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14話 ずっとおかしなままでいて欲しい。
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――それから。
ハノン様は婚約破棄したはずだからとリエルタ・ザブルグが再び彼に言い寄ってきたらしいが、ハノン様はそれを上手く断り、いなし続けた。
私は家庭の諸事情という理由で学園を途中退学し、しばらくの間エルザーグの屋敷の中で隠れるように過ごした。
そして全ての準備を整え、私とハノン様は盛大に結婚式と披露宴を挙げ、無事結婚する。
初夜もとても優しく彼に愛され、私は身も心も彼のものとなった。
結婚後もハノン様はとても優しくて常に私の事を最優先に考えてくれるとても素敵な旦那様となった。
一方その後リエルタは、ハノン様と私との事を知ると様々な方法で私たちに嫌がらせをしてきた。
その度合いが相当に酷く、確かにこれほどまでに嫉妬深い彼女なら私やハノン様を卒業パーティーで殺害してこようとしてもおかしくはないな、とゾッとさせられた。
ハノン様はリエルタからの嫌がらせに対して真っ向からは戦わず、社会的地位と財力の方で黙らせる作戦を実行。
以前より彼が言っていたイセカイでの記憶を利用する事を発案。イセカイにあったショウユ、という調味料を開発し、これを大量生産する方法までを自社工場で確立。それを大商会に話して大々的にイグナスブランドとして宣伝、販売した。
またたく間にショウユは世界中に広まり、爆発的に大ヒットし、イグナス家はこの国だけでなく世界の中でもトップクラスの大貴族となった。
それまではリエルタのザブルグ家とイグナス家はこの国内において並ぶくらいであった地位と名誉も、あっという間にイグナス家が飛び抜けてしまい、ザブルグ家の有する商会はイグナス家の傘下となった。
結果、リエルタももはや私たちに手出しする事もなく、私とハノン様は未来永劫幸せに暮らしたのだった。
あの時。
ハノン様の後頭部に石がぶつかってくれて、彼の頭がおかしくなってくれて本当に、本当に良かった。
私は今のハノン様を心から愛している。
そして彼と毎日私に愛を囁いてくれ、これ以上ないほどに甘やかしてくれた。
イクル様が中身となったハノン様は私をこの上なく溺愛してくれて、それはまさに私が望み続けた彼の理想像で。
「ファルテシア、愛しているよ」
「私も愛しています。ハノン様」
ずっとずっと、頭のおかしいハノン様のままでいて欲しいと願った。
――数年が経ち、事業も順調に進み、安定し、私のお腹にハノン様との子を授かった頃。
彼はまた前世の趣味であった執筆をこの世界でも続けている。
彼の作る物語はとても斬新で、この世界とは異なる世界の、不思議だけど魅力的なお話ばかりで、彼の作る本も当然のように売れた。
「ねえ、ハノン様。次はどんな物語を書いているの?」
「キミとの馴れ初めをベースにした、キミ視点の実話をモチーフにしたお話し、かな」
彼はふふ、と笑いその次の新作の内容を簡潔に教えてくれた。
そしてそれは、
『私の婚約者はいくらか頭がおかしいようです』
と、いうタイトルらしい。
●○●○●
●○●○●
●○●○●
【――とある別視点。裏側】
『これでいいんだろう? ハノン』
『ああ、ありがとう。すまないイクル』
『いいのか本当に。この身体はキミのものだ。キミが望めば僕は今からでもキミに返すが』
『いいんだ。私にはもうファルテシアを愛する資格なんてないのだから』
『そうか。でもまさかキミからそんな風に提案されるとは思わなかったよ』
『……取り返しがつかなくなってしまっていた。ファルテシアの事をないがしろにし続けていた自分に罪悪感がなかったわけじゃない。けれど自分の弱い心がリエルタに惹かれてしまったのも事実だし、実際当時はファルテシアの事を煩わしくも感じていた』
『ハノンをやめる、と言ったキミの真意がまさか、ファルテシアの身を案じての事だとは作者であるこの僕でさえもさすがに思わなかったよ』
『リエルタは恐ろしい女だった。当時、私がもしファルテシアに愛想を尽かしリエルタを選んで浮気していなければ、リエルタはファルテシアを確実に殺していた』
『それを聞いた時は僕もびっくりしたよ。そんな設定は作った覚えがない。だからこそ、この世界は僕の考えるものとは異なるものなのだと確信したよ』
『それだけじゃない。リエルタは私と結婚した後、我がイグナス家を乗っ取ってその全てをザブルグ家のものとした後に私を殺し、別の男と再婚する予定まで考えていた、まさに悪魔のような女だった』
『リエルタは確かに悪女の設定だったけど、そこまで深掘りはしていなかったはずなんだ。本当にここは不思議だ』
