第二王子は憂鬱~divine femto~ 学園都市ピオニール編

霜條

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62.開幕は蒼穹の『剣舞』より⑫

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 陽が落ち掛け、窓の外には深いオレンジ色の空に雲がかかっているのが見える。
 上空は風が強いのか雲の動きが早い。まるで夜になるのを急かしているような空模様だ。
 暗さが広がる廊下を歩いて行けば、屋内競技場が見えてくる。――――武術だけでなく魔術を習う場でもあるため、校舎でも特に強固な保護術がかけられている場所のひとつだ。道を照らす灯りが夜に抵抗するかのように光を放ち、学生たちの活動時間を保障していた。
 西棟から渡り廊下で競技場まで繋がっているのだが、この時間だというのに人が周囲に集まっているのが見えた。
 先程も学食で下流の学生たちにフィフスが話し掛けられた際に、応援してくれなどと声を掛けていたせいもあるだろう。まだ目的地までは距離があるが、賑わう様子が遠くからでも分かった。
 話し掛けてきた学生たちは、日中無礼にも声を掛けてきた女学生とは違い、フィフスと街へ散策しに行った際に声を掛けた者が中心で、あの時のように学園について教えてくれる者が多かった。
 どうやら東方軍の人らと話をした際にフィフスが蒼家当代の弟であることや、その人物に目をかけられていること、新しいことが好きなので蒼家の当代に話を通すことで、助力が得られるかもという話を聞いたそうだ。
 内容は似ていたし、当たらずとも遠からずと言われたが、当代との仲については訂正していた。
「ヒルトは面倒事は全て私に丸投げするし、大事にとっておいた菓子を勝手に見つけては隠しどころが甘いなどといらん指摘をするわ、人を盾にするわで面倒なやつなんだ。あずかり知らぬ内に方々に喧嘩を売り、煽り散らかすからまったく始末が悪い。その後始末も結局私に押し付けるしな。砂粒程度の良識と善意を持ち合わせていなくもないが、アイツと仲良し兄弟などと思わないでくれるか。」
「まぁまぁ――、なんだかんだいつもフィーのことを心配してるし、大事にしてるなぁって端から見てても分かるよ」
「……そういう面がないとは言わない。恩義に感じているところや頼りにしている部分だってなくはない。だがな、それ以上にアイツが持ってくる厄介事を毎回引き受ける私の身にもなってくれ。アイツの気をらすために、何か興味を惹くことを探してやらねばならない苦労も分かるだろ。」
「とまぁ、こんな感じでフィーとヒルトさんは仲良くやってるんだよ~」
「……どうやら言っても分からないようだな。他の手段で『理解』してもらってもいいんだぞ。」
 噛み合わないやり取りをしている二人を横目に見る。言葉の端々がどんどん冷えていくフィフスに、どこ吹く風とマイペースなエリーチェとちぐはぐな二人だ。
 だがどちらも、自由で大らかな空気をまとっているところが良く似ていると思う。
「そうは言ってもさ、誰かがヒルトさんとか左翼さんたちのこと悪く言うと怒るじゃん。あの人たちもそうだけど、やっぱりその辺りは兄弟だな~ってみんな思ってるよ」
「全然違う。」
 エリーチェがフィフス笑いかければ、その人はそっぽを向いた。自分たちとはまた違う兄弟関係のようだ。
 ひとつため息をつき、気持ちを切り替えたのかフィフスが顔をこちらへ向けた。
「まぁいい。――ところで本当にお前たちは貴族達アイツらへの要求はないのか?」
 昼一緒になった時にもその話題が出たのだが、姉は彼らに要望など伝えてしまえば角が立つかもしれないことを気にしていた。フィフスと『栄光の黒薔薇グロリウーズロサノワール』の勝負なのだから、外野が口出しするのも違うということだった。
 例えきっかけが自分の弟たる第二王子のことであろうと、部外者であるフィフスとのやり取りに上の立場である王族姉たちが口を出してしまえば、新たなわだかまりができてしまうかもしれない。それを懸念しているようだった。
「あぁ、俺は貴方のことを信じている。――彼らの事は任せてもいいだろうか」
 この人であれば思いもよらないきだはしを見せてくれて、その先の景色を見せてくれるだろう。まっすぐに向けられた青色の瞳が自信のある笑みに変わった。
「承知した、お前の信頼に応えよう。」
「……あの、――どうしてコルネウス様にストーカーなどと言ったのでしょうか。流石に言葉が過ぎたのではないでしょうか」
 もしかしたら朝から気になっていたのだろうか。アイベルが言葉の本意を確かめようとしていた。
