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18.『策士』は雨上がりと共に③
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東エントランスとはその名の通り、校舎の東側にある出入口だ。学園の顔でもある中央エントランスに比べ質素だと思う者がほとんどだろう。毎日午前6時から午後18時の間開くことになっており、今は大きな入り口が生徒たちの出入りを許している。土日は基本授業がないのだが、寸暇を惜しんで学ぶ者や課外活動に力を入れる者も多くいるため、校舎にまったく人がいないということは基本ない。
早めに出て来たつもりだったのだが、いつから居るのか黒髪の少年と金髪の青年の二人組が見えた。――フィフスと左翼だ。校内にある掲示板を見ているようだった。左翼の風体が珍しいためか、学生服でない人物が学内にいるからなのか、遠巻きに人が集まっていた。
「お待たせしました!」
小走りで二人の元へ行くエミリオ。弟の少し幼さがまだ残る高めの声に二人が振り返る。二人とも昨日と同じような格好だが、明るいところで見れば軍隊服に近いデザインをしている。青のアクセントが入った黒の詰襟姿は同じで、剣の数が異なるもののそれぞれが帯剣している。――許可があれば学内での武器の所持は許されている。だが武器を持っているのはだいたいが侍従か警護関係者だ。このまま留学生になっても持つつもりなのだろうか。
「エミリオ殿下、――だよな。今日はよろしく頼む。」
「はい! もしかして待たせてしまいましたか?」
「さっきついたばかりだ。……ここの掲示物、変なものが多いな。主張が激しくてどれも面白い。」
「いろんなポスターがありますよね。――ここは部活動の勧誘や、生徒からのお知らせなどを貼っているそうですよ」
風景に溶け込んでいたため、気にしたことがなかった。弟も一緒になって掲示物を見始めた頃、二人の侍従と共に到着した。
「ディアスもおはよう。昨夜はよく眠れたか?」
名前で呼ばれ、昨日の件に触れられると思わずどきりとした。そんな気持ちとは関係なく、友人は昨日より角の取れた温和な表情をしているように見えた。
「……いつ寝たか記憶がないくらいには、よく眠れました」
「そうか。それはよかった。」
何があったか、聞けなかった。――が、この様子から変なことはなかった。――と思うことにする。
思わず堅い言葉で返事をしてしまったことに、この二人は招かれた客人でもあるからと心の中で言い訳をしてみた。
「行先はヴァイス卿から聞いただろうか。先ほどお前たちに会いに行っていたようだが。」
「はい! ただ、僕も兄さまもバルシュミーデ通りには行ったことがないので、案内とかはできませんが……」
「大丈夫だ。ある程度情報は集めた。それよりも一緒に来てもらえれば心強い。」
二人とも手ぶらだが、すべて頭に情報を入れているのだろうか。
「それからアイベル、だったよな。怪我はもういいのか?」
「はい。先ほど見舞いに来てくれたと伺いました。わざわざありがとうございます」
「経過が気になったからな。――それにしてもすごいな。治癒もなしにあの状態からどうやって治したんだ?」
悠然と尋ねるフィフスに、アイベルが言葉を詰まらせた。
「怪我をしてもここでは自然治癒が基本だと聞いている。学生が治癒術を学べるのも八学年からだろ。」
「……アイベル?」
怪我のまま世話をさせていたことに愕然とする。エミリオも隣を歩いていたキールも、アイベルの変わらぬ態度に、気付いていなかったようだ。
「あの、痛みはもうないので、問題ありません……」
虚を突かれ言葉に詰まる姿に、本当のことを言っていないことは明らかだろう。
「お前が大丈夫でも、嘘をつかれた方は全く大丈夫じゃない。それは信頼を裏切る行為ではないのか。――それに有事の際、その腕で何ができる?」
口調も表情も変わらないものの、鋭い指摘にアイベルがたじろいでいた。
「……せめて嘘をつくならもう少し頑張れ。昨日の失態を取り戻そうとしているのかもしれないが、それは悪手に悪手を重ねているだけだ。本当に困ったとき、それでは誰にも頼れなくなるぞ。」
フィフスが嘆息すると、腰に着けていた銀色の厚みのない、金属質のケースを手に取った。表面をスライドさせるとケースが開く仕組みになっているらしく、中に白い紙が収まっているのが見えた。
昨日何度か目にしたあの紙だ。その入れ物の横には、筆が付いているようだった。
