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39.『饒舌』な休日⑤
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いつもと違った刺激的なお茶会のあと、宿舎も後にする時間が近付く。
「フィーは制服貰ってないの? 着替えてくるかと思った」
角を挟んで、姉の隣に座るエリーチェが尋ねた。
「あぁ、忘れていた。――でもディアスもエミリオも制服とは違うよな?」
またディアスの席の隣に座っていたフィフスが、身を乗り出して二人の事を見比べる。
「……アイベルが用意してくれたものを適当に選んでいる」
「僕もです。……もしかして制服の方がよかったでしょうか?」
「大丈夫じゃないかしら。――下流の学生は制服の着用義務があるけれど、貴族以上は服装の規定がないもの」
似たような弟たちの反応をくすりと笑い、最後のお茶を楽しんでいる。
「……アズはなんでいつも制服なの? おしゃれに興味ないの?」
「そういう訳じゃないんだけど、……しばらくはそういう気分になれなくて、お休みしているの」
姉の侍女たちが残念そうにため息をついている。
「気が向いたら、二人にまたお願いするわ」
「……あと、学生証。――身分証になるんだから、それも忘れずに持ち歩くのよ? 忘れてない? エリーチェは持っているわよね?」
リタがこちらにいるフィフスと、隣に座るエリーチェにそれぞれ確かめていた。――自分たちは普段携行していないが、もしかしたら彼女たちは特殊な立場ということで必須なのかもしれない。
「なるほど、いろいろと準備不足だったようだ。――支度をしてから向かおう。皆は先に行ってくれ。」
立ち上がり、隣に置いていたコートの類を手に姉の後ろにある扉に向かう。
「庭園を通って行くから、追いかけてきてねー」
エリーチェが見送りながらそう伝えると、ひとつ振り返り、軽やかに出て行った。
「――長々とここで寛いでしまったけれど、大丈夫だったかしら」
立ち上がりながら周囲を見回した。誰も来る気配はなく、昨日教会で見ただけの人数が、この宿舎にいるとは思えなかった。
「大丈夫だよ。もし使う時はみんな声を掛けてくれるし、そんなに神経質な人はここにいないから。――いや、ミラ姉がいたか……」
「部屋で休んでるか、観光へ行ったんじゃない? ――見つからない内に退散しましょう」
二人は顔を合わせて悪戯っぽい声を潜めた。――昨日はガレリオとフィフスが怒られていたなと思い出し、二人の様子からも厳しい方なのかもしれない。
後ろを振り返ると相変わらず方々の部屋はドアが開かれ、窓からの光なのかまっすぐ伸びる廊下は明るかった。フィフスの影も姿もなかったが、誰の訪れも拒まないような明るさが、ここの人たちを表しているようだ。
「――いかがなさいましたか? 忘れ物でしょうか」
「いや、なんでもない」
アイベルの心配をよそに、悪くない一日がようやく始まった気がした。
宿舎から中央に存在する女神像をあしらった噴水まで、広く生垣が並ぶ庭園を通る。――今は色とりどりの薔薇が咲いている。
庭園の中にいくつかベンチがあり、よく休憩に使ったり談笑している学生をみかける。
朝よりも幾分か気温があがり過ごしやすくなった今、生垣の向こうから生徒たちの声が微かに届く。人の姿が見えずとも庭園も賑わっているということだろう。
日曜の正午ということもあり、普段よりかは静かで落ち着いた学園だ。
弟があれこれと見える景色を二人に説明をしている。校舎の方へ少し視線を動かせば、高くそびえる壁にいくつか窓が開き、中に人がいるであろう様子が伝わる。
全部で九階まであるのだが、主に使う教室は六階までだ。八階に講堂もあるのだが、招集された際使うことはあっても基本は外にもっと広い講堂があるため特別な用がなければ使うことはない。――締結式ではここが使われる予定だ。
ひとつの階層がそれなりの高さがあるため、上階まで登るのは正直大変だ。授業を選択するには、移動の時間も考慮しながら組み立てる必要があった。――自分がここに来た時は姉たちがいたので困ることはなかったが、きっと何も知らなかったら授業を受けることもままならなかっただろう。
前方を歩く姉弟と、明日からクラスメイトになる彼女たちを見る。――今はほとんどをコレットと同じ授業を選択しているので、寮から授業までは迷わずに案内してもらえるだろう。
男子としてここにきているフィフスが男子寮でなく、近くの宿舎なのも考慮して配置したのかもしれない。その采配は恐らくヴァイスが関わっているのだろう――。
