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序章 ”始まりと旅立ち” の段
7話~どんな時でも敵はそっちのけ
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人からはいつもニコニコとして大福みたいな顔だね~、なんて言われる僕の顔。それが今干乾びた大福の様な渋面を作っている。原因は勿論僕の目に映っているアレなのだけれど……。
「ねえ、あーちゃん。本当にアレが求婚してきたの?」
「うん? おお、確かにあの男が我に求婚してきおったのだが……。何やら少々姿形が変わっておるようだの」
スーさんの後ろから見えた敵の姿は正に異形と呼ぶに相応しい邪悪な姿。不自然に発達した上半身に比べて明らかに貧弱な下半身。筋肉が盛り上がっている様は一昔前のゲームキャラクターを連想させるが、あれらはまだ顔とかにも相応の変化が生じている為に馴染んで見えたんだけど。こいつはなまじ顔だけ変化を生じていないから、不自然な筋肉達磨にまともな男性の顔がくっ付いている感じで気持ち悪い事この上ない。
しかも、背中の方には触手の様な物が集まって翼を作っている様子まで窺える。おおう、晩御飯に食べた物を吐き出しそうだよ……。
『ほっほう! 中々に生きが良いな、こいつは!』
『グギッ!? ガ、ガアァァァァァァッ!!』
突撃した勢いを乗せて出会いがしらに拳を叩き込んだスーさん。顔面であろう場所に叩き込まれた拳によって吹き飛ばされるが、あの気持ち悪い触手の翼を開いて何とか踏みとどまる事に成功した。それでもスーさんからの一撃はしっかりとダメージが有るみたいで、イケメンの顔から鼻血を噴き出しながら若干ふらついている。でも、そんな程度では敵も簡単にはやられてくれない様で、スーさんを自身に仇名す敵と見なした奴は怒声を上げながら再び向かってきた。しかし、対するスーさんは異形の姿を持つ者にも一切の怯えや容赦は無く、今は唯々戦いを楽しんでいるようである。まったくもって相手の方には憐憫の情しか湧いてこないよ…………哀れ。
「さて、我弟が楽しんでいる時を利用してこちらも説明の続きに入ろうかの」
「そう、だね。じゃあ、何で楽器がいるのか説明してくれる?」
僕の質問にあーちゃんが鷹揚に頷いて楽器がいる理由について語りだす。なんと、僕が誘拐される予定の世界では邪気を纏った生き物が相当数発生している模様で、こいつを相手にする為には物理面で制圧した後に邪気を祓わなければならない。例え物理面で制圧したとしても、根源である邪気を祓わなければ再生してしまうからだ。西洋で言う所のゾンビやアンデットと言ったモンスターもその類で、時たま理性を持ち会話が成立する個体も出るらしいが、基本こいつらに話し合いや説得は通じない。モンスターに変化する前ならば助け様も有るのだけれど……、完全に変質してしまった場合はもはや手遅れも同然。後は倒して清め祓うしか道は無いんだ。
ちなみに、日本や中国なんかに居る妖怪は西洋のモンスターとは全く次元の違う存在が大部分で、例え邪気に侵され変質していようとも救う事が可能である。
そして、ここからが本題の楽器の必要性について。実は御神楽に用いられる和楽器の数々には、邪気を祓う効果がその他の楽器よりも高いのである。勿論、西洋式の楽器や中華式の楽器にもそういった効果があるものもある。
例えば、キリスト教の礼拝や儀式で扱われる楽器なんかにはもれなく御祓い効果が付いている場合が多いし、所謂宗教で扱われる聖なる行事はそう言った物を準備して行うものだ。僧侶が叩く木魚もそうだし、お寺にある釣鐘にもそれなりの効果がある。兎にも角にも、楽器が奏でる音には扱う者によって性質が変わり。僕みたいな神職者が奏でれば邪気を浄化する御祓いが可能となり、普通の人が奏でればそれは人の心を振わせ感動させる音楽となるのである。