ケースを下敷きにし、取り出した一枚の紙へ付属の筆でなにかを書いている。それは水筆のようで、軸に水が入っていることは分かるが、紙の上を走る筆先は色を残すことはなかった。
「少しでも早く、主人の元に戻りたいという気持ちは分からないでもない。もう二度と医務に係らない自身があるならそれもいい。……医務室に行ったらお前がいなくなったことを皆が怒っていたぞ。その行為はお前の手当をしてくれた者に対しても不誠実だし、主人の立場を蔑める行為に繋がるんじゃないのか」
アイベルに近付き、彼にその紙を差し出した。
「これはお守りだ。その胸ポケットにでも入れておくといい。私も早くお前には治ってもらわないと困るからな。――彼を許してやってくれないだろうか? 決して悪気があった訳じゃないんだ。間に合わなかった私にも非がある。」
「そんな――! ……あの、軽率な行動を取ってしまい、殿下の信頼を傷つけるようなことをしてしまいました……。どのような処罰でも受ける所存です」
フィフスが代わりに許しを求めたため慌てているが、深く首を垂れ、軽率な行動を悔いているのが伝わった。
真面目な彼のことだ。自分の役割が果たせないことが許せなかったのだろう。
フィフスと目が合うと、にこりと笑いかけており、言葉ほど深刻にする気はないように見えた。
アイベルの行いを咎める気もなかったので、落としどころを作ってくれたのかもしれない。
「彼に免じて許そう。……頼むから次からはしないでくれ」
「――! 寛大なお心に感謝いたします」
先ほどよりも深く頭が下がる。
「15時にはここに戻る予定だ。その時にもう一度医務室へ行くといい。お前たちも一緒について行ってくれないか。きっとお前に連れていかれれば反省もするだろうし、医務たちも説教しずらくなるだろうからな。」
悪戯めいた提案に、アイベルが強張っていた。
「そんな、殿下のお手を煩わせるなんてこと――」
「さっきはどのような処罰でも受けると聞いた気がしたが、気のせいか?」
「……アイベル。――僕も嘘をつかれて怒っています。そうですよね兄さま?」
エミリオは兄の服を軽く引っ張り主張していた。怒っている、と言う割には言葉に棘があるわけでもなく、悪戯っぽい顔が見えているのを隠しきれていないのが見て取れた。
「キールもこういう時は真似してはだめですよ。僕も兄さまも貴方たちに無理をされても嬉しくないです。あとで一緒に行きましょう」
小さな弟に諭され、アイベルは心底決まりが悪そうにしていた。――こういう収め方もあるのかと関心し、そっと心に留めた。
「さて、そろそろ行こうか。せっかくの観光だ。――人数が減ってしまったらつまらないからな。」
少し問題もあったものの、小さな弟が喜ぶ姿に心に沸き立つものを感じた。さやかな予感に暖かな空気が心地よく、足取りが軽く感じた。
外に用意されていた馬車に四人は車内へ、侍従たちは外の後部にあるスペースに控え、それぞれの準備が整ったことを確認した御者が馬を走らせた。
「……先ほどの、アイベルの件は指摘してくれてありがとうございました。本来であれば自分が気付くべきことです」
「気にしないでくれ。見舞いに行ったら姿がなかったから心配していたんだ。」
「フィフスは物知りですね。治癒術のことも知っているなんて」
「あぁ、この学園で治癒術を学ぶ年齢が上がった時のことをよく話してくれる人がいてな、――昔は入学してすぐに身を守るために教えられていたそうだが、怪我をしてもすぐに治るからと軽く考える奴が多かったらしい。そのせいか粗暴な輩が幅を利かせるようになり、彼らに目を付けられないよう窮屈な思いをしていたそうだ。怪我を負ってもなかったことにされてしまい、摘発も難しかったとか。」
知らない話だった。今では考えられないが、そんな荒れている時期がこの学園にあったのかと弟と共に驚いた。
「他にも偉そうにしていた体育会系の連中が無理なトレーニングで怪我をしてはすぐに治癒で治すもんだから、後々身体の故障に繋がったり、後遺症を引き起こしたりと問題になったらしい。――そういった医療を軽んじる風潮も止めるさせるため、治癒術を教える年齢を引き上げたと聞いた。――怪我しても自然治癒に任せるようになったおかげで、幅を利かせていた連中には証言が集まるし、体育会系の連中も医務室から出てこなくていい気味だったとよく言ってたな。」
思ってもいなかった結末に呆気にとられた。改正していたのは知っていたが、そのような経緯があったとは――。
「いつも清々した顔で話すから余程だったんだろうな。――でもまぁ、軽率に治せるというのは危機感が薄れるから自然治癒に任せることは大事だと思う。」