学園のこともあの人自身のことも良くわかっているからこそ、ちょうどいいサポート役なのだと思う。
「――間に合ったな。すぐに追いつけてよかった。」
後ろから声がし、振り返るとフィフスがいた。侍従たちの少し後ろにおり、彼らも同じく振り返っていたようだ。宿舎からまま離れているのだが、音もなく息も上がった様子もないことから、いつの間に近付いていたのかすら分からなかった。
「お~、似合ってるねぇ」
先ほどの恰好から一転、制服を身にまとっている。先ほどの詰襟姿から、光沢のある黒のブレザーとスラックス、白のワイシャツに同じく黒のベストがブレザーの下から見える。ブレザーの左胸ポケットの部分には学章が刺繍されている。さらに胸元には細い黒のリボンタイが締められ、学年を表す深緑色のブローチが陽の光を浴び反射している。――男子は黒い制服だが、女子は黒に近い深緑色をしており、ショート丈のジャケットに白のブラウス、同色のジャンパースカートに大きめのリボンタイをする。
男子と同じように左胸ポケット部分には学章が刺繍され、胸元を縁取る大きめのリボンタイに、同じようにブローチが付いている。
相変わらず帯剣はしており、足元も昨日と同じブーツのようだ。――武器も仕込まれているし、身長をごまかしているのだから、きっとそう簡単に変えられるものではないだろう。
エリーチェの誉め言葉に、まんざらでもなさそうな表情でこちらに歩きだした。詰襟の際は隠れていたチョーカーが目に入る。――あれは声を変えるものだったはずだ。
学生の中にはアクセサリーを着けている者もいるので咎められはしないだろうが、急所が出ているようで目を引いた。
「これで学生に擬態できたか。」
「擬態言うな。ちゃんと校則は守るのよ。さっきみたいな奇行はしちゃだめだからね。――エリーチェ、あなたもよ」
リタが二人に向かって、それぞれ指を差し釘を刺す。
「殿下もさっきのような奇行を許さなくていいですからね?」
きりっとした眼差しでこちらを心配そうに見ている。
「――別に困ることでもないし、俺は気にしていない」
「ディアスはいいやつだな。」
「アズの弟さんいい人だねぇ」
兄を褒められて嬉しそうな弟と、リタのこれからの苦労を察して彼女の背を姉が支えた。
「弟たちのこと、よろしくね」
悪戯っぽく伝えられた姉のセリフに、これ見よがしに呆れた視線を送るリタだった。――エリーチェが彼女の肩に手を置き、進む方向へと向きを変えると揃って中央エントランスに向かって歩き出した。
中央エントランスというのは言葉の通り、校舎の中央にあるこの学園の入口であり顔でもある場所だ。
外と中を仕切る、両開きの黒い扉は三メートル近くあり、金の細かな装飾が施されている。その堂々とした扉の真ん中に学章があるのだが、今は扉が開かれているため全容を拝むことはできない。
庭園とエントランスがぶつかる交点には、創造神を模した女神像と大きな噴水があり、湧き出す水と共に存在感をアピールしている。
このあたりまでくるとだいぶ視界が広がり、この学園都市をほぼ一望できる。――緩やかながらも傾斜があるため、山の手エリアも下町エリアも良く見える。城壁の向こうには鬱蒼とした森が広がり、ここが自然から隔離された場所なのだとよく分かる。
ここに立つのが初めてであろうフィフスが、噴水の横で景色を眺めている。見慣れた光景ではあるのだが、空の色よりも深いその瞳で何を映しているのかと視線を辿る。
「……なかなか壮観だな。この正面ってプルシャが近い場所だろうか。」
「地図で見た感じそうかもね。……あっちに行ったらダメだよ?」
「さすがにそこまで面倒を抱えるつもりはない――。機会があれば行ってみたいが。」
エリーチェがフィフスの隣に立ち、見えない先について話しているようだった。彼の隣に立ち、眺めてみるも森が見えるだだった。
「プルシャって?」
「聖国にある大森林の中にある里の名前だ。――蒼家の管轄で、高等竜が住んでいる里がこの先の壁の向こうにあるんだ。」
「高等竜って、……ドラゴンってことか?」
「そうだ。我々は龍神を奉っているから、特に竜種を大切にしている。――こちらでも今はそうなんだろ?」
二人の目が同時に向けられる。
「あぁ……、過去に祖母がドラゴンを狩るのをやめさせたはずだ。――俺は見たことがないけれど、二人はあるのか?」
「あるよ~。たまに子どもが遊びに来るよね」
「密猟者がいるから見つけ次第、保護をしているが……、でかいから確保するのが大変なんだ。」
「……昨日見た、骨格標本くらいあるんですか?」
