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第二部
52話 【閑話】ルーラとレオガルド王太子殿下【sideルーフェン】
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「やあ、アルカードの皆さん」
俺とフリックお父様は開いた口が塞がらなかった。
ルーラの奴が婚約者を連れてくると言ったその翌日。
あいつは夜明けと共にどこかへ行ったなと思ったら、昼過ぎには本当にレオガルド殿下をアルカードの屋敷まで連れて来たのだ。
とにかく大慌てで俺とフリックお父様とリアナお母様はレオガルド殿下を応接間へとお出迎えし、メイドたちに急遽高級な茶菓子と紅茶を出す様に命じた。
「いやぁ、驚いたよ。朝からルーラが王宮にやって来た時は何事かと思ったからね」
ははは、と軽そうに笑っているがとんでもない事が起きている。
何せ俺たちの目の前にはエリシオン王国の王太子殿下がいるのだから。
殿下に会うのは初めてではない。英傑選での事件の時、リフィル姉様たちが陛下とお話ししている最中に俺たちも少しだけ会話はしている。
とは言っても本当に社交辞令程度の挨拶しかしていないが。
「それにしてもお会いするのは一年ぶりくらいかな。皆さん元気そうで何よりだよ」
レオガルド殿下は笑顔でうちが差し出した紅茶を啜っている。
その出立ちも立ち振る舞いもやはり、王族らしい威厳を発しており、さすがの俺も些か萎縮した。
「俺……あ、いや、私もお久しぶりに殿下にお会いできまして光栄でございます、です。えっと、あ、あの……レオガルド殿下は何故、このような辺境のど田舎にいらしたのですか……?」
俺は苦手な敬語でおずおずと尋ねてみる。
「なーに言ってるですか兄様! 昨日ルーラが言ったじゃないですか! レオガルド様を連れてくるって! ふふん、嘘じゃなかったですよね!?」
ルーラは腕を組んで誇らしげにしている。
「い、いや待てルーラ。確かに俺たちは疑ったが……」
「フリック殿、リアナ殿。それにアルカード領の領主、辺境伯のルーフェン殿。ご挨拶が遅れて申し訳ない。私、レオガルド・エリシオンは貴殿らの大切なご家族であるルーラ・アルカード嬢を私の妃に迎えたいと考えているんだ」
レオガルド殿下はさらっととんでもない事を告げた。
「い、いやいや、レオガルド殿下。それは何かのご冗談でしょう?」
俺は引きつる笑顔でレオガルド殿下にそう尋ねると、彼は俺とは正反対の屈託の無い笑顔で顔を横に振る。
「いいや、冗談ではないよルーフェン殿。私はルーラを愛しているんだ。だから、ルーラのご両親であられるフリック殿とリアナ殿、それに兄上であられるルーフェン殿にお許しをいただければ、ルーラを正式な婚約者として我が宮殿に招き入れたいんだよ」
はあー…………。
と、底知れないほどの溜め息を吐く。
なんなんだこれ。夢か?
ルーラが王子様と結婚?
って事は何か、ルーラはお妃様になるってのか?
エリシオン王妃もしくは側妃になるってのか?
