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第1章 復讐の始まり
第9話 国境の獣
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□アルムスフィア聖王国 ウォーデン城:《勇者》光ヶ崎秀一
「それでは訓練に出発する!」
俺達は今日もいつもと同じくアルデラさんの合図の後、迷宮へ向かうための準備をしていた。毎日迷宮で実践訓練をしてきた結果俺達はそれぞれの職業の固有能力を使いこなせるようになった。しかもそれだけでなく、戦闘技術もかなり向上したと思う。今では迷宮の中層の魔物とも渡り合える程である。俺達が城から出ようとしていたとき、城の中から聖騎士が必死な顔でぜえぜえと息を切らしながらこちらへ走って来た。
「勇者様、アルデラ団長! 陛下が至急玉座の間へ来るようにとのお達しです」
「わかった。とりあえず秀一達も玉座の間へ向かうぞ」
「わかりました」
俺はアルフレッド3世陛下からの急ぎの用とは何なのだろうかと疑問に思いながら、みんなと玉座の間へと向かった。
◇
俺達が玉座の間へと入るとその最奥の玉座でアルフレッド3世陛下は眉間にしわを寄せながら困ったような顔で側で控えているラウムと何かを話していた。ラウムの顔もどこか深刻そうだ。アルフレッド3世は入ってきた俺達に気が付くと先程の表情と打って変わり頬を緩ませて笑顔で俺達を迎える。
「おお。よく来てくれた。急に呼び出してすまなかったな」
「陛下、用件とは?」
アルデラさんは素早く本題に入ろうとする。
「ああ。実は隣国のライオネル獣国に生息しているグレートマンムートが群れからはぐれ、我が国との国境付近をうろついておるのだ。そしてライオネル獣国からそのグレートマンムートの討伐を依頼されてしまってな。グレートマンムートは巨体でそれなりに力も強い獣であることから聖騎士団ではなく勇者である貴様らに頼みたい」
王様からの命令って断る選択肢最初から存在しないでしょと思いながら俺は呆れた表情を浮かべたまま他のみんなを見る。他のみんなもそれを理解しているのか苦笑いを浮かべながら頷く。
「わかりました。俺達が行きます」
「そうか! 行ってくれるか! 感謝するぞ。アルデラ彼らと一緒に行ってもらいたい」
「はっ! 承知いたしました」
その後俺達は各々アルフレッド3世陛下に礼をして玉座の間を去った。そして訓練所で訓練に行くために整えておいた武器などの荷物を持つ。それなりに強い相手と戦うということを思い出し俺は表情を引き締めて自分の聖剣を握る手に力を籠める。
「グレートマンムートは確かに手強くはあるが、今の君達であればそれほど苦労せずとも倒せるはずだ。我々も同行するが我々の実力ではおそらく何の役にも立てない。すまないな」
「そんなことないです! 凄くありがたいです」
アルデラさんに申し訳なさそうに頭を下げられたため俺は慌てておろおろしながら言った。
そして俺達はグレートマンムートを討伐するために馬車に乗り、隣国であるライオネル獣国の国境にあるレイメイの丘へと出発した。
「何でだかわからないがとてつもなく嫌な予感がする」
それはあくまで直感的なものではあったが俺は確かな確信が持って呟いた。
「それでは訓練に出発する!」
俺達は今日もいつもと同じくアルデラさんの合図の後、迷宮へ向かうための準備をしていた。毎日迷宮で実践訓練をしてきた結果俺達はそれぞれの職業の固有能力を使いこなせるようになった。しかもそれだけでなく、戦闘技術もかなり向上したと思う。今では迷宮の中層の魔物とも渡り合える程である。俺達が城から出ようとしていたとき、城の中から聖騎士が必死な顔でぜえぜえと息を切らしながらこちらへ走って来た。
「勇者様、アルデラ団長! 陛下が至急玉座の間へ来るようにとのお達しです」
「わかった。とりあえず秀一達も玉座の間へ向かうぞ」
「わかりました」
俺はアルフレッド3世陛下からの急ぎの用とは何なのだろうかと疑問に思いながら、みんなと玉座の間へと向かった。
◇
俺達が玉座の間へと入るとその最奥の玉座でアルフレッド3世陛下は眉間にしわを寄せながら困ったような顔で側で控えているラウムと何かを話していた。ラウムの顔もどこか深刻そうだ。アルフレッド3世は入ってきた俺達に気が付くと先程の表情と打って変わり頬を緩ませて笑顔で俺達を迎える。
「おお。よく来てくれた。急に呼び出してすまなかったな」
「陛下、用件とは?」
アルデラさんは素早く本題に入ろうとする。
「ああ。実は隣国のライオネル獣国に生息しているグレートマンムートが群れからはぐれ、我が国との国境付近をうろついておるのだ。そしてライオネル獣国からそのグレートマンムートの討伐を依頼されてしまってな。グレートマンムートは巨体でそれなりに力も強い獣であることから聖騎士団ではなく勇者である貴様らに頼みたい」
王様からの命令って断る選択肢最初から存在しないでしょと思いながら俺は呆れた表情を浮かべたまま他のみんなを見る。他のみんなもそれを理解しているのか苦笑いを浮かべながら頷く。
「わかりました。俺達が行きます」
「そうか! 行ってくれるか! 感謝するぞ。アルデラ彼らと一緒に行ってもらいたい」
「はっ! 承知いたしました」
その後俺達は各々アルフレッド3世陛下に礼をして玉座の間を去った。そして訓練所で訓練に行くために整えておいた武器などの荷物を持つ。それなりに強い相手と戦うということを思い出し俺は表情を引き締めて自分の聖剣を握る手に力を籠める。
「グレートマンムートは確かに手強くはあるが、今の君達であればそれほど苦労せずとも倒せるはずだ。我々も同行するが我々の実力ではおそらく何の役にも立てない。すまないな」
「そんなことないです! 凄くありがたいです」
アルデラさんに申し訳なさそうに頭を下げられたため俺は慌てておろおろしながら言った。
そして俺達はグレートマンムートを討伐するために馬車に乗り、隣国であるライオネル獣国の国境にあるレイメイの丘へと出発した。
「何でだかわからないがとてつもなく嫌な予感がする」
それはあくまで直感的なものではあったが俺は確かな確信が持って呟いた。
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