エクリプス 〜衰耗の章〜

零/Zero.

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第2節【種族の章コラボ編】

9話《VSデイブレイクオブセリアン》

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~リアム&アラベルSide.~
「で、でいぶれいく…なんて言った?」
リアムは騎士団の剣を構えながらそう言った。
「デイブレイクオブセリアン…、直訳すると“獣人たちの夜明け”…ですか。」
アラベルはリアムの後ろでそう呟いた。
「君は言葉に詳しいようだね。まぁ、今は組織名は覚えてもらわなくてかまわないよ。」
セイルはそう言って立ち上がった。
リアムや騎士たちは、セイルがなにか攻撃をしてくるのではないかと思い、それぞれ剣を構えてセイルに焦点を合わせた。
「…そんなことより、に少し話したいことがあるんだ。…………でもは邪魔だな」
そう言ってセイルは右手を天高く上げた。そしてそして指を弾いたとき、
「がっ!?」「なっ!?」「どこからっ!?」「きゃっ!?」「がはぁ!!!」
リアムの耳に、そんな叫び声が届いた。
そして、リアムが気づくころには、周囲にいた騎士たちは全員倒れていた。
「…なっ、ど、どうやって!?」
「そこにいる国の犬共には用はない。こいつらは…邪魔だ」
そして目線をセイルの右横へ向けると、そこには黒髪の獣人に捕らえられたアラベルの姿が。
アラベルは気を失っているのか、目を閉じたまま動かなかった。
「なっ!妹を返せ!」
そう叫んでリアムは黒髪の獣人のもとまで走るが、
「まだ喋っている途中なんだけれど?」
黒髪の獣人とリアムの間にセイルが入り込んできて、リアムにどこからか取り出した白い剣を振りかざした。
「危なっ!?」
リアムはとっさに剣を振って体の向きを変え、セイルの剣撃を避け、数メートルほど後退した。
リアムがアラベルの方へ目線を逸らすと、黒髪の獣人はアラベルを床にい寝かせていた。
「よくあの状況から避けられたもんだ。猫獣人の中でも特に足の早い私についてこれるとは…、おもしろい___!!」
セイルはそう言うと剣を構え、一瞬でリアムとの距離を詰めた。
「!?」
リアムはすぐに反応し、騎士団の剣で応戦した。
両者の剣はギリギリと音を立てながら拮抗するが、段々とリアムの剣が押し負けていった。
(まずいな…昨日一晩中結界魔法を使ってたから魔力が切れかかってる…!こんな魔力量じゃ魔法で対処できない…!)
「くっ…これ以上は…!おりゃっ!!」
リアムは剣と自身の向きを変え、セイルの剣を自身の向いた方向と反対の方向へ受け流した。
「うおりゃぁぁぁああああ!!!!」
「___!?」
そして、剣を回し切りのように大きくはらった。
あまりのとっさの出来事にセイルも応戦できず、リアムの一閃がセイルの頭部へ向かう。
セイルは数歩後ろに下がった後、頭を抱えながらリアムに向かって口を開いた。
セイルは致命傷には至らなかったが、前髪が切れ、多少の切り傷ができていた。
「私の剣を受け流したうえ、そのままの流れでカウンターを当ててくるとは…。さすが、騎士団の副団長は違うな…。でも」
そう言ってセイルは一つの鍵を取り出した。その鍵には半透明の白い宝石が埋め込まれていた。
「その順位はあくまで、だ。““覚醒””」
そしてその鍵を剣の柄頭の鍵穴に差し込んだ。
するとセイルの剣に白い魔力の粒子が纏われていき、剣のギザギザの節に少しの隙間が生まれた。
リアムはまた剣を構える。
「なにか…変わった?」
「今までの私とは思わないでくれ。君が本気で私と戦ってくれているんだ。私も本気を出さないといけないのでね。」
そう言うセイルの右目の瞳は、白く染まっていた。
~~~~~
~レーヴァ&ゼヌアスSide.~
