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ロゼリア学園編入試験
不合格者
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ファウルに言われ渋々とした態度でマイクをとり、グランは静かに口を開いた。
《まず、コブラ・ボンブ。》
「えぇ?アタシぃ?」
《貴方の爆弾のレイズは威力が高く、戦闘向きと言えるでしょう。ですが、今回の貴方のレイズの使い方は危険でした。これは審査員である教員様たちのご意見でもあります。爆発により気絶してしまったデイジーに対して攻撃をやめなかった。レイズは人を傷つけるための力ではありません。》
「、、、」
グランは冷たい目でコブラを見つめると、バツが悪そうにコブラは視線を逸らした。
《以上が、貴方を不合格にした理由です。続いて、レオ・イグトルス。貴方は学力が少々不出来でありながらレイズの量は飛び抜けていました。しかし、戦闘時には考えなしに行動してしまうのは欠点かといえます。今回の決め手となったのは第三試合での乱入です。こちらも審査員様達の意見でもあります。》
「ら、乱入!?」
グランの説明を聞いていたデイジーが驚いた顔をしてレオを見ると、レオは黙って俯いたままでいた。
その姿を見たデイジーは、乱入をした事による後悔より別の気持ちがあるように感じていた。
《続いて、リオ・イグトルス。貴方は学力、レイズ量、そして試合での行動力は平均以上です。私含め、審査員様達の評価も高かったです。》
「じ、じゃあ、どうしてリオは不合格なんですか、、、?」
デイジーが不安そうな顔をしてグランに聞くと、グランは目を瞑った後ゆっくり口を開いた。
《貴方はファウル・デルボーと取り引きを行おうとしましたね。》
「!!」
「と、取り引き、、、って?、」
「、、、」
ファウルから持ちかけられた八百長の件を知られていたリオは驚いた顔を見せ、デイジーは顔を青くしていた。
グランはマイクを通して話をしていた為、観客席がざわつき始めた。
「ちょ、ちょっと待ってくれたまえ!僕はそんな事をするわけが無いだろう!」
《貴方はリオ・イグトルスに自分が勝てば父親に頼みレオとデイジーを合格させると言いましたね。》
「「!?」」
グランの言葉に驚いた表情でリオを見つめたレオとデイジー。
リオの異変に気づいていたレオでも、流石に八百長を持ちかけられていたとは思わなかったのだろう。
「な、な、な、んの事だ!いい加減な事を言いやがって!!」
《ここはロゼリア学園です。八百長まがいな事、ルールにないからと言って行っていい事はありません。貴族以前に人として判断できないのであればこの学園にはいりません。》
「ぐっ、、、そ、そんな態度でいいのか!?僕は貴族なんだぞ!パパに言いつけてこの学園に寄付してもらえなくしてやるぞ!いいのか!?」
《わかっていないようなので教えておきますが、ロゼリア学園はどこからも寄付など受けておりません。知りもしないである事無い事言いふらすな。》
途中からグランの口調が変わり、態度が悪く見えてきた。恐らく、ファウルに対して怒りを向けているのだろう。
グランの言葉にぐうの音も出ない様子のファウルは、顔を真っ赤に染めてグランを睨みつけた。
「お、のれ!失礼な奴め!僕を怒らせるとどうなるか、、、」
「このバカ息子!!」
「!?」
ファウルがグランに指を刺していると、観客席から怒鳴る声が聞こえた。
振り返ってみると、そこには髭を生やした男性が凄い形相でファウルを睨んでいた。
「パ、パパ!」
「八百長などしおって、貴様はどれだけわしに恥をかかせれば気が済むんだ!」
「パパ、ち、違うんだよ!僕は、、!」
「この期に及んで言い訳までするのか!?見苦しい奴め!」
どうやら、この男性はファウルの父親だったようで息子と同様に顔を真っ赤に染めて怒っていた。
ファウルの父親は「ふん!」と顔をそっぽに向けた後、ぶつぶつ何かを言いながら観客席から出て行った。
「ま、待ってよ!パパ~!」
ファウルは父親が去ろうとした姿を見て、涙を浮かべながら走って会場を出て行った。騒ぐだけ騒いで出て行った親子はまるで嵐のようだった。
その後、会場には静かな空気が流れたがグランがマイクを持ち直して口を開いた。
《会場にお集まりの皆様、お見苦しいところをお見せしてすみませんでした。以上が合否の理由になります。》
「、、、」
《本来ならば以上でロゼリア学園編入試験を終了させていただきますが、今回は特別にとある方からのメッセージを受け取っております。》
そう言うと会場の大きなモニターにパッと知らない人物が映し出された。
そこには、真っ赤なロングヘアを緩く結んで肩より前に垂らした、顔立ちの整った蒼き瞳の男性がいた。
《皆さん、ごきげんよう。ロゼリア学園、学園長の『リュミエット・ハイド』です。》
(あれ、、、この人)
デイジーはモニターに映し出されたリュミエットと名乗った男性をみると、不思議そうな顔をしていた。
《まずは、編入試験受験者の皆さん、本日はお疲れ様でした。皆さん一人一人の素晴らしい活躍が見れて僕も嬉しかったです。》
「、、、」
《今日はロゼリア学園の特別な制度についてお話をしたくてこの場をお借りしました。》
「制度?」
《この学園の試験入試の際、審査員と生徒会長の評価で合否が決まる仕組みになっています。ですが、ひとつだけ『推薦』というシステムも存在します。》
「す、推薦、、、?」
《と言っても推薦を使えるのは僕だけなんだけどね。皆さんの試合を見て僕はどうしてもその推薦権を使いたくてグランにお願いしました。》
リュミエットはそう言うと目を瞑り、優しい顔を見せると。
