ロゼリア学園ー時の巫女ー

遊月

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ロゼリア学園入学

震え

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「さぁ!着いたゾ!」


デイジー達はマリーに案内され無事に道を抜けられ旧校舎まで辿り着くことができた。


「クラウスくんは裏にいるから行ってみるといいゾ!」

「あ、ありがとう。マリーちゃん」

「気にしなくていいゾ!」

「それにしてもお前らが『K』なんてな」


偶然出会ったマリーとミズキはデイジーが気になっていたギルド『K』のメンバーであった。


「それほどでも~ところで、2人は『K』に入団するつもりなの?」

「まだ決めてないけど、気になってて。あ、2人に聞きたいことがあるんだけど、、、」

「なんだい?遠慮せずなんでも聞いていいゾ!」

「あの、ギルド『K』が『人殺しギルド』って呼ばれてるって聞いて、それって本当?」


デイジーが不安そうな顔で聞くと、マリーとミズキはお互い顔を見合わせると「うーん」と考え始めた。
しばらく考えている2人の姿にデイジーは冷や汗を流して待っていた。


「確かにその名で噂になっているのは本当だ」

「クラウスくんが人を殺したっていうのも本当だゾ」

「え、そ、そうなんだ、、、」

「もしかしてそれを確認したくてクラウスくんに会おうとしているの?」

「う、うん、、、」


メンバーである2人からの言葉はおそらく本当のことなのだろう。
もしかしたらと思っていたデイジーにはその事は衝撃的だったのかもしれない。暗い顔で俯いているとマリーが「デイジーくん!」と声を明るくして話しかけた。


「今の話を聞いて少しでも迷ったなら、ここには二度とこない方がいいゾ」

「え、、、」


出会ってからずっと明るく接していたマリーだが、口から出た言葉は聞いた事ない程低く重みのある言葉だった。


「ギルド『K』は通常の街からの依頼以外に、重要任務や潜入調査、『ディリオン』の任務も請け負っている。ロゼリア学園の生徒である以上、任務は必ず遂行しなければならない。特に危険な仕事が来る『K』には失敗する=死ぬ事と同じ任務もある」

「失敗は死、、、」

「クラウスくんの噂は全部が本当じゃないから真実は直接聞くのが1番だゾ。でも、覚悟もなしにギルド『K』を知るのはやめた方がいいゾ」


2人の言葉にデイジーは戸惑っている様子。
どうやら気持ちの整理がつかないでギルド『K』を知るのは相当危ないようだ。


「じゃあ、なんでお前らは『K』にいんだよ」

「俺たちは死ぬ事より重要な役割があって『K』にいる」

「そ、そんな、、、」

「メンバーはそれくらい重い気持ちで過ごしているんだゾ。ボク達よりリーダーの『ミドナ』くんや『アイリン』くんもずっと重い爆弾を背負ってる」

「「、、、」」

「だから、不用意に『K』を知ろうとするな。お前らが命よりも大事なものがあるなら、別だが」


ミズキに「どうする」と聞かれたデイジーは無意識に体震え始めていた。
手先が冷たくなり、視界が歪み始め胸元に手を当て苦しそうな姿を見せた。


(あんなに明るかったマリーちゃんも、まっすぐ見つめてくれるミズキくんも、仲良くしてくれたアリエルも、、、みんな、抱えているの?)

「デイジー、、、」

(どうしよう、、、そんな覚悟私には、、、)


恐怖なのか体を包むように体を震わせていると、肩を思い切り捕まれた。
驚いて顔を上げると、静かにレオがデイジーを見つめていた。


「レ、レオ、、、?」

「デイジー、お前、なんのためにここに来たんだ?」

「え?」

「『時の巫女』について知りてーんじゃねーのかよ」

「あ、、、」

「自分で言ってたろ。『時の巫女』は『ディリオン』に関係しているかもしれねーって。あぶねーことくらい覚悟してここに来たんだろ」

「、、、」

「それは、もうお前の命みてーなもんだろ。お前がここに来てる時点で命はとっくにかけてんだよ。今更お前が弱くなる理由はねーよ」


レオのまっすぐな瞳にデイジーは何かを思い出した様子。
自分がここへ来た理由を改めて頭に思いだすと、静かに深呼吸をしゆっくりと瞼を開けるとマリーとミズキに近づいた。


「私も命をかけてここにいます。ギルド『K』を知るのは私を知ることになると思う。どんな結果でもちゃんと向き合える、だからクラウス先生に伝えたい」

「デイジーくん」

「私はギルド『K』の入団テストを受けます!そして加入したら、『時の巫女』について知りたい!」

「、、、」

「クラウス先生に会わせてください!」


デイジーの言葉を聞いたマリーとミズキはお互いに顔を見合わせて少し微笑んだ。


「お前は、どうなんだ?」

「あ?オレはこの学園で1番強い奴になる。それには命くれーどってことねーよ」

「あはは!!!君は思ったより単純だゾ!」


マリーの言葉にレオは顔を赤くして「うるせーよ!」とツッコミを入れた。
お腹を抱えて思う存分笑ったマリーは「わかった!」と言って2人で旧校舎への道を開けた。


「じゃあ、行っておいで。君たちなら大丈夫だゾ!」

「うん!ありがとう!」


デイジーはレオに「行こ!」と笑って言うとゆっくりと一歩を踏み出し、レオと共に旧校舎へ歩き出した。


「いいのか、あれで」

「いいんだゾ!あの2人はきっと『K』に入ってくれる!」

「、、、そうかもな」


2人の背中を見送るマリーは、期待した顔で見つめていた。

マリー達と別れたデイジーは旧校舎へ近づくとだんだん煙の匂いに気づいた。


「これって、タバコ?」

「確かにすんな」

「やっぱりここにいるんだね」


慎重に煙の方へ向かう。どうやら旧校舎の裏から煙が出ているようで、そっと覗くと人影が見えた。


「だ、誰かいる」

「あいつがクラウスか?」


レオの言葉に頷いたデイジーは意を決して「すみません!クラウス先生ですか」と姿を表して声をかけると、白衣を着た男性がゆっくりと振り向く。


「、、、」

(この人がクラウス先生、、、!)
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