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怒りの二宮金次郎像
二十八冊目
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コウセイから遅れること1分。
たったの1分である。
三人が二宮金次郎像の前にやって来た時、そのあまりにも凄惨な光景にアンナは腰を抜かし、キョウスケはただ立ち尽くすしか出来なかった。
像の前、ぐちゃぐちゃに潰された肉の塊。
それがコウセイだと判断出来たのは、制服のネームプレートから。
「な、な、なんで……なんで! すぐに追い掛けたのに……これじゃあミハネと一緒じゃない! ほんのちょっとでも一人になったら、酷い殺され方をしてさ! なんなのよこれ!」
「ミハネはトイレで……コウセイは……バット?」
泣きわめくアンナの横で、必死に状況を整理しようとするキョウスケが、地面に転がる金属バットを見て、何かを思い出そうと頭を抱える。
何か、大事なことを思い出しそうなのに、それが何かわからない不快感。
なぜか、そこだけが抜け落ちているような感覚に、キョウスケの苛立ちも限界に達しようとしていた。
「なんでなんだよ! Aが首を折ったせいか!? その時に近くにいた俺達も連帯責任ってことかよ! 意味がわからねえ!」
絶望する二人に、カミキはどう声を掛けていいかわからずに。
それでも何かしなければと、言葉を選んで口を開いた。
「……キョウスケくん。僕は気付いたことがあるんだけど。少しだけ自転車小屋の方に」
たったの1分である。
三人が二宮金次郎像の前にやって来た時、そのあまりにも凄惨な光景にアンナは腰を抜かし、キョウスケはただ立ち尽くすしか出来なかった。
像の前、ぐちゃぐちゃに潰された肉の塊。
それがコウセイだと判断出来たのは、制服のネームプレートから。
「な、な、なんで……なんで! すぐに追い掛けたのに……これじゃあミハネと一緒じゃない! ほんのちょっとでも一人になったら、酷い殺され方をしてさ! なんなのよこれ!」
「ミハネはトイレで……コウセイは……バット?」
泣きわめくアンナの横で、必死に状況を整理しようとするキョウスケが、地面に転がる金属バットを見て、何かを思い出そうと頭を抱える。
何か、大事なことを思い出しそうなのに、それが何かわからない不快感。
なぜか、そこだけが抜け落ちているような感覚に、キョウスケの苛立ちも限界に達しようとしていた。
「なんでなんだよ! Aが首を折ったせいか!? その時に近くにいた俺達も連帯責任ってことかよ! 意味がわからねえ!」
絶望する二人に、カミキはどう声を掛けていいかわからずに。
それでも何かしなければと、言葉を選んで口を開いた。
「……キョウスケくん。僕は気付いたことがあるんだけど。少しだけ自転車小屋の方に」
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