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ヒューナ村
兄弟喧嘩
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ここは小さな村ヒューナにある学校。
この村に住むのはお年寄りから小さな子供まで幅広い世代だが、人口は他の集落に比べると少ない方だ。
学校も1クラスしかなく学年問わず、通っている生徒は全員同じクラス。
「おはよう!」
デイジーが元気に教室の扉を開けると、自分達より小さい子供が数名、デイジーに気づき「おはよう、デイジー!」と笑顔で駆け寄ってきた。
「あ!レオ!昨日の勝負の続き、今日できるよね!?」
「あ!?昨日の勝負って薪割りだろ?ありゃ俺の勝ちじゃねぇかよ」
「違うよ!ボクの方がいっぱい割ってたもん!」
「ねぇ、リオぉ」
「おはよう、どうしたの?」
「あのね、、、昨日、綺麗なお花見つけたの、、、これ、よかったら、、、」
「可愛いお花だね。ありがとう!」
デイジーの後ろにいたレオとリオに気づいた他の生徒達もそれぞれ楽しそうに話かける。
デイジーは今朝の夢のことを忘れ嬉しそうにいつもの学校のその光景を眺めていると、誰かに洋服の裾を引っ張られた。振り向くと、小さな女の子が涙目でデイジーを見つめていた。
「おはよう、どうしたの?」
「あ、あのね、、、デイジー」
「何かあったの?」
声をかけた女の子は大粒の涙を流しながら「あっ、、、えっと、、、」と言葉を詰まらせていた。
よくみると、女の子の片膝から血が流れていた。
「もしかして、怪我したの?」
「う、、、ん。今日、ね、、、グスッ、、、学校、、、来る時に、ね、、、転んじゃったのぉ、、、」
泣きながら話す女の子の頭を優しく撫でるとデイジーは「大丈夫だよ、すぐに治すからね。」と言い、血の出ている足に手をかざす。
すると、ポゥと優しい光が女の子の膝を包み込むと、みるみる怪我が小さくなり、最後には綺麗に消えた。
傷ひとつない綺麗な足を見て「どうかな?」と問いかけると、女の子はゆっくり足を曲げ伸ばした。
「わぁ!痛くない!もう痛くないよ!!」
「よかった、今度からは気をつけようね」
「うん!デイジー!ありがとう!」
女の子はお礼を言うと嬉しそうに友達のところへ戻っていった。
一連のやり取りを見ていたリオが、頭に一輪の花を付けてデイジーに声をかけた。
「さすが、デイジーの『レイズ』だね。あっという間に怪我を治せちゃうなんてね」
「そ、そんな大したことじゃないよ」
この世界では生まれつき『レイズ』という不思議な魔法を使えるものがいる。
レイズには、様々な種類があり使える魔法も人それぞれで、デイジーのレイズは治癒の力がある。
「で、でも、リオとレオは『雷』のレイズと『炎』のレイズが使えてすごいよ。私のは完全にサポート系だから、もし戦闘とかになった時は攻撃系のアルマの方がやっぱりいいよね」
「サポートとか関係ないよ。僕はデイジーの治癒のレイズが羨ましいよ」
デイジーは頬を赤く染めながら嬉しそうに「あ、ありがとう」と照れていた。
「はっ!くだんねぇ!サポート系のレイズなんて、戦闘じゃろくに活躍できねぇだろ」
話を聞いていたのか、先程まで男の子と勝負の事で盛り上がっていたレオが、デイジーたちの話に入ってきた。
「活躍なんて、するものじゃないだろう。もし悪い奴が現れた時には、デイジーのレイズはとても役に立つよ」
「そんなもんいらねぇよ。回復薬があればそれで充分だろ。戦う時に足手まといになんだから、余計な荷物が増えるだけだ」
「回復薬だけで全て解決するわけじゃない。そもそもレイズは人を傷つけるためのものじゃないよ」
「出た、きれいごと。さすが優秀なお兄様だこと」
「レオ、お前はどうして人を傷つけるような発言をするんだ」
「うるせぇなぁ」
目の前で壮絶な兄弟喧嘩が繰り広げられ、デイジーを含むクラスメイト達は動揺を隠せずにいた。見ていられなくなったデイジーが「あ、あの、、、!」と声を出した時、教室の扉が開いた。
「な、なんだぁ?なんの騒ぎだこりゃ」
みんなで後ろを振り向くと、担任の先生が驚いた様子で立っていた。
教室へ入ってきた先生は、レオとリオの不機嫌な顔を見るなり「あぁ、またか」とため息混じりに呆れていた。
「ほら、もう授業始めるぞ。お前ら、兄弟喧嘩は家に帰ってからしろ」
「ちっ、うっせぇな」
「レ、レオ・イグトルス、、、!」
担任がレオの態度に苛立ちを見せるとレオは呆れた顔で「はいはい、すんませんでした~」と反省の色が全く見えない態度で、自分の席に着いた。
他の生徒たちも、ぞろぞろと自分の席に座り始めた。
「はぁ、、、」とため息を出しながらも担任は「じゃあ、授業を始めるぞ」と持っていた教材を広げた。
自分の席に着いても、険悪な雰囲気の2人を後ろからデイジーは心配そうに見つめていた。
そしてまた夢で見た人物を思い出した。
“近いうちに会えるよ。『時の巫女』”
夢で現れた仮面をつけた人物は誰だったのか。そして、『時の巫女』とは一体なんなのか。
