ロゼリア学園ー時の巫女ー

遊月

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ロゼリア学園編入試験

レオvsアリエル

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第一試合、レオ対アリエルの対決はレオが先制したかと思ったがアリエルは全ての攻撃を避けていた。
その事実だけでもレオの機嫌が悪くなるのに、さらに馬鹿にした態度を取りレオを煽った。
もちろん短気なレオはそこから相手が女子だろうとお構いなく攻撃を続けるが、全く当たらない。
ただいたずらに時間だけが過ぎていき、次第にレオの体力とレイズの限界が近くなってきたのか、息切れしてきていた。


「はぁ、はぁ、、、くそっ!」

「、、、」

(なんでこいつには当たらねぇんだよ!何か仕掛けがあるのか?それともこれがこいつのレイズか?)


レオが考えながらアリエルを見つめるが、彼女は一切顔色を変えずにレオを睨みつけていた。

そんな態度のアリエルに腹が立ったレオはとうとう限界にきたのか頭を抱えはじめ「だぁぁぁ!!!」と叫んだ。
急に叫んだレオに流石に驚いたのか、初めてアリエルの顔色が変わった。
そしてレオはアリエルに指を刺した。


「おいてめぇ!」

「、、、」

「いい加減レイズ使えよ!!この弱虫女!」

「、、、あなた、さっきからワンパターンな悪口しか出ないのね。頭も筋肉で出来ているの?」

「それはてめぇだ、ガキ!さっきから避けるだけしかしねぇで『逃げ』てんじゃねぇよ!!」

「!、、、『逃げ』ですって」


レオの言葉に明らかに動揺しはじめたアリエルは、俯いて拳を振るわせていた。


「逃げてる以外に何があんだゴラァ!!正々堂々と勝負しろよ、この『毒舌弱虫卑怯陰険女』が!!」


今まで言った分の悪口オンパレードをかましたレオは達成感があったかのように「はぁ、はぁ」と息を切らしている。


「ねぇ、レオ、言い過ぎじゃない、、、?」

「ちょっと、、、ね」


デイジーとリオは心配するも少し呆れており。


「あっはは!!あの子おもしろいゾ!!」

「あいつ、本当に一年か、、、?」

「、、、まぁ、度胸があるというところでしょうか。」


部屋の窓から眺めていたアイリンたちも呆れたり面白がったりとそれぞれ反応を見せた。

レオの言葉に流石のアリエルも怒りを露わにしているようだった。


「なんだよその目は、悔しかったら黙って逃げたりしてねぇでオレに向かってこいよ!!この『アバズレ』!!!」

「「「「「!!!!!」」」」」


レオのトンデモ発言のせいで会場にいる全員が石のように固まり静まり返った。流石にここまで言うとは、いくら幼馴染のデイジーやリオですら想像できなかったようだ。
アリエルは目を瞑り「ふぅ、、、」と息を吐くと、気持ちを落ち着かせられたのかゆっくりと目を開きレオを見つめた。


「わかったわ。そこまで言うなら私のレイズを見せてあげる」


そう言うとアリエルは右手を前に出しレオに向かってパチンと指を鳴らした。
すると地面が揺れはじめ、レオの下から突然無数の泡が吹き出した。
レオは運良く攻撃を避けるとまた下から泡が吹き出す。


(なんだこれ、、、泡?)

「私のレイズは『泡』。あなたの炎と同じで自分に纏ったり今みたいに遠隔に扱ったりもできるわ」

「へぇ、悪口を言われてからレイズを使うなんてよっぽど短気みてぇだな!」

「あなたに言われたくはないわ。女の子を平気で傷つける言葉がスラスラと出てくるんだから、一緒にいる幼馴染もかわいそう」


デイジーの事を言われたのか、アリエルからの言葉に少し戸惑いながらもまだ余裕そうに笑っていると「それに、私はわざとレイズを出さなかった」とアリエルは続けた。


「わざとだぁ?」

「そう。あなたの炎と私の泡。あなたにとって相性が悪いでしょ。だから、私はあえて初めはレイズを出さなかった」


どうやら、水タイプに近いアリエルのレイズはレオのレイズにとっては相性が悪いから使わなかったらしい。おまけにがむしゃらに考えなしに行動するタイプのレオだったら何もしなくてもレイズ切れを起こし、自爆してくれるだろうとも考えたらしい。

レオはそれを聞くと「、、、あっはは!!」と急に腹を抱えて大きな声で笑い出した。


「やっぱりお前、陰険女じゃねぇかよ」

「さっきから私のことを馬鹿にしてるけど、最初にレイズをたくさん使って消耗してるあなたの方が馬鹿じゃない」

「オレは馬鹿なんて言ってねぇし、それにお前さっき言ったよな」

「何が」

「オレとってつまりは、、、こういうことだろ?」


そう言うとレオは右手を前に出すとアリエルに向かって指を鳴らす。


「!?」


そして地面が揺れるとアリエルの下から巨大な炎の柱が飛び出しアリエルを包み込んだ。
攻撃をまともに喰らったアリエルは炎が消えると体が傷だらけになっており、膝をついて「はぁ、はぁ」と息を切らしながらレオを睨みつけた。


「お前の出来ることくらいオレにだって出来んだよ!このバーカ!!!」

「馬鹿って、、、言ったじゃない!!!」


怒ったアリエルが手のひらをレオに向けると、手から無数の泡が一直線に飛び出し、レオに向かって襲いかかる。
レオは泡の攻撃を細かく避けるも、途中で何回か喰らってしまい遠くに吹き飛ばされた。

しかし、すぐに立ち上がり拳に炎を纏ってアリエルに向かって走り出す。アリエルもさらに同じく拳に泡を纏わせてレオに向かって走り出した。
お互いのレイズを纏った拳が相手の顔に差し掛かったとき。


《ビィィィィ!!!!》


試合終了のベルが鳴り響いた。
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