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閑話 乙女ゲームのヒロインに転生したけど足掻きたい1話
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ここは知ってる。『救国のヴァルキリア』のカタトルキア帝国学院の校舎が目の前に建っていた。自分の髪の毛見れば、アニメのようなピンク色で私がヒロインのキャロライン・エイルだとわかる。何故か私は今日が入学式だとわかった私は、講堂へ向かった。
新入生代表挨拶はクリフだった。
うぁ~クリフが動いてる。格好いい!こんな夢を見るなんてついてる。
だけど、何日経っても目なんて覚めなかった。
どうしよう~!目が覚めない。弟が待ってるのに、早く帰らないといけない!
私の両親は私が中学3年生の時に交通事故で亡くなった。弟は中学1年生だった。相手がほぼ悪い事故なので賠償金や保険金それに遺族年金、恩給に公務員だった両親の退職金などが私達兄弟に支払われ、お金には困らなかった。親戚達は優しく、親身になってくれた、最初は。でも1年ほど経って自身が窮地に陥ると金を無心してきた。一人に渡せば『私にも』と次々言われ、断れば『面倒見てやったのに』『薄情者』など文句を言って罵られた。だから私は信じられるのは結局家族だけと学んだ。でも、恨んではない。そういうものだと思っている。私自身も両親がお金を遺してくれなければ、他人に『助けてくれ』と乞うていただろから。私はお姉ちゃんだから弟を守らなくてはならない。だからどうしても帰りたい。帰るにはどうすればいいのか?思いつくのはハッピーエンドに導くことか死ぬことぐらいだ。ハッピーエンドとはなんだろうか?恋を実らせること?それとも戦争回避か?または両方か?
幸いなことにこの国の常識や言語、そして家の住所や家族構成等の個人情報は考えると何故かわかった。キャロラインの家族は文官の父親に高官補佐の母と5歳の弟だった。弟は昼間は近所のおばさんに給金を払って見てもらっている。
私が狙うのはクリフ皇子だ。彼が一番この国の影響力があるから戦争回避しやすいだろうという選択だった。
まずは勉強して、成績優秀者として生徒会に入らなきゃ!
半年後、無事生徒会に入れた。『救ヴァル』は生徒会前の6ヶ月は主にステータスを上げるのが必要だった。この一年、なんとか生徒会役員候補のクリフ、アルト、ジークとは出会いのイベントをこなしただけだった。
イベントをこなすのが相当難しかった。ゲームの内容は覚えていても出会える日時がわからない。休み時間毎にそこに行っては見るが中々出会えない。万が一後を付けて見つかったら、不審者扱いされ攻略の目は詰んでしまうからだ。でも、一番の問題は私自身のコミュニケーションスキルだ。私は笑顔をつくるのも下手だし、泣いたりなんかも出来ない。物心つく頃には泣くことは屈辱感があり、小学校に上がればそれは敗北を示した。そうして泣けなくなった私は両親の葬式でも涙の一滴も出なかった。こんな日ぐらいばい泣いてもいいと思っていたのに。
男子には『怖い』と言われ、小学校の時掃除をサボる男子を注意したら間違って『お母さん』と呼ばれたこともあった。ヒロインみたいに愛らしく振る舞うことは出来なかった。
私は途方に暮れてしまった。ヒロインたる私にはこの国を救う責任がある。
新入生代表挨拶はクリフだった。
うぁ~クリフが動いてる。格好いい!こんな夢を見るなんてついてる。
だけど、何日経っても目なんて覚めなかった。
どうしよう~!目が覚めない。弟が待ってるのに、早く帰らないといけない!
私の両親は私が中学3年生の時に交通事故で亡くなった。弟は中学1年生だった。相手がほぼ悪い事故なので賠償金や保険金それに遺族年金、恩給に公務員だった両親の退職金などが私達兄弟に支払われ、お金には困らなかった。親戚達は優しく、親身になってくれた、最初は。でも1年ほど経って自身が窮地に陥ると金を無心してきた。一人に渡せば『私にも』と次々言われ、断れば『面倒見てやったのに』『薄情者』など文句を言って罵られた。だから私は信じられるのは結局家族だけと学んだ。でも、恨んではない。そういうものだと思っている。私自身も両親がお金を遺してくれなければ、他人に『助けてくれ』と乞うていただろから。私はお姉ちゃんだから弟を守らなくてはならない。だからどうしても帰りたい。帰るにはどうすればいいのか?思いつくのはハッピーエンドに導くことか死ぬことぐらいだ。ハッピーエンドとはなんだろうか?恋を実らせること?それとも戦争回避か?または両方か?
幸いなことにこの国の常識や言語、そして家の住所や家族構成等の個人情報は考えると何故かわかった。キャロラインの家族は文官の父親に高官補佐の母と5歳の弟だった。弟は昼間は近所のおばさんに給金を払って見てもらっている。
私が狙うのはクリフ皇子だ。彼が一番この国の影響力があるから戦争回避しやすいだろうという選択だった。
まずは勉強して、成績優秀者として生徒会に入らなきゃ!
半年後、無事生徒会に入れた。『救ヴァル』は生徒会前の6ヶ月は主にステータスを上げるのが必要だった。この一年、なんとか生徒会役員候補のクリフ、アルト、ジークとは出会いのイベントをこなしただけだった。
イベントをこなすのが相当難しかった。ゲームの内容は覚えていても出会える日時がわからない。休み時間毎にそこに行っては見るが中々出会えない。万が一後を付けて見つかったら、不審者扱いされ攻略の目は詰んでしまうからだ。でも、一番の問題は私自身のコミュニケーションスキルだ。私は笑顔をつくるのも下手だし、泣いたりなんかも出来ない。物心つく頃には泣くことは屈辱感があり、小学校に上がればそれは敗北を示した。そうして泣けなくなった私は両親の葬式でも涙の一滴も出なかった。こんな日ぐらいばい泣いてもいいと思っていたのに。
男子には『怖い』と言われ、小学校の時掃除をサボる男子を注意したら間違って『お母さん』と呼ばれたこともあった。ヒロインみたいに愛らしく振る舞うことは出来なかった。
私は途方に暮れてしまった。ヒロインたる私にはこの国を救う責任がある。
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