ロゼリア学園ー時の巫女ー

遊月

文字の大きさ
上 下
32 / 33
ロゼリア学園入学

明るい人

しおりを挟む
リオとアリエルと別れたデイジーは、レオと一緒にギルド『K』のマスターであるクラウスを探すことになり、地図を頼りに旧校舎へと向かっていた。
しかし、2人は小さなヒューナ村で育ち今まで地図を見ながら歩くことがなかったため、さっそく躓いてしまった。


「ど、どうしよう、、、ここ、どこだかわからない」

「だらしねーな、貸せよ」


デイジーから地図をひったくるとレオはいろんな方向に地図を回して「うーん、うーん?」と悩んでいる様だった。


「わ、わかるの?レオ」

「、、、わっかんねー」


まさかのお手上げ。
周りには木々しか見えず、目印になる様なものもないため2人は本当の迷子になってしまっていた。


「どうしよう!迷子だよ、私達!」

「落ち着けよ、焦ってもしょうがねーだろ」

「でも、クラウス先生を探すどころか本校舎に戻る事もできないかも、、、」


デイジーが不安そうに慌てていると、レオは呆れながら頭を掻いて「あのなぁ、、、」と口を開いた時。


ーーーーーーーーー

「「!?」」


近くの茂みから物音が聞こえた。
驚いた2人は思わず体をこわばらせ、後退りした。


「な、なんだろう、、、」

「い、犬かタヌキだろ、、、」

「え、犬がいるの!?」

「知らねーよ!いいから落ち着け!」

ーーーーーーーーー

「「!?」」


レオの大きな声により茂みの物音も段々と近づいてきている様だ。


「レ、レオ、、、」

「だ、大丈夫だって、、、」

ーーーーーーーーー


デイジーは怖さのあまり、体を震えているとレオはデイジーを庇う様に前に出て、手から炎を出している。いつでもレイズが使える様に戦闘体制で構えている。


ーーーーーーーーー!!!!

「「っ!!!!」」


すると、茂みから何かが飛び出して来るのが見え思わず2人が目を瞑ると。


「ばぁ!!!」

「「ぎゃああああ!!!!」」


何かの声が聞こえてきた。
飛び出してきた何かを見れないで怯えていると「あれぇ?どったの?」と女の子の声が聞こえた。
デイジーとレオはそれに気づくと、ゆっくりと目を開き顔をあげた。