「そんな事があったんですね……」
「もしかしたら会ったことあるかもな。――グライリヒ陛下より年上の外交官なんだが、仕事しゃないときは面白い話をよくしてくれる。」
外交官であれば王城で見掛けたことがあるかもしれないが、さすがに誰だか思い当たらなかった。
「普段フィフスは聖都にいるんですか?」
「あぁ、そうだ。私は普段人事を担当しているから、いろんなやつとやり取りしてて――」
「「――人事?」」
思わず弟と同じタイミングで聞いてしまった。――身分を偽装するために、そのような設定になっているのだろうか。思ってもみなかった職種が出てきて驚く。
「おぉ、さすが兄弟だな。そうだ、人事評価とか人材確保とか、割となんでもやっているな。」
「警備や護衛などを担当しているんじゃないんですか?」
「警備は四方軍がやっていて、特にガレリオが詳しい。」
「……王子たちが聞きたいのは、そこじゃないだろ」
始終黙っていた左翼が脱線しそうな気配を察したのか口を挟んだ。
「――あぁ、今回の仕事のことか。まぁそれはできるからやっているだけだな。護衛任務は左翼が得意だな。」
「別に得意じゃない」
「なら経験者だ。――主にうちの当代の護衛をしていて、たまに商会で依頼を受けているそうだ。」
それ以上訂正することがないようで、また左翼は静かになった。
「――近年ラウルスからも人が多く来るが、やはりここの学園から来るやつは優秀な者が多いな。今回ここに来れるのは少し楽しみだったんだ。」
石畳の道を走る車体が小気味よく揺れ、その都の景色が軽快に通り過ぎていく。
「良さそうなやつがいたら、絶対勧誘しようって。」
楽しみという言葉通り、小さな窓の外に広がる空と同じような色をした青い瞳がキラキラと期待感に満ちていた。
「……もしかして、本当の『仕事』なのか?」
「そうだが?」
思わず素で尋ねてしまうも、間髪入れずに返事がくる。
一応招かれた客人として丁寧な言葉遣いをしていたと先ほど言い訳していたが、そんな気持ちも失せてしまった。
『友人』が立場上外交官ともやり取りがあるのは想像がつく。彼らの身の上話が聞けるほどに気安い関係が築けるのも、この屈託のない性格と、実父であるセーレの影響があるからだろう。――ラウルスで父である王の補佐をしている一方、二、三ヶ月に一度帰省を兼ねて向こうでも参事官のような仕事をしているからだ。
聖国にいる文官たちが普段どのように過ごしているか分からないが、昨日聞いたワークライフバランスについてや、就労環境改善の話に意識調査の話など、この当人が関わっていそうだ。――この話は偽装のためではなく、本当の話じゃないかとそんな予感がした。
「仕事……、ということは観光はしない、ということでしょうか?」
兄の雰囲気が変わったことに戸惑いながら、楽しみにしていたバルシュミーデ通りへの散策がなくなるのかと不安げにしている弟が尋ねた。
ヴァイスの言う通り、本当に隙あらば仕事をしてしまうのか――。もはや呆れに近い感情だ。
「観光はもちろんする。今の話は別のことだから気にしないでくれ。――あと別にこちらの貴重な人材を奪うつもりもないからな。興味を持ってくれる人がいれば嬉しい、くらいの軽い気持ちだ。」
弟の様子に慌てて訂正を入れている。
「故郷を離れ、知り合いもいない新天地で一から何かを成すことは、気持ち的にも決して容易なことじゃない。――だがひとつの場所に固執せずとも、他にも場所があるし、きっと機会もある。なにかの可能性のひとつとして、聖国に興味を持ってもらえたらと常々思っているんだ。――普段はそういう仕事をしているから、つい余計なことを言ってしまった。すまない。」
フィフスは話しながら、少し身体を前傾にし、背中から何かを手にして見せてきた。――あまり厚みのない雑誌だ。カラフルな写真と文字が並ぶそれは、見たことがないものだが、ここピオニールのガイドブックであることが表紙から伝わる。
「これは知り合いの出版社の営業が、今回の締結式に合わせて作った観光ガイドのひとつだ。以前、参考にもらっていたんだが、幸運なことにこうして使う機会に恵まれた。」
差し出され手に取ると温もりがある。――どうやらずっと背中に隠し持っていたようで、伝わる暖かさがおかしく思えた。
横に座る弟にも見えるようページを開いてみると、この学園の写真と紹介文が載っているのだが、それ以外にもいくつもの人の字で追記とメモ書きが張り付けられていた。そのまま雑誌の文章を読むことが難しく、メモをめくるとそこにもまた何か書き足されていた。