「別に彼らに対して言った訳じゃない。騎士道というものが好かないからそう言ったんだが、まさかあの場にいる連中が全員騎士見習いだと思わなくてな……。完全にそこは私が誤ったと思っている。」
 自分に呆れているのか乾いた笑いをしている。――――『騎士道』を好まないのか。
 ラウルスでは広く貴ばれている規範のひとつだが、王子である以上誰かに仕われる身でもあるため、その良し悪しについてなど考えたこともなかった。
 王家に忠誠を誓うための規範でもあることから、聖国出身の東方天この人には相容れないのも仕方のないことかもしれないが――。
「……その話を聞いて同じ事を考えていた。少々しつこいところがあるから、そう言ったのかと思ったが――」
「――――――は?」
 軽く同意したつもりだったが、その人から表情の色が消え、歩みも止まる。――何か間違えただろうかと不安になるが、互いに言葉なく見つめ合うと、その人がエリーチェの肩を掴んだ。
「……エリーチェ聞いたか? やはり『騎士道』なんてもの、この世から消した方がいい。」
「ちょーっと待とうか。――ディアス様も少ししつこいって言っただけだし」
「ストーカーだと思う程に迷惑を被っているんだぞ。深刻じゃないか。」
 困惑したエリーチェと、厳しい顔をしたフィフスに見られる。
 フィフスの言葉に気付くものがあったのか、アイベルまで顔色を変えてこちらを見た。
「ずっとお側にありながら、殿下の心中に気付きませんでした……。面目の次第もありません――」
「流石にそこまで深刻に思ってない」
 加減が難しいな。――アイベルは、身内でもあるコルネウスのことを気にして口にしただけだろう。
「一体奴らに何をされたか知らないが、お前が味わった辛酸を奴らに知らしめてやろう。」
 フィフスは親身になって怒ってくれているのだろうか。落ち着いた声色ではあるものの、目には冷ややかながらも強いものが宿っている。――もしくは想像以上に『好かない』の度合いが強かったのかもしれない。
 今まで何でも受け入れているところを見ていただけに、受け入れ難いものもあるのだと分かりその点だけは安心した。
 このような時分に、安心などしている場合ではないのだが――――。
 下手なことを伝えれば、この先で待ち構えている何も知らないロサノワに余計な厄災が降りかかるだけだろう。――――胸がすくような思いも確かにあったが、別に彼らの不幸を願っているわけではないし、騎士道が消えて欲しいなどと考えたこともない。
「普通に、ふつーに勝負すればいいでしょ。強い言葉を使うからディアス様も困ってるよー」
「なら、二度と剣など持てないよう恐怖でも与えてやるか。」
 落ち着いた語り口なのに、一層声の温度感が下がる。
 それは強い言葉の部類に入らないつもりなのだろうか。
 祖母の話とも異なり、なんだか別の方向に風向きが変わったことで周囲が一層暗くなった気すらした。
「もー! ヨアヒム様の前でもそうするつもり――? セーレ様が聞いたらどう思われるかな~」
 エリーチェの言葉に一瞬動きが止まり、不承不承ふしょうぶしょうに口を一文字にしている。――――やはりセーレが弱点なのか。
 今はそんなに頻繁に叔父とセーレがやり取りしているとは思えないが、親しい間柄でもあるので可能性はゼロではないだろう。
 彼女のおかげで場が落ち着きを取り戻し、安堵からひとつ息をついた。
「――――俺もそこまでして欲しい訳じゃない。コルネウスはアイベルの身内でもあるし、あまり大事にしなくていいから……」
「そうなのか?」
「……コルネウス様は私のいとこ筋に当たる方です。ですがどうぞ、私の事はお気になさらず、殿下の方が私にとっては大事ですので」
「アイベル、――今はそういうのはいいから」
 ここへ来る前までは何度かフィフスにいさめるようなことがあったのに、ここに来て自分よりフィフスの味方をするなんて思ってもみなかった。
 自分を思ってこその行動だろうが、二人の共闘に今度はため息が出た。
「……前言撤回しよう。今の話は忘れてくれ。困ったところはあるが、彼らから剣を奪いたい訳じゃない」
 コルネウスやディートヘルムを慕う者は多い。人を惹きつけるだけのイニシアチブを持っているからだ。――彼らに何かあったら自分が代わりになれるとも思っていないし、ロサノワという場所も皆から奪うのも筋違いだろう。
 特に思い入れはないが、伝統ある騎士見習いの活動の場なのだから。
「……いつか気付いてくれればいい。それしか望んでいない」
 口にしてから、誰かとは大違いな弱気な言葉しか出なかったことに苦笑する。――――だがこれが本音だし、『自分』だろう。