「さすがにもっと小さい、――といっても私ぐらいは普通にあるな。昨日見たのは50歳くらいの個体じゃないのか? 本物じゃないから違うかもしれないが。」
弟もいつの間にか話を聞いており、フィフスは答えながらエミリオを見た。
「聖国とは能力が異なるそうだ。――向こうは四神の加護を受けた我々と同じ霊力を持ち、こちらは創造神の加護を受けお前たちと同じ魔力を持っていると聞いたことがある。実物を見たことがないから本当かどうかは分からないがな。」
「そうなんですね――。そのドラゴンはフィフスを見て逃げないのですか?」
「霊力が高いからか、竜には好かれているな。――小動物はだめだが、でかいやつなら向こうから来てくれるから嫌いじゃない。熊とか瞬殺だ。」
竜への対応は随分丁寧なのに、熊はダメなのかとふっと息が漏れる。
「前に右翼さんと競争してたよね。どっちが多く倒せるか。」
「あの時は街にも被害が出そうだったからな。競争はアイツも好きだしコキ使えて丁度良かった。――動物は上下関係さえ分からせれば御しやすいからいい。」
「動物に上下関係とかあるのか――?」
「それはあるだろう。どちらが強いかが分かれば、抵大は大人しくなるもんだ。」
腕を組みにやりと笑った。
「それは頼もしい限りだ――」
ある意味、人でも似たような部分はあると思うのだが、今は余計な話か。
風がそよかに吹き、ひんやりとした空気が皆を撫でていく。
「そこの自由人たち、いいかしら? ――もうヴァイス様たち来ているんだから寄り道はそこそこにして下さいね」
腰に手を当てた、リタの不機嫌そうな声が後ろからした。――まとめ役を引き受けたからか、二人の王子に対しても遠慮がなくなったようだ。フィフスの組んでいる腕を掴みエントランスへと連れて行く。
「アナタが一番手間がかかるのよ――。行くわよ」
連れていかれる様子を目で追い、その先を見るとエントランスの中に姉のアストリッドと、従姉のレティシアが並んでこちらを微笑ましげに眺めていた。
その二人から少し離れたところに叔父のヨアヒムと学園の理事をしているヴァイスも並びながら、何かを話しつつこちらを見ているようだった。
「どうやら新しい『姉』が出来たようね、頼もしい限りだわ」
全員が姉たちの元へ集まると、レティシアがくすくすと笑いながらそう言った。秋色をしたシックなワンピースに身を包む従姉は、リタのことを見て満更でもない様子だ。
「……そういうの別に求めてないんですけどね」
「可哀そうなリタ。――今度お茶をしましょうね。たくさん労わってあげるわ」
レティシアは不満げなリタの頬をなぞり、顎をくいと上げた。彼女はヒールを履いているのでリタよりも10センチ程高く、綺麗に上を向かされる。
「そんな表情しては、可愛いお顔が台無しよ」
レティシアの行動に翻弄され、不満げな表情は一気に消えた。――よくある光景だが、恥ずかしがる表情に慣れていなさそうな気配だ。止めるべきか悩んでいると、
「コレットさまは? ……もしかして、まだ調子が悪いのかな」
エリーチェがあたりを見回しながら、ここにない人影を探していた。
――昨日も気分が優れないと言っていが、まだ調子を崩しているのだろうか。遠くに在る女子寮の方向を見た。
「心配してくれてありがとう。私の妹は、すぐ拗ねてしまうの。――でもそういうことろが可愛い子だから、どうか許してあげてね」
「そうなのかい? 全員集合にならなくて残念――」
ヴァイスと叔父がこちらに近付いてきていた。――叔父はまだ本調子ではないように見えた。
「……お加減がすぐれないので?」
何も知らないのかフィフスがリタから離れ、叔父に声を掛けていた。
「もう大丈夫だ。――私のせいで遅くなってすまなかった」
手を上げ、これ以上の心配は無用と制する。
「年甲斐もなく飲みすぎちゃうなんて、若いねヨアヒムも~」
ヴァイスがしみじみと叔父の事を評しているが、そんな彼を叔父が恨みがましく横目で見ている。
「ひとつしか変わらないだろうが。……それに不運にも、あの二人に巻き込まれただけだ」
「ふーん、兄さんたち元気だった?」
「あぁ、俺を酔い潰すくらいにはな。――疲労が一周してハイになっていたのか、酒なんて飲んでないで早く休んで欲しい……」
昨夜の出来事を、苦々しく思い出しているようだ。
父のせいでよほど大変な目に合っていたのか、申し訳なくなり叔父から視線を逸らした。――視界にフィフスが入る。彼も視線を逸らしているようで、別の方向に頭が傾いているのが見えた。
「そっかぁ。ま、あの二人もいろいろと忙しいもんね。――僕も会いたかったな~、羨ましいっ」
大仰に残念がっているヴァイスを、叔父が恨めしそうに見た。
「なら次は代わってくれ。二日酔いはしんどい……」
