5 / 5
魔女と呼ばれた少女
異変
しおりを挟む
見慣れないその景色に目を瞬かせる。
ここは一体…
立ち上がろうとした私は異変に気づいた。
何だか頭の右側が重い…物理的に
そっと手を触れてみると何だか金属のような冷たくかたい感触があった。
…髪飾り?
それは日本の簪に似た髪飾りで手で確認してみるに蝶のような形をしている事が分かった。
髪の上半分を右側に寄せ、そこで団子のように丸めてさしてあった。
抜けばそれが何なのか具体的に分かるのかもしれないが、私はそれをしなかった。
抜いてはいけない気がした。
私は髪飾りに触るのをやめ、周囲へと目を向けた。
ぐるりと視界を一周させていると遠く、向こうの方に建物が見えた。
…おかしい、私の目は視力がかなり低いはずなのに…
手元を見るのでさえ少し手間取る程の視力だったはずが、数百メートル先まで見えるようになっていた。
眼鏡のせいか視界が少し歪んで目が痛い。
眼鏡を外し、少し目を擦ってもう一度建物があった方向へと目を向ける。
私の瞳にはぼやけて見えた建物、いや、村がはっきりと映った。
何故だ
私の頭に疑問が浮かんで消えた。
こんな所で立ち止まっている暇はない。状況が悪くなった訳では無いようだから、今考えるのはやめよう。
自分の中でそう区切りをつけ、投げ捨てられていた鞄を手に取る。
中を確認するがそこには何も入っていなかった。
…鞄だけ現れたのは何故
私は一度息をつき、村の方へと歩き出す。
少しずつ子供の声が聞こえてくる。
子供の姿が私の視界を掠めた時、何かが私にぶつかった。
「いでぇっ!」
少し高い少年の声がした。
視線を下の方へ下げるとまだ六歳、七歳くらいの男の子が尻もちをついていた。
いててて…と尻をさする男の子に手を差し出す。
「…大丈夫?」
私の言葉にうん、大丈夫と言ってその手に手を乗せようとしたその時、男の子と目が合った。
男の子は大きな瞳を見開かせる。
自分の容姿を思い出して、しまったと思い、手を引っこめる。
男の子の視線に耐えきれず私はその場を走り出した。
ここは一体…
立ち上がろうとした私は異変に気づいた。
何だか頭の右側が重い…物理的に
そっと手を触れてみると何だか金属のような冷たくかたい感触があった。
…髪飾り?
それは日本の簪に似た髪飾りで手で確認してみるに蝶のような形をしている事が分かった。
髪の上半分を右側に寄せ、そこで団子のように丸めてさしてあった。
抜けばそれが何なのか具体的に分かるのかもしれないが、私はそれをしなかった。
抜いてはいけない気がした。
私は髪飾りに触るのをやめ、周囲へと目を向けた。
ぐるりと視界を一周させていると遠く、向こうの方に建物が見えた。
…おかしい、私の目は視力がかなり低いはずなのに…
手元を見るのでさえ少し手間取る程の視力だったはずが、数百メートル先まで見えるようになっていた。
眼鏡のせいか視界が少し歪んで目が痛い。
眼鏡を外し、少し目を擦ってもう一度建物があった方向へと目を向ける。
私の瞳にはぼやけて見えた建物、いや、村がはっきりと映った。
何故だ
私の頭に疑問が浮かんで消えた。
こんな所で立ち止まっている暇はない。状況が悪くなった訳では無いようだから、今考えるのはやめよう。
自分の中でそう区切りをつけ、投げ捨てられていた鞄を手に取る。
中を確認するがそこには何も入っていなかった。
…鞄だけ現れたのは何故
私は一度息をつき、村の方へと歩き出す。
少しずつ子供の声が聞こえてくる。
子供の姿が私の視界を掠めた時、何かが私にぶつかった。
「いでぇっ!」
少し高い少年の声がした。
視線を下の方へ下げるとまだ六歳、七歳くらいの男の子が尻もちをついていた。
いててて…と尻をさする男の子に手を差し出す。
「…大丈夫?」
私の言葉にうん、大丈夫と言ってその手に手を乗せようとしたその時、男の子と目が合った。
男の子は大きな瞳を見開かせる。
自分の容姿を思い出して、しまったと思い、手を引っこめる。
男の子の視線に耐えきれず私はその場を走り出した。
0
お気に入りに追加
5
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
私はいけにえ
七辻ゆゆ
ファンタジー
「ねえ姉さん、どうせ生贄になって死ぬのに、どうしてご飯なんて食べるの? そんな良いものを食べたってどうせ無駄じゃない。ねえ、どうして食べてるの?」