「この雑誌ができたのが半年前とかだったはずだ。最新とはいえないが参考にするには十分だろう。」
「……こんなにたくさん調べていたんですね」
驚きに息をのむ弟が、先ほどまで不安げに陰らせていた目を輝かせていた。
「調べた、というより思い出話を教えて貰ったというのが正しいな。参考に渡されたからあちこちに見せて回ったらこうなった。あとはこちらに向かう道中に聞いた話なんかを追記したくらいか。」
走り書きに目を通すとおすすめなどの情報のほかに、誰かの記憶なのかいつかの出来事や感想などもあった。誰かの名前も載っており、厚みのないこの雑誌が、見た目以上に人の歴史を載せてこの地に来たかと思うと感慨深い。
どの記憶も自分とは関係ないものではあるが、多くの関係者がこの地以外にもいて、どこかで元気にしている様子が感じ取れた。
「こういうものは後で読んでも面白いからな。よかったら後で貸そう。何かあれば書き込んでくれてもいい。」
飾らない素直な言葉から、この人が周りの人からも多くの信頼や親愛を受け取っていることが伝わる。ただお元気でいてくれればと願っていたことは、そう無駄でなかった気がしてなにかがすとんと胸に落ちる心地がした。
気付くと何かしら仕事をしてしまうところは懸念事項だが、きちんと今の時間も大事にしているのだろう。なんだか眩しくもあり、本の中に閉じ込められた温もりが心地よかった。
「バルシュミーデ通りはすぐにブームも店も変わるらしいから、現地のことは現地で調べた方がいいそうだ。――二人も何か興味があることや、行きたいところがあれば遠慮なく教えてくれよな。」
「はい!」
元気な弟にさらに車内が明るくなったように感じた。
「13時に山の手エリアの西の方にあるスーシェン教会へ行くことになっている。私たちが信仰しているリク教の施設だ。――そちらに向かう前にある喫茶店で昼にしたいんだが、それでもいいか?」
「貴方が行きたいところであれば、俺は問題ない」
「僕もです! お任せします」
同意が集まり満足そうに向かいに座る友人がひとつ笑った。
「左翼は拒否権なしな。バルシュミーデ通りから歩いていけるから、散策がてらそこへ向かう。――道中に本屋もあるみたいで、そこにも寄りたい。」
「本屋って、下町にもあるんですか?」
大きな目をぱちくりと瞬かせた弟が尋ねた。本屋といえば学園に近い山の手エリアにある大きなケントニス書店がある。それ以外だと学内にある図書室が一番所蔵が多く、本だけでなく新聞、地図、写真など様々なものが揃っているため、おおよそのことは図書室にいけば全てが事足りる。新書などの新しいものはケントニス書店へ行けば済むので、他にも本屋があるとは考えたこともなかった。
「聞いたところによると、下町にはいくつか本屋があるそうだ。特に使わなくなった古書や個人で作成した資料や本なんかが売られているとか。ここを卒業するときに、そういう場所に残していく人もいると聞いたな。――どこでどのような本を置いているのか見てみたい。」
「……そんなに違いがあるの?」
「本屋も商売だ。基本そこに集まる人の興味を引くものや、関心の高いものを置いているはずだ。店主の趣味を陳列する場合もあるが、場所によって興味関心が異なる以上、そのエリアがどのような関心を集めているのかを見てみたい。――学園都市に暮らす人が何を見ているか端的に知る目安になるからな。だが、もし変な本しかなかったら早々に退散しよう。」
「変なものって、……どんなものなんですか?」
「いろいろあるが、根拠も許可もなく好き勝手書いているものとかはよく見かけるな。多分そういうものがあったらお前たちの侍従や周りが見せないように止めてくるだろうから、何か困ったものがあるんだな、と諦めるしかない。――左翼、お前も頼むぞ。」
急に話題を振られた仮面で顔を隠している彼はため息で返事をしている。二人の気安い様子をたエミリオが少しの間見つめていた。
「……左翼とフィフスは兄弟なのですか?」
「あぁ、そうだ。といっても兄弟子という意味だがな。――他にも仲のいい兄は二人いるが、そいつらもめんどくさい。」
至極真面目な顔で言うので意図が図りかねるが、軽口を言える間柄ということなのだろう。
「あと、左翼の愛想がないのは機嫌が悪いわけじゃなく、ただの面倒くさがりだからだ。残念ながらずっとこの性格なんで許してやってくれ。」
昨日も兄と紹介していたが、そういう意味だったかと得心がいった。
「――大丈夫です。左翼が不機嫌だなんて思っていません」
彼の無愛想でそっけない様子に何か思うところのある弟は、少しぎこちない返事をした。
