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第1章 復讐の始まり
第8話 死霊魔術
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□アルムスフィア聖王国 ウォーデン城:《死霊魔術師》一ノ宮和樹
朝起きると早速俺は昨日のことを思い出し頭痛に苛まれてしまう。頭を押さえながらベッドから起き上がると机の上に朝食としてパンとスープ、それと一緒に1枚の白い便箋が置かれていた。俺は中を開き入っていた1通の手紙を読む。
『和樹様おはようございます。昨夜は素晴らしい夜でしたわね。私は興奮して夜も眠れませんでしたわ。今晩も楽しみにしてますわね。あなたをお慕いしているティファニーより』
「ふざけるな! 何がお慕いしているだ! 俺をあんな目にあわせておいて!」
手紙を読み終えた俺は全身を震わせて湧き上がる怒りを思い切り吐き出す。
しばらく怒りを吐き出し続けた俺は一度深呼吸をして気持ちを落ち着けた。そして目の前にある食事に目をやる。
「これ毒とか入ってないだろうな......」
だが昨日の夜に食べた物は全て吐き出してしまっているため、俺は空腹で何か食べないと辛かったためティファニーが用意した食事に手を付ける。
結論から言うと毒なんて微塵も入っていなかった。それどころかとても美味しかった。おそらく夜のあの時間以外はティファニーは手を出さずに俺が約束さえ守れば自由行動を許すということだろうかと推測する。だが俺はもう昨夜みたいなことを毎日繰り返すのは堪らなく嫌だ。しかし仮にこの城を出たところで俺には金も知識も圧倒的に足りない。
「くそ!」
俺はどうにもならない現実に向けて呟いた。
結局俺は必要な知識を身に付けるためにあの地獄を耐え抜く選択を取ることにした。そもそも俺がこの城から出てもみんなとは合流できないのでは意味がないのだ。仕方ないと思いながら俺は今日も書庫にて本を読んで知識を身に付ける。
俺が本を読んでいる中でふとあるページの内容が俺の興味を惹いた。それは王家の秘宝に関するページなのだが王家の秘宝のなかに『時の柩』という道具が置かれているらしい。
この『時の柩』というのは古の時代に存在した偉大な力を持った《死霊魔術師》が作り出したとされる解析不明物である。《死霊魔術師》専用の解析不明物で道具や死体を格納したり死体を修復したりすることができるらしい。
「これは俺にピッタリだな。脱出する前に必ず手に入れておきたい」
だがさすがに城の宝物庫というだけあって警備は頑丈だろうからなと俺は頭を悩ませる。なので一旦『時の柩』についてはおいておくことに頭の隅においておくことにした。
「さてそろそろ《死霊魔術師》の力はどれくらいのものなのか試してみるか」
そう言って俺は城の中庭に出る。中庭には聖騎士が数人いたが昼寝をしていたため、気づかれないようにして中庭を放浪していた猫を捕まえて首を絞める。
「悪いな。しっかり生き返らせてやるから」
最初はゴロゴロと苦しそうに泣きながら暴れていたがやがて急に電池が切れたおもちゃのように動かなくなった。
俺は動かなくなった、つまり死んだ猫の死体に向けて手をかざして《死霊魔術師》の神への冒涜ともいえるその能力を行使する。
「死霊魔術!」
すると先程まで死んでピクリとも動かなかった猫が何事もなかったかのように立ち上がった。
「よし。それじゃあこの中庭を一周して来い!」
俺が生き返った猫にそう命じると俺の命令を理解したのか猫はゆっくりと歩きだし、やがて中庭を1周すると俺のもとへと帰ってきた。どうやらしっかりと俺の命令を聞くらしい。
それから俺は中庭の外れに移動した。そこで書庫から持ち出した本をもとに魔法を発動しようと試す。
「あれ? これで発動するはずなんだけどな」
俺は試しにと思って子供でもできる簡単な魔法を発動させようとしたはずなのだがそれすら発動しなかった。軽くショックを受けつつも他の簡単な魔法も試してはみたが1つとして成功はしなかった。
「つまり俺がこの世界で戦いぬくための武器は死霊魔術だけしかないってことかよ。《死霊魔術師》だってのに魔法使えないって冗談にもならないぞ」
そして日が暮れてしまったため俺は城内に戻り、死にたくなる気持ちを抱えて俺はティファニーの部屋
へと向かい楽しくお喋りをしながら共に夕食を楽しむ。そして食後は昨日同様ティファニーが俺を甚振って楽しんでいた。
ティファニーはそれで楽しいのだろうが俺はまったく楽しくないし、むしろ死にたいと意識が朦朧とするなかで考えていた。
翌朝俺は気づけばティファニーが用意した俺の部屋のベッドで寝ていた。どうやら昨日は途中で気を失ったらしい。自分の体を確認してみたが、やはり回復魔法で治療してくれたようだ。
◇
それからも毎日書庫へ通って知識を学んでそれを試す。そして夜になったらティファニーの部屋で楽しく夕食を食べた後甚振られる生活を繰り返していた。何度も死にたいと思う程に辛かった。