「い、いやいや! レオガルド殿下! 落ち着かれてください。ルーラですよ!? 本気で仰ってるんですか!?」
「ルーフェン殿。唐突で驚かれるのも無理はないが、私は本気だよ」
「ルーラですよルーラ! 殿下はルーラの事、本当にわかっておられるんですか!? 馬鹿だし、常識知らずだし、間抜けだし、算数できないし、文字も上手く書けないし、どちゃくそ大食いでオーク並みの食欲だし、ゲテモノでも食っちまうような脳筋の馬鹿なんですよ!?」
「兄様酷いです! ルーラの食欲はホブゴブリン程度ですッ!」
「ツッコむところはそこなんだねぇ、ルーラ……」
俺の殿下への必死な言葉にルーラが少しぷんぷんしながら割り込んできたのを、さりげなくフリックお父様がツッコミを入れていた。
「安心して欲しいルーフェン殿。何度でも言うが私は本気だ」
漆黒の長髪がよく似合う、男の俺でも惚れ惚れする様な美形の顔立ち。そしてエリシオン王族の証とも言われる独特の魔力を秘めた赤い瞳の奥は嘘を微塵にも感じさせない。
レオガルド殿下は……本気だ。
「ルーラとはこの一年、あまり公な場ではないところで何度も会って、よく話しをしていたんだ。だからルーフェン殿たち以上とは言わないけれど、私はこれでもルーラの事をよく知っているつもりだ」
「一年って……そんじゃリフィル姉様とシュバルツ兄様が結婚したあの頃から!?」
「ああ。実はあの英傑選の日。リフィル殿や英傑シュバルツ殿と共にいるルーラに私は一目惚れしてしまってね。それから密かにルーラの事を調べようとしてギルドに依頼を出したんだ。そうしたらその依頼を偶然ルーラが引き受けていたんだ」
いまだに唖然としている俺とフリックお父様だったが、レオガルド殿下の言葉を黙って聞いた。
殿下の言葉によると、殿下はルーラの事をマジで気に入ったらしく、ルーラへとアプローチする為にギルドへとこんな依頼を出した。
『アルカード家に関する情報調査』
それを目にしたルーラは自分たちの家を狙う悪者がこんな依頼を出したに違いないと考え、その依頼を引き受けて依頼主に会って目的を聞き出そうと考えたそうだ。
そうして偶然、レオガルド殿下とルーラの二人は出逢った。
「私は臆病者でね。事前のリサーチがないと中々意中の相手へと踏み出せなくて、それでルーラの事を調べてから彼女にアプローチをかけようと思っていたんだ。そうしたら依頼を引き受けたのがまさかそのルーラ本人だったんだから驚きを通り越して、笑ってしまったよ」
それからルーラとレオガルド殿下は出逢ったその日、ずっと二人でお喋りをして過ごしたらしい。
それ以来、殿下は事ある毎にギルドの依頼を隠れ蓑にしてルーラと密会を繰り返していたんだとか。
「レオガルド様はドルガ様って言うですよ!」
と、ルーラが言った。
レオガルド殿下はギルドの前では偽名を使いドルガ、と名乗っていてギルドの依頼書にもドルガと名を打ってあるのでルーラはドルガからの依頼は必ず引き受けるようにして、そんな感じで二人は密かに愛を深めていたらしい。
「私はルーラを愛していて、ルーラも私を好きだ。そうだろう?」
「はい! ルーラ、レオガルド様大好きです! だってルーラに優しいですし、お菓子とかお金とかたくさんくれるです!」
そういやぁこいつ、妙に報酬の良い依頼を終わらせてくる事が最近増えていたな。
それがレオガルド殿下だったのか……。
「だから私はルーラに婚約者になって欲しいと話した。ルーラはすぐに承諾してくれたんだ。けれどルーラは書類上の年齢がまだ8歳だろう? だから私との関係は誰にも話してはいけないよと言っておいたんだ」