「……つまり、この世界よりも遥かに邪気の量が多いって事なんだね?」
「うむ。成熟した世界では邪気の割合が極端に低くなるが、まだまだ若い世界では相応に量も増える。確か、創造されてからまだ百億年も経っておらんと聞いておる。あちらの地球型惑星をこちらの年代に換算すれば……っと、意外と説明が面倒くさいの。そうさな、中世ヨーロッパをイメージすれば丁度よかろう」
一旦は異世界の様子を説明をしようとしてくれたあーちゃんだが、口に出して喋ると長くなると思ったのか凄く掻い摘んで話てくれた。なるほど、中世ヨーロッパと言えば人類の文化が花開き、様々な恩恵や弊害が発生した年代だね。
「もしかして貴族だとか王様だとか、剣とか騎士みたいな人達が中心の社会構造なのかな?」
「ええ、奏ちゃんの考えで概ね合ってるわ。ただし、それに加えて魔法とか精霊とかドラゴンなんかも普通に居る世界よ」
「へえ、それって生物としてのドラゴンなんだよね? 男の子としては結構興味があるかも……!!」
月姉の言葉に僕のぽっちゃりボディに流れる血の温度が少し上昇するのが分かる。精霊はまだしも、この世界にドラゴンなどの大型生物は凡そ生息していない。龍神様や神に属するドラゴンは純粋に生物とは言えないし、おいそれとは会えない存在だからね。
『ほれほれ、どうした三下君よう! こんなんじゃ俺の姉貴に一泡吹かせるなんて夢のまた夢に終わっちまうぞ? もうちっとでいいから根性を見せてくれや!』
『グウゥゥゥゥゥゥゥ!?』
おっと、そうこうしている間にスーさん達はクライマックスに突入しそうだ。陣に映る敵は五割程スーさんによって傷を受けてボロボロ、触手で出来た翼は引き千切られたのかすでに片翼しか残っていなかった。イケメンの顔だけは最初の鼻血を流した後目立った傷は受けておらず、血走った目を覗けば未だに綺麗なままである。
「そろそろ終いであるか。我弟を相手にして意外と持ったほうじゃのう。……いや、ここは敵ながら天晴れとでも言えばよいかの」
「そんな余計に煽る様な事言わなくても……。ま、僕達の会話は聞こえて無さそうだから一先ず安心だけど」
「そうよ、姉さん。あんまり言ったら彼が可哀想じゃありませんか……」
そんな事言って、あーちゃんも月姉も顔が笑っているよ? スーさんにボロボロにされ、意中の相手だったあーちゃんと妹の月姉には言葉でこき下ろされるなんて……。なんだか可哀想になってきちゃったよ。
僕が幾ら哀れみの念を送ったとしても現実は変わらず、ついに四割を残すと言う目的に達したスーさんが月の迷宮に叩き込む準備を始めた。拳に力を溜めて数十メートルの距離を一息で零距離まで肉薄し、月の迷宮を敵の背後に位置する様に正拳を打ち込むフェイントをかけて回りこむ。それに対して目の前から消えたスーさんを追うように敵が背後へと向き直る。が、その姿を捉える間も無くスーさんの拳を腹部にめり込ませて豪快に吹き飛ぶ。そのまま声にならない悲鳴と共に、敵は月の迷宮へと姿を消していったのである。
『任務完了っと! いや~、久しぶりに良い運動したわ。じゃ、後は姉貴達に任せて俺はそっちに戻るぜ』
とっても満足そうな笑みで手を振るスーさんがまた光に包まれて消える。すると、僕達の背後に光の粒子が集まり出し光の中からスーさんが現れた。いい感じに汗を掻いて何とも爽やかな出で立ちになっているが、なった経緯からすると微妙気持ちになってしまうのは僕だけでしょうか?
「よう、こっちは話が進んだのか?」
「ええ、大体の所は終わったわ。ありがとね、スーちゃん」
「なに、可愛い弟分の為だしな。三下の割りに結構楽しめたし、日ごろの運動不足も解消出来た。ある意味、今日この場に居られたのは幸運だったぜ」
そう言って僕の頭をワシワシと撫で回し腰に手を当てながら豪快に笑う。なんだかんだ言っても、あーちゃん達と同じ位僕の事を考えてくれているスーさんに嬉しさを覚えながら笑みが零れる。
「うにゅ? ふわぁ~……にゅにゅ? ……このような所で皆揃って何をしておるのじゃ? 妾が眠りこけている間に何ぞあったのか、奏の字」
「あ、起きたんだね九ちゃん。結構いろんな大事があったけど、時間が無いから端折りながら説明しようか」
旅仕度の詳細とかスーさんの健闘と言う名のストレス発散の所を端折って、大まかな内容を九ちゃんに伝える。始めは口の端から垂れていた涎を拭いつつ、眠気眼を擦りながら聞いていた九ちゃん。だが、僕がある者によって誘拐される事実を聞いた瞬間、眠たそうな目をカッと開きその小さな身体に不釣合いな禍々しい力を放ち出した。初めて彼女と出会って以来、今の今まで一切感じる事の無かった彼女本来の力の一端。それが怒気を交えつつ母屋の中を満たしていく。
「…………」
「分かった、分かった。主の怒りも最もじゃが、このままではこの母屋諸共陣が吹き飛んでしまう。一先ず力を抑えよ」
あーちゃんが制止するが九ちゃんの怒りは一向に治まる気配が無い。さらには彼女のお尻の方から一本、また一本と金色の尻尾が生え始め、ふわふわの髪の毛の間から狐を思わせる耳が生える。尻尾が一つ生える度に彼女の力が飛躍的に高まっていくのを感じる。そんな彼女の様子にため息を一つ吐いて巫女服の袖をごそごそと漁るあーちゃん。やがて目的の物が見つかったのか、袖から出てきたあーちゃんの手に握られていたのは舞扇だった。確か青と白でグラデーションがされた紙に、富士の山から朝日が昇っている所が描かれた普段から携帯している程にお気に入りな扇子である。
「……主にここで暴れられると色々と厄介だからのう、少々痛いが我慢せよ……! 制心扇列撃!!」
「ぐぺっ!?」
七本目の尻尾が生えきろうとしている九ちゃんの脳天に、鮮やかな青色の舞扇による一撃が綺麗に決まる。美少女の痛がり方としてはだいぶ残念な声を上げたが、御蔭で彼女のお尻から生えてきた尻尾が次々に消えていく。それに伴い暴力的な力の放出が綺麗さっぱり止まった。
「ぬぅおぉぉぉぉぉぉ!?」
しかし、今度は舞扇の一撃が綺麗に入りすぎた反動で痛みを堪える為に畳の上をのた打ち回るはめになった。和服の裾が捲くれ上がって細くて綺麗な足が見えてしまっているんだけど……人間てのは不思議なもので、一瞬にして緊張が緩和された状態の時は全くいやらしく感じないモノなんだね。僕の心の海はとっても平穏で、小波が押し寄せる海岸に小さな僕が昼寝してる様子が浮かんでいるよ。ああ、焼きトウモロコシが食べたいな~。
「……く、くぅ~、久々に良き一撃を貰うてしもうたのじゃ……! じゃ、じゃが、今回は助かったぞ天の字」
「ま、それは持ちつ持たれつという所じゃろうの。我も無用な労力を費やさずに済んで良かったわ」
涙目で感謝の言葉を述べた九ちゃんは、あーちゃんに向かって可愛いらしい拳に親指を立てて突き出す。サムズアップのつもりなのだろうが、痛みで身体が震えている所為で手の位置がブレブレだよ。
「さて、お嬢ちゃんよ。なんでここまで暴走したのか聞かせてもらえるんだろうな? こう言っちゃあなんだが、今のが完全に暴走しちまったら俺の頑張りがパアに成る所だったんだぜ? せめて理由くらいは話してもらわねえとな」
前半真面目に後半はニヤニヤとした笑みを浮かべながら、涙を拭っている彼女を問いただすスーさん。その言葉を聞いた九ちゃんは若干焦った様子で取り乱している。お尻をぺたんと畳につけながら何も無い空中で両手をバタつかせている姿が何とも愛らしいよ。
「うえ!? そ、それちょっと勘弁してほしいのじゃが……の?」
「へへへへ~、駄目」
先程の涙とは違う種類の感情が浮かんだ雫。それが徐々に追い詰められている彼女の目じりに溜まり始める。大人の男が小学生の美少女を泣かせている構図は、端から見たら変態が幼女に襲い掛かっているようにしか見えない。
「ど、どうしても駄目か? お主の心には米粒ほどの慈悲も無いのか? ならば後でお稲荷さんを分けてやるから、それを食らってありがたく米粒の慈悲を――――」
「余計なお世話だ! 昔から知り合いに乱暴者だとか散々に言われてきたけどな、俺だって米粒ほどの慈悲くらいあら――ぶほぅっ!?」
何故か九ちゃんを追い込んでいたスーさん自身も目じりに涙を浮かべて絶叫するが、後ろから振り下ろされた手刀に撃沈される。先程化け物相手に楽々と勝利を収めた彼を黙らせたのは勿論あーちゃんだった。
「黙れ愚弟。お前が出しゃばっていては話が進まんではないか」
「スーさんに対してほんとに容赦が無いよね……。もう少し、ほんの米粒程度でいいから優しさを分けてあげても良いと僕は思うんだ」
「ふふ、安心しろ坊よ。砂粒位の優しさならば会う度に分け与えておるよ」
「砂粒って……」
たった砂粒程度の優しさって何だろうね? 少なくとも僕にはまったく思いつく節が無い事だけは確かだよ。
畳の上で蹲ったまま呻いているスーさん。手刀を喰らった所を押さえて悶絶している彼を、多少は悪い事をしたと思ったのか、何とも言えない複雑で哀しい目をした九ちゃんがその小さな手で撫でている。大人が子供に撫でられる、先程の構図とは別の意味で涙を誘われる光景だね……。
「で、何で九ちゃんが暴走しちゃったのか話してくれる?」
「うえっ!? 先程の事で手打ちになった筈じゃなかったのかのう……。うう~、分かったのじゃ。羞恥の海に沈んで仕舞いそうな程恥ずかしいのじゃが、他ならぬ月の字からお願いされたのなら観念して話すわい」
「うんうん! 素直なのはいい娘の証拠よ、九ちゃん」
有無を言わせない迫力を纏った笑みで九ちゃんに迫る月姉。その笑顔という名の脅しに暴走した理由を渋々話す事を承諾し、可愛らしいぷにぷにの頬を真っ赤に染めて話し出した。
「あ~、何と言ったらよいか。一言で言うとじゃな、その……寂しかったのじゃ。奏の字と出会てから毎日がキラキラと宝石の様に輝いて見えて、御主等とも仲良うなってからは益々楽しくての……。そんな毎日が唐突に終わってしまうのかと思ったら心に恐怖が湧いてきて、の。それで……」
「それで、つい力の制御が利かなくなって暴走しちゃったのね?」
「……うむ。ごめんなさい、なのじゃ」
目尻に雫を浮かべてしょんぼりした顔が何とも愛らしい九ちゃんに僕の心が射ち抜かれそうになるけど、ぐっと堪えて抱きしめようとする両手に目一杯力を籠めて自制する。ぽっちゃりとした僕の手に珍しく血管が浮き出る程力を入れなければ、この溢れ出る九ちゃんを撫でまわしたい気持ちを抑えられそうにない。
ぎこちなく引きつった笑みを浮かべる僕をよそに、母性を溢れさせた笑みで九ちゃんの頭を撫でる月姉。そんな二人の姿を凄くうらやましく思いながらも首を横に向けてあえて視線を逸らす。あんまり長く見ていると心をやられちゃいそうな気がする。それに、今更思い出したけど僕ってこれから誘拐される手筈なんだよね。……果たして、こんなにのんびりほんわかしていて良いのだろうか?
「成る程のう…………うむ。それならば一つ良い手があるぞ」
「え? そ、それは本当か? 天の字」
「おう、勿論じゃとも」
それまで黙って話を聞いていたあーちゃんが九ちゃんの暴走した理由を聞いて唐突に話し出した。突然なあーちゃんからの提案だが、九ちゃんには希望の光に見えたのだろう。しょんぼりしていた顔にみるみる笑顔が戻り始め、昼間に学校で見た満開の桜を思わせる笑みを咲かせのであった。
「それは一体何のじゃ!? 早よう聞かせてたもれ!」
「なに、簡単な話じゃよ。お主が坊について行って共に旅をするのじゃ。どうじゃ? 何とも見事な提案じゃろうに」
「おっほう! それは真か、天の字? 本当に本当なのじゃろうな? 後から嘘でしたなんて言葉は一切通らぬぞ!」
そう言って豪快に笑うあーちゃん。彼女の言葉を聴いた九ちゃんは一層目を輝かせ、熱い視線で僕の方を見つめている。なんだか視線が物理的な力を持っているような気がしてきて、これは笑顔で頷かざるを得ない状況みたいだ。
正直言って九ちゃんと一緒に修行の旅に出ること事態は嬉しい気持ちで一杯だ。小さな身体で一見非力な子供みたいだけども、本来の彼女はとても頼もしい存在である。実力こそあーちゃん達に叶いはしないものの、まだまだ半人前の僕なんかよりはずっと強い美少女なんだ。……見た目は小学生なんだけどね!
