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5話 謝らないと……
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エリーゼは王都で有名なチョコレートのギフトボックスを購入して、ヒルトクライス公爵家へやってきた。物凄く立派な屋敷は、城でもないのに両端に先塔があり置くまで見えない。……先触れとか従者もいないのにどうすればいいのだろうか……?私は屋敷の凄さにすごすごと家に帰り、文を出す事にした。戸棚から封筒と便箋の入った箱を取り出した。と同時に下の箱が落ちて中に入った手紙がばら撒かれた。家紋ではなくAの文字の封蝋だった。私は悲しい気持ちで手紙を拾い箱に仕舞った。それは母宛の手紙だ。家族の誰にも見せたくなかった。特に父には!
エリーゼは家に帰り、公爵様にお会いしたいという趣旨といつ頃お時間宜しいかと日時を尋ねる手紙を書いた。お菓子の賞味期限もあるので、”できるだけ早くお会いしたい”とメッセージを一言添えた。
翌日、朝一番に公爵様から手紙が届いた。しかも、郵便ではなくこないだの年嵩の執事さんーがわざわざ届けてくれた。ヒルトクライス公爵家の鷹の紋章が金色の封蝋で封がされている。私は中から手紙を取り出した。几帳面に真っ直ぐ並んだ文字に真面目な性格が伺えた。用件のみのその手紙には今日のお茶の時間に迎えを寄越すとのことだった。手紙を読み終えると執事がエリーゼに気遣わしげに声を掛けた。
「ご予定は宜しいでしょうか?」
「えぇ、問題ございません」
老執事は安堵に胸を撫で下ろした。
「私の主人のヒルトクライス公爵も大変楽しみにしておられました。心よりお待ち申し上げます」
エリーゼは老執事の言葉を社交辞令と思い、真に受けず自身も楽しみにしてると社交辞令を述べた。
エリーゼはいつもの川辺に来ていた。そこは王都の中を流れる生活用水の放水路で幅は広くない。柔軟体操、発声練習、腹筋運動、バレエ等のいつもの日課を行い、家に戻って着換え、ボルガス商会の会長宅へ向かった。家庭教師の時間だった。双子の兄妹のカストルとポルチェだ。まだ7才の二人はとてもエリーゼに懐いていた。授業を終えカストルとポルチェに別れを告げ、自室に戻って貴族令嬢が着るようなドレスを身につけ支度をして、鏡台の上を見て、あのパープルダイヤを身に着けた。
(礼儀として身につけるべきよね。それに置いていくには盗難とかが心配だしね)
姿見で身だしなみを確認していると、ドアをドアノッカーで叩く音がして、エリーゼはドアを開けた。そこには今朝手紙を届けに来た老執事が立っていた。
エリーゼは家に帰り、公爵様にお会いしたいという趣旨といつ頃お時間宜しいかと日時を尋ねる手紙を書いた。お菓子の賞味期限もあるので、”できるだけ早くお会いしたい”とメッセージを一言添えた。
翌日、朝一番に公爵様から手紙が届いた。しかも、郵便ではなくこないだの年嵩の執事さんーがわざわざ届けてくれた。ヒルトクライス公爵家の鷹の紋章が金色の封蝋で封がされている。私は中から手紙を取り出した。几帳面に真っ直ぐ並んだ文字に真面目な性格が伺えた。用件のみのその手紙には今日のお茶の時間に迎えを寄越すとのことだった。手紙を読み終えると執事がエリーゼに気遣わしげに声を掛けた。
「ご予定は宜しいでしょうか?」
「えぇ、問題ございません」
老執事は安堵に胸を撫で下ろした。
「私の主人のヒルトクライス公爵も大変楽しみにしておられました。心よりお待ち申し上げます」
エリーゼは老執事の言葉を社交辞令と思い、真に受けず自身も楽しみにしてると社交辞令を述べた。
エリーゼはいつもの川辺に来ていた。そこは王都の中を流れる生活用水の放水路で幅は広くない。柔軟体操、発声練習、腹筋運動、バレエ等のいつもの日課を行い、家に戻って着換え、ボルガス商会の会長宅へ向かった。家庭教師の時間だった。双子の兄妹のカストルとポルチェだ。まだ7才の二人はとてもエリーゼに懐いていた。授業を終えカストルとポルチェに別れを告げ、自室に戻って貴族令嬢が着るようなドレスを身につけ支度をして、鏡台の上を見て、あのパープルダイヤを身に着けた。
(礼儀として身につけるべきよね。それに置いていくには盗難とかが心配だしね)
姿見で身だしなみを確認していると、ドアをドアノッカーで叩く音がして、エリーゼはドアを開けた。そこには今朝手紙を届けに来た老執事が立っていた。
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