「そうか、ありがとな。」
面倒くさがりと紹介した兄に代わって対応をしているフィフスは温和な表情で、窓の外を見ているのか仮面の彼からは何も反応がなかった。
――弟の心中に気付くも、フィフスのようになにか伝えられる言葉がすぐに出ず、少し悔やまれた。
早めに出て来たつもりだったのだが、いつから居るのか黒髪の少年と金髪の青年の二人組が見えた。――フィフスと左翼だ。校内にある掲示板を見ているようだった。左翼の風体が珍しいためか、学生服でない人物が学内にいるからなのか、遠巻きに人が集まっていた。
「お待たせしました!」
小走りで二人の元へ行くエミリオ。弟の少し幼さがまだ残る高めの声に二人が振り返る。二人とも昨日と同じような格好だが、明るいところで見れば軍隊服に近いデザインをしている。青のアクセントが入った黒の詰襟姿は同じで、剣の数が異なるもののそれぞれが帯剣している。――許可があれば学内での武器の所持は許されている。だが武器を持っているのはだいたいが侍従か警護関係者だ。このまま留学生になっても持つつもりなのだろうか。
「エミリオ殿下、――だよな。今日はよろしく頼む。」
「はい! もしかして待たせてしまいましたか?」
「さっきついたばかりだ。……ここの掲示物、変なものが多いな。主張が激しくてどれも面白い。」
「いろんなポスターがありますよね。――ここは部活動の勧誘や、生徒からのお知らせなどを貼っているそうですよ」
風景に溶け込んでいたため、気にしたことがなかった。弟も一緒になって掲示物を見始めた頃、二人の侍従と共に到着した。
「ディアスもおはよう。昨夜はよく眠れたか?」
名前で呼ばれ、昨日の件に触れられると思わずどきりとした。そんな気持ちとは関係なく、友人は昨日より角の取れた温和な表情をしているように見えた。
「……いつ寝たか記憶がないくらいには、よく眠れました」
「そうか。それはよかった。」
何があったか、聞けなかった。――が、この様子から変なことはなかった。――と思うことにする。
思わず堅い言葉で返事をしてしまったことに、この二人は招かれた客人でもあるからと心の中で言い訳をしてみた。
「行先はヴァイス卿から聞いただろうか。先ほどお前たちに会いに行っていたようだが。」
「はい! ただ、僕も兄さまもバルシュミーデ通りには行ったことがないので、案内とかはできませんが……」
「大丈夫だ。ある程度情報は集めた。それよりも一緒に来てもらえれば心強い。」
二人とも手ぶらだが、すべて頭に情報を入れているのだろうか。
「それからアイベル、だったよな。怪我はもういいのか?」
「はい。先ほど見舞いに来てくれたと伺いました。わざわざありがとうございます」
「経過が気になったからな。――それにしてもすごいな。治癒もなしにあの状態からどうやって治したんだ?」
悠然と尋ねるフィフスに、アイベルが言葉を詰まらせた。
「怪我をしてもここでは自然治癒が基本だと聞いている。学生が治癒術を学べるのも八学年からだろ。」
「……アイベル?」
怪我のまま世話をさせていたことに愕然とする。エミリオも隣を歩いていたキールも、アイベルの変わらぬ態度に、気付いていなかったようだ。
「あの、痛みはもうないので、問題ありません……」
虚を突かれ言葉に詰まる姿に、本当のことを言っていないことは明らかだろう。
「お前が大丈夫でも、嘘をつかれた方は全く大丈夫じゃない。それは信頼を裏切る行為ではないのか。――それに有事の際、その腕で何ができる?」
口調も表情も変わらないものの、鋭い指摘にアイベルがたじろいでいた。
「……せめて嘘をつくならもう少し頑張れ。昨日の失態を取り戻そうとしているのかもしれないが、それは悪手に悪手を重ねているだけだ。本当に困ったとき、それでは誰にも頼れなくなるぞ。」
フィフスが嘆息すると、腰に着けていた銀色の厚みのない、金属質のケースを手に取った。表面をスライドさせるとケースが開く仕組みになっているらしく、中に白い紙が収まっているのが見えた。
昨日何度か目にしたあの紙だ。その入れ物の横には、筆が付いているようだった。
ケースを下敷きにし、取り出した一枚の紙へ付属の筆でなにかを書いている。それは水筆のようで、軸に水が入っていることは分かるが、紙の上を走る筆先は色を残すことはなかった。
「少しでも早く、主人の元に戻りたいという気持ちは分からないでもない。もう二度と医務に係らない自身があるならそれもいい。……医務室に行ったらお前がいなくなったことを皆が怒っていたぞ。その行為はお前の手当をしてくれた者に対しても不誠実だし、主人の立場を蔑める行為に繋がるんじゃないのか」
