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第1章 復讐の始まり
第6話 反発と能力
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□アルムスフィア聖王国 ウォーデン城 訓練場:《勇者》光ヶ崎秀一
「この者は黒魔術の、更にその中でも禁忌とされる死霊魔術師である。よってこの者の身柄を拘束する!」
ラウムの命令によって和樹が今目の前で拘束されていた。和樹がその中でこちらに助けてほしいと訴える視線を向けているのにも関わらず俺は何故かその場から動くことができなかった。
どれだけ頑張っても指の1本すら動かすことができず俺はやるせない気持ちになる。俺は見たところ他のみんなもどうやら動けなくなっているようだ。そして俺達が動けないでいる間に和樹は連れていかれてしまった。
「1人減ってしまいましたが、それでは皆さま訓練の方頑張ってください」
しばらくして和樹が連れ去られた後、ラウムはこれまでにない程の不気味な笑顔を浮かべて言う。俺は和樹が捕まったことに対して納得できなかった。なんとか気を落ち着かせた秀一はラウムの前に出る。
「何故和樹が捕まらないといけないんですか? 今すぐ和樹を解放してください」
「解放することはできかねますな。何故なら彼の職業《死霊魔術師》というのは存在そのものが神への冒涜だからです。死者を蘇らせ、使役するなど人の道を外れてますからな。よって彼を拘束してその能力を行使させないようにするのが必要なのです」
俺はラウムの言葉を聞いて《死霊魔術師》とは危険な存在なのかもしれないと思った。それでも俺の知っている和樹は悪い事をするような奴ではないし、何よりも大切な友達である。
「それでもあいつは、和樹は俺達の大切な友達なんです! あいつのことは俺達で面倒を見るのでどうか解放してくれませんか? お願いします!」
俺は今までほとんどすることのなかった頭を下げるという行為を必死で行った。他のみんなは俺の行動に若干驚きの表情を浮かべつつも一緒に頭を下げてくれた。
「しかしですな。あなた方は先程彼が拘束されたとき何もしてあげようとしてなかったではないですか。それがあなた方の関係の脆弱さを物語っているのではないですかな」
ラウムはそう言い捨てると去って行った。俺は頭を下げたままあまりに的を射た正論を言われたことがあまりにも悔しくて唇を血が出る程に噛みしめる。そして頭を上げて振り返ると他のみんなも沈痛な表情で下を向いていた。こういうときは自分がみんなを励まさないといけないと思い、無理矢理悔しさや悲しさを頭の隅に追いやる。
「みんな顔を上げろって。俺達が強くなって魔族を倒して元の世界へ帰ることができるようになれば和樹も連れて帰ることだってできるさ! あいつもきっと頑張ってるはずだから負けないように俺達もやるべきことを頑張ろうぜ!」
しばらく俺達の間に沈黙が訪れる。だがその沈黙を最初に破ったのは翔吾だった。
「そうだな。よしやるか! 俺達もできることやらないと帰れないからな!」
「そうね。魔族さえ倒せばまたきっと和樹君に会えるよね」
「そうですね。まだ始まったばかりです。諦めてはいられませんよ」
「先生は先生として責任をもって皆さんをお家に送り届けなければいけないのですよ!」
秀一の言葉によってみんなに活力が戻ってくる。
「アルデラさん、俺達は何をすればいいですか?」
「君達には聖都郊外にある迷宮に潜ってもらい、そこで魔物と実際に戦って経験を積んでもらう。迷宮へは監督役として私と聖騎士数人も同行する」
「「はい!」」
「それではついてきてくれ。君達に必要な装備を支給しよう」
俺達がアルデラの後を追って訓練場の奥にある建物に入るとそこにはたくさんの装備がおかれていた。
「この中から好きな装備を選んで身に着けてくれ」
そう言われてみんなは部屋の中の装備を1つ1つ見ていった。
「秀一、君は《勇者》の固有能力で聖剣と専用の鎧を召喚できるはずだ。やってみてくれ」
俺が装備を見ようとしたときアルデラがそう言うとみんなの手が止まり視線が俺に集中する。職業別の固有能力なんてものもあるんだなと思いつつ俺は鎧と剣よ来いと念じてみる。
すると一瞬の間に俺の体にぴったりのサイズの紋章がはいった白銀の鎧が召喚され、黄金の剣が俺の手に握られていた。何故かはわからないが鎧と剣を身に着けただけのはずなのに俺の体に力が漲ってくるのがわかった。
「すっげー! めっちゃかっこいいなそれ! アルデラさん、俺にも秀一みたいな能力はあるのか?」