「でもお父様を看病するのはお母様もお好きでしょう? よかったじゃない」
くすくすと笑いながらレティシアが、自分の父を憐れんでいた。
「大病だとそうはいかないんだから、存分に甘えておけばいいのよ」
「――余計なことを言わんでいい」
プライベートを明かされ、気まずそうにしている叔父にリタとエリーチェも忍び笑いをしていた。
「個人的な話はこれで以上だ。――遅れた分、多くを見て回れないかもしれないが、私たちが君たちを案内しよう」
踵を返し、先頭を叔父が進む。弟が叔父の近くに行き、続いて他の者も校内へと進んだ。
進む中にフィフスの姿がなく、先ほどいた場所を見ると、ヴァイスに何か耳打ちされていた。ふと上げた表情は硬く、押し出されるように皆に付いて行った。
「――何かあったのか」
「うん? 大したことじゃないよ。気にかかることがあったから大丈夫だよって伝えただけさ」
じっとヴァイスの目を見るが、掴みどころのない笑みが、こちらに向けられるだけだった。
「気にかかるなら君がついててあげればいい。――さっきも随分みんなが打ち解けていてほっとしたよ。誰にだってそういう時間は必要だからね」
肩に手を回される。
「大人がついてちゃダメな時だってあるんだ。分からないくても、今はそういうものだと飲み込めばいい。……君にもそういう時間が必要だと僕は思ってるよ」
近くなった顔から離れようとするが、無理やり進むように連れていかれる。
「ささっ! 早く楽しい校内探検にいこうじゃないかっ」
「暑苦しい――」
肩にかけられたヴァイスの手を振りほどき、大股で離れた。――何を言いたいのか分からないが、先ほどの表情から何か懸念があるのかと先を歩くフィフスの背を見る。
強く頼もしい面がある一方、細く簡単に手折れてしまいそうな危うさが見える。
はっきり言わない口ぶりに乗るのは、癪としか言いようがない。――それでも、ただあの小さな背を支えたいと思い傍らへ行く。
先ほど父の話が出たが、もしかして一緒に飲んでいたのはセーレだろうか――。
あまり会えない実父のことを知り、何か思うところがあるのかもしれない。
自分からセーレの話はするのに、こちらに尋ねてこないのは、本人にも触れにくい事なのかもしれない。――『大丈夫』とヴァイスと同じことを言いたくなくて他の言葉を探す。
「――フィフス、」
隣に並び、今の名を呼ぶ。
「どうした――?」
こちらを向く目に先ほどの硬さは隠れていた。――気持ちの切り替えが下手だとリタは言っていたが、気持ちを隠すことは上手な人だと思っている。でなければ神の代行者なんて大層な役目が、ただの人に務まるはずもないのだから。
「……父は昔から晩酌にセーレを付き合わせているんだ。――あの人も慣れているから、飲んでいるようで以外と無理はしない」
思わぬ話だったようで、切れ長の冷たさが残る瞳が見開かれる。
「……そうか。」
「誰かと同じようにしたたかな人だから、きっと今日はしっかり休んでいるか、無理なく仕事をしていると思う。叔父上は巻き込まれて災難だったとしか言いようがないが……」
自由奔放なところがある父の事を考えると、眉も曇る勢いだ。
隣にいる彼の足取りは変わらないものの、湖面のような瞳が一瞬揺らぐ。
すぐに凪ぎ、小さく笑ってくれた。
「こちらの人は良く酒を嗜むのか? 女王も会議の前に酒を飲んでいた。」
「……祖母の件は知らなかったけど、俺の周りの人はそうかも」
「そうなのか。――口にしたことは何度かあるが、なにがいいのかまだ理解できそうにないな。」
「……飲んだことがあるのか?」
ラウルスでは酒は成人してからだが、成人年齢の低い聖国ではもう口にできるということなのか。
「あぁ。――アルコールも毒みたいなものだろ? 毒見の一環だと思えば、口にすることもままある。」
「……もっと自分を大切にしてくれ」
呆れてしまう。周囲の人間は止めることもないのだろうか。
叔父の足が止まり、近くに来るよう呼ばれ話を聞きに行く。
どこも自分たちにとってはよく知っている場所だ。だが今日初めて校内に入ったであろう三人が、興味深げに耳を傾けている姿が、ここに来た当初の頃を思い出させる。
あの時もひとつ上の姉たちに案内してもらったものだ。
――ふと、足りない存在に、喪失感が胸の中の温度を下げていてく。
思わず周囲を見回すが、望む人影はどこにもなかった。
アイベルが近くへ来るが、心配そうな彼を制し、気にしないようにと自身に言い聞かせた。
今考えたって、どうすることも出来ない、――仕方のないことだ。
遅れて来たヴァイスが、静かに叔父の側に到着する姿と目が合うも、さっきのことなど気にした風もなく微笑を浮かべていた。
