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58話
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「おはようございます」
メイドのリサが、カーテンを開けた。朝の眩い光が一気に部屋に差し込んで、眩しい。慌てて起き上がるが、アリスは隣にいなく、服も着ていて体も綺麗になっている。
――コポリ……
ショーツが濡れる。中から白濁とした液体が溢れたのだろうと人知れず羞恥に悶える。
「湯浴みの用意をお願い」
「かしこまりました。お顔が赤いですけど、どうしされましたか? ……まさかお熱でも!?」
「大丈夫だから……早く用意して」
リサを部屋から追い出した。
ベットサイドテーブルの引き出しから丸薬を一つ出して飲み込んだ。避妊薬である。
「かわいいわ」
「……ただのトマトにしか見えませんが?」
エバンが不思議そうに私を見つめた。
「だって私に食べられるためにこんなにすくすく育ってくれたのよ。ありがとうトマトちゃんって思わない!?」
「…………そ、うですね」
今絶賛エバン二人でお庭のトマトを収穫中である。庭師の魔法で早く育ったトマトは真っ赤でとても可愛いのに、エバンには理解されなかった。
「休憩しましょうか」
ずっと水やりや収穫などをしていたので、腰が痛くなってきた。
木陰にエバンと腰掛ける。
「はい……美味しい」
エバンにトマトを一つ手渡してから、自分のトマトを袖で拭って、かぶりついた。
「魔物も落ち着いてきてよかったわ。ありがとう」
「いえ、俺なんてまだまだです」
「もう! 謙遜しちゃって……よしよし、何かご褒美ほしい?」
私はエバンの頭を撫でた。
「いえ……姫の側に入れるだけで十分です」
エバンの魔物討伐の功績が讃えられ、クリマスタ公爵家の評判も上がった。
あれから魔物もだいぶ狩り尽くされ、他の街とも行き来出来るようになった。幸い、魔物は人間に目もくれず首都に一心不乱で向かったため、建物の倒壊は酷いが、人の被害は予想より少なく生き残ってる人も多かった。
「何かないの?」
「じゃあ……それ気持ちよかったです」
「??」
「膝枕して頭を撫でてください」
「はい、どうぞ」
曲げていた足を伸ばした。エバンが横たわって、私の太腿に頭を乗せた。心臓煩い。最近、エバンが距離を少しづつ詰めてくる感じがするけど、嫌じゃないからつきはなせなくて困ってしまう。彼の髪はサラサラで、撫でると心地よい。エバンは破顔した。
――かわいい
さっき頭を撫でたのだって、エバンに触りたかったからで……嫌じゃないどころか本当は嬉しい。エバンが命がけで私を守ってくれたから、全幅の信頼を寄せてしまっている。胸はドキドキするけど、温かい感情が満ちている。
――なんだか幸せだわ
「俺、幸せです」
食べる物も以前と比べ質素だし、街もボロボロだけど、こういう平凡なひとときに幸福を感じる。
「私もそう思ってたの」
同じ想いが嬉しい。
「俺……自惚れていい?」
エバンが私の手を取り、指に唇をあてた。もう私の気持ちは誤魔化せない。けどアリスに申し訳なくて、こっそり頷いた。
「ははっ嬉しい」
エバンが膝に寝転んだまま、私の腰に抱きついた。
「キスしていい?」
私は慌てる。エバンが起き上がって……近づいてくる顔に思わず俯いて……
「もう逃さない。アリスにも渡さない」
エバンが私の顎を取り、上を向かせて唇を合わせた。何度も何度も唇を許した。
「アルセナ姫、世界で一番愛してる」
彼が私を抱きしめる。私も……世界で一番愛してるなんて言えなくて、心に鉛が落ちていく。それでもエバンの背中に腕を回した。
メイドのリサが、カーテンを開けた。朝の眩い光が一気に部屋に差し込んで、眩しい。慌てて起き上がるが、アリスは隣にいなく、服も着ていて体も綺麗になっている。
――コポリ……
ショーツが濡れる。中から白濁とした液体が溢れたのだろうと人知れず羞恥に悶える。
「湯浴みの用意をお願い」
「かしこまりました。お顔が赤いですけど、どうしされましたか? ……まさかお熱でも!?」
「大丈夫だから……早く用意して」
リサを部屋から追い出した。
ベットサイドテーブルの引き出しから丸薬を一つ出して飲み込んだ。避妊薬である。
「かわいいわ」
「……ただのトマトにしか見えませんが?」
エバンが不思議そうに私を見つめた。
「だって私に食べられるためにこんなにすくすく育ってくれたのよ。ありがとうトマトちゃんって思わない!?」
「…………そ、うですね」
今絶賛エバン二人でお庭のトマトを収穫中である。庭師の魔法で早く育ったトマトは真っ赤でとても可愛いのに、エバンには理解されなかった。
「休憩しましょうか」
ずっと水やりや収穫などをしていたので、腰が痛くなってきた。
木陰にエバンと腰掛ける。
「はい……美味しい」
エバンにトマトを一つ手渡してから、自分のトマトを袖で拭って、かぶりついた。
「魔物も落ち着いてきてよかったわ。ありがとう」
「いえ、俺なんてまだまだです」
「もう! 謙遜しちゃって……よしよし、何かご褒美ほしい?」
私はエバンの頭を撫でた。
「いえ……姫の側に入れるだけで十分です」
エバンの魔物討伐の功績が讃えられ、クリマスタ公爵家の評判も上がった。
あれから魔物もだいぶ狩り尽くされ、他の街とも行き来出来るようになった。幸い、魔物は人間に目もくれず首都に一心不乱で向かったため、建物の倒壊は酷いが、人の被害は予想より少なく生き残ってる人も多かった。
「何かないの?」
「じゃあ……それ気持ちよかったです」
「??」
「膝枕して頭を撫でてください」
「はい、どうぞ」
曲げていた足を伸ばした。エバンが横たわって、私の太腿に頭を乗せた。心臓煩い。最近、エバンが距離を少しづつ詰めてくる感じがするけど、嫌じゃないからつきはなせなくて困ってしまう。彼の髪はサラサラで、撫でると心地よい。エバンは破顔した。
――かわいい
さっき頭を撫でたのだって、エバンに触りたかったからで……嫌じゃないどころか本当は嬉しい。エバンが命がけで私を守ってくれたから、全幅の信頼を寄せてしまっている。胸はドキドキするけど、温かい感情が満ちている。
――なんだか幸せだわ
「俺、幸せです」
食べる物も以前と比べ質素だし、街もボロボロだけど、こういう平凡なひとときに幸福を感じる。
「私もそう思ってたの」
同じ想いが嬉しい。
「俺……自惚れていい?」
エバンが私の手を取り、指に唇をあてた。もう私の気持ちは誤魔化せない。けどアリスに申し訳なくて、こっそり頷いた。
「ははっ嬉しい」
エバンが膝に寝転んだまま、私の腰に抱きついた。
「キスしていい?」
私は慌てる。エバンが起き上がって……近づいてくる顔に思わず俯いて……
「もう逃さない。アリスにも渡さない」
エバンが私の顎を取り、上を向かせて唇を合わせた。何度も何度も唇を許した。
「アルセナ姫、世界で一番愛してる」
彼が私を抱きしめる。私も……世界で一番愛してるなんて言えなくて、心に鉛が落ちていく。それでもエバンの背中に腕を回した。
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