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25.同志よ、今立ち上がれ!
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太陽が真上にのぼる頃突然自宅のインターホンが鳴る。
ドアを開けると四階に住む田中という名の女だった。廊下ですれ違うと会釈をするぐらいの関係だ。一体何の用だろうか……。
田中は小太りだが艶やかな白い肌……それに黒髪のおかっぱ頭の住人だ。白髪マダムも顔と名前を覚えるほどのインパクトだ。
「あら、奥様、突然どうなさったんです?」
「奥様、ちょっとお話が──」
あたりを気にする素振りを見せるので白髪マダムは玄関に通しドアを閉める。
「……奥様、絶倫カップルと仲がよろしいでしょ?」
いつのまにか白髪マダムは絶倫カップルの一味になっているようだ。マダムは何も言わずに頷く。決して私は絶倫じゃないとは言わない。白髪マダムは絶倫が恥ずかしいと思うこの世の中を変えたいと崇高なビジョンを描いているからだ。
絶倫は、恥ずかしくないわ!果てのない事は素晴らしいもの……。
もう、だれも白髪マダムを止められない。
「あの方達、何か特別なものを食べているのかしら?スーパーに売っているものとか……」
少し顔を赤らめる田中に最近彼氏ができたことを風の噂で知った。恋をすることなど諦めていたが絶倫カップルの影響で恋をしたくなり、実を結んだようだ。たしか同じアパートに住んでいる独身男性だった気がする。なかなかのやり手だ。
「あなたも──絶倫にあやかりたいのね?」
「あ、やだわ……身近に偉人がいる訳だし……少しアドバイスもらえたらと思って……」
田中はますます顔を赤らめる。突然葵と華子は偉人クラスまで登り詰めた。
白髪マダムはクスッと笑う。
そのまま部屋の奥へといくと濃い紫色をした箱を持ってきた。
「これを──お譲りしますわ」
「こ、これは……?」
「紫まむし極楽一発ドリンク……あの二人の愛用エナジードリンクよ……彼らの性欲を根底から支えていると言ってかまわないわ。性欲だけじゃないわ……固いわよ……」
「こ、これが……、と、言うことは岩のように──」
白髪マダムよ……落ち着きたまえと言いたい。
葵はまず飲んでいない。華子も仕事が疲れた時にしか飲まない。まったく性欲に関係ないのだが、白髪マダムの中で大きく事実が歪曲されている。
田中よ……お前は石より岩がいいのかと言いたい。
ただの栄養ドリンクに○イアグラ的成分はない。もしそれなら葵の会社の同僚は仕事しながら勃起させる変態集団だ。
「買います……2セット、いや、4セット!」
「不足分を注文いたします。あとは……ちょっとご協力いただきたいの」
「ご協力……」
「絶倫を助ける食べ物を日本中から取り寄せたいの。スマホしか使えないので目が痛くて……何かいい情報があればすぐに私に教えてくださるかしら?」
「まぁ……」
田中は感動していた。白い髪に赤いルージュのこの女性はまるでフランス革命を率いた女性のように気高い……。絶倫を救うべく立ち上がった、救世主──。
この世の絶倫に言いたい……もう恐れることはない、胸を張り、声を大にして叫んで欲しい。
私は絶倫なのだと──。
「絶倫、セックス中毒……それをサポートしていくのが残りの人生だと思っているの。名付けて、絶倫サポートプロジェクト!」
白髪マダムが親指を立ててドヤ顔をする。さすがの田中もどう反応すればいいか困っているようだ。
「もしご協力いただけるのならばドリンク1セットプレゼントするわ」
「やる……やるわ!」
田中が即答する。絶倫への憧れが強い田中の心をガシッと掴むことに成功したらしい。
翌日、廊下で田中と白髪マダムがすれ違った。すれ違いざま田中が一枚のメモ用紙を白髪マダムに手渡した。誰にもバレぬようにお互い顔を合わせない。まるでスパイ映画のワンシーンのような光景だ。
部屋に戻り白髪マダムがメモ用紙を確認する……。
鰻の肝エキス
一粒で超元気!ニョロニョログングン!
株式会社 永鰻
03ー〇〇〇〇ー〇〇56
白髪マダムはそのメモを見てニヤリと微笑む。すぐさま電話の受話器を手に取った。
「土用の丑の日に、間に合えば最高ね……」
白髪マダムの絶倫応援プロジェクトは始まったばかりだ。
まさかこんな事になっているとは華子は知る由もない。
ドアを開けると四階に住む田中という名の女だった。廊下ですれ違うと会釈をするぐらいの関係だ。一体何の用だろうか……。
田中は小太りだが艶やかな白い肌……それに黒髪のおかっぱ頭の住人だ。白髪マダムも顔と名前を覚えるほどのインパクトだ。
「あら、奥様、突然どうなさったんです?」
「奥様、ちょっとお話が──」
あたりを気にする素振りを見せるので白髪マダムは玄関に通しドアを閉める。
「……奥様、絶倫カップルと仲がよろしいでしょ?」
いつのまにか白髪マダムは絶倫カップルの一味になっているようだ。マダムは何も言わずに頷く。決して私は絶倫じゃないとは言わない。白髪マダムは絶倫が恥ずかしいと思うこの世の中を変えたいと崇高なビジョンを描いているからだ。
絶倫は、恥ずかしくないわ!果てのない事は素晴らしいもの……。
もう、だれも白髪マダムを止められない。
「あの方達、何か特別なものを食べているのかしら?スーパーに売っているものとか……」
少し顔を赤らめる田中に最近彼氏ができたことを風の噂で知った。恋をすることなど諦めていたが絶倫カップルの影響で恋をしたくなり、実を結んだようだ。たしか同じアパートに住んでいる独身男性だった気がする。なかなかのやり手だ。
「あなたも──絶倫にあやかりたいのね?」
「あ、やだわ……身近に偉人がいる訳だし……少しアドバイスもらえたらと思って……」
田中はますます顔を赤らめる。突然葵と華子は偉人クラスまで登り詰めた。
白髪マダムはクスッと笑う。
そのまま部屋の奥へといくと濃い紫色をした箱を持ってきた。
「これを──お譲りしますわ」
「こ、これは……?」
「紫まむし極楽一発ドリンク……あの二人の愛用エナジードリンクよ……彼らの性欲を根底から支えていると言ってかまわないわ。性欲だけじゃないわ……固いわよ……」
「こ、これが……、と、言うことは岩のように──」
白髪マダムよ……落ち着きたまえと言いたい。
葵はまず飲んでいない。華子も仕事が疲れた時にしか飲まない。まったく性欲に関係ないのだが、白髪マダムの中で大きく事実が歪曲されている。
田中よ……お前は石より岩がいいのかと言いたい。
ただの栄養ドリンクに○イアグラ的成分はない。もしそれなら葵の会社の同僚は仕事しながら勃起させる変態集団だ。
「買います……2セット、いや、4セット!」
「不足分を注文いたします。あとは……ちょっとご協力いただきたいの」
「ご協力……」
「絶倫を助ける食べ物を日本中から取り寄せたいの。スマホしか使えないので目が痛くて……何かいい情報があればすぐに私に教えてくださるかしら?」
「まぁ……」
田中は感動していた。白い髪に赤いルージュのこの女性はまるでフランス革命を率いた女性のように気高い……。絶倫を救うべく立ち上がった、救世主──。
この世の絶倫に言いたい……もう恐れることはない、胸を張り、声を大にして叫んで欲しい。
私は絶倫なのだと──。
「絶倫、セックス中毒……それをサポートしていくのが残りの人生だと思っているの。名付けて、絶倫サポートプロジェクト!」
白髪マダムが親指を立ててドヤ顔をする。さすがの田中もどう反応すればいいか困っているようだ。
「もしご協力いただけるのならばドリンク1セットプレゼントするわ」
「やる……やるわ!」
田中が即答する。絶倫への憧れが強い田中の心をガシッと掴むことに成功したらしい。
翌日、廊下で田中と白髪マダムがすれ違った。すれ違いざま田中が一枚のメモ用紙を白髪マダムに手渡した。誰にもバレぬようにお互い顔を合わせない。まるでスパイ映画のワンシーンのような光景だ。
部屋に戻り白髪マダムがメモ用紙を確認する……。
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白髪マダムはそのメモを見てニヤリと微笑む。すぐさま電話の受話器を手に取った。
「土用の丑の日に、間に合えば最高ね……」
白髪マダムの絶倫応援プロジェクトは始まったばかりだ。
まさかこんな事になっているとは華子は知る由もない。
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