しかしそんなある日とある報せが城内を騒がせる。それは俺の心を更にどん底へと突き落とすものだった。
朝起きると早速俺は昨日のことを思い出し頭痛に苛まれてしまう。頭を押さえながらベッドから起き上がると机の上に朝食としてパンとスープ、それと一緒に1枚の白い便箋が置かれていた。俺は中を開き入っていた1通の手紙を読む。
『和樹様おはようございます。昨夜は素晴らしい夜でしたわね。私は興奮して夜も眠れませんでしたわ。今晩も楽しみにしてますわね。あなたをお慕いしているティファニーより』
「ふざけるな! 何がお慕いしているだ! 俺をあんな目にあわせておいて!」
手紙を読み終えた俺は全身を震わせて湧き上がる怒りを思い切り吐き出す。
しばらく怒りを吐き出し続けた俺は一度深呼吸をして気持ちを落ち着けた。そして目の前にある食事に目をやる。
「これ毒とか入ってないだろうな......」
だが昨日の夜に食べた物は全て吐き出してしまっているため、俺は空腹で何か食べないと辛かったためティファニーが用意した食事に手を付ける。
結論から言うと毒なんて微塵も入っていなかった。それどころかとても美味しかった。おそらく夜のあの時間以外はティファニーは手を出さずに俺が約束さえ守れば自由行動を許すということだろうかと推測する。だが俺はもう昨夜みたいなことを毎日繰り返すのは堪らなく嫌だ。しかし仮にこの城を出たところで俺には金も知識も圧倒的に足りない。
「くそ!」
俺はどうにもならない現実に向けて呟いた。
結局俺は必要な知識を身に付けるためにあの地獄を耐え抜く選択を取ることにした。そもそも俺がこの城から出てもみんなとは合流できないのでは意味がないのだ。仕方ないと思いながら俺は今日も書庫にて本を読んで知識を身に付ける。
俺が本を読んでいる中でふとあるページの内容が俺の興味を惹いた。それは王家の秘宝に関するページなのだが王家の秘宝のなかに『時の柩』という道具が置かれているらしい。
この『時の柩』というのは古の時代に存在した偉大な力を持った《死霊魔術師》が作り出したとされる解析不明物である。《死霊魔術師》専用の解析不明物で道具や死体を格納したり死体を修復したりすることができるらしい。
「これは俺にピッタリだな。脱出する前に必ず手に入れておきたい」
だがさすがに城の宝物庫というだけあって警備は頑丈だろうからなと俺は頭を悩ませる。なので一旦『時の柩』についてはおいておくことに頭の隅においておくことにした。
「さてそろそろ《死霊魔術師》の力はどれくらいのものなのか試してみるか」
そう言って俺は城の中庭に出る。中庭には聖騎士が数人いたが昼寝をしていたため、気づかれないようにして中庭を放浪していた猫を捕まえて首を絞める。
「悪いな。しっかり生き返らせてやるから」
最初はゴロゴロと苦しそうに泣きながら暴れていたがやがて急に電池が切れたおもちゃのように動かなくなった。
俺は動かなくなった、つまり死んだ猫の死体に向けて手をかざして《死霊魔術師》の神への冒涜ともいえるその能力を行使する。
「死霊魔術!」
すると先程まで死んでピクリとも動かなかった猫が何事もなかったかのように立ち上がった。
「よし。それじゃあこの中庭を一周して来い!」
俺が生き返った猫にそう命じると俺の命令を理解したのか猫はゆっくりと歩きだし、やがて中庭を1周すると俺のもとへと帰ってきた。どうやらしっかりと俺の命令を聞くらしい。
それから俺は中庭の外れに移動した。そこで書庫から持ち出した本をもとに魔法を発動しようと試す。
「あれ? これで発動するはずなんだけどな」
俺は試しにと思って子供でもできる簡単な魔法を発動させようとしたはずなのだがそれすら発動しなかった。軽くショックを受けつつも他の簡単な魔法も試してはみたが1つとして成功はしなかった。
「つまり俺がこの世界で戦いぬくための武器は死霊魔術だけしかないってことかよ。《死霊魔術師》だってのに魔法使えないって冗談にもならないぞ」
そして日が暮れてしまったため俺は城内に戻り、死にたくなる気持ちを抱えて俺はティファニーの部屋
へと向かい楽しくお喋りをしながら共に夕食を楽しむ。そして食後は昨日同様ティファニーが俺を甚振って楽しんでいた。
ティファニーはそれで楽しいのだろうが俺はまったく楽しくないし、むしろ死にたいと意識が朦朧とするなかで考えていた。
翌朝俺は気づけばティファニーが用意した俺の部屋のベッドで寝ていた。どうやら昨日は途中で気を失ったらしい。自分の体を確認してみたが、やはり回復魔法で治療してくれたようだ。
◇
それからも毎日書庫へ通って知識を学んでそれを試す。そして夜になったらティファニーの部屋で楽しく夕食を食べた後甚振られる生活を繰り返していた。何度も死にたいと思う程に辛かった。
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