 こちらの言葉にしかと耳を傾けてくれているようで、じっと色が深まった青色がこちらに向けられている。――影のある色合いに見えたが、ふっとその人から怒りが消えたのか落ち着きが戻ってきた。
「――お前はいい奴だな。なら手加減してやらないといけないな。」
 静かに、だが先ほどとは違い穏やかな温度を感じる。軌道修正出来たことに改めて安心すれば、その人が言葉を続けた。
「ディアス、お前の名を借りたい。悪いようにはしないつもりだ。」
「……名を?」
「あぁ、言葉の通り借りるのはお前の『名前』だけだ。もしかしたら使わずに済むかもしれないが、借りる以上お前の名声を傷つけたりはしない。約束する。」
 意図を教えてくれる気はないようだが、真摯しんしに向けられる表情から確固たるものを感じる。
「何か考えがあるのか」
「今思いついたことがある。試してみようかと思ってな。」
 『第二王子自分』に近付くなとの要求があったことから、コルネウスたちには許可なく名を使用されていることにふと気付く。――――本当に勝手だ。
 わざわざ許しを得ようとしてくれる友人が自分の名を使いたいというのであれば、使わせてもいいと、そう思えた。
「――分かった、好きに使ってくれて構わない」
「ねぇ、何かよからぬことを考えてるでしょ?」
 なにか気付くものがあったのか、エリーチェが疑わしげな目でまじまじとフィフスの横顔を見ている。
「良し悪しの判断は周りがすることだ。最善を尽くすために私は妥協などしない。」
 どこまでもまっすぐな言葉に不安がよぎった。
 昨日、怒りをぶつけられていたシーンと共に、手段を問わない人でもあったと、今更気付く。
「私を信頼してくれるのであれば何があっても動じるなよ。アイベルお前もだ。――――必ず無事にお前に返す・・から信じてくれ。」
 淡々とした言葉と共に手を広げ念押しすれば、そのまま大きく歩き出し横を通り過ぎていった。――戸惑いから遅れて振り返れば、早い歩みに距離が開くばかりだった。
「多分ガレリオさんも来てるだろうし、……きっと大丈夫だと思いますからっ」
 不安に染まる主従を励ますように、努めて明るい声でエリーチェが二人に伝えた。特に根拠のない話に、そのまま彼女の気持ちを受け取るのは少々難しい状況だ。
「よからぬことって……?」
「うーん、……その辺はヒルトさん譲りの手段の選ばなさだからなー」
「――何をしている。早く来ないか。」
 顔を上げれば離れたところで立ち止まり、フィフスがこちらを急かしてきた。――置いて行かれたと思っていただけに、予想外のことに戸惑いが戻って来る。
「お前は今回の『景品』だ。遅れるのはいいが、一緒に来て貰わないと困る。」
 傍に居た侍従が足早にフィフスの元へ行き、かなり近い場所で足を止め、
「殿下を『景品』などと称するのはやめて頂きたい」
「……言葉が悪かった、すまない。」
「そーだよ、ディアス様に失礼だよっ」
 アイベルとは違い悪戯っぽさが混じる口調で侍従を援護すれば、困ったような笑顔をこちらに向けた。
「ごめんね、ちょーっと言葉がストレートすぎるからびっくりしましたよね。悪気はないんだけど、言葉選びが下手で――」
「大丈夫だ、――分かってる」
 ここに現れる前から知っていることだ。
 以前からセーレがよく口にしていた悩みのひとつで、飾らぬ言葉使いに慣れるまで時間がかかっていたのをずっと近くで見ていた。
 互いに何も知らない時から、気遣ってくれていたのに誤解を招く表現をしていた――。この人が何者か分かってからは、記憶していた話がそのまま目の前に現れたことに、少し嬉しい気持ちもあったものだ。
 だが、知らず知らずのうちに悪手を取ってしまう危うさが気になりどうにも目を離せない――。
 フィフスの考えはまだ分からないが、先にいるその人の元へと向かった。

「ディアス殿下、ようこそおいで下さいました――!」
 屋内競技場の周りに集まる人々が道を作り、ようやく到着する。真っ先に声を掛けてきたのはコルネウスだった。到着が少々遅れてしまったせいか一目見てもわかるくらいには不機嫌そうにしていたが、ディアスの姿が視界に入るなり喜びで上書きされたようで、落ち着き払った騎士らしい態度に変わる。
 アイベルに比べ表情豊かで感情を表に出す分、非常に分かりやすい。――ある意味素直な性格だとは思うが、気持ちを押し付けられるのはどうにも苦手だった。
「よろしければこちらへどうぞ。――アイベルとそちらのお嬢さんもこちらへ、席を設けているからゆっくりするといい」