西側アジトの宝物庫では、レーヴァたちとカイルの間にピリ付いた空気が漂っていた。
「セイル…?それは誰だ。」
最初に口を開いたのはゼヌアスだった。
「セイルはこの組織のリーダーだ。」
「そのリーダーの右腕ってことは、お前も重要人物ってことだ。」
ゼヌアスはそう言ってダガーナイフを取り出した。
「それはソーラティアの大切なものだ!だから、か、返してもらう!」
そう言ってレーヴァも剣を構える。
「やはりそうだったのか。セイルの言っていたとおり、これには相当な価値があるようだな。」
そう言ってカイルは銃を構えた。
「試し打ちを一切せずとも思った方へ飛んでいく。一発のロスもなく全て命中した。それであっても銃に重量の変化を感じない・・・。すばらしい銃だ。これが国宝と言われるのも_」
カイルはそう言うととても素早い動きで銃を構え、レーヴァに向かってトリガーを引いた。
「レーヴァ!」
「大丈夫」
ゼヌアスはレーヴァにそう叫ぶが、レーヴァはその場から動かなかった。
レーヴァが剣を一振りすると、魔力の銃弾が真っ二つに斬れ、レーヴァの後ろで飛散した。
「…ほう。」
「アルケビュートの銃弾は使用者との順応度が低ければ低いほど離散しやすくなる。アルケビュートはゼヌアスを認めてる。だから、あなたが使ってもその性能は引き出せない。」
そう言ってレーヴァは、自身の腰のホルダーについていた鍵を取り出した。その鍵には、ルビーのような赤い宝石が取り付けられていた。
「フレイム、力をお貸しください」
レーヴァは、自身の剣(アルケベーゼ)のガードにある鍵穴にその鍵を差し込んだ。
すると、刀身のまわりに炎のような赤い魔力の粒子が漂い、やがて完全に刀身へ定着した。
「ソーラティアの王に伝わる剣…アルケベーゼか。面白い。」
そう言ってカイルは剣を一本引き抜く。カイルの剣は少し反り返っていて、造形の凝った鍔や、持ち手から伸びる紐には赤い宝石がついていた。
「あの剣…“カタナ”かな」
レーヴァが口を開く。
「そうだね。一度本場行ってみたことがあったけど、俺が見たやつよりは小ぶりかな?」
ゼヌアスがダガーをくるくると回しながらそう言う。
「これはワキサシと言ってな。普段のオオタチとは違う。お前詳しいな。国王をおいて1人で旅でもしていたのか?」
カイルはカタナを向けながらそう言った。
「違うよ。ゼヌアスは、僕のために旅をしてくれたんだ。」
レーヴァはそう言ってアルケベーゼの刀身を見る。炎のように赤い刀身には、かすかに自身の顔が反射していた。
「ゼヌアスは世界中を見てきてくれた。そして、それを僕に教えてくれた。立場上家の外にあまり出れなかった僕に、外の世界を教えてくれたんだ。」
そう言ってレーヴァは一度大きく深呼吸をする。
「ソーラティア国王、レーヴァ・ハスティルム。対人戦は初めてだけど、お相手願おうか。」
そう言ってアルケベーゼをカイルへ向けるレーヴァの左目の瞳は、赤く染まっていた。
~リアム&アラベルSide.~
「うぅ…私、いつの間に気絶して…………!?」
目を覚ましたアラベルは、体を起こすと、眼の前の景色に息を呑んだ。
「はぁ…はぁ…はぁ…」
「おお~すごいねぇ。まだ立ち上がるかぁ。もう少しペースを上げてみようか」
眼の前には、血まみれになりながらも、まだ立ち上がる兄…リアムと、ほぼ無傷で立っているセインがいた。
セインの持っている剣は矢印のような形状の刃が何個も一本の鎖のようなもので繋がれたような、俗に蛇腹剣と言われる特徴的な形をしていた。
「お兄様!」
アラベルはそう叫んでリアムの元へかけよろうとするが
「動かないでもらってもいいかな?じゃないと俺が怒られるから。」
真横にいた黒髪の獣人が剣をアラベルの首元へ向けた。
「っ…私を捕まえて、何が目的?」
「セイル様が言ってたんだ。君はの材料にうってつけだって。それと…」