「1人1人にそれぞれの職業に合わせた固有の能力が備わっている。例えば翔吾の《武道家》ならば闘気を自在に操れるはずだ」
「なんかすごそうだな! 早速やってみるぜ」
翔吾はそう言ってしばらくすると体から目に見える程のオーラのようなものを纏い始めた。
「よっしゃー! できたぜ!」
「これがオーラか。翔吾どんな感じなんだ?」
「そうだなー。体が軽く感じるし力が漲ってくるぜ」
やはり俺達のいた世界とは全くといっていいほどに別の世界なんだなと俺は再認識する。俺達の世界であった科学が発達していない代わりに能力があり、俺達をこの世界に連れて来られるような魔法が存在しているのだ。
「その、僕にはどのような能力があるのでしょうか?」
「残りの君達の能力はここで使うのには危険すぎる。実際に戦闘をするときに教えよう」
「き、危険な能力ですか!? わ、わかりました」
俺は危険な能力と聞いて昴や陽菜達はどんな能力なのか気になったが、後々わかるだろうからと想像しておくにだけで留める。そして他のみんなは装備選びを再開した。
しばらくして全員の装備選びが終わったようだ。翔吾は武術服の上から胸当てなどの金属製のプロテクターのような物をつけていてパッと見ても武道家だとわかる服装だ。陽菜はトップアイドルとして活躍している時の陽菜のようなピンクのを基調としたドレスにリボンやフリルのついた如何にもアイドルのような姿になっている。昴は白ローブを纏い、杖を持っていて更に眼鏡をかけているため魔法使いっぽい雰囲気が出ている。
そして最後に薫子ちゃんなのだが。
「薫子ちゃん、何でずっとそのスーツのままなの?」
「先生は先生なので大人っぽくスーツでいいのですよ!」
その発言が1番大人っぽくないと思う。周りを見るとその発言をみんな可愛いと思ったのか薫子ちゃんの頭撫で始めている。
「やめてほしいのですよ! 先生を子供扱いしないでほしいのですー」
しかし薫子ちゃんの言葉は無視されてみんなが満足するまで撫でられ続けた。
「君達の準備も整ったようなのでこれから迷宮へと出発する。迷宮の上層は弱い魔物しかいないが君達はまだ戦闘経験なしの素人だ。気を引き締めていかないと命を落とすからな」
俺達は覚悟を決めてその言葉に対して頷く。こうして俺達は聖都郊外にある迷宮へ向けて出発した。
「和樹、絶対助け出すからな」
俺は道中でそう呟いた。
「この者は黒魔術の、更にその中でも禁忌とされる死霊魔術師である。よってこの者の身柄を拘束する!」
ラウムの命令によって和樹が今目の前で拘束されていた。和樹がその中でこちらに助けてほしいと訴える視線を向けているのにも関わらず俺は何故かその場から動くことができなかった。
どれだけ頑張っても指の1本すら動かすことができず俺はやるせない気持ちになる。俺は見たところ他のみんなもどうやら動けなくなっているようだ。そして俺達が動けないでいる間に和樹は連れていかれてしまった。
「1人減ってしまいましたが、それでは皆さま訓練の方頑張ってください」
しばらくして和樹が連れ去られた後、ラウムはこれまでにない程の不気味な笑顔を浮かべて言う。俺は和樹が捕まったことに対して納得できなかった。なんとか気を落ち着かせた秀一はラウムの前に出る。
「何故和樹が捕まらないといけないんですか? 今すぐ和樹を解放してください」
「解放することはできかねますな。何故なら彼の職業《死霊魔術師》というのは存在そのものが神への冒涜だからです。死者を蘇らせ、使役するなど人の道を外れてますからな。よって彼を拘束してその能力を行使させないようにするのが必要なのです」
俺はラウムの言葉を聞いて《死霊魔術師》とは危険な存在なのかもしれないと思った。それでも俺の知っている和樹は悪い事をするような奴ではないし、何よりも大切な友達である。
「それでもあいつは、和樹は俺達の大切な友達なんです! あいつのことは俺達で面倒を見るのでどうか解放してくれませんか? お願いします!」
俺は今までほとんどすることのなかった頭を下げるという行為を必死で行った。他のみんなは俺の行動に若干驚きの表情を浮かべつつも一緒に頭を下げてくれた。
「しかしですな。あなた方は先程彼が拘束されたとき何もしてあげようとしてなかったではないですか。それがあなた方の関係の脆弱さを物語っているのではないですかな」
ラウムはそう言い捨てると去って行った。俺は頭を下げたままあまりに的を射た正論を言われたことがあまりにも悔しくて唇を血が出る程に噛みしめる。そして頭を上げて振り返ると他のみんなも沈痛な表情で下を向いていた。こういうときは自分がみんなを励まさないといけないと思い、無理矢理悔しさや悲しさを頭の隅に追いやる。