アイベルに近付き、彼にその紙を差し出した。
「これはお守りだ。その胸ポケットにでも入れておくといい。私も早くお前には治ってもらわないと困るからな。――彼を許してやってくれないだろうか? 決して悪気があった訳じゃないんだ。間に合わなかった私にも非がある。」
「そんな――! ……あの、軽率な行動を取ってしまい、殿下の信頼を傷つけるようなことをしてしまいました……。どのような処罰でも受ける所存です」
フィフスが代わりに許しを求めたため慌てているが、深く首を垂れ、軽率な行動を悔いているのが伝わった。
真面目な彼のことだ。自分の役割が果たせないことが許せなかったのだろう。
フィフスと目が合うと、にこりと笑いかけており、言葉ほど深刻にする気はないように見えた。
アイベルの行いを咎める気もなかったので、落としどころを作ってくれたのかもしれない。
「彼に免じて許そう。……頼むから次からはしないでくれ」
「――! 寛大なお心に感謝いたします」
先ほどよりも深く頭が下がる。
「15時にはここに戻る予定だ。その時にもう一度医務室へ行くといい。お前たちも一緒について行ってくれないか。きっとお前に連れていかれれば反省もするだろうし、医務たちも説教しずらくなるだろうからな。」
悪戯めいた提案に、アイベルが強張っていた。
「そんな、殿下のお手を煩わせるなんてこと――」
「さっきはどのような処罰でも受けると聞いた気がしたが、気のせいか?」
「……アイベル。――僕も嘘をつかれて怒っています。そうですよね兄さま?」
エミリオは兄の服を軽く引っ張り主張していた。怒っている、と言う割には言葉に棘があるわけでもなく、悪戯っぽい顔が見えているのを隠しきれていないのが見て取れた。
「キールもこういう時は真似してはだめですよ。僕も兄さまも貴方たちに無理をされても嬉しくないです。あとで一緒に行きましょう」
小さな弟に諭され、アイベルは心底決まりが悪そうにしていた。――こういう収め方もあるのかと関心し、そっと心に留めた。
「さて、そろそろ行こうか。せっかくの観光だ。――人数が減ってしまったらつまらないからな。」
少し問題もあったものの、小さな弟が喜ぶ姿に心に沸き立つものを感じた。さやかな予感に暖かな空気が心地よく、足取りが軽く感じた。
外に用意されていた馬車に四人は車内へ、侍従たちは外の後部にあるスペースに控え、それぞれの準備が整ったことを確認した御者が馬を走らせた。
「……先ほどの、アイベルの件は指摘してくれてありがとうございました。本来であれば自分が気付くべきことです」
「気にしないでくれ。見舞いに行ったら姿がなかったから心配していたんだ。」
「フィフスは物知りですね。治癒術のことも知っているなんて」
「あぁ、この学園で治癒術を学ぶ年齢が上がった時のことをよく話してくれる人がいてな、――昔は入学してすぐに身を守るために教えられていたそうだが、怪我をしてもすぐに治るからと軽く考える奴が多かったらしい。そのせいか粗暴な輩が幅を利かせるようになり、彼らに目を付けられないよう窮屈な思いをしていたそうだ。怪我を負ってもなかったことにされてしまい、摘発も難しかったとか。」
知らない話だった。今では考えられないが、そんな荒れている時期がこの学園にあったのかと弟と共に驚いた。
「他にも偉そうにしていた体育会系の連中が無理なトレーニングで怪我をしてはすぐに治癒で治すもんだから、後々身体の故障に繋がったり、後遺症を引き起こしたりと問題になったらしい。――そういった医療を軽んじる風潮も止めるさせるため、治癒術を教える年齢を引き上げたと聞いた。――怪我しても自然治癒に任せるようになったおかげで、幅を利かせていた連中には証言が集まるし、体育会系の連中も医務室から出てこなくていい気味だったとよく言ってたな。」
思ってもいなかった結末に呆気にとられた。改正していたのは知っていたが、そのような経緯があったとは――。
「いつも清々した顔で話すから余程だったんだろうな。――でもまぁ、軽率に治せるというのは危機感が薄れるから自然治癒に任せることは大事だと思う。」
「そんな事があったんですね……」
「もしかしたら会ったことあるかもな。――グライリヒ陛下より年上の外交官なんだが、仕事しゃないときは面白い話をよくしてくれる。」
外交官であれば王城で見掛けたことがあるかもしれないが、さすがに誰だか思い当たらなかった。
「普段フィフスは聖都にいるんですか?」
「あぁ、そうだ。私は普段人事を担当しているから、いろんなやつとやり取りしてて――」