「やぁやぁ、君たち!こんなところで何やってるんだい?」


見たことのない少女がこちらを不思議そうな顔で伺っていた。


「へ、、、?」


人間だった事に安心したのかデイジーからは間抜けな声が出て、腰を抜かしていた。


「お、お前!!脅かすなよ!」

「そんなつもりじゃなかったゾ!木の隙間から人影が見えたから、気になって近づいたら君たちがいたんだゾ!」

「声かけろよ!大体、普通に歩いてくればよかっただろ!なんで低い体制で茂みから出てくるだよ!」

「いやぁ、普通に出てきたら面白くないと思って!」

「面白さなんていらねーだろ!」

「ま、まぁ、レオ、落ち着いて、、、」


知らない少女と口喧嘩を始めたレオは顔を真っ赤にして怒っている。
落ち着いたデイジーはゆっくりと立ち上がり2人を仲裁していると、少女の後ろからまた1人姿を現した。


「ここにいたのか、マリー」

「あ、ミズキ!やっぱり人だったゾ!しかも、2人とも面白い声で叫んでたんだゾ!」

「て、てめぇ、、、」


よくみると2人はデイジー達と同じ制服を着ているのに気づいたデイジーは声をかけた。


「あ、あの、もしかしてここの生徒ですか?」

「そうだゾ!ボクは1年の『マリー・プロディア』!こっちの男の子は同じく1年の『ミズキ・スターチス』だゾ!よろしくね!」


ツインテールの少女は『マリー』と名乗り、後ろから出てきた少年を『ミズキ』と紹介した。


「あ!君たちもしかして編入生かい?」

「そ、そうです、、、」

「やっぱり~!!!」


マリーはデイジーが編入生だとわかると、嬉しそうに手を握りぶんぶん振った。
勢いよく手を振られたデイジーは、その反動で頭もぶんぶんと振られて目を回していた。


「マリー、やめろ。気絶しそうだ」

「え?、、、あ」


ミズキに声をかけられ、自分のしていた事に気づいたマリーは手を離すと、体がフラフラになったデイジーが倒れそうになった。


「ごめんね~、ボク嬉しくてさ!」

「ど、どうして、私の名前、を?」

「君たちの編入試験の試合を見てたからね!特にデイジーくん!君の試合は凄かったゾ!思わずボクも心を奪われたゾ!」

「あ、ありがとうございます」

「それと君は、、、お兄ちゃんの方かな?」

「それはリオだ。オレはレオ!」

「んー、双子は覚えるの苦手だゾ。弟くんは、、、乱入騒ぎを起こした方か!!」


マリーは思い出したと嬉しそうにレオに指を刺すと、レオは「おい!」と怒鳴って睨みつけている。
しかし、マリーはレオの事をお構いなしにマシンガントークを続ける。


「いやぁ、あの乱入も見てて楽しかったゾ!君たち2人が受かったの?」

「いえ、リオとアリエルも一緒に、4人で合格しました」

「そうか!それはよかったゾ!」


マリーは終始笑顔で嬉しそうに腕をくみ、「うんうん」と頷いている。


「これからは同級生だから、わからないことがあったらボク達になんでも聞いていいんだゾ!」

「あ、ありがとうございま、、、」

「敬語もダメだゾ!ボクの事は気軽に『マリー』って呼んで!!」


目を輝かせながら見つめるマリーに、デイジーは少し恥ずかしそうに「そ、そうするね。マリーちゃん」と言うと「うんうん!デイジーくん!」と嬉しそうに反応した。


「それよりお前ら、こんなところで何してる」

「あ、そうだった!ギルド『K』のマスターに会いに行こうと思ってて、、、」

「マスターってクラウスくんのこと?」

「え?く、くん!?」

「マリーはそういうやつだ、気にするな」

「そ、そうなの」


マリーの独特な表現に惑わされていると、ミズキが冷静に反応した。


「あとクラウスも『先生』と付ける必要がないろくでなしだ、気にするな」

「え!?そ、そうなの?」


元気なマリーと違い、ミズキは冷静にツッコミを入れるようで、デイジーはそれぞれの反応に忙しかった。


「クラウスくんならこの道まっすぐ行った旧校舎の裏でタバコを吸っているゾ!」

「あ、こっちなんだ、、、」

「まさか、迷子か」

「じ、実は、、、」

「本校舎から一本道だろ」

「うっ、、、」


ミズキの正論に反論できずに恥ずかしそうに俯いてしまった。


「せっかくだから、ボク達も一緒に行くゾ」

「え、いいの?」

「もちろんだゾ!ボク達も今からギルドに行くところだったからね!」


そう話すマリーにレオが不思議そうに質問をした。


「お前らはどこのギルドなんだ?」

「ボクとミズキのギルドは、、、」


マリーがレオに体を向き直すと、嬉しそうにミズキと共に口を開いた。


「「『K』だゾ!/だ。」」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

[恥辱]りみの強制おむつ生活

rei
大衆娯楽
中学三年生になる主人公倉持りみが集会中にお漏らしをしてしまい、おむつを当てられる。 保健室の先生におむつを当ててもらうようにお願い、クラスメイトの前でおむつ着用宣言、お漏らしで小学一年生へ落第など恥辱にあふれた作品です。

白い結婚を言い渡されたお飾り妻ですが、ダンジョン攻略に励んでいます

時岡継美
ファンタジー
 初夜に旦那様から「白い結婚」を言い渡され、お飾り妻としての生活が始まったヴィクトリアのライフワークはなんとダンジョンの攻略だった。  侯爵夫人として最低限の仕事をする傍ら、旦那様にも使用人たちにも内緒でダンジョンのラスボス戦に向けて準備を進めている。  しかし実は旦那様にも何やら秘密があるようで……?  他サイトでは「お飾り妻の趣味はダンジョン攻略です」のタイトルで公開している作品を加筆修正しております。  誤字脱字報告ありがとうございます!