そんなことを考えながらデイジーは、不安そうに窓から空を見上げていた。
この村に住むのはお年寄りから小さな子供まで幅広い世代だが、人口は他の集落に比べると少ない方だ。
学校も1クラスしかなく学年問わず、通っている生徒は全員同じクラス。
「おはよう!」
デイジーが元気に教室の扉を開けると、自分達より小さい子供が数名、デイジーに気づき「おはよう、デイジー!」と笑顔で駆け寄ってきた。
「あ!レオ!昨日の勝負の続き、今日できるよね!?」
「あ!?昨日の勝負って薪割りだろ?ありゃ俺の勝ちじゃねぇかよ」
「違うよ!ボクの方がいっぱい割ってたもん!」
「ねぇ、リオぉ」
「おはよう、どうしたの?」
「あのね、、、昨日、綺麗なお花見つけたの、、、これ、よかったら、、、」
「可愛いお花だね。ありがとう!」
デイジーの後ろにいたレオとリオに気づいた他の生徒達もそれぞれ楽しそうに話かける。
デイジーは今朝の夢のことを忘れ嬉しそうにいつもの学校のその光景を眺めていると、誰かに洋服の裾を引っ張られた。振り向くと、小さな女の子が涙目でデイジーを見つめていた。
「おはよう、どうしたの?」
「あ、あのね、、、デイジー」
「何かあったの?」
声をかけた女の子は大粒の涙を流しながら「あっ、、、えっと、、、」と言葉を詰まらせていた。
よくみると、女の子の片膝から血が流れていた。
「もしかして、怪我したの?」
「う、、、ん。今日、ね、、、グスッ、、、学校、、、来る時に、ね、、、転んじゃったのぉ、、、」
泣きながら話す女の子の頭を優しく撫でるとデイジーは「大丈夫だよ、すぐに治すからね。」と言い、血の出ている足に手をかざす。
すると、ポゥと優しい光が女の子の膝を包み込むと、みるみる怪我が小さくなり、最後には綺麗に消えた。
傷ひとつない綺麗な足を見て「どうかな?」と問いかけると、女の子はゆっくり足を曲げ伸ばした。
「わぁ!痛くない!もう痛くないよ!!」
「よかった、今度からは気をつけようね」
「うん!デイジー!ありがとう!」
女の子はお礼を言うと嬉しそうに友達のところへ戻っていった。
一連のやり取りを見ていたリオが、頭に一輪の花を付けてデイジーに声をかけた。
「さすが、デイジーの『レイズ』だね。あっという間に怪我を治せちゃうなんてね」
「そ、そんな大したことじゃないよ」
この世界では生まれつき『レイズ』という不思議な魔法を使えるものがいる。
レイズには、様々な種類があり使える魔法も人それぞれで、デイジーのレイズは治癒の力がある。
「で、でも、リオとレオは『雷』のレイズと『炎』のレイズが使えてすごいよ。私のは完全にサポート系だから、もし戦闘とかになった時は攻撃系のアルマの方がやっぱりいいよね」
「サポートとか関係ないよ。僕はデイジーの治癒のレイズが羨ましいよ」
デイジーは頬を赤く染めながら嬉しそうに「あ、ありがとう」と照れていた。
「はっ!くだんねぇ!サポート系のレイズなんて、戦闘じゃろくに活躍できねぇだろ」
話を聞いていたのか、先程まで男の子と勝負の事で盛り上がっていたレオが、デイジーたちの話に入ってきた。
「活躍なんて、するものじゃないだろう。もし悪い奴が現れた時には、デイジーのレイズはとても役に立つよ」
「そんなもんいらねぇよ。回復薬があればそれで充分だろ。戦う時に足手まといになんだから、余計な荷物が増えるだけだ」
「回復薬だけで全て解決するわけじゃない。そもそもレイズは人を傷つけるためのものじゃないよ」
「出た、きれいごと。さすが優秀なお兄様だこと」
「レオ、お前はどうして人を傷つけるような発言をするんだ」
「うるせぇなぁ」
目の前で壮絶な兄弟喧嘩が繰り広げられ、デイジーを含むクラスメイト達は動揺を隠せずにいた。見ていられなくなったデイジーが「あ、あの、、、!」と声を出した時、教室の扉が開いた。
「な、なんだぁ?なんの騒ぎだこりゃ」
みんなで後ろを振り向くと、担任の先生が驚いた様子で立っていた。
教室へ入ってきた先生は、レオとリオの不機嫌な顔を見るなり「あぁ、またか」とため息混じりに呆れていた。
「ほら、もう授業始めるぞ。お前ら、兄弟喧嘩は家に帰ってからしろ」
「ちっ、うっせぇな」
「レ、レオ・イグトルス、、、!」
担任がレオの態度に苛立ちを見せるとレオは呆れた顔で「はいはい、すんませんでした~」と反省の色が全く見えない態度で、自分の席に着いた。
他の生徒たちも、ぞろぞろと自分の席に座り始めた。
「はぁ、、、」とため息を出しながらも担任は「じゃあ、授業を始めるぞ」と持っていた教材を広げた。
自分の席に着いても、険悪な雰囲気の2人を後ろからデイジーは心配そうに見つめていた。
そしてまた夢で見た人物を思い出した。
“近いうちに会えるよ。『時の巫女』”
夢で現れた仮面をつけた人物は誰だったのか。そして、『時の巫女』とは一体なんなのか。
そんなことを考えながらデイジーは、不安そうに窓から空を見上げていた。
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