「ほほほっ! 夕食前に後でお主に話があると言っておったじゃろう? 坊に懐いておるお主の事じゃから、きっと今回の話を聞いたらとある程度予想が出来ておったからのう。端からお主には坊の補助役として共に付いて行って貰おうと考えておったのじゃ」
「なんと! それならばそうと早く教えてほしかったのじゃ。……もう、端から知っておったならば妾も醜態を見せずに済んだものを、相変わらず天の字は意地悪じゃのう」
喜んだのもつかの間、話の内容を理解した九ちゃんが腕組みしながらほっぺを可愛く膨らます。僕の時もそうだったけど、あーちゃんは敢えて話さずに僕達の反応を見て楽しんでいる節がある様な気がするよ。
「ねえ、あーちゃん。本当にアレが求婚してきたの?」
「うん? おお、確かにあの男が我に求婚してきおったのだが……。何やら少々姿形が変わっておるようだの」
スーさんの後ろから見えた敵の姿は正に異形と呼ぶに相応しい邪悪な姿。不自然に発達した上半身に比べて明らかに貧弱な下半身。筋肉が盛り上がっている様は一昔前のゲームキャラクターを連想させるが、あれらはまだ顔とかにも相応の変化が生じている為に馴染んで見えたんだけど。こいつはなまじ顔だけ変化を生じていないから、不自然な筋肉達磨にまともな男性の顔がくっ付いている感じで気持ち悪い事この上ない。
しかも、背中の方には触手の様な物が集まって翼を作っている様子まで窺える。おおう、晩御飯に食べた物を吐き出しそうだよ……。
『ほっほう! 中々に生きが良いな、こいつは!』
『グギッ!? ガ、ガアァァァァァァッ!!』
突撃した勢いを乗せて出会いがしらに拳を叩き込んだスーさん。顔面であろう場所に叩き込まれた拳によって吹き飛ばされるが、あの気持ち悪い触手の翼を開いて何とか踏みとどまる事に成功した。それでもスーさんからの一撃はしっかりとダメージが有るみたいで、イケメンの顔から鼻血を噴き出しながら若干ふらついている。でも、そんな程度では敵も簡単にはやられてくれない様で、スーさんを自身に仇名す敵と見なした奴は怒声を上げながら再び向かってきた。しかし、対するスーさんは異形の姿を持つ者にも一切の怯えや容赦は無く、今は唯々戦いを楽しんでいるようである。まったくもって相手の方には憐憫の情しか湧いてこないよ…………哀れ。
「さて、我弟が楽しんでいる時を利用してこちらも説明の続きに入ろうかの」
「そう、だね。じゃあ、何で楽器がいるのか説明してくれる?」
僕の質問にあーちゃんが鷹揚に頷いて楽器がいる理由について語りだす。なんと、僕が誘拐される予定の世界では邪気を纏った生き物が相当数発生している模様で、こいつを相手にする為には物理面で制圧した後に邪気を祓わなければならない。例え物理面で制圧したとしても、根源である邪気を祓わなければ再生してしまうからだ。西洋で言う所のゾンビやアンデットと言ったモンスターもその類で、時たま理性を持ち会話が成立する個体も出るらしいが、基本こいつらに話し合いや説得は通じない。モンスターに変化する前ならば助け様も有るのだけれど……、完全に変質してしまった場合はもはや手遅れも同然。後は倒して清め祓うしか道は無いんだ。
ちなみに、日本や中国なんかに居る妖怪は西洋のモンスターとは全く次元の違う存在が大部分で、例え邪気に侵され変質していようとも救う事が可能である。
そして、ここからが本題の楽器の必要性について。実は御神楽に用いられる和楽器の数々には、邪気を祓う効果がその他の楽器よりも高いのである。勿論、西洋式の楽器や中華式の楽器にもそういった効果があるものもある。
例えば、キリスト教の礼拝や儀式で扱われる楽器なんかにはもれなく御祓い効果が付いている場合が多いし、所謂宗教で扱われる聖なる行事はそう言った物を準備して行うものだ。僧侶が叩く木魚もそうだし、お寺にある釣鐘にもそれなりの効果がある。兎にも角にも、楽器が奏でる音には扱う者によって性質が変わり。僕みたいな神職者が奏でれば邪気を浄化する御祓いが可能となり、普通の人が奏でればそれは人の心を振わせ感動させる音楽となるのである。
「……つまり、この世界よりも遥かに邪気の量が多いって事なんだね?」