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

RUBBER LADY 屈辱の性奴隷調教

RUBBER LADY
ファンタジー
RUBBER LADYが活躍するストーリーの続編です

僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?

闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。 しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。 幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。 お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。 しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。 『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』 さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。 〈念の為〉 稚拙→ちせつ 愚父→ぐふ ⚠︎注意⚠︎ 不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。

転生してギルドの社畜になったけど、S級冒険者の女辺境伯にスカウトされたので退職して領地開拓します。今更戻って来いって言われてももう婿です

途上の土
ファンタジー
『ブラック企業の社畜」ならぬ『ブラックギルドのギル畜』 ハルトはふとしたきっかけで前世の記憶を取り戻す。  ギルドにこき使われ、碌に評価もされず、虐げられる毎日に必死に耐えていたが、憧れのS 級冒険者マリアに逆プロポーズされ、ハルトは寿退社(?)することに。  前世の記憶と鑑定チートを頼りにハルトは領地開拓に動き出す。  ハルトはただの官僚としてスカウトされただけと思っていたのに、いきなり両親に紹介されて——  一方、ハルトが抜けて彼の仕事をカバーできる者がおらず冒険者ギルドは大慌て。ハルトを脅して戻って来させようとするが——  ハルトの笑顔が人々を動かし、それが発展に繋がっていく。  色々問題はあるけれど、きっと大丈夫! だって、うちの妻、人類最強ですから! ※中世ヨーロッパの村落、都市、制度等を参考にしておりますが、当然そのまんまではないので、史実とは差異があります。ご了承ください ※カクヨムにも掲載しています。現在【異世界ファンタジー週間18位】

愛想を尽かした女と尽かされた男

火野村志紀
恋愛
※全16話となります。 「そうですか。今まであなたに尽くしていた私は側妃扱いで、急に湧いて出てきた彼女が正妃だと? どうぞ、お好きになさって。その代わり私も好きにしますので」

どうも、死んだはずの悪役令嬢です。

西藤島 みや
ファンタジー
ある夏の夜。公爵令嬢のアシュレイは王宮殿の舞踏会で、婚約者のルディ皇子にいつも通り罵声を浴びせられていた。 皇子の罵声のせいで、男にだらしなく浪費家と思われて王宮殿の使用人どころか通っている学園でも遠巻きにされているアシュレイ。 アシュレイの誕生日だというのに、エスコートすら放棄して、皇子づきのメイドのミュシャに気を遣うよう求めてくる皇子と取り巻き達に、呆れるばかり。 「幼馴染みだかなんだかしらないけれど、もう限界だわ。あの人達に罰があたればいいのに」 こっそり呟いた瞬間、 《願いを聞き届けてあげるよ!》 何故か全くの別人になってしまっていたアシュレイ。目の前で、アシュレイが倒れて意識不明になるのを見ることになる。 「よくも、義妹にこんなことを!皇子、婚約はなかったことにしてもらいます!」 義父と義兄はアシュレイが状況を理解する前に、アシュレイの体を持ち去ってしまう。 今までミュシャを崇めてアシュレイを冷遇してきた取り巻き達は、次々と不幸に巻き込まれてゆき…ついには、ミュシャや皇子まで… ひたすら一人づつざまあされていくのを、呆然と見守ることになってしまった公爵令嬢と、怒り心頭の義父と義兄の物語。 はたしてアシュレイは元に戻れるのか? 剣と魔法と妖精の住む世界の、まあまあよくあるざまあメインの物語です。 ざまあが書きたかった。それだけです。

処理中です...