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15話 やっぱりおかしい。激励パーティー②
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「陛下……」
私が挨拶をしようと腰を折ろうとすると、陛下が途中でそれを制した。アリスには控室に入る前に抱っこから下ろしてもらっている。
国王陛下はアリスに似ている。例えるなら、色っぽくも神々しい大天使様といった風貌で、ウエーブがかった金髪を一つに括っている。とてもこんなに大きな子供が居るように見えない。
「かしこまらなくてよい」
「しかし……」
「それよりお父様って呼んでくれないのか?」
「そんな……」
「私のことはお母様って読んで頂戴。アリスフォードがなんとかやってこれたのは……アルセナ、貴方のおかげなのよ」
「その通りだ」
「大袈裟ですわ。アリスフォード殿下は私がいなくても立派に成長なさっている筈です」
「そなたのことは娘の様に可愛がっておる。何でもかんでも遠慮なく甘えてくれ。だからどうかお父様と呼んでくれ」
「陛下、アルセナは私の……この世で唯一の私の娘です。たとえ陛下であってもそう呼ばせる訳にはいきません。アルセナには、私以外にお父様いりません」
見知った声に振り向けば、大好きなお父様がそこにいた。でも少し怖い顔をしている。そして私の肩に手を置き引き寄せた。
――怒っているのかしら?
「お父様!」
「アルセナ。すごく綺麗だ。そのドレス似合っているよ。いつかアルセナも……社交界の花と呼ばれる日日が……もうすぐかな」
お父様はいつもの柔和な笑みを浮かべた。
「殿下これはお返し致します」
お父様は厳しい態度で、書類の束をアリスに押し付けた。
「お父様」
「殿下みたいな子供は私にはおりません」
「クリマスタ公爵閣下には幼少からお世話になっていて、父みたいにお慕いしていてるので……申し訳ございません」
「それは返します。今後、このような御心使いは不要です」
「僕はクリマスタ家を想って尽力しているだけです」
「そんなことを私は頼んでおりません。ただの一度も。アルセナ、さぁ会場に向おう」
「でもエスコート無しではアルちゃんが恥をかいてしまいます」
「問題ない私がエスコートしますので。ほらアルセナ……」
お父様が腰に手をあて、私が腕を組むように催促したので、お父様の腕に自身の腕を絡めた。
「チッ」
――ん? 誰か舌打ちした? まさかね。
見回してみたが、舌打ちするような人物はいない。
「では陛下、皇后陛下、アリスフォード殿下、ヨハイム殿下失礼致します」
私はお父様と一緒に辞去した。
「えへへ!お父様……大好きです」
「私もアルセナが大好きだよ」
――ガンッ!!!
壁でも蹴ったような大きな音が響いた。足を止め振り返ったが誰もいない。
――王族の控室からかしら? 大丈夫なのかな?
「アルセナ、問題ないから気にするな」
私は大好きなお父様にー手を引かれて会場に向かった。
会場には魔石灯の国内最大級のシャンデリアがキラキラと頭上に輝いていて、足元を明るく照らしている。会場の半数は騎士様だ。
――かっこいい。素敵すぎる!あんな素敵な騎士様に愛を囁かれたい……
男性は騎士服着ると三割増でかっこよくなると思う。隣のお父様という美丈夫を見た。
――お父様が騎士服を着たら国宝級にかっこいいのに……なんでお父様は官吏なんだ!勿体無い。
煩悩にまみれているうちに、静まりかえった会場に王族が入場した。
アリスもヨハイム殿下も国王陛下もとってもキラキラして王子様然として素敵である姿を見て、令嬢だけではなく婦人も息を呑み、溜息を吐いた。
――アリスもヨハイム殿下もかっこよすぎる
最近私はアリスが時々かっこよく見えて、困ってしまう。
宮廷楽師が音を奏でる。優美な旋律が流れる。誰もいないホール中央に国王陛下が皇后陛下を連れて、ダンスを踊り始めた。
二人の王子が席を立ってそのうちの一人が私に手を差し出した。アルカイックスマイルをした彼はいつもより大人っぽい。手を取り、ホールで踊りだした。幼い頃からいつもアリスのファーストダンスは私の役目だった。
踊り終えてホールに戻るとご令嬢達がアリスにダンスを強請った。
喉が乾いたのでグラスを取り、喉を潤す。
会場内に下さいエバンが居る。背の高い彼は頭一つ分周りより高くて目立つ容貌をしている。グレイの髪がシャンデリアの光の粒で銀色に輝く。彼が振り向いて、私と目が合い柔らかく笑った。赤い騎士服がよく似合っている。下がった目尻が優しげだ。そしてこちらに向かって一直線に歩んできた。
――えっ? 私に笑いかけたの? 気のせいかしら?私の方に来てる!!? えっ? どうして?