「みんな顔を上げろって。俺達が強くなって魔族を倒して元の世界へ帰ることができるようになれば和樹も連れて帰ることだってできるさ! あいつもきっと頑張ってるはずだから負けないように俺達もやるべきことを頑張ろうぜ!」
しばらく俺達の間に沈黙が訪れる。だがその沈黙を最初に破ったのは翔吾だった。
「そうだな。よしやるか! 俺達もできることやらないと帰れないからな!」
「そうね。魔族さえ倒せばまたきっと和樹君に会えるよね」
「そうですね。まだ始まったばかりです。諦めてはいられませんよ」
「先生は先生として責任をもって皆さんをお家に送り届けなければいけないのですよ!」
秀一の言葉によってみんなに活力が戻ってくる。
「アルデラさん、俺達は何をすればいいですか?」
「君達には聖都郊外にある迷宮に潜ってもらい、そこで魔物と実際に戦って経験を積んでもらう。迷宮へは監督役として私と聖騎士数人も同行する」
「「はい!」」
「それではついてきてくれ。君達に必要な装備を支給しよう」
俺達がアルデラの後を追って訓練場の奥にある建物に入るとそこにはたくさんの装備がおかれていた。
「この中から好きな装備を選んで身に着けてくれ」
そう言われてみんなは部屋の中の装備を1つ1つ見ていった。
「秀一、君は《勇者》の固有能力で聖剣と専用の鎧を召喚できるはずだ。やってみてくれ」
俺が装備を見ようとしたときアルデラがそう言うとみんなの手が止まり視線が俺に集中する。職業別の固有能力なんてものもあるんだなと思いつつ俺は鎧と剣よ来いと念じてみる。
すると一瞬の間に俺の体にぴったりのサイズの紋章がはいった白銀の鎧が召喚され、黄金の剣が俺の手に握られていた。何故かはわからないが鎧と剣を身に着けただけのはずなのに俺の体に力が漲ってくるのがわかった。
「すっげー! めっちゃかっこいいなそれ! アルデラさん、俺にも秀一みたいな能力はあるのか?」
「1人1人にそれぞれの職業に合わせた固有の能力が備わっている。例えば翔吾の《武道家》ならば闘気を自在に操れるはずだ」
「なんかすごそうだな! 早速やってみるぜ」
翔吾はそう言ってしばらくすると体から目に見える程のオーラのようなものを纏い始めた。
「よっしゃー! できたぜ!」
「これがオーラか。翔吾どんな感じなんだ?」
「そうだなー。体が軽く感じるし力が漲ってくるぜ」
やはり俺達のいた世界とは全くといっていいほどに別の世界なんだなと俺は再認識する。俺達の世界であった科学が発達していない代わりに能力があり、俺達をこの世界に連れて来られるような魔法が存在しているのだ。
「その、僕にはどのような能力があるのでしょうか?」
「残りの君達の能力はここで使うのには危険すぎる。実際に戦闘をするときに教えよう」
「き、危険な能力ですか!? わ、わかりました」
俺は危険な能力と聞いて昴や陽菜達はどんな能力なのか気になったが、後々わかるだろうからと想像しておくにだけで留める。そして他のみんなは装備選びを再開した。
しばらくして全員の装備選びが終わったようだ。翔吾は武術服の上から胸当てなどの金属製のプロテクターのような物をつけていてパッと見ても武道家だとわかる服装だ。陽菜はトップアイドルとして活躍している時の陽菜のようなピンクのを基調としたドレスにリボンやフリルのついた如何にもアイドルのような姿になっている。昴は白ローブを纏い、杖を持っていて更に眼鏡をかけているため魔法使いっぽい雰囲気が出ている。
そして最後に薫子ちゃんなのだが。
「薫子ちゃん、何でずっとそのスーツのままなの?」
「先生は先生なので大人っぽくスーツでいいのですよ!」
その発言が1番大人っぽくないと思う。周りを見るとその発言をみんな可愛いと思ったのか薫子ちゃんの頭撫で始めている。
「やめてほしいのですよ! 先生を子供扱いしないでほしいのですー」
しかし薫子ちゃんの言葉は無視されてみんなが満足するまで撫でられ続けた。
「君達の準備も整ったようなのでこれから迷宮へと出発する。迷宮の上層は弱い魔物しかいないが君達はまだ戦闘経験なしの素人だ。気を引き締めていかないと命を落とすからな」
俺達は覚悟を決めてその言葉に対して頷く。こうして俺達は聖都郊外にある迷宮へ向けて出発した。
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俺は道中でそう呟いた。
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