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第1章 復讐の始まり
第10話 グレートマンムート
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□アルムスフィア聖王国 レイメイの丘:《勇者》光ヶ崎秀一
馬車に揺られて半日程で俺達はライオネル獣国と国境にあるレイメイの丘に到着した。馬車の中では馬車の衝撃が直に体にくるので未だにお尻が痛かった。俺は馬車から降りると周囲を見回す。レイメイの丘の上には1本の大樹がそびえ立っている。その他は至って普通の街道があるだけだ。
「グレートマンムートはどこにいるんだ?」
「おかしいな。国境沿いであれば見えてもおかしくないのだが......」
俺が不思議そう顔で首をかしげながらそう言うと、アルデラさんは不可解そうに呟いた。
「なんだよ。敵いないのかよ。いたらこの俺がぶっ飛ばしてやったのに」
「王様が聖騎士団の方々でも厳しいって言ってるんですから1人では無理ですよ」
調子に乗っている翔吾を昴がムッとした表情で指摘する。
「暇だし歌って時間を潰していようかな」
「おっ! マジか! 頼む。敵来ないでくれ!」
「さっきと言ってること全然違うぞ!」
陽菜の歌が聴けると聞いて翔吾が飛びつく。あまりの変わり身の早さに呆れ顔で俺は翔吾にツッコむ。陽菜が歌おうと口を開きかけた瞬間、空が薄暗くなる。俺達が上を見上げると空は何かに覆われて日の光が遮られていた。
「ブモォォォォォォ!!」
俺達はそれが何なのか気がついた瞬間に驚愕する。とてつもない大きさの象のような生き物が翼を生やして、俺達の真上を飛んでいるのだ。
「あ、あれがグレートマンムート......なのか?」
俺はあまりに驚きすぎて大きく目を見開く。そしてグレートマンムートはゆっくりとレイメイの丘に降り立った。その体は大樹よりも大きく、体におかしな模様が存在している。
「なぜ、何故グレートマンムートが空を飛んでいるのだ。それにあの模様。パンデモニウム魔王国の仕業か! 気をつけろ! こいつはただのグレートマンムートじゃない。魔族によって魔族化されたグレートマンムートだ!」
そのグレートマンムートはとてつもなく黒いオーラを纏い始めた。
「あのオーラは危険だ。放出される前に倒すぞ!」
アルデラさんの言葉と共に俺達は飛び出した。陽菜が歌で俺達を強化してくれているため俺達に力が漲ってくる。翔吾が闘気で龍を作りだしてグレートマンムートを抑えつけながら闘気を纏った拳を打ち込んだ。だが、グレートマンムートはびくともせず、黒いオーラを溜め始めた。
「うぉぉぉぉぉぉ! くらえ!」
俺は魔力を注いで眩しいくらいの輝きを帯びた聖剣を力強く一気に振り下ろす。グレートマンムートが苦しそうに暴れる。聖剣の強力な一撃はグレートマンムートにかなりのダメージを与えることができたようだ。
「よし、これならいけるぞ! みんなで一斉に攻撃だ!」
アルデラさんの言葉に俺達は頷いてもう一度グレートマンムートに飛び込む。昴は魔法で炎を打ち出して援護してくれている。俺は翔吾と共に飛び込んだ。
俺達が攻撃しようとしたその時グレートマンムートは思い切り空高く飛びあがる。さすが俺の聖剣でも空までは攻撃できない。しかし、そこを昴が魔法でグレートマンムートに攻撃することでカバーしている。更に聖騎士団も魔法で攻撃しているのでこれなら勝てるかもしれないと思い始めた。
そのときだった。グレートマンムートが纏っていた黒いオーラの大きくして自ら落下し始めたのだ。俺はそれなりに距離があったため回避することができた。しかし、グレートマンムートのほぼ真下にいた聖騎士団やアルデラさんは巻き込まれてしまったようだ。
「アルデラさーん!!」
俺達は必死でアルデラさんを呼んだが、アルデラさんの応答は無かった。つまり、あのグレートマンムートが押し潰されて聖騎士団やアルデラさんは死んだということだ。
「もう嫌なのです! 私の能力で!」
「それはダメだ! 薫子ちゃんの能力は考える頭のない獣相手では効果が薄すぎる」
薫子ちゃんが見ていられなくなったのか能力を使用しようとしたので、俺は薫子ちゃんの肩を掴んでそれを止める。
「クソ! よくもアルデラさんを!」
薫子ちゃんを止めている間に、翔吾が怒りに任せて闘気で虎を作り出し飛び込んでいく。
「やめろ翔吾! 今すぐ戻れ!」
しかし、翔吾は俺の言葉に耳を傾けず大量の闘気を纏わせた拳で、おそらく全力であろう一撃をグレートマンムートに叩き込んだ。翔吾の放った一撃によって発生した衝撃がこちらにも伝わってくる。これは相当なダメージを与えられたはずだ。この場に誰もがそう思っていた。
だが、グレートマンムートは何事もなかったように翔吾のほうを向き、その鼻から伸びる太く大きい角で翔吾を宙へと放り投げる。グレートマンムートはその脚で地面を蹴り大樹へ向けて、思い切り突進を始める。しかも、宙に放り投げられている翔吾を巻き込みながらである。