「うむ。成熟した世界では邪気の割合が極端に低くなるが、まだまだ若い世界では相応に量も増える。確か、創造されてからまだ百億年も経っておらんと聞いておる。あちらの地球型惑星をこちらの年代に換算すれば……っと、意外と説明が面倒くさいの。そうさな、中世ヨーロッパをイメージすれば丁度よかろう」
一旦は異世界の様子を説明をしようとしてくれたあーちゃんだが、口に出して喋ると長くなると思ったのか凄く掻い摘んで話てくれた。なるほど、中世ヨーロッパと言えば人類の文化が花開き、様々な恩恵や弊害が発生した年代だね。
「もしかして貴族だとか王様だとか、剣とか騎士みたいな人達が中心の社会構造なのかな?」
「ええ、奏ちゃんの考えで概ね合ってるわ。ただし、それに加えて魔法とか精霊とかドラゴンなんかも普通に居る世界よ」
「へえ、それって生物としてのドラゴンなんだよね? 男の子としては結構興味があるかも……!!」
月姉の言葉に僕のぽっちゃりボディに流れる血の温度が少し上昇するのが分かる。精霊はまだしも、この世界にドラゴンなどの大型生物は凡そ生息していない。龍神様や神に属するドラゴンは純粋に生物とは言えないし、おいそれとは会えない存在だからね。
『ほれほれ、どうした三下君よう! こんなんじゃ俺の姉貴に一泡吹かせるなんて夢のまた夢に終わっちまうぞ? もうちっとでいいから根性を見せてくれや!』
『グウゥゥゥゥゥゥゥ!?』
おっと、そうこうしている間にスーさん達はクライマックスに突入しそうだ。陣に映る敵は五割程スーさんによって傷を受けてボロボロ、触手で出来た翼は引き千切られたのかすでに片翼しか残っていなかった。イケメンの顔だけは最初の鼻血を流した後目立った傷は受けておらず、血走った目を覗けば未だに綺麗なままである。
「そろそろ終いであるか。我弟を相手にして意外と持ったほうじゃのう。……いや、ここは敵ながら天晴れとでも言えばよいかの」
「そんな余計に煽る様な事言わなくても……。ま、僕達の会話は聞こえて無さそうだから一先ず安心だけど」
「そうよ、姉さん。あんまり言ったら彼が可哀想じゃありませんか……」
そんな事言って、あーちゃんも月姉も顔が笑っているよ? スーさんにボロボロにされ、意中の相手だったあーちゃんと妹の月姉には言葉でこき下ろされるなんて……。なんだか可哀想になってきちゃったよ。
僕が幾ら哀れみの念を送ったとしても現実は変わらず、ついに四割を残すと言う目的に達したスーさんが月の迷宮に叩き込む準備を始めた。拳に力を溜めて数十メートルの距離を一息で零距離まで肉薄し、月の迷宮を敵の背後に位置する様に正拳を打ち込むフェイントをかけて回りこむ。それに対して目の前から消えたスーさんを追うように敵が背後へと向き直る。が、その姿を捉える間も無くスーさんの拳を腹部にめり込ませて豪快に吹き飛ぶ。そのまま声にならない悲鳴と共に、敵は月の迷宮へと姿を消していったのである。
『任務完了っと! いや~、久しぶりに良い運動したわ。じゃ、後は姉貴達に任せて俺はそっちに戻るぜ』
とっても満足そうな笑みで手を振るスーさんがまた光に包まれて消える。すると、僕達の背後に光の粒子が集まり出し光の中からスーさんが現れた。いい感じに汗を掻いて何とも爽やかな出で立ちになっているが、なった経緯からすると微妙気持ちになってしまうのは僕だけでしょうか?
「よう、こっちは話が進んだのか?」
「ええ、大体の所は終わったわ。ありがとね、スーちゃん」
「なに、可愛い弟分の為だしな。三下の割りに結構楽しめたし、日ごろの運動不足も解消出来た。ある意味、今日この場に居られたのは幸運だったぜ」
そう言って僕の頭をワシワシと撫で回し腰に手を当てながら豪快に笑う。なんだかんだ言っても、あーちゃん達と同じ位僕の事を考えてくれているスーさんに嬉しさを覚えながら笑みが零れる。
「うにゅ? ふわぁ~……にゅにゅ? ……このような所で皆揃って何をしておるのじゃ? 妾が眠りこけている間に何ぞあったのか、奏の字」
「あ、起きたんだね九ちゃん。結構いろんな大事があったけど、時間が無いから端折りながら説明しようか」
旅仕度の詳細とかスーさんの健闘と言う名のストレス発散の所を端折って、大まかな内容を九ちゃんに伝える。始めは口の端から垂れていた涎を拭いつつ、眠気眼を擦りながら聞いていた九ちゃん。だが、僕がある者によって誘拐される事実を聞いた瞬間、眠たそうな目をカッと開きその小さな身体に不釣合いな禍々しい力を放ち出した。初めて彼女と出会って以来、今の今まで一切感じる事の無かった彼女本来の力の一端。それが怒気を交えつつ母屋の中を満たしていく。