「「――人事?」」
思わず弟と同じタイミングで聞いてしまった。――身分を偽装するために、そのような設定になっているのだろうか。思ってもみなかった職種が出てきて驚く。
「おぉ、さすが兄弟だな。そうだ、人事評価とか人材確保とか、割となんでもやっているな。」
「警備や護衛などを担当しているんじゃないんですか?」
「警備は四方軍がやっていて、特にガレリオが詳しい。」
「……王子たちが聞きたいのは、そこじゃないだろ」
始終黙っていた左翼が脱線しそうな気配を察したのか口を挟んだ。
「――あぁ、今回の仕事のことか。まぁそれはできるからやっているだけだな。護衛任務は左翼が得意だな。」
「別に得意じゃない」
「なら経験者だ。――主にうちの当代の護衛をしていて、たまに商会で依頼を受けているそうだ。」
それ以上訂正することがないようで、また左翼は静かになった。
「――近年ラウルスからも人が多く来るが、やはりここの学園から来るやつは優秀な者が多いな。今回ここに来れるのは少し楽しみだったんだ。」
石畳の道を走る車体が小気味よく揺れ、その都の景色が軽快に通り過ぎていく。
「良さそうなやつがいたら、絶対勧誘しようって。」
楽しみという言葉通り、小さな窓の外に広がる空と同じような色をした青い瞳がキラキラと期待感に満ちていた。
「……もしかして、本当の『仕事』なのか?」
「そうだが?」
思わず素で尋ねてしまうも、間髪入れずに返事がくる。
一応招かれた客人として丁寧な言葉遣いをしていたと先ほど言い訳していたが、そんな気持ちも失せてしまった。
『友人』が立場上外交官ともやり取りがあるのは想像がつく。彼らの身の上話が聞けるほどに気安い関係が築けるのも、この屈託のない性格と、実父であるセーレの影響があるからだろう。――ラウルスで父である王の補佐をしている一方、二、三ヶ月に一度帰省を兼ねて向こうでも参事官のような仕事をしているからだ。
聖国にいる文官たちが普段どのように過ごしているか分からないが、昨日聞いたワークライフバランスについてや、就労環境改善の話に意識調査の話など、この当人が関わっていそうだ。――この話は偽装のためではなく、本当の話じゃないかとそんな予感がした。
「仕事……、ということは観光はしない、ということでしょうか?」
兄の雰囲気が変わったことに戸惑いながら、楽しみにしていたバルシュミーデ通りへの散策がなくなるのかと不安げにしている弟が尋ねた。
ヴァイスの言う通り、本当に隙あらば仕事をしてしまうのか――。もはや呆れに近い感情だ。
「観光はもちろんする。今の話は別のことだから気にしないでくれ。――あと別にこちらの貴重な人材を奪うつもりもないからな。興味を持ってくれる人がいれば嬉しい、くらいの軽い気持ちだ。」
弟の様子に慌てて訂正を入れている。
「故郷を離れ、知り合いもいない新天地で一から何かを成すことは、気持ち的にも決して容易なことじゃない。――だがひとつの場所に固執せずとも、他にも場所があるし、きっと機会もある。なにかの可能性のひとつとして、聖国に興味を持ってもらえたらと常々思っているんだ。――普段はそういう仕事をしているから、つい余計なことを言ってしまった。すまない。」
フィフスは話しながら、少し身体を前傾にし、背中から何かを手にして見せてきた。――あまり厚みのない雑誌だ。カラフルな写真と文字が並ぶそれは、見たことがないものだが、ここピオニールのガイドブックであることが表紙から伝わる。
「これは知り合いの出版社の営業が、今回の締結式に合わせて作った観光ガイドのひとつだ。以前、参考にもらっていたんだが、幸運なことにこうして使う機会に恵まれた。」
差し出され手に取ると温もりがある。――どうやらずっと背中に隠し持っていたようで、伝わる暖かさがおかしく思えた。
横に座る弟にも見えるようページを開いてみると、この学園の写真と紹介文が載っているのだが、それ以外にもいくつもの人の字で追記とメモ書きが張り付けられていた。そのまま雑誌の文章を読むことが難しく、メモをめくるとそこにもまた何か書き足されていた。
「この雑誌ができたのが半年前とかだったはずだ。最新とはいえないが参考にするには十分だろう。」
「……こんなにたくさん調べていたんですね」
驚きに息をのむ弟が、先ほどまで不安げに陰らせていた目を輝かせていた。
「調べた、というより思い出話を教えて貰ったというのが正しいな。参考に渡されたからあちこちに見せて回ったらこうなった。あとはこちらに向かう道中に聞いた話なんかを追記したくらいか。」