ねっとりと息苦しくなるような声で妹が言う。
私はそうして、一緒に泣いてくれた妹がもう存在しないことを知ったのだ。
****リハビリに書いたのですがダークすぎる感じになってしまって、暗いのが好きな方いらっしゃったらどうぞ。
〖完結〗その子は私の子ではありません。どうぞ、平民の愛人とお幸せに。
藍川みいな
恋愛
愛する人と結婚した…はずだった……
結婚式を終えて帰る途中、見知らぬ男達に襲われた。
ジュラン様を庇い、顔に傷痕が残ってしまった私を、彼は醜いと言い放った。それだけではなく、彼の子を身篭った愛人を連れて来て、彼女が産む子を私達の子として育てると言い出した。
愛していた彼の本性を知った私は、復讐する決意をする。決してあなたの思い通りになんてさせない。
*設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
*全16話で完結になります。
*番外編、追加しました。
別に構いませんよ、離縁するので。
杉本凪咲
恋愛
父親から告げられたのは「出ていけ」という冷たい言葉。
他の家族もそれに賛同しているようで、どうやら私は捨てられてしまうらしい。
まあいいですけどね。私はこっそりと笑顔を浮かべた。
【完結】父が再婚。義母には連れ子がいて一つ下の妹になるそうですが……ちょうだい癖のある義妹に寮生活は無理なのでは?
つくも茄子
ファンタジー
父が再婚をしました。お相手は男爵夫人。
平民の我が家でいいのですか?
疑問に思うものの、よくよく聞けば、相手も再婚で、娘が一人いるとのこと。
義妹はそれは美しい少女でした。義母に似たのでしょう。父も実娘をそっちのけで義妹にメロメロです。ですが、この新しい義妹には悪癖があるようで、人の物を欲しがるのです。「お義姉様、ちょうだい!」が口癖。あまりに煩いので快く渡しています。何故かって?もうすぐ、学園での寮生活に入るからです。少しの間だけ我慢すれば済むこと。
学園では煩い家族がいない分、のびのびと過ごせていたのですが、義妹が入学してきました。
必ずしも入学しなければならない、というわけではありません。
勉強嫌いの義妹。
この学園は成績順だということを知らないのでは?思った通り、最下位クラスにいってしまった義妹。
両親に駄々をこねているようです。
私のところにも手紙を送ってくるのですから、相当です。
しかも、寮やクラスで揉め事を起こしては顰蹙を買っています。入学早々に学園中の女子を敵にまわしたのです!やりたい放題の義妹に、とうとう、ある処置を施され・・・。
なろう、カクヨム、にも公開中。
断罪の暗殺者~なんか知らんが犯罪ギルドのトップになってた~
流優
ファンタジー
どうやら俺は、異世界に転生したらしい。――ゲームで作った、犯罪ギルドのギルドマスターとして。
マズい、どうしてこうなった。自我を獲得したらしいギルドのNPC達は割と普通に犯罪者思考だし、俺も技能として『暗殺』しか出来ねぇ!
そうしてゲームで作ったキャラ――暗殺者として転生を果たしたギルドマスター『ユウ』は、物騒な性格のNPC達のトップとして裏社会に名を轟かせ、やがては世界へと影響を及ぼしてゆく――。
対象年齢は少し高めかもしれません。ご注意を。
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
私は、忠告を致しましたよ?
柚木ゆず
ファンタジー
ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私マリエスは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢ロマーヌ様に呼び出されました。
「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」
ロマーヌ様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は常に最愛の方に護っていただいているので、貴方様には悪意があると気付けるのですよ。
ロマーヌ様。まだ間に合います。
今なら、引き返せますよ?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる