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68話
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今、私はベットに腰掛けている。そして足元には素敵な筋肉をお持ちのエバンが正座の形でお座りしている。
足を組んで、彼の方につま先を向けた。
「舐めて」
「えっ!?」
喜色を浮かべて、私を彼は見上げた。まるで、おやつを思いがけずに貰った犬みたいに……思いがけない反応にくすりと笑ってしまう。
ナイトシューズを脱がせ、彼は丁重持ち舌を出し……ゆっくりと近づくから、期待して待ち遠しくて、痺れるような快感を身に宿す。彼が親指を加えた瞬間、快感に身を震わせた。今日はおかしなことに格別気持ちがいい……。足の甲から指の間まで彼の舌が這う。落胆する
「はぁ……つぅ……上手ね……あっ……くすぐったい」
足の裏はちょっとこそばゆい。散々足を舐め尽くしたエバンは私を強請るように上目遣いで見ている。サイドテーブルの引き出しから革で出来たリードを取り出して、私が以前付けた首輪に付けた。頬を染めながら驚いているエバンが大人の男性なのにかわいらしいかった。
「あ、ありがとうございます。姫に一生お仕えします。俺の身も心も全て姫に捧げます」
顎を掴んで上向きにしてキスを与えた。甘い吐息が彼から溢れた。しかし、なんだかしっくりこない。私と彼との関係はこんなんじゃない気がした。もっと大切存在だと思う。
――…………あと何をしてあげたら、エバンは喜んでくれるかしら!?
頭の中で一生懸命考えてみる。……思い浮かばない。火照る体が邪魔をして、いい考えが思い浮かばない。
「ねぇ、本当はどうしてほしいの?」
黙って俯くエバン。疼く体を精神力で律する。鞭打たれなら行った厳しい教育の賜物だ。
――そんなに言いにくいことなのかしら? ものすごいことだったらどうしよう……。痛いのとか排泄関係とか流石に無理なんだけど。
「そんなに難しいことなのかしら? 幻滅なんてしないから教えて頂戴」
「はぁ……すごく情けなくてかっこ悪いことなんだ」
「どんなあなたでも私は好きだから教えて」
「あた……を撫でて、ほ…てほしい」
ボソボソと言うもんだからあまり聞こえなかった。
「えっ? どこを撫でてほしいの?」
「頭を撫でて、褒めてほしいんだ」
「えっ!?」
あまりにささやかで拍子抜けしてしまう。
「やっぱり情けないやつだって、男らしくないって幻滅するだろう」
「あまりにも可愛らしくて、愛おしいお願いだから、ふふっ、キュンとしちゃったわ。もちろん是非してあげたいわ。いくらでも」
なんて可愛らしい人なんだろう。筋骨隆々としたその男らしい容貌とは真逆の愛らしさにギャップ萌してしまう。
「……膝枕も」
「はいどうぞ」
私の膝枕で寝ているエバンのコシがあって艷やかな髪を撫でる。
「エバンは最年少で騎士団長になってすごいわ」
「へへっ」
彼は少年のように照れた笑いを浮かべた。
「それにこの手、すっごくいっぱい訓練頑張ったのね」
アリスの柔らかい手とは違い、肉刺が硬くなった大きな手がその様を物語っている。アリスの手はとても可愛らしいんだけどね。
「ああ、騎士団長の息子だったから、他の子に負けるわけにはいかなくて人一倍剣を握ったな」
たくさん撫でてあげる。
「羨ましかったんだ。他所の子が、親に褒められて頭を撫でて貰ってるのが……。母は早くに亡くなって、父は無骨な人だから褒められたことが無かったんだ」
「そっか……」
「だから一度でいいから褒めてほしくて、がむしゃらに頑張って雨が降っても、風が強くても欠かさず毎日剣を振っていたな」
「すごいね、大変だったね。毎日偉かったね」
「うん……撫でられるのってこんなに気持ちいいもんなんだな」
「いつも守ってくれてありがとう」
「うん、ありがとうって言ってくれてありがとう」
エバンが私の腰に抱きつく。
「大好きだよ」
髪にキスを落とした。
「俺も……」
エバンが寝るまで撫でてあげた。
気づくと、綺麗に寝衣を着せられ、ベットで寝ていた。エバンは隣にいなかった。サイドテーブルにはメモが残されていた。
‘’淋しい想いをさせて、ごめんな。朝までいて誰かに見られたら、都合が悪いと思って。愛してるよ。 エバン‘’
確かにメイドに見つかったら、面倒だと思うけど、こういう配慮は大人だなと思うけど、やっぱり少し淋しいなと思った。