 彼が案内する先を見れば、姉弟、いとこ姉妹、リタ、叔父とガレリオがおり、さらにはヴァイスにゾフィまでいた。結構な人数だが、ディートヘルムたちが皆を歓待しているようだった。
 中央にこれから使用するつもりであろう正方形の高座こうざが用意されており、天井や壁に備え付けられた灯りがこの場をまばゆく照らしている。高座の周囲や二階のギャラリーには恐らくコルネウスたちが招いた上流の学生の他、教師と見慣れぬ大人の姿もあった。――非番の近衛兵や警護隊の者たちだろうか。身に着けている軽鎧けいがいと武器からそう推察する。
 今入ってきた入口の他にも扉が開け放たれており、中に入りきれない学生たちがなんとか中を覗こうと賑わいを見せている。
「重役出勤もほどほどにしてくださいよ~。完全アウェイの中待たされるのはきついですってー」
「この程度の観衆に怖気づくほど、お前は繊細じゃないだろ。」
 ガレリオとすれ違えば、後方でガレリオとフィフスが話していた。エリーチェもコルネウスに呼ばれていたが、どうやらついてくる気はなく二人の側で話に混じっているようだ。
 後ろ髪を引かれながら皆のいる場所へ行けば、わざわざ用意したのか人数分の席があった。こちらの到着を待っていたであろう姉がにこりと微笑んでおり、その隣へ腰を落ち着かせた。
「……みんなかなり張り切っているんだけど、彼大丈夫かしら」
 小さくたずねられたが、ゾフィがロサノワのメンバーたちを呼び、場の空気が変わったために姉との話どころではなくなってしまった。
「皆さまのご到着をお待ちしておりました。――では早速始めましょうか」
「来たばかりだぞ? 少しくらい時間を設けても……」
 ゾフィが仕切るつもりなのか開始をうながしていたが、叔父が心配そうに何かを気にしていた。
「すでに騎士見習いの皆様は準備が出来ております。定刻も過ぎておりますし、すぐに開始してもフィフス様も構いませんよね」
「もちろんだ。すぐに始めよう。」
 有無を言わせぬゾフィの確認に、準備の時間がいらないかと叔父が気にしてくれていたことに気付く。――――本人は間髪入れずそれを受け入れており、ずいとゾフィの側へと行けば、ロサノワの代表でもあるコルネウスと相対した。
「約束に遅れて来るなど、聖国では礼儀というものを教えないのでしょうか」
「それはすまなかった。お前たちも知っての通り、なにせ辺境の田舎者だからな。――お前たちのように時間に追われることは少ないんだ。」
 フィフスの言葉に隣の姉も首をかしげた。――聖都を辺境と呼んだのだろうか。過ぎた言葉に眉をしかめれば、二人のやりとりを失笑するかのような息のこすれる音が方々から聞こえる。
 だが叔父だけでなく、ゾフィとヴァイスがこの様子を静観している。もしかしたらフィフスの身分がそういうていになっているのかもと無理やり自分に言い聞かせることにした。
「……この度の決闘ですが、魔術、精霊術の使用を禁じます。代わりに各人お好きな武器を使用することを良しとしますが、よろしいでしょうか」
 両者が頷けばガレリオがゾフィの執事から何かを受け取り、フィフスへ手渡していた。――――白銀色の腕輪のようだ。細かな装飾があしらわれ厚みがあるそれは、両手につける手枷てかせのようにも見えた。
 コルネウスやディートヘルム、恐らくこれからあの高座に上る者だろう、彼らにも魔力封じの首飾りを叔父が渡していた。――深緑色の魔石が先端についており、長いチェーンが心臓のあたりまで届く。肌身に触れれば魔力器官を抑制するためのものだ。首から下げれば邪魔にならないよう服の下に入れていた。
 そして、誰もがフィフスと同じように腰に剣をいている。しかも鉄製の胸当てに籠手こてなどの軽鎧けいがいを、参加者たちが身に着け始めた。
「……ゾフィが真剣しんけんも使っていいって許可してたの」
 動揺に気付いたのか、姉がそう耳打ちしてきた。叔父や姉が気にしていたのはこちらだったのか――――。
「フィフス様はお腰の剣を使われますよね。―抜剣の許可は出来かねますので、こちらのかせを付けさせていただきます」
「あぁ、頼んだ。」
 ずっと身に着けていた剣を腰から抜きゾフィに渡せば、彼女の執事が恭しくケースを持ってきた。どうやら剣に着ける枷のようだが、魔力を帯びていることから決して抜かせないよう縛るためのものかもしれない。
 ロサノワが真剣を使うというのに、あの鞘つきの剣で戦うということなのだろうか。
 技量の差もあるのだろうが、条件に開きがあることに疑問しかない。
「……剣を抜かないつもりなのか」
 さすがにコルネウスも気になったのか、フィフスに聞いていた。
「何か問題が? 抜剣の有無が勝負に関係あるとは思えないが。」
