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87話 夜会
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昨日はエステをしてお肌はツルツルで髪はテゥルンテゥルンです。好きでもない相手に気合を入れてどうしたって!? いやいや、夜会は戦場です。ハサンは男性にあれですけど、イケメンで第五王子で気さくで(ヘラヘラしてるとも言うけど)女子には割と人気があるんです。女のマウンティングに負けるのは嫌なんで、私の持てる力の限り最上級に美しく仕上げました。自慢プラチナブロンドはストレートロングにしました。でも短いんでお父様が買い戻した髪をエクステにしたんです。1日がかりで……この世界にないので試行錯誤で大変だった。
ハサンの白い宮廷服は銀糸で彼の民族特有のオリエンタル刺繍がされていて、合わせて私もリボンやフリルはやめてブルーのサテンのシンプルなドレスに彼と対になるようなオリエンタルな刺繍と施した。繊細な刺繍は繊細で美しく仕上がりでジュエリーに負けない存在感がある。私はドレスをきて満足気に頷いた。
そろそろハサンが迎えに来る時間なので、玄関ホールに向かうとお父様がそわそわした様子でいた。お父様はまだハサンとの婚約に反対してたが、私が”あまり反対されると思い詰めて駆け落ちするかもしれない”と匂わせたら、”様子を見る”と言ていた。私のことで右往左往しているお父様の姿をみて、疑いようのない愛情に嬉しくなった私はようやく許してあげることにした。お父様の正面に立ちお父様に抱きついた。
「お父様、大好きです」
「エリカ……わ、私もだ。愛してる」
私を抱きしめるお父様。幼かった私が欲しかったモノを漸く手に入れた。
暫くしてハサンがやってきた。
「婚約を許した訳じゃないぞ!」
辺りが凍りそうなほど冷たい表情と声でお父様は言ったが、ハサンは臆することな接している。
「もちろん、許していただけるまで頑張ります。エリカさんを幸せにするなどと大それたことは申し上げられませんが、彼女を裏切るような真似は絶対しません」
「幸せに必ず出来るやつにしか嫁がせん!」
「お父様……時間がありません。では行ってきますね」
私はハサンを馬車に押し込んだ。
「ドレス、似合ってる。すごく綺麗だ」
「ありがとう。ハサン様もとても素敵です」
流石、攻略対象だ。この国トップレベルのイケメンだから何を着ても似合う。
「でも、無理してお世辞を言わなくてもいいんですよ?」
「本当にそう思ったからそう言ったまでだ。きっと会場中の男がエリカに惚れるよ」
何だよ、真顔で軽口言わないでよ。真に受けたらどうするんだ。
「もうっ、適当なこと言わないでよ。そんなわけないじゃない。それに容姿やスペックだけで寄ってくるそんな軽い男性はお断りです」
「そっか……そうだな」
ハサンの腕に手を回して仲睦まじい様子で大広間に入ると、視線が私達に集まった。ヒソヒソと私達を見ながら扇で口元を隠して囁く貴婦人たちやがっくりと肩を落とす私に手紙を送ってきた男性達がいる。
私達はダンスを踊ったり、愛を囁き合うように話したりしけど、実際は愛は囁いてない。フリだけだ。
会場にはクリフ様にナターシャ王女様にジーク、アグネス様やそのお友達も来ていた。
「エリカの義兄ヤバくない?」
私は頷いた。
「あれには必要以上に関わらないことを進めるわ。ららに手でも出したら殺されるわよ」
「……あー気をつけるわ」
「ちょっと化粧室に行ってきていいかしら?」
「おう!ここで待ってるよ」
私は大広間を出て化粧室に向かった。
「クスクスッ!ねぇパウロ、私のこと愛してる?」
聞き覚えある鈴がなるような可愛らしい声。私は声のほうに向かって緊張しながらゆっくりと歩んだ。
ハサンの白い宮廷服は銀糸で彼の民族特有のオリエンタル刺繍がされていて、合わせて私もリボンやフリルはやめてブルーのサテンのシンプルなドレスに彼と対になるようなオリエンタルな刺繍と施した。繊細な刺繍は繊細で美しく仕上がりでジュエリーに負けない存在感がある。私はドレスをきて満足気に頷いた。
そろそろハサンが迎えに来る時間なので、玄関ホールに向かうとお父様がそわそわした様子でいた。お父様はまだハサンとの婚約に反対してたが、私が”あまり反対されると思い詰めて駆け落ちするかもしれない”と匂わせたら、”様子を見る”と言ていた。私のことで右往左往しているお父様の姿をみて、疑いようのない愛情に嬉しくなった私はようやく許してあげることにした。お父様の正面に立ちお父様に抱きついた。
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辺りが凍りそうなほど冷たい表情と声でお父様は言ったが、ハサンは臆することな接している。
「もちろん、許していただけるまで頑張ります。エリカさんを幸せにするなどと大それたことは申し上げられませんが、彼女を裏切るような真似は絶対しません」
「幸せに必ず出来るやつにしか嫁がせん!」
「お父様……時間がありません。では行ってきますね」
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「ドレス、似合ってる。すごく綺麗だ」
「ありがとう。ハサン様もとても素敵です」
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「でも、無理してお世辞を言わなくてもいいんですよ?」
「本当にそう思ったからそう言ったまでだ。きっと会場中の男がエリカに惚れるよ」
何だよ、真顔で軽口言わないでよ。真に受けたらどうするんだ。
「もうっ、適当なこと言わないでよ。そんなわけないじゃない。それに容姿やスペックだけで寄ってくるそんな軽い男性はお断りです」
「そっか……そうだな」
ハサンの腕に手を回して仲睦まじい様子で大広間に入ると、視線が私達に集まった。ヒソヒソと私達を見ながら扇で口元を隠して囁く貴婦人たちやがっくりと肩を落とす私に手紙を送ってきた男性達がいる。
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「クスクスッ!ねぇパウロ、私のこと愛してる?」
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