38 / 40
38.愛って本当に素敵です
しおりを挟む
「ふん、ふふん、ふふん」
「随分ご機嫌だわね」
洋介は晩御飯の皿を鼻歌交じりで洗っている。シャツを腕まくりして皿を手際よく片付けていくその姿はまるで遊んでいるようだ。
弘子はソファーに座り書類片手に仕事中だ。その書類には一面英語だらけで洋介にはちんぷんかんぷんだ。
「はい、あったかいお茶」
「あ、ありがとう」
弘子が受け取り口に含むとほっとした表情を見せる。弘子はキャリアウーマンだ。一人でかなりの金額を動かしているらしい。責任はかなり重大だ。
こんな、細い体なのに……。
洋介は弘子の体が心配だった。
男ばかりの業界の中で必死に戦う弘子をもちろん応援している。だが、時折限界を超えて無理をしている弘子の姿を見ると止めたくなる……。
弘子が書類を見ながら首をぐるっと回したのを見ると洋介はソファーの後ろに回り弘子の肩を揉む。
「ふふ、お上手ですね、洋介さん」
「お粗末様です、弘子さん」
俺が出来ることはこんなことぐらいだ、そばにいて、癒して、たまに笑わせて、弘子を休憩させることぐらい、そんなもんだ。うん。
「……ねぇ、あと一時間はかかりそうなのよ、この仕事」
「うん、わかった」
「ご褒美作って」
「そうだな、一時間で終われば、終われば──洋介さんとお風呂券と、洋介さんと濃厚な夜の営み券がゲット!」
「なにそれ……ふぅん……了解」
弘子は先程よりもすごい勢いで書類を睨みつける。
なんだ? 性欲というのは時に起爆剤になるらしい。俺は弘子の頭にキスを落とすとそのまま向かいに置かれたソファーに座った。タイムリミットは一時間だが、ご褒美がある時の弘子の集中力は違う。もっと早く終わらせるだろう。
俺は弘子のビタミン剤兼栄養ドリンクらしい。俺は一人茶を飲むと微笑んだ。
「随分ご機嫌だわね」
洋介は晩御飯の皿を鼻歌交じりで洗っている。シャツを腕まくりして皿を手際よく片付けていくその姿はまるで遊んでいるようだ。
弘子はソファーに座り書類片手に仕事中だ。その書類には一面英語だらけで洋介にはちんぷんかんぷんだ。
「はい、あったかいお茶」
「あ、ありがとう」
弘子が受け取り口に含むとほっとした表情を見せる。弘子はキャリアウーマンだ。一人でかなりの金額を動かしているらしい。責任はかなり重大だ。
こんな、細い体なのに……。
洋介は弘子の体が心配だった。
男ばかりの業界の中で必死に戦う弘子をもちろん応援している。だが、時折限界を超えて無理をしている弘子の姿を見ると止めたくなる……。
弘子が書類を見ながら首をぐるっと回したのを見ると洋介はソファーの後ろに回り弘子の肩を揉む。
「ふふ、お上手ですね、洋介さん」
「お粗末様です、弘子さん」
俺が出来ることはこんなことぐらいだ、そばにいて、癒して、たまに笑わせて、弘子を休憩させることぐらい、そんなもんだ。うん。
「……ねぇ、あと一時間はかかりそうなのよ、この仕事」
「うん、わかった」
「ご褒美作って」
「そうだな、一時間で終われば、終われば──洋介さんとお風呂券と、洋介さんと濃厚な夜の営み券がゲット!」
「なにそれ……ふぅん……了解」
弘子は先程よりもすごい勢いで書類を睨みつける。
なんだ? 性欲というのは時に起爆剤になるらしい。俺は弘子の頭にキスを落とすとそのまま向かいに置かれたソファーに座った。タイムリミットは一時間だが、ご褒美がある時の弘子の集中力は違う。もっと早く終わらせるだろう。
俺は弘子のビタミン剤兼栄養ドリンクらしい。俺は一人茶を飲むと微笑んだ。
1
お気に入りに追加
196
あなたにおすすめの小説
届かぬ温もり
HARUKA
恋愛
夫には忘れられない人がいた。それを知りながら、私は彼のそばにいたかった。愛することで自分を捨て、夫の隣にいることを選んだ私。だけど、その恋に答えはなかった。すべてを失いかけた私が選んだのは、彼から離れ、自分自身の人生を取り戻す道だった·····
◆◇◆◇◆◇◆
すべてフィクションです。読んでくだり感謝いたします。
ゆっくり更新していきます。
誤字脱字も見つけ次第直していきます。
よろしくお願いします。