つまらない意地から、視線を避けることしかできなかった。
「フィーは制服貰ってないの? 着替えてくるかと思った」
角を挟んで、姉の隣に座るエリーチェが尋ねた。
「あぁ、忘れていた。――でもディアスもエミリオも制服とは違うよな?」
またディアスの席の隣に座っていたフィフスが、身を乗り出して二人の事を見比べる。
「……アイベルが用意してくれたものを適当に選んでいる」
「僕もです。……もしかして制服の方がよかったでしょうか?」
「大丈夫じゃないかしら。――下流の学生は制服の着用義務があるけれど、貴族以上は服装の規定がないもの」
似たような弟たちの反応をくすりと笑い、最後のお茶を楽しんでいる。
「……アズはなんでいつも制服なの? おしゃれに興味ないの?」
「そういう訳じゃないんだけど、……しばらくはそういう気分になれなくて、お休みしているの」
姉の侍女たちが残念そうにため息をついている。
「気が向いたら、二人にまたお願いするわ」
「……あと、学生証。――身分証になるんだから、それも忘れずに持ち歩くのよ? 忘れてない? エリーチェは持っているわよね?」
リタがこちらにいるフィフスと、隣に座るエリーチェにそれぞれ確かめていた。――自分たちは普段携行していないが、もしかしたら彼女たちは特殊な立場ということで必須なのかもしれない。
「なるほど、いろいろと準備不足だったようだ。――支度をしてから向かおう。皆は先に行ってくれ。」
立ち上がり、隣に置いていたコートの類を手に姉の後ろにある扉に向かう。
「庭園を通って行くから、追いかけてきてねー」
エリーチェが見送りながらそう伝えると、ひとつ振り返り、軽やかに出て行った。
「――長々とここで寛いでしまったけれど、大丈夫だったかしら」
立ち上がりながら周囲を見回した。誰も来る気配はなく、昨日教会で見ただけの人数が、この宿舎にいるとは思えなかった。
「大丈夫だよ。もし使う時はみんな声を掛けてくれるし、そんなに神経質な人はここにいないから。――いや、ミラ姉がいたか……」
「部屋で休んでるか、観光へ行ったんじゃない? ――見つからない内に退散しましょう」
二人は顔を合わせて悪戯っぽい声を潜めた。――昨日はガレリオとフィフスが怒られていたなと思い出し、二人の様子からも厳しい方なのかもしれない。
後ろを振り返ると相変わらず方々の部屋はドアが開かれ、窓からの光なのかまっすぐ伸びる廊下は明るかった。フィフスの影も姿もなかったが、誰の訪れも拒まないような明るさが、ここの人たちを表しているようだ。
「――いかがなさいましたか? 忘れ物でしょうか」
「いや、なんでもない」
アイベルの心配をよそに、悪くない一日がようやく始まった気がした。
宿舎から中央に存在する女神像をあしらった噴水まで、広く生垣が並ぶ庭園を通る。――今は色とりどりの薔薇が咲いている。
庭園の中にいくつかベンチがあり、よく休憩に使ったり談笑している学生をみかける。
朝よりも幾分か気温があがり過ごしやすくなった今、生垣の向こうから生徒たちの声が微かに届く。人の姿が見えずとも庭園も賑わっているということだろう。
日曜の正午ということもあり、普段よりかは静かで落ち着いた学園だ。
弟があれこれと見える景色を二人に説明をしている。校舎の方へ少し視線を動かせば、高くそびえる壁にいくつか窓が開き、中に人がいるであろう様子が伝わる。
全部で九階まであるのだが、主に使う教室は六階までだ。八階に講堂もあるのだが、招集された際使うことはあっても基本は外にもっと広い講堂があるため特別な用がなければ使うことはない。――締結式ではここが使われる予定だ。
ひとつの階層がそれなりの高さがあるため、上階まで登るのは正直大変だ。授業を選択するには、移動の時間も考慮しながら組み立てる必要があった。――自分がここに来た時は姉たちがいたので困ることはなかったが、きっと何も知らなかったら授業を受けることもままならなかっただろう。
前方を歩く姉弟と、明日からクラスメイトになる彼女たちを見る。――今はほとんどをコレットと同じ授業を選択しているので、寮から授業までは迷わずに案内してもらえるだろう。
男子としてここにきているフィフスが男子寮でなく、近くの宿舎なのも考慮して配置したのかもしれない。その采配は恐らくヴァイスが関わっているのだろう――。
学園のこともあの人自身のことも良くわかっているからこそ、ちょうどいいサポート役なのだと思う。
「――間に合ったな。すぐに追いつけてよかった。」