「ノイエシュタイン様、――こちらの剣は精霊石が付いており普通の剣ではありません。抜かせる訳にはいかないための処置です」
 かせめられた剣を受け取り手にすれば、柄を握り剣先に至るまで状態を確認しているようだった。
 容易に抜けないよう仕掛けがしてあると言っていたが、さらに封じるなんてかなり厳重だ。
「確か獲物を手放したら負けだったな。――お前たちの誇り・・とやら、せいぜい大事に握りしめておくがいい。」
 腕を下ろし、剣先を床につけ悠然と立つ。下がる両腕に先ほどつけていた白銀の腕輪が、制服の袖の下でちらと反射した。恐らく精霊術を行使させないための手枷だろう。重そうな見た目だが、あの人はものともせず強い言葉で彼らをあおっている。
 コルネウスの側へと準備を整えたディートヘルムと三人の騎士見習いが並び立ち、両者が静かににらみ合っていた。数の差もあるが、誰よりも小柄で華奢な見た目であっても、堂々とした立ち居振る舞いが数に引けを取らない空気がそこにあった。
「勝利したあかつきには互いにふたつの条件を引き受ける、――そう伺っておりますが相違はありませんか」
「えぇ。――――殿下の件と、それから我々を侮辱したこと、必ずや謝罪してもらおう」
「一回勝負なのか? 要求がふたつあるのだから、それぞれひとつずつ要求を飲ませる方がいいのでは。」
「ほう、……どうやら勝つ自信がないのなら、今ここで尻尾を巻いてもいいんだぞ」
「まさか。せっかくこれだけの観客がいるのに、すぐに勝負が終わったらつまらないだろ? それにそこの、ディートヘルムと言ったか――」
 コルネウスのすぐ隣に立つ、ディートヘルムの名を呼べばすっと目を細めた。
「右翼に会ったと言っていたな。――アイツが歯牙しがもかけないような相手なぞに、私が負ける訳にはいかない。勝ちたいなら全力で来るといい。」
 名指しの宣戦布告にディートヘルムは不敵に笑い、それを受け取った。他は眼中にないと言わんばかりの態度に、周囲から黒い怒りが見えるようだった。
「フィフスってばずっと煽ってるわね……。もしかして二人の前でもこんな感じなの?」
「……少し言葉選びが下手なだけで、一緒にいる時は普通です」
 先ほどのエリーチェの言葉を借りて姉に伝えれば、少し離れたところにいたエミリオがやって来た。――キールが席を持ってきたことから、側に座りたいのだろう。場所を作ってやれば、姉と兄の間に座れたことでご機嫌そうにしていた。
「お二人は決闘を見たことあるんですか?」
「招かれて見に行ったことは何度かあるわ。でもそんなに楽しいものじゃないかな」
 彼らが行う『決闘』というのは一種の競技だ。己の力を誇示し、技量を人々に知らしめるようなパフォーマンスでしかない。
 しかもフィフスの言葉のせいだろう、普段よりも殺伐さつばつとした空気になっているのは否めない。
 高座に先鋒せんぽうと、フィフスが制服のままそこへ並び立った。
 叔父がゾフィと役割を交代したようで、二人の間に立てば躊躇ためらいがちにフィフスを見ていた。
「……君はなにも身に着けない気か?」
「攻撃などかわせばいいだけのこと。この身に一太刀でも入れられる者がいるか分からないのに、これ以上の装備は必要ありません。」
「その強気がいつまで続くか見物だな。後悔しても知らないからな!」
 先鋒が剣を抜き手にすれば、フィフスも柄を手に剣先を再び床につけた。――両手を柄頭に置き、悠然とこの場に身を置いていた。
 涼しく言い放つフィフスに呆れたのか、叔父がため息とともに姿勢を直し二人から距離を取る。
「これより双方合意のもと、ヨアヒム・アルブレヒト・フォン・フライハイトの名に置いて決闘を執り行う。『漆黒の薔薇よ、果て無き理想のため栄光の道を示せ。汝らの勝利の栄冠を、新たなる威光の輝きを、我らの前に示すがいい』――――勝負、開始ッ!」
 決闘前の口上を声高に宣言し手を振り下ろせば、試合が開始される。周囲と二階から様々な声が上がり、人々の声が勝負に華を添えている。
「うおぉおぉおぉぉ!」
 先方が雄たけびと共に勢いよく踏み込み近付くが、開始前から姿勢が変わらずフィフスに動く様子もない。あと数歩で届く距離にどうしたのかと思った刹那、金属同士のぶつかる音と共に先鋒が転ぶ姿が目に入る。
 一歩踏み込んだのだろう、いつ動いたのか分からないほど一瞬の出来事だった。
 地に転がる先鋒が慌てて立とうとするが、手の中に剣がないことに気付いたようで、起き上がりながらあたりを探している。
「威勢の良さは声だけか。」
 あまりにも一瞬で終わってしまった勝負に、直前まで騒がしかったはずの競技場内がしんと静まった。