「ちょ、ちょっと待ってくれ! あ、いや、待ってください殿下! 確か殿下には昔から数人の婚約者がいるって聞いてます。って事はルーラもそのひとりにしたいって事っすか!?」
「……確かに私には私の意思など無視された婚約者がいた。それは父上と母上が勝手に定めた政略結婚だ。その相手はルーフェン殿の言う通り5名いた」
「そんじゃあルーラは側室にって事ですか。まあ側室でもそんじょそこらの変な奴よりは全然いいかもしんないすけど……」
とはいえ兄として、ルーラの事が心配なのだ。
王族は確かに多くの女性をパートナーとして迎えても良い事になっている。だがその分ひとりに対する愛情とかは薄れがちなのではないかと思ったのだ。
「……殿下。申し訳ねえっすけど、俺はそういう事なら反対させてもらうっすわ」
俺とフリックお父様は開いた口が塞がらなかった。
ルーラの奴が婚約者を連れてくると言ったその翌日。
あいつは夜明けと共にどこかへ行ったなと思ったら、昼過ぎには本当にレオガルド殿下をアルカードの屋敷まで連れて来たのだ。
とにかく大慌てで俺とフリックお父様とリアナお母様はレオガルド殿下を応接間へとお出迎えし、メイドたちに急遽高級な茶菓子と紅茶を出す様に命じた。
「いやぁ、驚いたよ。朝からルーラが王宮にやって来た時は何事かと思ったからね」
ははは、と軽そうに笑っているがとんでもない事が起きている。
何せ俺たちの目の前にはエリシオン王国の王太子殿下がいるのだから。
殿下に会うのは初めてではない。英傑選での事件の時、リフィル姉様たちが陛下とお話ししている最中に俺たちも少しだけ会話はしている。
とは言っても本当に社交辞令程度の挨拶しかしていないが。
「それにしてもお会いするのは一年ぶりくらいかな。皆さん元気そうで何よりだよ」
レオガルド殿下は笑顔でうちが差し出した紅茶を啜っている。
その出立ちも立ち振る舞いもやはり、王族らしい威厳を発しており、さすがの俺も些か萎縮した。
「俺……あ、いや、私もお久しぶりに殿下にお会いできまして光栄でございます、です。えっと、あ、あの……レオガルド殿下は何故、このような辺境のど田舎にいらしたのですか……?」
俺は苦手な敬語でおずおずと尋ねてみる。
「なーに言ってるですか兄様! 昨日ルーラが言ったじゃないですか! レオガルド様を連れてくるって! ふふん、嘘じゃなかったですよね!?」
ルーラは腕を組んで誇らしげにしている。
「い、いや待てルーラ。確かに俺たちは疑ったが……」
「フリック殿、リアナ殿。それにアルカード領の領主、辺境伯のルーフェン殿。ご挨拶が遅れて申し訳ない。私、レオガルド・エリシオンは貴殿らの大切なご家族であるルーラ・アルカード嬢を私の妃に迎えたいと考えているんだ」
レオガルド殿下はさらっととんでもない事を告げた。
「い、いやいや、レオガルド殿下。それは何かのご冗談でしょう?」
俺は引きつる笑顔でレオガルド殿下にそう尋ねると、彼は俺とは正反対の屈託の無い笑顔で顔を横に振る。
「いいや、冗談ではないよルーフェン殿。私はルーラを愛しているんだ。だから、ルーラのご両親であられるフリック殿とリアナ殿、それに兄上であられるルーフェン殿にお許しをいただければ、ルーラを正式な婚約者として我が宮殿に招き入れたいんだよ」
はあー…………。
と、底知れないほどの溜め息を吐く。
なんなんだこれ。夢か?
ルーラが王子様と結婚?
って事は何か、ルーラはお妃様になるってのか?
エリシオン王妃もしくは側妃になるってのか?
