御伽の国の聖女様! 婚約破棄するというので、聖女の力で結界を吸収してやりました。精々頑張ってください、私はもふもふと暮らします

地鶏

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二章 御伽の国

58 おでむかえ

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 色々なところを手伝い、少しずつ武闘会の準備が進んでいきます。

 夏になり、暑さが増してきた頃、ようやく武闘会前日になりました。

 もちろん、メインは武闘会の後にある独立宣言です。

 ……のんびり暮らすところを探していたのに、いつの間にか国になるんですねぇ。

「不思議なものですねぇ」
「不思議なものだな。マーガレットが女王だぞ? ちゃんと仕事をしなければ行けないな」
「なんなら、アーさんが国王になりますか? 私の仕事を全部代わりにやってもくれてもいいんですよ」
「悪魔が国王とは。前代未聞だな」

 アーさんと軽く笑い合います。ですが、仕事が控えてるのは嫌な気持ちになりますね……。

 1週間のうち、仕事をするのは2日間だけとかにならないでしょうか。

「シルフィが言っていたが、王に休みはないらしいぞ?」
「休みは作りますよ。女王特権です」
「くはは、そうだな。女王ならばそれもできるが……さっそく仕事のようだぞ?」

 アーさんが指をさすほうには、人間の団体がいます。

 鎧に身を包んだ兵士に、囲まれる2人の人物。1人は顔をよく知っていますよ。

「久しぶりですね、王」
「む……聖女か?」

 今日の私は、綺麗なドレスを着て化粧もしているので、王は気づかなかったみたいです。

 もう、失礼ですね。この格好で村を歩くと可愛いの嵐なんですよ。

「……この度は、招待してくれたことに礼を言いたい。招待がなければ、王国は他国から低い評価を貰っていただろう」

 低い評価……あ、ルールーがそんなことを言っていた気がします。

 この村の力を示した上で、王国を招待しないということは、この村と王国の仲が悪いことを示すことになるみたいです。

 そうなると、他国も王国との距離を置くかもしれないとかなんとか……政治的な話なので、よくわかりませんね。

 わかりませんが、とりあえず国王が頭を下げてるのは気持ちがいいので、ここは素直に礼を受けましょう!

「どういたしまして」
「……私からも、感謝を。そして……あなたにした仕打ちへの謝罪を、どうか受け取ってください」

 この人は、国王の奥さん。王妃様ですね。

 王国では、女性が政治に関わることは出来ないので、あまり表には立ちませんが、すごくいい人だという噂は聞いたことがあります。

「馬鹿な夫と、馬鹿な息子のしでかしたこと。止められなかった私にも大きな責任があります」
「いえ……あなたは悪くありませんよ」
「……お優しい方ですのね。マーガレットさん」
 
 褒められちゃいました。素直に喜びたいところですが、一応外交の場なので表情をキリッとさせておきましょう。

「ノアの村として、歓迎しますよ。過去のことを忘れるとは言いませんが、気に病むことはないです。どうか、この村を楽しんでください」
「……歓迎に、感謝を」
「はい。じゃあ、あとはお願いしますねアーさん、アラエル」

 王国の人達は、アーさんとアラエル担当です。

 理由はふたつあって、1つは暴れた時のため、もうひとつは他種族を知って欲しいというところですね。

 私は、どんどん来客を出迎えていきます。

 次に来たのは帝国の人達ですね。ドワーフ達と、シルフィ、ナオキと出迎えます。

 帝国の人たちはよくわからない魔法具に乗ってきました。

「すごい乗り物ですね」
「車、という乗り物だ。帝国内で研究されていたが……完成していたのだな」

 ドワーフ達も知らなかったんですか。車……不思議ですねぇ。魔力をほとんど使ってないのに、動いてます。

 あれ? ナオキが難しい表情をしています。

「ナオキ、どうかしましたか?」
「え? いや、なんでもないです」

 なにか気になることがあったんでしょうか。後で聞いてみましょう。

「……おお、ドワーフ達よ。元気にやっているか?」
「はっ。宰相閣下」

 宰相、ですか。代表者が来るとは聞いていましたが、かなり大物が来ましたね。

「あなたが、マーガレット殿か?」
「はい。この村の代表をしています、マーガレットです」
「凄まじい強者だと聞いていたが……こんなに可憐な女性だとは」

 またまた褒められました。表情が緩むのを抑えましょう。

「招待、感謝する」
「いえ、こちらとしても来て下さりありがとうございます」

 宰相さんは、さっぱりとした性格ですね。

 対応はドワーフ、ルールーにお願いします。

 最後に来たのは、神聖国です。ここがいちばん不安ですね……。

 他種族に対して排他的と聞いています。悪魔たち、堕天使のソロネとスヤリスを護衛に出迎えます。

 神聖国の人たちは、空飛ぶ大きな船でやって来ました。凄いです。

 あんな大きなものが空を飛ぶとは……。乗ってみたいものですね。

 降りてきたのは、たった2人です。1人は全身鎧を来ていて顔も見えません。もう1人は、つまらなそうに辺りを見渡しています。

「……おお、本当に他種族と共存しているのですね!」
「……神聖国の方ですね。私はこの村の代表をしているマーガレットです」
「おお、素敵な女性だ。あなたは……人か?」

 え? どこをどうみても人でしょう。

「あぁ! すまない。色々な種族がいるもので、わからなくなってしまったよ」
「……そうですか」
「うーん、にしても、他種族がいるというのに匂いもないのだね。見た目も普通の村だし。面白い」

 いや、すごい感じが悪いですねこの人。他種族に対して排他的な考えが染み付いてる感じです。

「セレモニーは武闘会の後に行われます。それまでは、指定の場所で寝泊まりしてください」
「武闘会? ……ふむ。ならば、ひとつ頼みがあるのだが?」
「なんですか?」
「我が国の聖騎士、ホープを出場させてもらえないだろうか」

 となりにいる鎧の人が反応しました。この人がホープですか。

「……構いませんが、危険もありますよ?」
「ははは、危険? あるわけないだろう。我が国の聖騎士が、こんなところで負けを味わうなんてことはありえない!」

 失礼すぎません? このまま眠らせて追い返してしまいましょうか。

 いえ、それだと独立が……。むむむ、ここは受け入れましょうか。

「では、参加者に加えておきます。夜にはトーナメント表が出るでしょう」

 それだけ伝えて、あとは寝泊まりする場所へと無理矢理案内します。

 神聖国の排他的な考えはかなり強いみたいですね。気をつけなければなりません。

 常に監視を置いて、子供が近づくようなことはないようにしましょうか。

 そんなこんなで、最後のお客さんです。

「この度は、どうも。マーガレットさん」
「お招き、ありがとう」

 ラムさんと魔王さんです。

 2人もは何度もあってるので、気が落ち着きますね。

「素敵な服ですね、似合ってますよマーガレットさん」
「ありがとうございます。ラムさん」
「魔王様も、ほら」
「う、うむ。素敵だ、マーガレットさん」
「ふふふ、ありがとうございます」

 今日はよく褒められますが、知っている人に褒められるのは少し照れますね。

 何はともあれ、お客さんの出迎えは終わりました。

 このまま何も問題がおきずに、セレモニーが終わるといいのですが……始まる前から心配するのも良くないですね。


 
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