もうすぐ手が届きそうなほど近く来ると私に跪き、手を差し出した。
「俺と一緒に踊ってくれませんか?」
私は混乱したが、憧れの光景に胸が高鳴った。
私が挨拶をしようと腰を折ろうとすると、陛下が途中でそれを制した。アリスには控室に入る前に抱っこから下ろしてもらっている。
国王陛下はアリスに似ている。例えるなら、色っぽくも神々しい大天使様といった風貌で、ウエーブがかった金髪を一つに括っている。とてもこんなに大きな子供が居るように見えない。
「かしこまらなくてよい」
「しかし……」
「それよりお父様って呼んでくれないのか?」
「そんな……」
「私のことはお母様って読んで頂戴。アリスフォードがなんとかやってこれたのは……アルセナ、貴方のおかげなのよ」
「その通りだ」
「大袈裟ですわ。アリスフォード殿下は私がいなくても立派に成長なさっている筈です」
「そなたのことは娘の様に可愛がっておる。何でもかんでも遠慮なく甘えてくれ。だからどうかお父様と呼んでくれ」
「陛下、アルセナは私の……この世で唯一の私の娘です。たとえ陛下であってもそう呼ばせる訳にはいきません。アルセナには、私以外にお父様いりません」
見知った声に振り向けば、大好きなお父様がそこにいた。でも少し怖い顔をしている。そして私の肩に手を置き引き寄せた。
――怒っているのかしら?
「お父様!」
「アルセナ。すごく綺麗だ。そのドレス似合っているよ。いつかアルセナも……社交界の花と呼ばれる日日が……もうすぐかな」
お父様はいつもの柔和な笑みを浮かべた。
「殿下これはお返し致します」
お父様は厳しい態度で、書類の束をアリスに押し付けた。
「お父様」
「殿下みたいな子供は私にはおりません」
「クリマスタ公爵閣下には幼少からお世話になっていて、父みたいにお慕いしていてるので……申し訳ございません」
「それは返します。今後、このような御心使いは不要です」
「僕はクリマスタ家を想って尽力しているだけです」
「そんなことを私は頼んでおりません。ただの一度も。アルセナ、さぁ会場に向おう」
「でもエスコート無しではアルちゃんが恥をかいてしまいます」
「問題ない私がエスコートしますので。ほらアルセナ……」
お父様が腰に手をあて、私が腕を組むように催促したので、お父様の腕に自身の腕を絡めた。
「チッ」
――ん? 誰か舌打ちした? まさかね。
見回してみたが、舌打ちするような人物はいない。
「では陛下、皇后陛下、アリスフォード殿下、ヨハイム殿下失礼致します」
私はお父様と一緒に辞去した。
「えへへ!お父様……大好きです」
「私もアルセナが大好きだよ」
――ガンッ!!!
壁でも蹴ったような大きな音が響いた。足を止め振り返ったが誰もいない。
――王族の控室からかしら? 大丈夫なのかな?
「アルセナ、問題ないから気にするな」
私は大好きなお父様にー手を引かれて会場に向かった。
会場には魔石灯の国内最大級のシャンデリアがキラキラと頭上に輝いていて、足元を明るく照らしている。会場の半数は騎士様だ。
――かっこいい。素敵すぎる!あんな素敵な騎士様に愛を囁かれたい……
男性は騎士服着ると三割増でかっこよくなると思う。隣のお父様という美丈夫を見た。
――お父様が騎士服を着たら国宝級にかっこいいのに……なんでお父様は官吏なんだ!勿体無い。
煩悩にまみれているうちに、静まりかえった会場に王族が入場した。
アリスもヨハイム殿下も国王陛下もとってもキラキラして王子様然として素敵である姿を見て、令嬢だけではなく婦人も息を呑み、溜息を吐いた。
――アリスもヨハイム殿下もかっこよすぎる
最近私はアリスが時々かっこよく見えて、困ってしまう。
宮廷楽師が音を奏でる。優美な旋律が流れる。誰もいないホール中央に国王陛下が皇后陛下を連れて、ダンスを踊り始めた。
二人の王子が席を立ってそのうちの一人が私に手を差し出した。アルカイックスマイルをした彼はいつもより大人っぽい。手を取り、ホールで踊りだした。幼い頃からいつもアリスのファーストダンスは私の役目だった。
踊り終えてホールに戻るとご令嬢達がアリスにダンスを強請った。
喉が乾いたのでグラスを取り、喉を潤す。
会場内に下さいエバンが居る。背の高い彼は頭一つ分周りより高くて目立つ容貌をしている。グレイの髪がシャンデリアの光の粒で銀色に輝く。彼が振り向いて、私と目が合い柔らかく笑った。赤い騎士服がよく似合っている。下がった目尻が優しげだ。そしてこちらに向かって一直線に歩んできた。
――えっ? 私に笑いかけたの? 気のせいかしら?私の方に来てる!!? えっ? どうして?
もうすぐ手が届きそうなほど近く来ると私に跪き、手を差し出した。
「俺と一緒に踊ってくれませんか?」
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