 だが誰かの驚く声と共に、剣が高座に落ちて刺さった。――ちょうどフィフスの側だ。落ちる場所も分かっていたのかと思うほど、気に留めることなく叔父に終わりを告げるよう目で指示していた。
「……し、勝者、フィフス」
 咄嗟とっさの出来事に歯切れの悪い勝利宣言が下るも、何が起こったのか誰にも理解が出来なかったためか静まり返るだけだった。
「……何をした」
 高座から去る前にフィフスへと尋ねれば、この静寂の中心にいるその人の態度はとても静かで、張り詰めた糸のように無駄のないものに見えた。
「しかと剣は握っておけと伝えただろう。お前の力量と実力が私に及ばなかった、ただそれだけの話だ。」
 先鋒として勢いづかせるはずが、その役目が果たせなかった悔しさに顔を歪め、静かに高座を降りて行った。
 励ますように退場する彼の名を人々が呼び、再びロサノワを応援する声が増えて行く。
 次鋒に何か告げ交代すれば、この失点を挽回しようと周囲の人間に声を掛け自らを鼓舞させていた。――だが残念ながら彼の余裕も虚しく終わり、二本目の剣がフィフスの立つ近くに刺さったのそれほど時間が掛からなかった。

 ずっと――、伝え聞く話しでは知っていた。この人が聖国で最も強いということを。
 雨の中、危ないところを助けてもらったときは、余裕もなかったことから考えることもなかった。――今目の前に、屋内競技場の中に満ちる白い光が、この人の不動の強さを強調しているよう圧倒的な存在感を照らしている。
 今日こんにちまで荒事を見ても心動かされることなどなかった。どう楽しめばいいのか分からないせいだが、今は指の先から心臓まで高揚感が身体中を巡り、ただただあの人の強さが心地よいと感じた。
 間合いに入った者に容赦なく一太刀で払いのける姿は高潔で、決して踏み込ませない絶対領域のような不可侵の聖域があの高座に見えるようだった。
 ――こういう高揚を人は楽しんでいたのかと、周りを見ながら初めて知る。

 独壇場とはまさにこのことだろう。挽回ばんかいしようとたける中堅も無残に剣を奪われ、あの人の近くにまた剣が増えて行く。
 どうやら彼らの手にした剣の柄だけを狙い、払い上げて一瞬で奪っているようだ。落ちる場所までコントロールしているのではと、三回目にして周囲も気付いた。――既に勝負の行く末を想像したものが多かったからだろう、鼓舞するような声が徐々に必死な願いのような声に変わっていった。
「兄さまの言う通り、フィフスは強いんですね」
 弟の声にそちらを見れば、弟が両足を振りご機嫌そうに笑っていた。このようなイベントを見るのは初めてだと思うが、普段とは違いあっさり終わる試合と、勝手に並んでいく剣たちに非現実感が強い。まるで意志を持って、あの剣たちがフィフスの周りに集まっているかのようだ。
 真剣だということは知っていると思うが、血生臭いことにならなさそうな気配に、「あぁ」と小さく返事した。――あれが手加減した末の行動なのだろうか。
 容赦のない振る舞いだ。苦笑が漏れた。
 本来ならばここで勝負は終わりになるはずだ。だがあまりにも早く終わってしまう試合に周りの声が勝てと言う。
 副将としてディートヘルムが登壇すれば、一層声が大きく上がった。――この空気の中、彼らに退くという選択肢は与えられなかった。
 いつも余裕のある彼の顔には少々硬いものが見えており、緊張気味なディートヘルムの姿が珍しい。
 彼が剣を抜き構えれば、ずっと剣先を床につけていたフィフスが柄を手にした。――だが構えるわけではなく、片手に剣を握ったままだらりと腕を下ろしており、剣先が随分と低い位置にある。
 しばし待てども立ち方が変わる訳ではないことから、叔父は気を取り直し片手をあげて試合開始の合図を宣言した。
「第四回戦――――、開始ッ!」
 振り下ろされた手と叔父の掛け声と共に勝負は開始するが、両者の動きはにぶい。
 ディートヘルムは警戒しているのだろう、今までと違う立ち姿にどう攻めるか見定めていれば、フィフスが剣を下ろしたまま彼を見た。
「来ないのか? ならこちらから行こう。」
 高座の上を泰然たいぜんと歩み出す。
 今まで相手を迎え討つばかりで、同じ場所に立つばかりだった。
 先の宣告通り、彼に負けを与えるつもりなのだろう。
 あと数歩の距離を崩すかのようにディートヘルムも踏み込めば、互いの剣撃の音がようやく決闘らしくこの場に華を添えはじめた。――体格の良いディートヘルムが力で押しているようで、徐々に後退しながらフィフスがその剣を受けている。
 均衡が変わったことに気付いた周囲の必死の声が、ディートヘルムの優勢を後押しするように響いた。