「ああーーーーーー!」
昨晩はやらかしてしまった。どうにもおかしい。私はチョコレートを疑って、アンネの元へ向かった。
足を組んで、彼の方につま先を向けた。
「舐めて」
「えっ!?」
喜色を浮かべて、私を彼は見上げた。まるで、おやつを思いがけずに貰った犬みたいに……思いがけない反応にくすりと笑ってしまう。
ナイトシューズを脱がせ、彼は丁重持ち舌を出し……ゆっくりと近づくから、期待して待ち遠しくて、痺れるような快感を身に宿す。彼が親指を加えた瞬間、快感に身を震わせた。今日はおかしなことに格別気持ちがいい……。足の甲から指の間まで彼の舌が這う。落胆する
「はぁ……つぅ……上手ね……あっ……くすぐったい」
足の裏はちょっとこそばゆい。散々足を舐め尽くしたエバンは私を強請るように上目遣いで見ている。サイドテーブルの引き出しから革で出来たリードを取り出して、私が以前付けた首輪に付けた。頬を染めながら驚いているエバンが大人の男性なのにかわいらしいかった。
「あ、ありがとうございます。姫に一生お仕えします。俺の身も心も全て姫に捧げます」
顎を掴んで上向きにしてキスを与えた。甘い吐息が彼から溢れた。しかし、なんだかしっくりこない。私と彼との関係はこんなんじゃない気がした。もっと大切存在だと思う。
――…………あと何をしてあげたら、エバンは喜んでくれるかしら!?
頭の中で一生懸命考えてみる。……思い浮かばない。火照る体が邪魔をして、いい考えが思い浮かばない。
「ねぇ、本当はどうしてほしいの?」
黙って俯くエバン。疼く体を精神力で律する。鞭打たれなら行った厳しい教育の賜物だ。
――そんなに言いにくいことなのかしら? ものすごいことだったらどうしよう……。痛いのとか排泄関係とか流石に無理なんだけど。
「そんなに難しいことなのかしら? 幻滅なんてしないから教えて頂戴」
「はぁ……すごく情けなくてかっこ悪いことなんだ」
「どんなあなたでも私は好きだから教えて」
「あた……を撫でて、ほ…てほしい」
ボソボソと言うもんだからあまり聞こえなかった。
「えっ? どこを撫でてほしいの?」
「頭を撫でて、褒めてほしいんだ」
「えっ!?」
あまりにささやかで拍子抜けしてしまう。
「やっぱり情けないやつだって、男らしくないって幻滅するだろう」
「あまりにも可愛らしくて、愛おしいお願いだから、ふふっ、キュンとしちゃったわ。もちろん是非してあげたいわ。いくらでも」
なんて可愛らしい人なんだろう。筋骨隆々としたその男らしい容貌とは真逆の愛らしさにギャップ萌してしまう。
「……膝枕も」
「はいどうぞ」
私の膝枕で寝ているエバンのコシがあって艷やかな髪を撫でる。
「エバンは最年少で騎士団長になってすごいわ」
「へへっ」
彼は少年のように照れた笑いを浮かべた。
「それにこの手、すっごくいっぱい訓練頑張ったのね」
アリスの柔らかい手とは違い、肉刺が硬くなった大きな手がその様を物語っている。アリスの手はとても可愛らしいんだけどね。
「ああ、騎士団長の息子だったから、他の子に負けるわけにはいかなくて人一倍剣を握ったな」
たくさん撫でてあげる。
「羨ましかったんだ。他所の子が、親に褒められて頭を撫でて貰ってるのが……。母は早くに亡くなって、父は無骨な人だから褒められたことが無かったんだ」
「そっか……」
「だから一度でいいから褒めてほしくて、がむしゃらに頑張って雨が降っても、風が強くても欠かさず毎日剣を振っていたな」
「すごいね、大変だったね。毎日偉かったね」
「うん……撫でられるのってこんなに気持ちいいもんなんだな」
「いつも守ってくれてありがとう」
「うん、ありがとうって言ってくれてありがとう」
エバンが私の腰に抱きつく。
「大好きだよ」
髪にキスを落とした。
「俺も……」
エバンが寝るまで撫でてあげた。
気づくと、綺麗に寝衣を着せられ、ベットで寝ていた。エバンは隣にいなかった。サイドテーブルにはメモが残されていた。
‘’淋しい想いをさせて、ごめんな。朝までいて誰かに見られたら、都合が悪いと思って。愛してるよ。 エバン‘’
確かにメイドに見つかったら、面倒だと思うけど、こういう配慮は大人だなと思うけど、やっぱり少し淋しいなと思った。
「ああーーーーーー!」
昨晩はやらかしてしまった。どうにもおかしい。私はチョコレートを疑って、アンネの元へ向かった。
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