走り書きに目を通すとおすすめなどの情報のほかに、誰かの記憶なのかいつかの出来事や感想などもあった。誰かの名前も載っており、厚みのないこの雑誌が、見た目以上に人の歴史を載せてこの地に来たかと思うと感慨深い。
どの記憶も自分とは関係ないものではあるが、多くの関係者がこの地以外にもいて、どこかで元気にしている様子が感じ取れた。
「こういうものは後で読んでも面白いからな。よかったら後で貸そう。何かあれば書き込んでくれてもいい。」
飾らない素直な言葉から、この人が周りの人からも多くの信頼や親愛を受け取っていることが伝わる。ただお元気でいてくれればと願っていたことは、そう無駄でなかった気がしてなにかがすとんと胸に落ちる心地がした。
気付くと何かしら仕事をしてしまうところは懸念事項だが、きちんと今の時間も大事にしているのだろう。なんだか眩しくもあり、本の中に閉じ込められた温もりが心地よかった。
「バルシュミーデ通りはすぐにブームも店も変わるらしいから、現地のことは現地で調べた方がいいそうだ。――二人も何か興味があることや、行きたいところがあれば遠慮なく教えてくれよな。」
「はい!」
元気な弟にさらに車内が明るくなったように感じた。
「13時に山の手エリアの西の方にあるスーシェン教会へ行くことになっている。私たちが信仰しているリク教の施設だ。――そちらに向かう前にある喫茶店で昼にしたいんだが、それでもいいか?」
「貴方が行きたいところであれば、俺は問題ない」
「僕もです! お任せします」
同意が集まり満足そうに向かいに座る友人がひとつ笑った。
「左翼は拒否権なしな。バルシュミーデ通りから歩いていけるから、散策がてらそこへ向かう。――道中に本屋もあるみたいで、そこにも寄りたい。」
「本屋って、下町にもあるんですか?」
大きな目をぱちくりと瞬かせた弟が尋ねた。本屋といえば学園に近い山の手エリアにある大きなケントニス書店がある。それ以外だと学内にある図書室が一番所蔵が多く、本だけでなく新聞、地図、写真など様々なものが揃っているため、おおよそのことは図書室にいけば全てが事足りる。新書などの新しいものはケントニス書店へ行けば済むので、他にも本屋があるとは考えたこともなかった。
「聞いたところによると、下町にはいくつか本屋があるそうだ。特に使わなくなった古書や個人で作成した資料や本なんかが売られているとか。ここを卒業するときに、そういう場所に残していく人もいると聞いたな。――どこでどのような本を置いているのか見てみたい。」
「……そんなに違いがあるの?」
「本屋も商売だ。基本そこに集まる人の興味を引くものや、関心の高いものを置いているはずだ。店主の趣味を陳列する場合もあるが、場所によって興味関心が異なる以上、そのエリアがどのような関心を集めているのかを見てみたい。――学園都市に暮らす人が何を見ているか端的に知る目安になるからな。だが、もし変な本しかなかったら早々に退散しよう。」
「変なものって、……どんなものなんですか?」
「いろいろあるが、根拠も許可もなく好き勝手書いているものとかはよく見かけるな。多分そういうものがあったらお前たちの侍従や周りが見せないように止めてくるだろうから、何か困ったものがあるんだな、と諦めるしかない。――左翼、お前も頼むぞ。」
急に話題を振られた仮面で顔を隠している彼はため息で返事をしている。二人の気安い様子をたエミリオが少しの間見つめていた。
「……左翼とフィフスは兄弟なのですか?」
「あぁ、そうだ。といっても兄弟子という意味だがな。――他にも仲のいい兄は二人いるが、そいつらもめんどくさい。」
至極真面目な顔で言うので意図が図りかねるが、軽口を言える間柄ということなのだろう。
「あと、左翼の愛想がないのは機嫌が悪いわけじゃなく、ただの面倒くさがりだからだ。残念ながらずっとこの性格なんで許してやってくれ。」
昨日も兄と紹介していたが、そういう意味だったかと得心がいった。
「――大丈夫です。左翼が不機嫌だなんて思っていません」
彼の無愛想でそっけない様子に何か思うところのある弟は、少しぎこちない返事をした。
「そうか、ありがとな。」
面倒くさがりと紹介した兄に代わって対応をしているフィフスは温和な表情で、窓の外を見ているのか仮面の彼からは何も反応がなかった。
――弟の心中に気付くも、フィフスのようになにか伝えられる言葉がすぐに出ず、少し悔やまれた。
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