「…………」
「分かった、分かった。主の怒りも最もじゃが、このままではこの母屋諸共陣が吹き飛んでしまう。一先ず力を抑えよ」
あーちゃんが制止するが九ちゃんの怒りは一向に治まる気配が無い。さらには彼女のお尻の方から一本、また一本と金色の尻尾が生え始め、ふわふわの髪の毛の間から狐を思わせる耳が生える。尻尾が一つ生える度に彼女の力が飛躍的に高まっていくのを感じる。そんな彼女の様子にため息を一つ吐いて巫女服の袖をごそごそと漁るあーちゃん。やがて目的の物が見つかったのか、袖から出てきたあーちゃんの手に握られていたのは舞扇だった。確か青と白でグラデーションがされた紙に、富士の山から朝日が昇っている所が描かれた普段から携帯している程にお気に入りな扇子である。
「……主にここで暴れられると色々と厄介だからのう、少々痛いが我慢せよ……! 制心扇列撃!!」
「ぐぺっ!?」
七本目の尻尾が生えきろうとしている九ちゃんの脳天に、鮮やかな青色の舞扇による一撃が綺麗に決まる。美少女の痛がり方としてはだいぶ残念な声を上げたが、御蔭で彼女のお尻から生えてきた尻尾が次々に消えていく。それに伴い暴力的な力の放出が綺麗さっぱり止まった。
「ぬぅおぉぉぉぉぉぉ!?」
しかし、今度は舞扇の一撃が綺麗に入りすぎた反動で痛みを堪える為に畳の上をのた打ち回るはめになった。和服の裾が捲くれ上がって細くて綺麗な足が見えてしまっているんだけど……人間てのは不思議なもので、一瞬にして緊張が緩和された状態の時は全くいやらしく感じないモノなんだね。僕の心の海はとっても平穏で、小波が押し寄せる海岸に小さな僕が昼寝してる様子が浮かんでいるよ。ああ、焼きトウモロコシが食べたいな~。
「……く、くぅ~、久々に良き一撃を貰うてしもうたのじゃ……! じゃ、じゃが、今回は助かったぞ天の字」
「ま、それは持ちつ持たれつという所じゃろうの。我も無用な労力を費やさずに済んで良かったわ」
涙目で感謝の言葉を述べた九ちゃんは、あーちゃんに向かって可愛いらしい拳に親指を立てて突き出す。サムズアップのつもりなのだろうが、痛みで身体が震えている所為で手の位置がブレブレだよ。
「さて、お嬢ちゃんよ。なんでここまで暴走したのか聞かせてもらえるんだろうな? こう言っちゃあなんだが、今のが完全に暴走しちまったら俺の頑張りがパアに成る所だったんだぜ? せめて理由くらいは話してもらわねえとな」
前半真面目に後半はニヤニヤとした笑みを浮かべながら、涙を拭っている彼女を問いただすスーさん。その言葉を聞いた九ちゃんは若干焦った様子で取り乱している。お尻をぺたんと畳につけながら何も無い空中で両手をバタつかせている姿が何とも愛らしいよ。
「うえ!? そ、それちょっと勘弁してほしいのじゃが……の?」
「へへへへ~、駄目」
先程の涙とは違う種類の感情が浮かんだ雫。それが徐々に追い詰められている彼女の目じりに溜まり始める。大人の男が小学生の美少女を泣かせている構図は、端から見たら変態が幼女に襲い掛かっているようにしか見えない。
「ど、どうしても駄目か? お主の心には米粒ほどの慈悲も無いのか? ならば後でお稲荷さんを分けてやるから、それを食らってありがたく米粒の慈悲を――――」
「余計なお世話だ! 昔から知り合いに乱暴者だとか散々に言われてきたけどな、俺だって米粒ほどの慈悲くらいあら――ぶほぅっ!?」
何故か九ちゃんを追い込んでいたスーさん自身も目じりに涙を浮かべて絶叫するが、後ろから振り下ろされた手刀に撃沈される。先程化け物相手に楽々と勝利を収めた彼を黙らせたのは勿論あーちゃんだった。
「黙れ愚弟。お前が出しゃばっていては話が進まんではないか」
「スーさんに対してほんとに容赦が無いよね……。もう少し、ほんの米粒程度でいいから優しさを分けてあげても良いと僕は思うんだ」
「ふふ、安心しろ坊よ。砂粒位の優しさならば会う度に分け与えておるよ」
「砂粒って……」
たった砂粒程度の優しさって何だろうね? 少なくとも僕にはまったく思いつく節が無い事だけは確かだよ。
