★完結 【R18】変態だらけの18禁乙女ゲーム世界に転生したから、死んで生まれ変わりたい

石原 ぴと

文字の大きさ
上 下
64 / 82

58話

しおりを挟む
「おはようございます」

 メイドのリサが、カーテンを開けた。朝の眩い光が一気に部屋に差し込んで、眩しい。慌てて起き上がるが、アリスは隣にいなく、服も着ていて体も綺麗になっている。

――コポリ……

 ショーツが濡れる。中から白濁とした液体が溢れたのだろうと人知れず羞恥に悶える。

「湯浴みの用意をお願い」
「かしこまりました。お顔が赤いですけど、どうしされましたか? ……まさかお熱でも!?」
「大丈夫だから……早く用意して」

 リサを部屋から追い出した。
 ベットサイドテーブルの引き出しから丸薬を一つ出して飲み込んだ。避妊薬である。





「かわいいわ」
「……ただのトマトにしか見えませんが?」

 エバンが不思議そうに私を見つめた。

「だって私に食べられるためにこんなにすくすく育ってくれたのよ。ありがとうトマトちゃんって思わない!?」
「…………そ、うですね」

 今絶賛エバン二人でお庭のトマトを収穫中である。庭師の魔法で早く育ったトマトは真っ赤でとても可愛いのに、エバンには理解されなかった。

「休憩しましょうか」

 ずっと水やりや収穫などをしていたので、腰が痛くなってきた。
 木陰にエバンと腰掛ける。

「はい……美味しい」

 エバンにトマトを一つ手渡してから、自分のトマトを袖で拭って、かぶりついた。


「魔物も落ち着いてきてよかったわ。ありがとう」
「いえ、俺なんてまだまだです」
「もう! 謙遜しちゃって……よしよし、何かご褒美ほしい?」

 私はエバンの頭を撫でた。

「いえ……姫の側に入れるだけで十分です」

 エバンの魔物討伐の功績が讃えられ、クリマスタ公爵家の評判も上がった。
 あれから魔物もだいぶ狩り尽くされ、他の街とも行き来出来るようになった。幸い、魔物は人間に目もくれず首都に一心不乱で向かったため、建物の倒壊は酷いが、人の被害は予想より少なく生き残ってる人も多かった。

「何かないの?」
「じゃあ……それ気持ちよかったです」
「??」
「膝枕して頭を撫でてください」
「はい、どうぞ」

 曲げていた足を伸ばした。エバンが横たわって、私の太腿に頭を乗せた。心臓煩い。最近、エバンが距離を少しづつ詰めてくる感じがするけど、嫌じゃないからつきはなせなくて困ってしまう。彼の髪はサラサラで、撫でると心地よい。エバンは破顔した。

――かわいい

 さっき頭を撫でたのだって、エバンに触りたかったからで……嫌じゃないどころか本当は嬉しい。エバンが命がけで私を守ってくれたから、全幅の信頼を寄せてしまっている。胸はドキドキするけど、温かい感情が満ちている。

――なんだか幸せだわ

「俺、幸せです」

 食べる物も以前と比べ質素だし、街もボロボロだけど、こういう平凡なひとときに幸福を感じる。

「私もそう思ってたの」

 同じ想いが嬉しい。

「俺……自惚れていい?」

 エバンが私の手を取り、指に唇をあてた。もう私の気持ちは誤魔化せない。けどアリスに申し訳なくて、こっそり頷いた。

「ははっ嬉しい」

 エバンが膝に寝転んだまま、私の腰に抱きついた。

「キスしていい?」

 私は慌てる。エバンが起き上がって……近づいてくる顔に思わず俯いて……

「もう逃さない。アリスにも渡さない」

 エバンが私の顎を取り、上を向かせて唇を合わせた。何度も何度も唇を許した。

「アルセナ姫、世界で一番愛してる」

 彼が私を抱きしめる。私も……世界で一番愛してるなんて言えなくて、心に鉛が落ちていく。それでもエバンの背中に腕を回した。
しおりを挟む
感想 15

あなたにおすすめの小説

【R18】幼馴染がイケメン過ぎる

ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。 幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。 幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。 関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。

キャンプに行ったら異世界転移しましたが、最速で保護されました。

新条 カイ
恋愛
週末の休みを利用してキャンプ場に来た。一歩振り返ったら、周りの環境がガラッと変わって山の中に。車もキャンプ場の施設もないってなに!?クマ出現するし!?と、どうなることかと思いきや、最速でイケメンに保護されました、

えっ、これってバッドエンドですか!?