後ろから声がし、振り返るとフィフスがいた。侍従たちの少し後ろにおり、彼らも同じく振り返っていたようだ。宿舎からまま離れているのだが、音もなく息も上がった様子もないことから、いつの間に近付いていたのかすら分からなかった。
「お~、似合ってるねぇ」
先ほどの恰好から一転、制服を身にまとっている。先ほどの詰襟姿から、光沢のある黒のブレザーとスラックス、白のワイシャツに同じく黒のベストがブレザーの下から見える。ブレザーの左胸ポケットの部分には学章が刺繍されている。さらに胸元には細い黒のリボンタイが締められ、学年を表す深緑色のブローチが陽の光を浴び反射している。――男子は黒い制服だが、女子は黒に近い深緑色をしており、ショート丈のジャケットに白のブラウス、同色のジャンパースカートに大きめのリボンタイをする。
男子と同じように左胸ポケット部分には学章が刺繍され、胸元を縁取る大きめのリボンタイに、同じようにブローチが付いている。
相変わらず帯剣はしており、足元も昨日と同じブーツのようだ。――武器も仕込まれているし、身長をごまかしているのだから、きっとそう簡単に変えられるものではないだろう。
エリーチェの誉め言葉に、まんざらでもなさそうな表情でこちらに歩きだした。詰襟の際は隠れていたチョーカーが目に入る。――あれは声を変えるものだったはずだ。
学生の中にはアクセサリーを着けている者もいるので咎められはしないだろうが、急所が出ているようで目を引いた。
「これで学生に擬態できたか。」
「擬態言うな。ちゃんと校則は守るのよ。さっきみたいな奇行はしちゃだめだからね。――エリーチェ、あなたもよ」
リタが二人に向かって、それぞれ指を差し釘を刺す。
「殿下もさっきのような奇行を許さなくていいですからね?」
きりっとした眼差しでこちらを心配そうに見ている。
「――別に困ることでもないし、俺は気にしていない」
「ディアスはいいやつだな。」
「アズの弟さんいい人だねぇ」
兄を褒められて嬉しそうな弟と、リタのこれからの苦労を察して彼女の背を姉が支えた。
「弟たちのこと、よろしくね」
悪戯っぽく伝えられた姉のセリフに、これ見よがしに呆れた視線を送るリタだった。――エリーチェが彼女の肩に手を置き、進む方向へと向きを変えると揃って中央エントランスに向かって歩き出した。
中央エントランスというのは言葉の通り、校舎の中央にあるこの学園の入口であり顔でもある場所だ。
外と中を仕切る、両開きの黒い扉は三メートル近くあり、金の細かな装飾が施されている。その堂々とした扉の真ん中に学章があるのだが、今は扉が開かれているため全容を拝むことはできない。
庭園とエントランスがぶつかる交点には、創造神を模した女神像と大きな噴水があり、湧き出す水と共に存在感をアピールしている。
このあたりまでくるとだいぶ視界が広がり、この学園都市をほぼ一望できる。――緩やかながらも傾斜があるため、山の手エリアも下町エリアも良く見える。城壁の向こうには鬱蒼とした森が広がり、ここが自然から隔離された場所なのだとよく分かる。
ここに立つのが初めてであろうフィフスが、噴水の横で景色を眺めている。見慣れた光景ではあるのだが、空の色よりも深いその瞳で何を映しているのかと視線を辿る。
「……なかなか壮観だな。この正面ってプルシャが近い場所だろうか。」
「地図で見た感じそうかもね。……あっちに行ったらダメだよ?」
「さすがにそこまで面倒を抱えるつもりはない――。機会があれば行ってみたいが。」
エリーチェがフィフスの隣に立ち、見えない先について話しているようだった。彼の隣に立ち、眺めてみるも森が見えるだだった。
「プルシャって?」
「聖国にある大森林の中にある里の名前だ。――蒼家の管轄で、高等竜が住んでいる里がこの先の壁の向こうにあるんだ。」
「高等竜って、……ドラゴンってことか?」
「そうだ。我々は龍神を奉っているから、特に竜種を大切にしている。――こちらでも今はそうなんだろ?」
二人の目が同時に向けられる。
「あぁ……、過去に祖母がドラゴンを狩るのをやめさせたはずだ。――俺は見たことがないけれど、二人はあるのか?」
「あるよ~。たまに子どもが遊びに来るよね」
「密猟者がいるから見つけ次第、保護をしているが……、でかいから確保するのが大変なんだ。」
「……昨日見た、骨格標本くらいあるんですか?」
「さすがにもっと小さい、――といっても私ぐらいは普通にあるな。昨日見たのは50歳くらいの個体じゃないのか? 本物じゃないから違うかもしれないが。」
弟もいつの間にか話を聞いており、フィフスは答えながらエミリオを見た。