畳の上で蹲ったまま呻いているスーさん。手刀を喰らった所を押さえて悶絶している彼を、多少は悪い事をしたと思ったのか、何とも言えない複雑で哀しい目をした九ちゃんがその小さな手で撫でている。大人が子供に撫でられる、先程の構図とは別の意味で涙を誘われる光景だね……。
「で、何で九ちゃんが暴走しちゃったのか話してくれる?」
「うえっ!? 先程の事で手打ちになった筈じゃなかったのかのう……。うう~、分かったのじゃ。羞恥の海に沈んで仕舞いそうな程恥ずかしいのじゃが、他ならぬ月の字からお願いされたのなら観念して話すわい」
「うんうん! 素直なのはいい娘の証拠よ、九ちゃん」
有無を言わせない迫力を纏った笑みで九ちゃんに迫る月姉。その笑顔という名の脅しに暴走した理由を渋々話す事を承諾し、可愛らしいぷにぷにの頬を真っ赤に染めて話し出した。
「あ~、何と言ったらよいか。一言で言うとじゃな、その……寂しかったのじゃ。奏の字と出会てから毎日がキラキラと宝石の様に輝いて見えて、御主等とも仲良うなってからは益々楽しくての……。そんな毎日が唐突に終わってしまうのかと思ったら心に恐怖が湧いてきて、の。それで……」
「それで、つい力の制御が利かなくなって暴走しちゃったのね?」
「……うむ。ごめんなさい、なのじゃ」
目尻に雫を浮かべてしょんぼりした顔が何とも愛らしい九ちゃんに僕の心が射ち抜かれそうになるけど、ぐっと堪えて抱きしめようとする両手に目一杯力を籠めて自制する。ぽっちゃりとした僕の手に珍しく血管が浮き出る程力を入れなければ、この溢れ出る九ちゃんを撫でまわしたい気持ちを抑えられそうにない。
ぎこちなく引きつった笑みを浮かべる僕をよそに、母性を溢れさせた笑みで九ちゃんの頭を撫でる月姉。そんな二人の姿を凄くうらやましく思いながらも首を横に向けてあえて視線を逸らす。あんまり長く見ていると心をやられちゃいそうな気がする。それに、今更思い出したけど僕ってこれから誘拐される手筈なんだよね。……果たして、こんなにのんびりほんわかしていて良いのだろうか?
「成る程のう…………うむ。それならば一つ良い手があるぞ」
「え? そ、それは本当か? 天の字」
「おう、勿論じゃとも」
それまで黙って話を聞いていたあーちゃんが九ちゃんの暴走した理由を聞いて唐突に話し出した。突然なあーちゃんからの提案だが、九ちゃんには希望の光に見えたのだろう。しょんぼりしていた顔にみるみる笑顔が戻り始め、昼間に学校で見た満開の桜を思わせる笑みを咲かせのであった。
「それは一体何のじゃ!? 早よう聞かせてたもれ!」
「なに、簡単な話じゃよ。お主が坊について行って共に旅をするのじゃ。どうじゃ? 何とも見事な提案じゃろうに」
「おっほう! それは真か、天の字? 本当に本当なのじゃろうな? 後から嘘でしたなんて言葉は一切通らぬぞ!」
そう言って豪快に笑うあーちゃん。彼女の言葉を聴いた九ちゃんは一層目を輝かせ、熱い視線で僕の方を見つめている。なんだか視線が物理的な力を持っているような気がしてきて、これは笑顔で頷かざるを得ない状況みたいだ。
正直言って九ちゃんと一緒に修行の旅に出ること事態は嬉しい気持ちで一杯だ。小さな身体で一見非力な子供みたいだけども、本来の彼女はとても頼もしい存在である。実力こそあーちゃん達に叶いはしないものの、まだまだ半人前の僕なんかよりはずっと強い美少女なんだ。……見た目は小学生なんだけどね!
「ほほほっ! 夕食前に後でお主に話があると言っておったじゃろう? 坊に懐いておるお主の事じゃから、きっと今回の話を聞いたらとある程度予想が出来ておったからのう。端からお主には坊の補助役として共に付いて行って貰おうと考えておったのじゃ」
「なんと! それならばそうと早く教えてほしかったのじゃ。……もう、端から知っておったならば妾も醜態を見せずに済んだものを、相変わらず天の字は意地悪じゃのう」
喜んだのもつかの間、話の内容を理解した九ちゃんが腕組みしながらほっぺを可愛く膨らます。僕の時もそうだったけど、あーちゃんは敢えて話さずに僕達の反応を見て楽しんでいる節がある様な気がするよ。
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