「やめろぉぉぉぉ!」
俺は発射された弾丸の如くグレートマンムートへ向けて飛び出した。
馬車に揺られて半日程で俺達はライオネル獣国と国境にあるレイメイの丘に到着した。馬車の中では馬車の衝撃が直に体にくるので未だにお尻が痛かった。俺は馬車から降りると周囲を見回す。レイメイの丘の上には1本の大樹がそびえ立っている。その他は至って普通の街道があるだけだ。
「グレートマンムートはどこにいるんだ?」
「おかしいな。国境沿いであれば見えてもおかしくないのだが......」
俺が不思議そう顔で首をかしげながらそう言うと、アルデラさんは不可解そうに呟いた。
「なんだよ。敵いないのかよ。いたらこの俺がぶっ飛ばしてやったのに」
「王様が聖騎士団の方々でも厳しいって言ってるんですから1人では無理ですよ」
調子に乗っている翔吾を昴がムッとした表情で指摘する。
「暇だし歌って時間を潰していようかな」
「おっ! マジか! 頼む。敵来ないでくれ!」
「さっきと言ってること全然違うぞ!」
陽菜の歌が聴けると聞いて翔吾が飛びつく。あまりの変わり身の早さに呆れ顔で俺は翔吾にツッコむ。陽菜が歌おうと口を開きかけた瞬間、空が薄暗くなる。俺達が上を見上げると空は何かに覆われて日の光が遮られていた。
「ブモォォォォォォ!!」
俺達はそれが何なのか気がついた瞬間に驚愕する。とてつもない大きさの象のような生き物が翼を生やして、俺達の真上を飛んでいるのだ。
「あ、あれがグレートマンムート......なのか?」
俺はあまりに驚きすぎて大きく目を見開く。そしてグレートマンムートはゆっくりとレイメイの丘に降り立った。その体は大樹よりも大きく、体におかしな模様が存在している。
「なぜ、何故グレートマンムートが空を飛んでいるのだ。それにあの模様。パンデモニウム魔王国の仕業か! 気をつけろ! こいつはただのグレートマンムートじゃない。魔族によって魔族化されたグレートマンムートだ!」
そのグレートマンムートはとてつもなく黒いオーラを纏い始めた。
「あのオーラは危険だ。放出される前に倒すぞ!」
アルデラさんの言葉と共に俺達は飛び出した。陽菜が歌で俺達を強化してくれているため俺達に力が漲ってくる。翔吾が闘気で龍を作りだしてグレートマンムートを抑えつけながら闘気を纏った拳を打ち込んだ。だが、グレートマンムートはびくともせず、黒いオーラを溜め始めた。
「うぉぉぉぉぉぉ! くらえ!」
俺は魔力を注いで眩しいくらいの輝きを帯びた聖剣を力強く一気に振り下ろす。グレートマンムートが苦しそうに暴れる。聖剣の強力な一撃はグレートマンムートにかなりのダメージを与えることができたようだ。
「よし、これならいけるぞ! みんなで一斉に攻撃だ!」
アルデラさんの言葉に俺達は頷いてもう一度グレートマンムートに飛び込む。昴は魔法で炎を打ち出して援護してくれている。俺は翔吾と共に飛び込んだ。
俺達が攻撃しようとしたその時グレートマンムートは思い切り空高く飛びあがる。さすが俺の聖剣でも空までは攻撃できない。しかし、そこを昴が魔法でグレートマンムートに攻撃することでカバーしている。更に聖騎士団も魔法で攻撃しているのでこれなら勝てるかもしれないと思い始めた。
そのときだった。グレートマンムートが纏っていた黒いオーラの大きくして自ら落下し始めたのだ。俺はそれなりに距離があったため回避することができた。しかし、グレートマンムートのほぼ真下にいた聖騎士団やアルデラさんは巻き込まれてしまったようだ。
「アルデラさーん!!」
俺達は必死でアルデラさんを呼んだが、アルデラさんの応答は無かった。つまり、あのグレートマンムートが押し潰されて聖騎士団やアルデラさんは死んだということだ。
「もう嫌なのです! 私の能力で!」
「それはダメだ! 薫子ちゃんの能力は考える頭のない獣相手では効果が薄すぎる」
薫子ちゃんが見ていられなくなったのか能力を使用しようとしたので、俺は薫子ちゃんの肩を掴んでそれを止める。
「クソ! よくもアルデラさんを!」
薫子ちゃんを止めている間に、翔吾が怒りに任せて闘気で虎を作り出し飛び込んでいく。
「やめろ翔吾! 今すぐ戻れ!」
しかし、翔吾は俺の言葉に耳を傾けず大量の闘気を纏わせた拳で、おそらく全力であろう一撃をグレートマンムートに叩き込んだ。翔吾の放った一撃によって発生した衝撃がこちらにも伝わってくる。これは相当なダメージを与えられたはずだ。この場に誰もがそう思っていた。
だが、グレートマンムートは何事もなかったように翔吾のほうを向き、その鼻から伸びる太く大きい角で翔吾を宙へと放り投げる。グレートマンムートはその脚で地面を蹴り大樹へ向けて、思い切り突進を始める。しかも、宙に放り投げられている翔吾を巻き込みながらである。
「やめろぉぉぉぉ!」
俺は発射された弾丸の如くグレートマンムートへ向けて飛び出した。
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