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十三階段

五段目

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真っ暗な廊下。


階段からの微かな光がまるで道標のように、二人が行くべき道を教えてくれているかのよう。


冷たく重い空気が二人を震わせたが、元より不気味な雰囲気に身震いしていたから大したことではなかった。


「2-7?  うちの学校、そんなにクラスないよね……」


教室に掲げられているプレートを見ると、確かにリアが呟いた文字が書かれていた。


気味が悪い……というのは、今に始まったことではなかったが、見るもの全てが不気味さを強調しているように思えて、二人は身体の震えが止まらなかった。


「は、早く帰りましょう。こんな所にいつまでも僕はいたくないです!」


震える手でリアの肩を掴んで、前に押し出すように廊下を歩き始めたミキ。


突然のその行動にリアは驚いたが、すぐにでも帰りたかったから何も言わずに歩いた。


が、ものの数歩で二人の足は止まってしまったのだ。


教室の横にある階段。その前に黒い影が立ち尽くしていて、それに驚いたリアが小さく声を上げたのだ。


「ひっ!  って……びっくりさせないでよソウゴくん!  なんでこんな所に立ってるわけ!?」


そう、その影というのはソウゴだった。引きつった顔で、階段を見詰めて固まっていた。


「ど、どうしたんですかねソウゴくん……え。な、なんですかこれ」


リアの肩口から顔を覗かせたミキが、その光景を見てソウゴと同じように固まってしまったのだ。


その視線の先には、何も無かった。


本来あるはずの下り階段がなく、上りしか存在していなかったのだ。
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