「聖国とは能力が異なるそうだ。――向こうは四神の加護を受けた我々と同じ霊力を持ち、こちらは創造神の加護を受けお前たちと同じ魔力を持っていると聞いたことがある。実物を見たことがないから本当かどうかは分からないがな。」
「そうなんですね――。そのドラゴンはフィフスを見て逃げないのですか?」
「霊力が高いからか、竜には好かれているな。――小動物はだめだが、でかいやつなら向こうから来てくれるから嫌いじゃない。熊とか瞬殺だ。」
竜への対応は随分丁寧なのに、熊はダメなのかとふっと息が漏れる。
「前に右翼さんと競争してたよね。どっちが多く倒せるか。」
「あの時は街にも被害が出そうだったからな。競争はアイツも好きだしコキ使えて丁度良かった。――動物は上下関係さえ分からせれば御しやすいからいい。」
「動物に上下関係とかあるのか――?」
「それはあるだろう。どちらが強いかが分かれば、抵大は大人しくなるもんだ。」
腕を組みにやりと笑った。
「それは頼もしい限りだ――」
ある意味、人でも似たような部分はあると思うのだが、今は余計な話か。
風がそよかに吹き、ひんやりとした空気が皆を撫でていく。
「そこの自由人たち、いいかしら? ――もうヴァイス様たち来ているんだから寄り道はそこそこにして下さいね」
腰に手を当てた、リタの不機嫌そうな声が後ろからした。――まとめ役を引き受けたからか、二人の王子に対しても遠慮がなくなったようだ。フィフスの組んでいる腕を掴みエントランスへと連れて行く。
「アナタが一番手間がかかるのよ――。行くわよ」
連れていかれる様子を目で追い、その先を見るとエントランスの中に姉のアストリッドと、従姉のレティシアが並んでこちらを微笑ましげに眺めていた。
その二人から少し離れたところに叔父のヨアヒムと学園の理事をしているヴァイスも並びながら、何かを話しつつこちらを見ているようだった。
「どうやら新しい『姉』が出来たようね、頼もしい限りだわ」
全員が姉たちの元へ集まると、レティシアがくすくすと笑いながらそう言った。秋色をしたシックなワンピースに身を包む従姉は、リタのことを見て満更でもない様子だ。
「……そういうの別に求めてないんですけどね」
「可哀そうなリタ。――今度お茶をしましょうね。たくさん労わってあげるわ」
レティシアは不満げなリタの頬をなぞり、顎をくいと上げた。彼女はヒールを履いているのでリタよりも10センチ程高く、綺麗に上を向かされる。
「そんな表情しては、可愛いお顔が台無しよ」
レティシアの行動に翻弄され、不満げな表情は一気に消えた。――よくある光景だが、恥ずかしがる表情に慣れていなさそうな気配だ。止めるべきか悩んでいると、
「コレットさまは? ……もしかして、まだ調子が悪いのかな」
エリーチェがあたりを見回しながら、ここにない人影を探していた。
――昨日も気分が優れないと言っていが、まだ調子を崩しているのだろうか。遠くに在る女子寮の方向を見た。
「心配してくれてありがとう。私の妹は、すぐ拗ねてしまうの。――でもそういうことろが可愛い子だから、どうか許してあげてね」
「そうなのかい? 全員集合にならなくて残念――」
ヴァイスと叔父がこちらに近付いてきていた。――叔父はまだ本調子ではないように見えた。
「……お加減がすぐれないので?」
何も知らないのかフィフスがリタから離れ、叔父に声を掛けていた。
「もう大丈夫だ。――私のせいで遅くなってすまなかった」
手を上げ、これ以上の心配は無用と制する。
「年甲斐もなく飲みすぎちゃうなんて、若いねヨアヒムも~」
ヴァイスがしみじみと叔父の事を評しているが、そんな彼を叔父が恨みがましく横目で見ている。
「ひとつしか変わらないだろうが。……それに不運にも、あの二人に巻き込まれただけだ」
「ふーん、兄さんたち元気だった?」
「あぁ、俺を酔い潰すくらいにはな。――疲労が一周してハイになっていたのか、酒なんて飲んでないで早く休んで欲しい……」
昨夜の出来事を、苦々しく思い出しているようだ。
父のせいでよほど大変な目に合っていたのか、申し訳なくなり叔父から視線を逸らした。――視界にフィフスが入る。彼も視線を逸らしているようで、別の方向に頭が傾いているのが見えた。
「そっかぁ。ま、あの二人もいろいろと忙しいもんね。――僕も会いたかったな~、羨ましいっ」
大仰に残念がっているヴァイスを、叔父が恨めしそうに見た。
「なら次は代わってくれ。二日酔いはしんどい……」
「でもお父様を看病するのはお母様もお好きでしょう? よかったじゃない」
くすくすと笑いながらレティシアが、自分の父を憐れんでいた。
「大病だとそうはいかないんだから、存分に甘えておけばいいのよ」