黄昏くれの
恋愛
ここはプラッツェン王立学園。 卒業パーティというめでたい日に突然王子による婚約破棄が宣言される。 あれ、なんだかこれ見覚えがあるような。もしかしてオレ、乙女ゲームの攻略対象の一人になってる!? しかし悪役令嬢も後ろで庇われている少女もなんだが様子がおかしくて・・・? よくある転生、婚約破棄モノ、単発です。

悪役令嬢の生産ライフ

星宮歌
恋愛
コツコツとレベルを上げて、生産していくゲームが好きなしがない女子大生、田中雪は、その日、妹に頼まれて手に入れたゲームを片手に通り魔に刺される。 女神『はい、あなた、転生ね』 雪『へっ?』 これは、生産ゲームの世界に転生したかった雪が、別のゲーム世界に転生して、コツコツと生産するお話である。 雪『世界観が壊れる? 知ったこっちゃないわっ!』 無事に完結しました! 続編は『悪役令嬢の神様ライフ』です。 よければ、そちらもよろしくお願いしますm(_ _)m

悪役令嬢が美形すぎるせいで話が進まない

陽炎氷柱
恋愛
「傾国の美女になってしまったんだが」 デブス系悪役令嬢に生まれた私は、とにかく美しい悪の華になろうとがんばった。賢くて美しい令嬢なら、だとえ断罪されてもまだ未来がある。 そう思って、前世の知識を活用してダイエットに励んだのだが。 いつの間にかパトロンが大量発生していた。 ところでヒロインさん、そんなにハンカチを強く嚙んだら歯並びが悪くなりますよ?

婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?

こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。 「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」 そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。 【毒を検知しました】 「え?」 私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。 ※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです

困りました。縦ロールにさよならしたら、逆ハーになりそうです。《改訂版》

新 星緒
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢アニエス(悪質ストーカー)に転生したと気づいたけれど、心配ないよね。だってフラグ折りまくってハピエンが定番だもの。 趣味の悪い縦ロールはやめて性格改善して、ストーカーしなければ楽勝楽勝! ……って、あれ? 楽勝ではあるけれど、なんだか思っていたのとは違うような。 想定外の逆ハーレムを解消するため、イケメンモブの大公令息リュシアンと協力関係を結んでみた。だけどリュシアンは、「惚れた」と言ったり「からかっただけ」と言ったり、意地悪ばかり。嫌なヤツ! でも実はリュシアンは訳ありらしく……

【完結】番である私の旦那様

桜もふ
恋愛
異世界であるミーストの世界最強なのが黒竜族! 黒竜族の第一皇子、オパール・ブラック・オニキス(愛称:オール)の番をミースト神が異世界転移させた、それが『私』だ。 バールナ公爵の元へ養女として出向く事になるのだが、1人娘であった義妹が最後まで『自分』が黒竜族の番だと思い込み、魅了の力を使って男性を味方に付け、なにかと嫌味や嫌がらせをして来る。 オールは政務が忙しい身ではあるが、溺愛している私の送り迎えだけは必須事項みたい。 気が抜けるほど甘々なのに、義妹に邪魔されっぱなし。 でも神様からは特別なチートを貰い、世界最強の黒竜族の番に相応しい子になろうと頑張るのだが、なぜかディロ-ルの侯爵子息に学園主催の舞踏会で「お前との婚約を破棄する!」なんて訳の分からない事を言われるし、義妹は最後の最後まで頭お花畑状態で、オールを手に入れようと男の元を転々としながら、絡んで来ます!(鬱陶しいくらい来ます!) 大好きな乙女ゲームや異世界の漫画に出てくる「私がヒロインよ!」な頭の変な……じゃなかった、変わった義妹もいるし、何と言っても、この世界の料理はマズイ、不味すぎるのです! 神様から貰った、特別なスキルを使って異世界の皆と地球へ行き来したり、地球での家族と異世界へ行き来しながら、日本で得た知識や得意な家事(食事)などを、この世界でオールと一緒に自由にのんびりと生きて行こうと思います。 前半は転移する前の私生活から始まります。

処理中です...