『私はそれを知ってしまってからリエルタを愛する事はできなくなっていた。その事実を知ってからは逆にファルテシアの事が気になって仕方なくなっていた。しかし私にはもうファルテシアに信頼してもらえる要素はなくなっていた。だから私にできる事は、彼女との婚約関係を解消し、私のそばから離れさせる事だった』
『本来はそういう意図でキミは彼女との婚約を破棄するわけじゃなかったんだが、この世界ではそうらしいね。僕はそれをキミから聞いたからこそ、ファルテシアを守りたいと強く思った』
『イクル。キミがハノンとして生きてくれる方がファルテシアを確実に幸せにできると思ったんだ』
『ハノン。キミがそれを望まなければ僕はあの時、すぐにこの身体をキミに返していた。僕というエラーはこの世界においては不文律を崩壊させかねないからね』
『私にはもうファルテシアに愛してもらえる自信も資格もなかった。けれどキミならまたファルテシアに愛してもらえると思った。結果、そうなった。だから私はもうハノン・イグナスとして生きるつもりは全くないよ。イクル、キミの主人格が操るハノンという身体の中からキミとファルテシアを見守るだけで十分だ』
『ハノン。キミは僕が設定していたよりも想像以上に他人を思いやれる心を持っていたんだな。いや、もうこうなると僕が作った世界、というのはおこがましい。ここは独立した異なる世界。本当に異世界だ。だけどハノン。キミがそこまで殊勝な考え方をするのは本当に想定外だよ』
『リエルタとファルテシアの事で私はもう生きるのが疲れてしまったんだ。根本的な原因は私にあるしな。それにイクルのイセカイの話は面白いし、イクルの中で見るハノンの生き方はまるで観劇を見ているようで爽快なのだよ』
『そういう事なら僕は甘んじてハノン・イグナスを続けさせてもらうよ。すでに僕はファルテシアを心から愛しているしね』
『ああ……。それに幸せそうなファルテシアを見れるのが、馬鹿な私にとって何よりもの救いだからな』
『ハノン……』
『さあ、イクル。もうそろそろ目覚めろ。また朝がくる』
『そうだね。キミとは夢の中でしかこうして話せないから中々に有意義な話を聞けたよ。キミの気持ちとかね』
『すまないなイクル。私の尻拭いをさせた。ありがとう』
『僕の方こそありがとうハノン。僕はかねてからファルテシアという自分の理想の人物を愛していた。それを現実のものとさせてもらったのだから』
『……そうか。ではまたなイクル』
『ああ。またな、ハノン』
ハノン様は婚約破棄したはずだからとリエルタ・ザブルグが再び彼に言い寄ってきたらしいが、ハノン様はそれを上手く断り、いなし続けた。
私は家庭の諸事情という理由で学園を途中退学し、しばらくの間エルザーグの屋敷の中で隠れるように過ごした。
そして全ての準備を整え、私とハノン様は盛大に結婚式と披露宴を挙げ、無事結婚する。
初夜もとても優しく彼に愛され、私は身も心も彼のものとなった。
結婚後もハノン様はとても優しくて常に私の事を最優先に考えてくれるとても素敵な旦那様となった。
一方その後リエルタは、ハノン様と私との事を知ると様々な方法で私たちに嫌がらせをしてきた。
その度合いが相当に酷く、確かにこれほどまでに嫉妬深い彼女なら私やハノン様を卒業パーティーで殺害してこようとしてもおかしくはないな、とゾッとさせられた。
ハノン様はリエルタからの嫌がらせに対して真っ向からは戦わず、社会的地位と財力の方で黙らせる作戦を実行。
以前より彼が言っていたイセカイでの記憶を利用する事を発案。イセカイにあったショウユ、という調味料を開発し、これを大量生産する方法までを自社工場で確立。それを大商会に話して大々的にイグナスブランドとして宣伝、販売した。
またたく間にショウユは世界中に広まり、爆発的に大ヒットし、イグナス家はこの国だけでなく世界の中でもトップクラスの大貴族となった。
それまではリエルタのザブルグ家とイグナス家はこの国内において並ぶくらいであった地位と名誉も、あっという間にイグナス家が飛び抜けてしまい、ザブルグ家の有する商会はイグナス家の傘下となった。
結果、リエルタももはや私たちに手出しする事もなく、私とハノン様は未来永劫幸せに暮らしたのだった。
あの時。
ハノン様の後頭部に石がぶつかってくれて、彼の頭がおかしくなってくれて本当に、本当に良かった。
私は今のハノン様を心から愛している。
そして彼と毎日私に愛を囁いてくれ、これ以上ないほどに甘やかしてくれた。
イクル様が中身となったハノン様は私をこの上なく溺愛してくれて、それはまさに私が望み続けた彼の理想像で。
「ファルテシア、愛しているよ」
「私も愛しています。ハノン様」
ずっとずっと、頭のおかしいハノン様のままでいて欲しいと願った。
――数年が経ち、事業も順調に進み、安定し、私のお腹にハノン様との子を授かった頃。
彼はまた前世の趣味であった執筆をこの世界でも続けている。
彼の作る物語はとても斬新で、この世界とは異なる世界の、不思議だけど魅力的なお話ばかりで、彼の作る本も当然のように売れた。
「ねえ、ハノン様。次はどんな物語を書いているの?」
「キミとの馴れ初めをベースにした、キミ視点の実話をモチーフにしたお話し、かな」
彼はふふ、と笑いその次の新作の内容を簡潔に教えてくれた。
そしてそれは、
『私の婚約者はいくらか頭がおかしいようです』
と、いうタイトルらしい。
●○●○●
●○●○●
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【――とある別視点。裏側】
『これでいいんだろう? ハノン』
『ああ、ありがとう。すまないイクル』
『いいのか本当に。この身体はキミのものだ。キミが望めば僕は今からでもキミに返すが』
『いいんだ。私にはもうファルテシアを愛する資格なんてないのだから』
『そうか。でもまさかキミからそんな風に提案されるとは思わなかったよ』
『……取り返しがつかなくなってしまっていた。ファルテシアの事をないがしろにし続けていた自分に罪悪感がなかったわけじゃない。けれど自分の弱い心がリエルタに惹かれてしまったのも事実だし、実際当時はファルテシアの事を煩わしくも感じていた』
『ハノンをやめる、と言ったキミの真意がまさか、ファルテシアの身を案じての事だとは作者であるこの僕でさえもさすがに思わなかったよ』
『リエルタは恐ろしい女だった。当時、私がもしファルテシアに愛想を尽かしリエルタを選んで浮気していなければ、リエルタはファルテシアを確実に殺していた』
『それを聞いた時は僕もびっくりしたよ。そんな設定は作った覚えがない。だからこそ、この世界は僕の考えるものとは異なるものなのだと確信したよ』
『それだけじゃない。リエルタは私と結婚した後、我がイグナス家を乗っ取ってその全てをザブルグ家のものとした後に私を殺し、別の男と再婚する予定まで考えていた、まさに悪魔のような女だった』
『リエルタは確かに悪女の設定だったけど、そこまで深掘りはしていなかったはずなんだ。本当にここは不思議だ』
『私はそれを知ってしまってからリエルタを愛する事はできなくなっていた。その事実を知ってからは逆にファルテシアの事が気になって仕方なくなっていた。しかし私にはもうファルテシアに信頼してもらえる要素はなくなっていた。だから私にできる事は、彼女との婚約関係を解消し、私のそばから離れさせる事だった』
『本来はそういう意図でキミは彼女との婚約を破棄するわけじゃなかったんだが、この世界ではそうらしいね。僕はそれをキミから聞いたからこそ、ファルテシアを守りたいと強く思った』
『イクル。キミがハノンとして生きてくれる方がファルテシアを確実に幸せにできると思ったんだ』
『ハノン。キミがそれを望まなければ僕はあの時、すぐにこの身体をキミに返していた。僕というエラーはこの世界においては不文律を崩壊させかねないからね』
『私にはもうファルテシアに愛してもらえる自信も資格もなかった。けれどキミならまたファルテシアに愛してもらえると思った。結果、そうなった。だから私はもうハノン・イグナスとして生きるつもりは全くないよ。イクル、キミの主人格が操るハノンという身体の中からキミとファルテシアを見守るだけで十分だ』
『ハノン。キミは僕が設定していたよりも想像以上に他人を思いやれる心を持っていたんだな。いや、もうこうなると僕が作った世界、というのはおこがましい。ここは独立した異なる世界。本当に異世界だ。だけどハノン。キミがそこまで殊勝な考え方をするのは本当に想定外だよ』
『リエルタとファルテシアの事で私はもう生きるのが疲れてしまったんだ。根本的な原因は私にあるしな。それにイクルのイセカイの話は面白いし、イクルの中で見るハノンの生き方はまるで観劇を見ているようで爽快なのだよ』
『そういう事なら僕は甘んじてハノン・イグナスを続けさせてもらうよ。すでに僕はファルテシアを心から愛しているしね』
『ああ……。それに幸せそうなファルテシアを見れるのが、馬鹿な私にとって何よりもの救いだからな』
『ハノン……』
『さあ、イクル。もうそろそろ目覚めろ。また朝がくる』
『そうだね。キミとは夢の中でしかこうして話せないから中々に有意義な話を聞けたよ。キミの気持ちとかね』
『すまないなイクル。私の尻拭いをさせた。ありがとう』
『僕の方こそありがとうハノン。僕はかねてからファルテシアという自分の理想の人物を愛していた。それを現実のものとさせてもらったのだから』
『……そうか。ではまたなイクル』
『ああ。またな、ハノン』
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