「――余計なことを言わんでいい」
プライベートを明かされ、気まずそうにしている叔父にリタとエリーチェも忍び笑いをしていた。
「個人的な話はこれで以上だ。――遅れた分、多くを見て回れないかもしれないが、私たちが君たちを案内しよう」
踵を返し、先頭を叔父が進む。弟が叔父の近くに行き、続いて他の者も校内へと進んだ。
進む中にフィフスの姿がなく、先ほどいた場所を見ると、ヴァイスに何か耳打ちされていた。ふと上げた表情は硬く、押し出されるように皆に付いて行った。
「――何かあったのか」
「うん? 大したことじゃないよ。気にかかることがあったから大丈夫だよって伝えただけさ」
じっとヴァイスの目を見るが、掴みどころのない笑みが、こちらに向けられるだけだった。
「気にかかるなら君がついててあげればいい。――さっきも随分みんなが打ち解けていてほっとしたよ。誰にだってそういう時間は必要だからね」
肩に手を回される。
「大人がついてちゃダメな時だってあるんだ。分からないくても、今はそういうものだと飲み込めばいい。……君にもそういう時間が必要だと僕は思ってるよ」
近くなった顔から離れようとするが、無理やり進むように連れていかれる。
「ささっ! 早く楽しい校内探検にいこうじゃないかっ」
「暑苦しい――」
肩にかけられたヴァイスの手を振りほどき、大股で離れた。――何を言いたいのか分からないが、先ほどの表情から何か懸念があるのかと先を歩くフィフスの背を見る。
強く頼もしい面がある一方、細く簡単に手折れてしまいそうな危うさが見える。
はっきり言わない口ぶりに乗るのは、癪としか言いようがない。――それでも、ただあの小さな背を支えたいと思い傍らへ行く。
先ほど父の話が出たが、もしかして一緒に飲んでいたのはセーレだろうか――。
あまり会えない実父のことを知り、何か思うところがあるのかもしれない。
自分からセーレの話はするのに、こちらに尋ねてこないのは、本人にも触れにくい事なのかもしれない。――『大丈夫』とヴァイスと同じことを言いたくなくて他の言葉を探す。
「――フィフス、」
隣に並び、今の名を呼ぶ。
「どうした――?」
こちらを向く目に先ほどの硬さは隠れていた。――気持ちの切り替えが下手だとリタは言っていたが、気持ちを隠すことは上手な人だと思っている。でなければ神の代行者なんて大層な役目が、ただの人に務まるはずもないのだから。
「……父は昔から晩酌にセーレを付き合わせているんだ。――あの人も慣れているから、飲んでいるようで以外と無理はしない」
思わぬ話だったようで、切れ長の冷たさが残る瞳が見開かれる。
「……そうか。」
「誰かと同じようにしたたかな人だから、きっと今日はしっかり休んでいるか、無理なく仕事をしていると思う。叔父上は巻き込まれて災難だったとしか言いようがないが……」
自由奔放なところがある父の事を考えると、眉も曇る勢いだ。
隣にいる彼の足取りは変わらないものの、湖面のような瞳が一瞬揺らぐ。
すぐに凪ぎ、小さく笑ってくれた。
「こちらの人は良く酒を嗜むのか? 女王も会議の前に酒を飲んでいた。」
「……祖母の件は知らなかったけど、俺の周りの人はそうかも」
「そうなのか。――口にしたことは何度かあるが、なにがいいのかまだ理解できそうにないな。」
「……飲んだことがあるのか?」
ラウルスでは酒は成人してからだが、成人年齢の低い聖国ではもう口にできるということなのか。
「あぁ。――アルコールも毒みたいなものだろ? 毒見の一環だと思えば、口にすることもままある。」
「……もっと自分を大切にしてくれ」
呆れてしまう。周囲の人間は止めることもないのだろうか。
叔父の足が止まり、近くに来るよう呼ばれ話を聞きに行く。
どこも自分たちにとってはよく知っている場所だ。だが今日初めて校内に入ったであろう三人が、興味深げに耳を傾けている姿が、ここに来た当初の頃を思い出させる。
あの時もひとつ上の姉たちに案内してもらったものだ。
――ふと、足りない存在に、喪失感が胸の中の温度を下げていてく。
思わず周囲を見回すが、望む人影はどこにもなかった。
アイベルが近くへ来るが、心配そうな彼を制し、気にしないようにと自身に言い聞かせた。
今考えたって、どうすることも出来ない、――仕方のないことだ。
遅れて来たヴァイスが、静かに叔父の側に到着する姿と目が合うも、さっきのことなど気にした風もなく微笑を浮かべていた。
つまらない意地から、視線を避けることしかできなかった。
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