そう言って獣人が指を弾くと、アラベルの体が急に浮き上がった。
「うわっ!?」
アラベルは抵抗するが、お腹のあたりで腕を縛られ、天井に吊り下げられているような状態になった。
「俺の能力は“透明な鎖を操る能力”。鎖の始点さえあれば、どこからでも鎖を伸ばせるんだ。」
「そんな簡単に話してしまっていいの?私は魔法使えるけど」
コロコロと説明する獣人に対して、アラベルはにらみながらそう伝えた。
「それは無理だよ。俺だって能力の全部を話してるわけじゃないからね。」
獣人がそう言って指を弾くと、アラベルを捕らえる鎖がきつくなる
「っ___」
「無理に抵抗しないほうがいいよ。鎖に刃をつけてスパッと切ることもできるから」
獣人はアラベルに向けてそう言った。
(ここでもし私が死んだら、お兄様を悲しませてしまう…)
「…わかりました。」
「うんうん。わかってくれればそれでいいんだ。」
「一つ、質問してもいいですか?」
「答えられる範囲なら」
「あなたは、この組織のナンバー2ですか?」
「残念。そこまではいかないかな。」
獣人はそう言って2歩前に出る。
「俺はセート。この組織のナンバー3で、セイルの左腕さ。」
そう言うセートは、笑っていた。
~~一方その頃リアムは…~~
「くっ!」
リアムは未だにセイルと戦っていた。
(何なんだあの剣…!避けたと思ったら全く反対の方向から刃が飛んでくる…!しかも軸が遠心力とか重力とかで自由自在に動くから、軌道が全く読めない…!!!)
その時、リアムの後頭部にセイルの剣先が肉薄していた
「危なっ!?」
リアムはとっさにかがみ、刃と刃の隙間に剣を引っ掛け、刃の軌道をセイルの方へ捻じ曲げた。
しかしセイルは剣を器用に回し、刃の直撃を避けた。
「どうしてそこまで戦うんだい?」
剣の動きを止めたセイルが、リアムにそう聞いた。
「君ももう限界だろう?その腕の傷、早く治さないと腕が取れるだろう。それに目も、片目が潰れているじゃないか。」
セイルはリアムの姿を見ながらそう言った。
「…うるさい!」
リアムはそれでもなおセイルに斬りかかった。
「すでに満身創痍。私は弱い者いじめは好きじゃないんだ。」
セイルはそう言うと一瞬でリアムの後ろに回り込み、剣の柄頭で勢いよく殴った。
「がっ!?」
リアムはバランスを崩しその場に倒れてしまう。
するとセイルは、ボロボロのリアムの比較的傷の少ない背筋の部分へ勢いよく足を落とした。
「がっ…はな…せ…」
リアムは勢いを失い、手から剣を落としてしまう。
セイルはその剣を蛇腹剣で器用に回収すると、それを持って元の席へ戻った。
その席は倒れるリアムの目線の先にあった。
すると、セートは鎖を器用に動かし、アラベルをセイルの席の脇へと移動する。
投げ捨てると言うよりかは、優しく飛ばすような感じであった。
「さてとリアムくん。ここまで戦っておいてなんだが、君に今から提案があるんだ。」
席に座ったセイルはリアムに向かってそう問いかける。
「てい…あん?」
リアムはゆっくりとそう聞く。
その言葉を聞いたセイルは、ニヤリと笑いながら言った。
「明日実行予定の革命、君たち2人リアムとアラベルにも協力してほしい」
==========================
大 遅 刻 ☆
最後の投稿は10月24日、1ヶ月前ですか…遅すぎますね(本当に遅すぎますね)
色々こだわって書いてたらナマケモノみたいに時間かかってしまいました(地味に見苦しい言い訳)
本当にごめんなさい(特に絶賛コラボ中のレン)
本当にごめんなさい!!!!
しかもこの後細かい用事が重なって書きづらいという事実…あああああああああああああああああああ!!!!
(今回も読んでいただきありがとうございました)
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