 先ほどまでとは違い長く交わる音に、あの人でもディートヘルムは比肩ひけんするに足る力量があるのかと焦る気持ちが前に出た。
 鳴り響く剣の音と周りの声に比例し、冷めて変わらぬフィフスの表情に焦燥感が募る。――――だが、ディートヘルムの目の前から姿が消えた。
 一体何処へと思う間もなくバランスを崩されたのか、ディートヘルムの身体が前へと落ちる。
 次の瞬間、回り込んでいたようで床に倒れ込む彼の背に足をかけ、強制的に沈め顔の横に剣を突き立てた。――悲鳴にも似た声が周囲から上がれば、また静寂が広がる。
「思ったより遅いな。まさかそれが本気とでもいうわけじゃないだろう。」
 剣を離すまいとディートヘルムが握りしめているが、どうにも彼からその剣を取り上げる気はないようでそっと離れた。
「足技かよ……、さすがに卑怯じゃないか」
「道具に使われているようじゃまだまだだな。そんなものを頼るばかりでは、こうして無様に地をめるだけだぞ。」
 起き上がるディートヘルムはもう一度剣を構えた。対峙たいじするその人が静かに胸に手を当てた。
「この身の全てが『剣』だ。私は決して手放したりなどしない。誇りも勝利も全ては道具これではなくこのがもたらす。――ただの真剣おもちゃに浮かれておごるのはやめた方がいい。」
「……驕ってなど、いない――ッ」
 踏み出しもう一度フィフスへ攻撃を仕掛けた。――隙をくように斬りかかるが、既に見越していたのか、フィフスが舞うように身を回し彼の剣を横から打ち払った。
 今までと違いその剣は刀身が折れ、剣先が高く跳ねあがり二階席の方へと飛んで行った。――――昨日掴んだあの手が今は剣を握っている。硬さのある手のひらを思い出せば、剣を折るだけの力を秘めていることも納得だった。
「なるほど、――ただのなまくらだったか。」
 飛んで行ってしまった方向と、短くなってしまった手中の剣をしばし見つめ、ディートヘルムが大きくため息をついた。
「……俺の負けだ」
 現実を受け入れたのか、短くなってしまった剣をさやに納め、一礼すれば後に下がった。

「最後まで立ち向かう勇気があるのならば、お前が勝った暁にはもうひとつ要求をんでやろう。――――さて、どうする?」
 鞘つきの剣をコルネウスへと突きつけ、壇上へ上がるよう言外に宣言する。――――その挑戦を受けないという選択肢は、コルネウスにはないだろう。
 観衆もそうだが、彼の矜持プライドに背く行いだ。
「必ずや、皆の雪辱せつじょくを晴らそう――」
 肩に流していた髪を後ろでまとめ直し、決意にあふれた足取りで堂々と高座へと上がった。
「『漆黒の薔薇よ、果て無き理想のため栄光の道を示せ。汝らの勝利の栄冠を、新たなる威光の輝きを、我らの前に示すがいい』――このコルネウス・フォン・ノイエシュタイン、必ずやここに栄光を咲かせてみせよう!」
 今まで見たこともないような真剣な表情をし、『栄光の黒薔薇グロリウーズロサノワール』をまとめるコルネウスが優雅に一礼した。――大将として、またひとりの六大貴族の人間として矜持のある彼は、このような華やかな場で人々の注目を浴びる姿がよく似合う。
 知も武もあり、広く下の者たちに慕われている。
 恐らくフィフスとの力量の差は分かっただろう。だが背を向けることなく、仲間たちのために立ち向かう勇気も彼は有している。
 だからだろうか、いつもより晴れ晴れとした表情が頼もしく見えた。
 高座の上で並び立てば、強くコルネウスの勝利を望む声が増える。――――外にいる学生たちは、フィフスに声を掛けられて来たはずなのに、コルネウスへ声援を送っているようだった。
 朝とは違う一体感が場内に生まれており、全てが逆転している状況がなんとも不思議だった。
 フィフスにとっては完全なる外様試合アウェイだと言うのに、全く動じないのはさすがと言うべきか。
 見た目は異なるが、何度も新聞で見たような堂々とした立ち姿が、今ここにはある――――。
 この空間を占める高揚の一体感が、いろんな気持ちを凝縮させているようだった。
 エリーチェが高座の側でフィフスへと応援の声を上げているようだが、数の差でかき消されている。コレットとリタのはらはらした表情から、おそらくコルネウスを案じているのだろう。
 少し後ろに席を用意されていたヴァイスはいつの間にか酒を用意してもらったのか、レティシアと彼女の恋人たち、そしてゾフィと話しながらすっかりくつろいでいる。あの一角は完全に余興として楽しんでいる。全然空気が違う。
「第五回戦――――、開始ッ!」
 叔父の合図に動じることなく、両者しばしにらみ合いが続く。ディートヘルムとの対戦時と同様、特に構えもなく無造作に剣を持ち、コルネウスを悠然と待ち構えているようにも見えた。
