「まさかですねー。運命というやつですかー?」
「そんなもの、あるわけないでしょ。たまたまよ、たまたま。だけどまぁ、やる気は出るわね。おーい、勇者様ー! 龍様ー! 依頼が来たわよ!」

 呼んだところで2人が喧嘩を辞めるはずもなく、女たちの一斉攻撃によって強制的に喧嘩は中断される。

「依頼が来たわ」
「……別に攻撃しなくたっていいだろ。初めてあった時はあんなに優しかったのに」
「過去は過去よ。聖女に投げ飛ばされて見知らぬ地でサバイバルしなければ優しいままでいられたわ。あんただって、最初は正義感に溢れてたのに、いまじゃすっかりやさぐれてるじゃない」
「……仕方ないだろ」

 男はいじけたように俯き、何かを考え込む仕草を見せる。

 女もまた、考えてる内容に検討がついているのか、黙って話を戻した。

「……まぁいいわ、仕事の話をしましょう。今回の依頼は王国の第三王女、アナスタシアの誘拐よ」



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



sideマーガレット

「マーガレット様、珍しいお手紙が来てますよ」
「それは珍しい内容の縁談ということですか?」

 もう縁談に関しての手紙は見飽きたんですけど。1度断ってもありとあらゆる内容で何度も挑戦してくる家とかありますからね……兄がダメなら弟を、それでもダメならまだ赤ちゃんの孫を! とかざらにあります。

「いや、王国の王女からですよ」
「……本当に珍しい手紙ですね。第三王女、アナスタシア様ですか」

 あまり表に出ない方です。ただ、王国の王女は、王や王子と違って働き者ですから、信頼出来る方なのは間違いありません。

 面識はなかったと思いますが……何用でしょう?

「えーなになに。初めましてなのじゃ。私は王国第三王女アナスタシアなの……じゃ……」

 ……信頼出来る方だと思うんですが、不安になってきました。

「単刀直入に言う、助けてなのじゃ!」

 なんか、また厄介事の予感ですね……。

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