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三章 龍の花嫁
80 スヤリスの挑戦
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珍しくお昼で仕事が終わり、家で休んでいると、騒々しく家の扉が叩かれました。
そして、返事をする間もなく大きな翼を広げたスヤリスが家に入ってきます。
「助けて欲しいのよ!」
「何事ですかスヤリス」
「ヤニムちゃんとの仲を取り持ってほしいの!」
そう来ましたか。舞踏会以来、あまり進展がなさそうなのはしっていましたが悩んでいたようですね。
わかりました、助けましょう。ただご飯食べ終わるまで待ってください。金髪の肉丼を再現した料理を作ってみたんですよ。
うーん、金髪の方が美味しいですね。私が作ったのも悪くはありませんが、なにか足りない気がします。
また挑戦しましょう。
「はい、ご馳走様でした。それでスヤリス、詳しい話を聞かせてください」
「最近、ヤニムが私に冷たいのよ。なんか、くっついてもすぐに引き剥がされるし、2人でご飯を食べることも少ないのよぉ……。嫌われたくないし、ヤニムの好きな物とか、趣味とかに合わせてるのよぉ? ほら、今日の服も落ち着いた格好にしてるし……」
スヤリスがしょぼんとしてます。よしよし、大丈夫ですよ。
「嫌われちゃったのかしら……私、どうしたらいいかわからないのよぉ……。」
んー、かなり深刻に悩んでますね。私に恋愛相談されてもって感じなんですけどね……ただ、話を聞いた感じだとヤニムがスヤリスを避けてる原因はなんとなくわかります。
スヤリスって、かなり派手な格好を好んでたんですよね。あと、喋り方や性格ももっと強気でした。
ヤニムのことを気に入ってるの最初からですが、最初と比べて随分と大人しくなったみたいです。ヤニムに本気だからこそ、自分を変えているのだと思います。
……それは凄いことです。けど多分、ヤニムはその変化に気づいてるんでしょう。
気付いた上で、ヤニムはスヤリスに変わって欲しくないと思ってるんじゃないですか?
とりあえずスヤリスに伝えてみましょう。
「たしかに……ヤニムに好かれるために色々と自分を変えようとしてるわ……だって、強気で無理矢理な私じゃきっとダメなんだもの」
「そんなこと、ないんじゃないですか? ヤニムが一度でもスヤリスに変われと言いましたか? 変わる前のスヤリスが嫌いだと言いましたか?」
「それは……言ってないわ……」
そうですよね。ヤニムはスヤリスの強気な姿勢に対して、口では嫌がってましたが周りから見ればなんだかんだでスヤリスを受け入れていましたから。
「きっと、ヤニムはスヤリスに変わって欲しくないんですよ」
「私に変わって欲しくない?」
多分ですけど、家の窓からこっちの様子を覗き見てるヤニムがいるということは、多分そういうことでしょう。
「あとは本人に聞いてみるといいですよ。ね? ヤニム」
「げっ、ばれてた?!」
「ヤニムちゃん?!」
逃げようとしたヤニムを魔法で捕まえて、家の中に強制転移です。もちろん、靴は脱がせておいてますよ。
「ヤニムちゃん、本当なの? 私に変わって欲しくないって」
「えーと、なんていうか……その、お前、変わろうとして無理してるだろ。好きなもん食べて、好きなように行動して、それでいいだろ。この国じゃそれが普通だし……」
たしかに、みんな好きなように生きてますね。
「それに、俺はお前に連れ回されたりするの、別に嫌いじゃないんだよ……」
ヤニムがすごく照れくさそうにしてますね。……なんか、二人の間にお花が浮かんでる気がします。
「ヤニムちゃん……」
「あー! もう、恥ずかしいな! だから、お前は変わらなくていいんだよ、それで解決!」
「……もう、最初からそう言ってくれればいいのに。ヤニムちゃんに避けられて、私悲しかったのよ?」
「恥ずかしくて言えないだろそんなこと……」
二人の世界に入ってますけど、ここ私の家なんですよね。
ちょっと居づらいですね……。そう思ってると、スヤリスにがしっと手を掴まれました。
「本っ当にありがとう! このお礼は必ずするわ!」
「いえ、別に構いませんよ。ヤニムも、ちゃんと言葉にするのは大切なことですからね」
「そうですね……頑張りまーーうぉ?!」
「そうと決まればさっそくデートに行きましょうヤニム! したい事がたっくさんあったのよぉ!」
そして、元気になったスヤリスに腕を引かれてヤニム達は行ってしまいました。
あ、嵐のようでしたね……ただ、これこそスヤリスとヤニムって感じです。