王太子妃専属侍女の結婚事情
蒼あかり
恋愛
伯爵家の令嬢シンシアは、ラドフォード王国 王太子妃の専属侍女だ。
未だ婚約者のいない彼女のために、王太子と王太子妃の命で見合いをすることに。
相手は王太子の側近セドリック。
ところが、幼い見た目とは裏腹に令嬢らしからぬはっきりとした物言いのキツイ性格のシンシアは、それが元でお見合いをこじらせてしまうことに。
そんな二人の行く末は......。
☆恋愛色は薄めです。
☆完結、予約投稿済み。
新年一作目は頑張ってハッピーエンドにしてみました。
ふたりの喧嘩のような言い合いを楽しんでいただければと思います。
そこまで激しくはないですが、そういうのが苦手な方はご遠慮ください。
よろしくお願いいたします。

片想い婚〜今日、姉の婚約者と結婚します〜
橘しづき
恋愛
姉には幼い頃から婚約者がいた。両家が決めた相手だった。お互いの家の繁栄のための結婚だという。
私はその彼に、幼い頃からずっと恋心を抱いていた。叶わぬ恋に辟易し、秘めた想いは誰に言わず、二人の結婚式にのぞんだ。
だが当日、姉は結婚式に来なかった。 パニックに陥る両親たち、悲しげな愛しい人。そこで自分の口から声が出た。
「私が……蒼一さんと結婚します」
姉の身代わりに結婚した咲良。好きな人と夫婦になれるも、心も体も通じ合えない片想い。

とまどいの花嫁は、夫から逃げられない
椎名さえら
恋愛
エラは、親が決めた婚約者からずっと冷淡に扱われ
初夜、夫は愛人の家へと行った。
戦争が起こり、夫は戦地へと赴いた。
「無事に戻ってきたら、お前とは離婚する」
と言い置いて。
やっと戦争が終わった後、エラのもとへ戻ってきた夫に
彼女は強い違和感を感じる。
夫はすっかり改心し、エラとは離婚しないと言い張り
突然彼女を溺愛し始めたからだ
______________________
✴︎舞台のイメージはイギリス近代(ゆるゆる設定)
✴︎誤字脱字は優しくスルーしていただけると幸いです
✴︎なろうさんにも投稿しています
私の勝手なBGMは、懐かしすぎるけど鬼束ちひろ『月光』←名曲すぎ

「白い結婚の終幕:冷たい約束と偽りの愛」
ゆる
恋愛
「白い結婚――それは幸福ではなく、冷たく縛られた契約だった。」
美しい名門貴族リュミエール家の娘アスカは、公爵家の若き当主レイヴンと政略結婚することになる。しかし、それは夫婦の絆など存在しない“白い結婚”だった。
夫のレイヴンは冷たく、長く屋敷を不在にし、アスカは孤独の中で公爵家の実態を知る――それは、先代から続く莫大な負債と、怪しい商会との闇契約によって破綻寸前に追い込まれた家だったのだ。
さらに、公爵家には謎めいた愛人セシリアが入り込み、家中の権力を掌握しようと暗躍している。使用人たちの不安、アーヴィング商会の差し押さえ圧力、そして消えた夫レイヴンの意図……。次々と押し寄せる困難の中、アスカはただの「飾りの夫人」として終わる人生を拒絶し、自ら未来を切り拓こうと動き始める。
政略結婚の檻の中で、彼女は周囲の陰謀に立ち向かい、少しずつ真実を掴んでいく。そして冷たく突き放していた夫レイヴンとの関係も、思わぬ形で変化していき――。
「私はもう誰の人形にもならない。自分の意志で、この家も未来も守り抜いてみせる!」
果たしてアスカは“白い結婚”という名の冷たい鎖を断ち切り、全てをざまあと思わせる大逆転を成し遂げられるのか?
【完結】婚約者を譲れと言うなら譲ります。私が欲しいのはアナタの婚約者なので。
海野凛久
恋愛
【書籍絶賛発売中】
クラリンス侯爵家の長女・マリーアンネは、幼いころから王太子の婚約者と定められ、育てられてきた。
しかしそんなある日、とあるパーティーで、妹から婚約者の地位を譲るように迫られる。
失意に打ちひしがれるかと思われたマリーアンネだったが――
これは、初恋を実らせようと奮闘する、とある令嬢の物語――。
※第14回恋愛小説大賞で特別賞頂きました!応援くださった皆様、ありがとうございました!
※主人公の名前を『マリ』から『マリーアンネ』へ変更しました。
その出会い、運命につき。
あさの紅茶
恋愛
背が高いことがコンプレックスの平野つばさが働く薬局に、つばさよりも背の高い胡桃洋平がやってきた。かっこよかったなと思っていたところ、雨の日にまさかの再会。そしてご飯を食べに行くことに。知れば知るほど彼を好きになってしまうつばさ。そんなある日、洋平と背の低い可愛らしい女性が歩いているところを偶然目撃。しかもその女性の名字も“胡桃”だった。つばさの恋はまさか不倫?!悩むつばさに洋平から次のお誘いが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる