形容出来ない日々は…

桐生優斗

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「起きた?」
 彼女のやさしい声が寝ぼけた脳に響いてくる。
「?!今、何時ですか」
「今は二十時よ」
「寝すぎた…まさか、七時間も寝るとは」
「そうだ、ご飯作ってない」
「あー、それなら、お弁当買ってきてあるけど?」
「え?なんで?」
「いや、家の食材放置していたのを思い出してですね?」
「確かに、完全にダメになってるのは正解なんですけどね」
「いやあ、本当にごめんなさい」
「で、食材類って買ってきたんですか?」
「ええ、一週間は持つくらいの量は買っておいたわ」
「そうですか」
「じゃあ、今日はその買ってきたお弁当食べましょう」
 お箸を台所へ取りに行きながらそう言う。
「そうね」
『いただきます』
 久々に食べる気がするトレーに入っている食事…前に食ったのは母親が体調をくずしたときだから、たぶん一年以上前かな?
「うん、さすが商品として売っているだけはあるわ普通においしい」
「まあ、この時期になので完全に冷えてますけどね」
「そこは、ほらご愛敬ってことで」
 なんか、意味間違っている気もしたがよく覚えてないしいいかとスルーする。
というか普通に電子レンジで温めればいいことに今気が付いた。まあ、今更だしいいか…
「ご馳走様でした」
「風呂いってくるわね」
 一体、いつの沸かしたんだろう。まあ寝てる間というのが妥当だろうけど。かもしくはシャワーだけで済ます気かもしれないが。
「ああ、うん」
 って、容器そのままかよ…こういうことをしてるから、ああなるんだろうな。
「ま、俺が片付けるんだから関係ないんだが」
 零した言葉の後に訪れる静寂の中、まだ残っていた弁当の中身をさっさと食って、机の上の彼女の容器と一緒にゴミ箱に持っていく。
 その後に、箸をスポンジと洗剤でパッと洗い。もう一度さっきまで座っていた場所に座って、何にも考えずに、ただぼーっとした。
 そんなことをしていたので、何分経ったのかわからないが、彼女が上がってきたらしく声を掛けられる。
「なに考えこんでいるの?」
「いえ、別に何もただぼーっとしてただけです」
「そ、まあどっちもおんなじに見えちゃうから判別なんてきかないんだけどね。あっ、お風呂ちゃんと沸かしてあるから、ゆっくり入ってきなさいな」
「昨日の今日と相当お疲れのようだからね?」
「あっ、ありがとうございます」
 なぜか言葉に詰まりながら、そう告げると、風呂場に向かう。そして、彼女に言われた通りゆっくりと湯船につからせてもらい疲れをとってから上がる。
 そして、寝間着に着替えついでに、洗濯機を予約しておいてから脱衣所を出る。
そう思いながらリビングへと向かう。
「上がった?」
 リビングには書類を読んでいたらしく紙が少し散乱した状態の机の近くに彼女が座っていた。
「って、まだ起きてたんですか?」
「まあ、ね」
「ってか、なんですかこの紙」
「ちょっと、仕事の資料を…ね」
 仕事ね…と思いながら紙の一枚を手にしようとすると
「見ない方がいいと思うわよ?それ」
 と、止められた。
「あーっと、もしかしてやばい類の仕事だったりします?お姉さん」
「別に、そんな人に言えないようなことはしてないけど…一応ね」
「あなたが耐性あるのかもわかんないし」
「耐性ってどんなのかわかんないとあるかどうか言えないんですけど」
「ま、どっちにしても今はまだ…ね」
「言う気にならないのなら、いいです」
「素直でよろしい…って明日早いんだった」
「さっさと寝ようと」
 そう言いながら紙を片付け、歯磨きをしに洗面台へと向かっていった。それがただただ下手な誤魔化しのようなものであることは誰だってわかるだろう。
 何をそんなに隠す必要があるのかは知らないが、考えたところで答えの出る事柄ではなし、当人が隠したがっているのなら、これ以上詮索をするのはよした方がいいのだろうと思った。
 だから、俺は忘れることにした、あの紙に書かれていた「変死体」という単語を
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