二人の仲が上手くいって良かったです。誰か私の婚約問題もあっさり解決してくれないですかねー。
そして、返事をする間もなく大きな翼を広げたスヤリスが家に入ってきます。
「助けて欲しいのよ!」
「何事ですかスヤリス」
「ヤニムちゃんとの仲を取り持ってほしいの!」
そう来ましたか。舞踏会以来、あまり進展がなさそうなのはしっていましたが悩んでいたようですね。
わかりました、助けましょう。ただご飯食べ終わるまで待ってください。金髪の肉丼を再現した料理を作ってみたんですよ。
うーん、金髪の方が美味しいですね。私が作ったのも悪くはありませんが、なにか足りない気がします。
また挑戦しましょう。
「はい、ご馳走様でした。それでスヤリス、詳しい話を聞かせてください」
「最近、ヤニムが私に冷たいのよ。なんか、くっついてもすぐに引き剥がされるし、2人でご飯を食べることも少ないのよぉ……。嫌われたくないし、ヤニムの好きな物とか、趣味とかに合わせてるのよぉ? ほら、今日の服も落ち着いた格好にしてるし……」
スヤリスがしょぼんとしてます。よしよし、大丈夫ですよ。
「嫌われちゃったのかしら……私、どうしたらいいかわからないのよぉ……。」
んー、かなり深刻に悩んでますね。私に恋愛相談されてもって感じなんですけどね……ただ、話を聞いた感じだとヤニムがスヤリスを避けてる原因はなんとなくわかります。
スヤリスって、かなり派手な格好を好んでたんですよね。あと、喋り方や性格ももっと強気でした。
ヤニムのことを気に入ってるの最初からですが、最初と比べて随分と大人しくなったみたいです。ヤニムに本気だからこそ、自分を変えているのだと思います。
……それは凄いことです。けど多分、ヤニムはその変化に気づいてるんでしょう。
気付いた上で、ヤニムはスヤリスに変わって欲しくないと思ってるんじゃないですか?
とりあえずスヤリスに伝えてみましょう。
「たしかに……ヤニムに好かれるために色々と自分を変えようとしてるわ……だって、強気で無理矢理な私じゃきっとダメなんだもの」
「そんなこと、ないんじゃないですか? ヤニムが一度でもスヤリスに変われと言いましたか? 変わる前のスヤリスが嫌いだと言いましたか?」
「それは……言ってないわ……」
そうですよね。ヤニムはスヤリスの強気な姿勢に対して、口では嫌がってましたが周りから見ればなんだかんだでスヤリスを受け入れていましたから。
「きっと、ヤニムはスヤリスに変わって欲しくないんですよ」
「私に変わって欲しくない?」
多分ですけど、家の窓からこっちの様子を覗き見てるヤニムがいるということは、多分そういうことでしょう。
「あとは本人に聞いてみるといいですよ。ね? ヤニム」
「げっ、ばれてた?!」
「ヤニムちゃん?!」
逃げようとしたヤニムを魔法で捕まえて、家の中に強制転移です。もちろん、靴は脱がせておいてますよ。
「ヤニムちゃん、本当なの? 私に変わって欲しくないって」
「えーと、なんていうか……その、お前、変わろうとして無理してるだろ。好きなもん食べて、好きなように行動して、それでいいだろ。この国じゃそれが普通だし……」
たしかに、みんな好きなように生きてますね。
「それに、俺はお前に連れ回されたりするの、別に嫌いじゃないんだよ……」
ヤニムがすごく照れくさそうにしてますね。……なんか、二人の間にお花が浮かんでる気がします。
「ヤニムちゃん……」
「あー! もう、恥ずかしいな! だから、お前は変わらなくていいんだよ、それで解決!」
「……もう、最初からそう言ってくれればいいのに。ヤニムちゃんに避けられて、私悲しかったのよ?」
「恥ずかしくて言えないだろそんなこと……」
二人の世界に入ってますけど、ここ私の家なんですよね。
ちょっと居づらいですね……。そう思ってると、スヤリスにがしっと手を掴まれました。
「本っ当にありがとう! このお礼は必ずするわ!」
「いえ、別に構いませんよ。ヤニムも、ちゃんと言葉にするのは大切なことですからね」
「そうですね……頑張りまーーうぉ?!」
「そうと決まればさっそくデートに行きましょうヤニム! したい事がたっくさんあったのよぉ!」
そして、元気になったスヤリスに腕を引かれてヤニム達は行ってしまいました。
あ、嵐のようでしたね……ただ、これこそスヤリスとヤニムって感じです。
二人の仲が上手くいって良かったです。誰か私の婚約問題もあっさり解決してくれないですかねー。
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