 意を決したコルネウスが踏み出せば、同じようにその人も動く。――ぶつかり合う音が響くたびに、周囲の声援がどんどん熱を上げていった。
 鬼気迫るコルネウスとは違い、フィフスは淡々と彼の攻撃を受けている。打ち込みに次ぐ打ち込みをどれもいなし、ステップを踏むかのように代わる代わるに攻防を繰り広げれば、二人が高座の上で円舞でもしているかのような錯覚すら覚えた。

『――この身の全てが『剣』だ。私は決して手放したりなどしない。誇りも勝利も全ては道具これではなくこのがもたらす。』

 先程の言葉を思い出せば、人々の切望の声と剣撃けんげきというシンプルな音楽に合わせた剣舞とでもいうべきだろうか。――豪奢ごうしゃな装いでなく、華やかな舞台でなくとも、剣を振るうたびに手首から除く白金がキラキラと光を反射させ、ぶつかり合う剣と人との衝突が人々に熱狂をもたらしている。
 見ているだけでこの身を高まらせてくれるのは、純粋に完成された『剣』がそこにあるからだろうか。
 最初の三回戦とも、ディートヘルムとの対戦とも違う様相に、周囲はただコルネウスの勝利を望んでいる。
 でもやはり勝つのはあの人だろう。コルネウスににじむ汗が見えるが、始終変わらぬ表情と悠揚ゆうよう迫らぬ気配のフィフスでは終わりが近いように見えた。
 コルネウスが振り下ろす剣をかわし、下がる剣先をフィフスが蹴り上げた。――随分と硬そうなブーツだとは思っていたが、あれで剣を蹴るとは誰も思ってもなかっただろう。コルネウスの手を離れ綺麗に上空を飛び、ゆるやかな曲線と共に四本目の剣が高座に刺さった。
「――なかなか筋は良かったが、攻めがやや単調だな。もう少し緩急をつけた方がいいと思うぞ。」
 無用な助言にコルネウスが睨みつけるが、息が上がっているようですぐに言い返せずにいた。
「勝者、フィフス――」
 五回目の勝利宣言に、エリーチェだけが勢いよく拍手していた。遅れて拍手をすれば、周囲もつられたのか徐々に健闘を称えるかのように手を打つ音が大きくなる。
 呼吸が戻ったのか姿勢を直したコルネウスと、フィフスが叔父の側に集まった。
「さて、では当初の取り決めの通りフィフスは彼らにふたつ要求できるが、君は一体何を望むんだ」
「要求はひとつだけ、欲をかき、多くを望みすぎることは神意に反してしまいますので。」
 幾分と謙虚な物言いに、始終彼らを煽るような言動をしていたのは、この決闘を盛り上げるためのパフォーマンスだったのではと思う程だ。
 誰もフィフスの言葉を予想していなかったのか、しんと会場が鎮まった。
「お前たちとの勝負は存分に楽しめた。この学園で多くの人々に愛されていること、人々の信頼がお前たち『栄光の黒薔薇グロリウーズロサノワール』にあることを今の決闘で重々理解した。――――勇敢な者たちが今ここに在ることは、これからも皆のはげみになるだろう。昨夜はお前たちをおとしめるような、無礼な物言いをしてすまなかった。」
 望んでいた件をさらりと差し出され、コルネウスが面食らっていた。
 先程も誤ったことをしたと本人が言っていたことから、元々謝意を伝える気ではいたのかもしれない。
 飾らない気持ちを素直に伝えられ、戸惑いながらも居住まいを正したコルネウスがまっすぐにフィフスを見つめ返した。
「我々も、――――遠路はるばる聖国からやってきた御仁ごじんに、無礼な態度を取ってしまったことについてお詫びする」
 叔父や観衆の前だからかもしれないが、随分と素直にコルネウスがフィフスへ謝意を伝えた。
 フィフスがその言葉にふと笑みをこぼせば、互いの不和が解消されたようだった。
 どこからともなく二人に拍手が送られれば、周りの人たちも同じように手を叩き、この決闘と新たな関係性に祝福を送っていた。
 ディートヘルムも高座の下から彼らに拍手を送っており、誰も彼も集まる人々の顔がいつもよりスッキリとしているように見えた。
 祖母も言っていたが――――、本当に全てを変えていってしまうんだなと、叔父に促され握手を交わす二人を見た。
「……それで、我らに要求することとは?」
 いつもと違い落ち着いた声色のコルネウスがフィフスへと促した。
「あぁ、私の望みはひとつだ。」
 日頃高慢なコルネウスにも、あのようなしおらしいところがあるんだな、初めてそう思えた。











「――――――勝利の報酬に、ディアスをもらおう。」











 その言葉と共に、一斉に皆の視線が集まったのは言うまでもない。
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