「い、いやいや! レオガルド殿下! 落ち着かれてください。ルーラですよ!? 本気で仰ってるんですか!?」
「ルーフェン殿。唐突で驚かれるのも無理はないが、私は本気だよ」
「ルーラですよルーラ! 殿下はルーラの事、本当にわかっておられるんですか!? 馬鹿だし、常識知らずだし、間抜けだし、算数できないし、文字も上手く書けないし、どちゃくそ大食いでオーク並みの食欲だし、ゲテモノでも食っちまうような脳筋の馬鹿なんですよ!?」
「兄様酷いです! ルーラの食欲はホブゴブリン程度ですッ!」
「ツッコむところはそこなんだねぇ、ルーラ……」
俺の殿下への必死な言葉にルーラが少しぷんぷんしながら割り込んできたのを、さりげなくフリックお父様がツッコミを入れていた。
「安心して欲しいルーフェン殿。何度でも言うが私は本気だ」
漆黒の長髪がよく似合う、男の俺でも惚れ惚れする様な美形の顔立ち。そしてエリシオン王族の証とも言われる独特の魔力を秘めた赤い瞳の奥は嘘を微塵にも感じさせない。
レオガルド殿下は……本気だ。
「ルーラとはこの一年、あまり公な場ではないところで何度も会って、よく話しをしていたんだ。だからルーフェン殿たち以上とは言わないけれど、私はこれでもルーラの事をよく知っているつもりだ」
「一年って……そんじゃリフィル姉様とシュバルツ兄様が結婚したあの頃から!?」
「ああ。実はあの英傑選の日。リフィル殿や英傑シュバルツ殿と共にいるルーラに私は一目惚れしてしまってね。それから密かにルーラの事を調べようとしてギルドに依頼を出したんだ。そうしたらその依頼を偶然ルーラが引き受けていたんだ」
いまだに唖然としている俺とフリックお父様だったが、レオガルド殿下の言葉を黙って聞いた。
殿下の言葉によると、殿下はルーラの事をマジで気に入ったらしく、ルーラへとアプローチする為にギルドへとこんな依頼を出した。
『アルカード家に関する情報調査』
それを目にしたルーラは自分たちの家を狙う悪者がこんな依頼を出したに違いないと考え、その依頼を引き受けて依頼主に会って目的を聞き出そうと考えたそうだ。
そうして偶然、レオガルド殿下とルーラの二人は出逢った。
「私は臆病者でね。事前のリサーチがないと中々意中の相手へと踏み出せなくて、それでルーラの事を調べてから彼女にアプローチをかけようと思っていたんだ。そうしたら依頼を引き受けたのがまさかそのルーラ本人だったんだから驚きを通り越して、笑ってしまったよ」
それからルーラとレオガルド殿下は出逢ったその日、ずっと二人でお喋りをして過ごしたらしい。
それ以来、殿下は事ある毎にギルドの依頼を隠れ蓑にしてルーラと密会を繰り返していたんだとか。
「レオガルド様はドルガ様って言うですよ!」
と、ルーラが言った。
レオガルド殿下はギルドの前では偽名を使いドルガ、と名乗っていてギルドの依頼書にもドルガと名を打ってあるのでルーラはドルガからの依頼は必ず引き受けるようにして、そんな感じで二人は密かに愛を深めていたらしい。
「私はルーラを愛していて、ルーラも私を好きだ。そうだろう?」
「はい! ルーラ、レオガルド様大好きです! だってルーラに優しいですし、お菓子とかお金とかたくさんくれるです!」
そういやぁこいつ、妙に報酬の良い依頼を終わらせてくる事が最近増えていたな。
それがレオガルド殿下だったのか……。
「だから私はルーラに婚約者になって欲しいと話した。ルーラはすぐに承諾してくれたんだ。けれどルーラは書類上の年齢がまだ8歳だろう? だから私との関係は誰にも話してはいけないよと言っておいたんだ」
「ちょ、ちょっと待ってくれ! あ、いや、待ってください殿下! 確か殿下には昔から数人の婚約者がいるって聞いてます。って事はルーラもそのひとりにしたいって事っすか!?」
「……確かに私には私の意思など無視された婚約者がいた。それは父上と母上が勝手に定めた政略結婚だ。その相手はルーフェン殿の言う通り5名いた」
「そんじゃあルーラは側室にって事ですか。まあ側室でもそんじょそこらの変な奴よりは全然いいかもしんないすけど……」
とはいえ兄として、ルーラの事が心配なのだ。
王族は確かに多くの女性をパートナーとして迎えても良い事になっている。だがその分ひとりに対する愛情とかは薄れがちなのではないかと思ったのだ。
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