《レオ・イグトルス君、リオ・イグトルス君。君たち2人を学園長推薦にて合格とします。》
「「!!」」
《まず、コブラ・ボンブ。》
「えぇ?アタシぃ?」
《貴方の爆弾のレイズは威力が高く、戦闘向きと言えるでしょう。ですが、今回の貴方のレイズの使い方は危険でした。これは審査員である教員様たちのご意見でもあります。爆発により気絶してしまったデイジーに対して攻撃をやめなかった。レイズは人を傷つけるための力ではありません。》
「、、、」
グランは冷たい目でコブラを見つめると、バツが悪そうにコブラは視線を逸らした。
《以上が、貴方を不合格にした理由です。続いて、レオ・イグトルス。貴方は学力が少々不出来でありながらレイズの量は飛び抜けていました。しかし、戦闘時には考えなしに行動してしまうのは欠点かといえます。今回の決め手となったのは第三試合での乱入です。こちらも審査員様達の意見でもあります。》
「ら、乱入!?」
グランの説明を聞いていたデイジーが驚いた顔をしてレオを見ると、レオは黙って俯いたままでいた。
その姿を見たデイジーは、乱入をした事による後悔より別の気持ちがあるように感じていた。
《続いて、リオ・イグトルス。貴方は学力、レイズ量、そして試合での行動力は平均以上です。私含め、審査員様達の評価も高かったです。》
「じ、じゃあ、どうしてリオは不合格なんですか、、、?」
デイジーが不安そうな顔をしてグランに聞くと、グランは目を瞑った後ゆっくり口を開いた。
《貴方はファウル・デルボーと取り引きを行おうとしましたね。》
「!!」
「と、取り引き、、、って?、」
「、、、」
ファウルから持ちかけられた八百長の件を知られていたリオは驚いた顔を見せ、デイジーは顔を青くしていた。
グランはマイクを通して話をしていた為、観客席がざわつき始めた。
「ちょ、ちょっと待ってくれたまえ!僕はそんな事をするわけが無いだろう!」
《貴方はリオ・イグトルスに自分が勝てば父親に頼みレオとデイジーを合格させると言いましたね。》
「「!?」」
グランの言葉に驚いた表情でリオを見つめたレオとデイジー。
リオの異変に気づいていたレオでも、流石に八百長を持ちかけられていたとは思わなかったのだろう。
「な、な、な、んの事だ!いい加減な事を言いやがって!!」
《ここはロゼリア学園です。八百長まがいな事、ルールにないからと言って行っていい事はありません。貴族以前に人として判断できないのであればこの学園にはいりません。》
「ぐっ、、、そ、そんな態度でいいのか!?僕は貴族なんだぞ!パパに言いつけてこの学園に寄付してもらえなくしてやるぞ!いいのか!?」
《わかっていないようなので教えておきますが、ロゼリア学園はどこからも寄付など受けておりません。知りもしないである事無い事言いふらすな。》
途中からグランの口調が変わり、態度が悪く見えてきた。恐らく、ファウルに対して怒りを向けているのだろう。
グランの言葉にぐうの音も出ない様子のファウルは、顔を真っ赤に染めてグランを睨みつけた。
「お、のれ!失礼な奴め!僕を怒らせるとどうなるか、、、」
「このバカ息子!!」
「!?」
ファウルがグランに指を刺していると、観客席から怒鳴る声が聞こえた。
振り返ってみると、そこには髭を生やした男性が凄い形相でファウルを睨んでいた。
「パ、パパ!」
「八百長などしおって、貴様はどれだけわしに恥をかかせれば気が済むんだ!」
「パパ、ち、違うんだよ!僕は、、!」
「この期に及んで言い訳までするのか!?見苦しい奴め!」
どうやら、この男性はファウルの父親だったようで息子と同様に顔を真っ赤に染めて怒っていた。
ファウルの父親は「ふん!」と顔をそっぽに向けた後、ぶつぶつ何かを言いながら観客席から出て行った。
「ま、待ってよ!パパ~!」
ファウルは父親が去ろうとした姿を見て、涙を浮かべながら走って会場を出て行った。騒ぐだけ騒いで出て行った親子はまるで嵐のようだった。
その後、会場には静かな空気が流れたがグランがマイクを持ち直して口を開いた。
《会場にお集まりの皆様、お見苦しいところをお見せしてすみませんでした。以上が合否の理由になります。》
「、、、」
《本来ならば以上でロゼリア学園編入試験を終了させていただきますが、今回は特別にとある方からのメッセージを受け取っております。》
そう言うと会場の大きなモニターにパッと知らない人物が映し出された。
そこには、真っ赤なロングヘアを緩く結んで肩より前に垂らした、顔立ちの整った蒼き瞳の男性がいた。
《皆さん、ごきげんよう。ロゼリア学園、学園長の『リュミエット・ハイド』です。》
(あれ、、、この人)
デイジーはモニターに映し出されたリュミエットと名乗った男性をみると、不思議そうな顔をしていた。
《まずは、編入試験受験者の皆さん、本日はお疲れ様でした。皆さん一人一人の素晴らしい活躍が見れて僕も嬉しかったです。》
「、、、」
《今日はロゼリア学園の特別な制度についてお話をしたくてこの場をお借りしました。》
「制度?」
《この学園の試験入試の際、審査員と生徒会長の評価で合否が決まる仕組みになっています。ですが、ひとつだけ『推薦』というシステムも存在します。》
「す、推薦、、、?」
《と言っても推薦を使えるのは僕だけなんだけどね。皆さんの試合を見て僕はどうしてもその推薦権を使いたくてグランにお願いしました。》
リュミエットはそう言うと目を瞑り、優しい顔を見せると。
《レオ・イグトルス君、リオ・イグトルス君。君たち2人を学園長推薦にて合格とします。》
「「!!」」
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