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23.日曜日

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 華子は葵の部屋で目が覚めた。一瞬自分の部屋かどうか分からなくなった。

 隣で葵が気持ちよさそうに眠っている。
昨日は土曜日だったのだが、葵は急な仕事の呼び出しで戻ってきたのは深夜だった。相当根を詰めて作業を行ったようで疲れ果てていた。

「華子さん……」

 華子は鍵を預かり葵の部屋で待っていた。どうやらそれは正解だったようだ。

「さ、とりあえず顔を洗って寝支度を……」

 ゾンビのような動きをする葵を洗面台に連れて行くと葵は目をつぶったまま歯を磨き出す。途中で横に動かしていた手が止まり歯ブラシをくわえたまま前後にフラフラしている。

「あ、葵さん?危ないですよ……」

 なんとか寝支度が済んだ葵は華子の腕を取りベッドへと歩き出す。華子を座らせると儀式のように華子の首筋に顔を埋めて息を吐く……熱い吐息が肌に当たり華子の鼓動を早める。自然と瞬きの回数も増える。

 そのまま向かい合ったまま横になると葵は華子にキスをする。華子を胸に抱くとそのまま葵は夢に落ちていった。
 落ち着いた頃華子は抜け出そうと試みるが背中に回された腕の力は強く動けない。

 最近はそのまま何もせずに寝ることも多い。華子は体を捩り葵の首筋にキスをする。真っ白で綺麗な首筋に欲情する。
 ゴクリと息を飲むと華子は葵の鎖骨の上に小さくキスマークを残した。

 気付くかな……気付かないかな……

 ゆっくりと華子は眠りに落ちていった。二人は朝まで目が覚めなかった。

 先に目を覚ました華子がシャワーを浴びていると洗面台に葵が立っている気配がした。シャワーの蛇口を捻ってお湯を止める。

「葵さん?起きました?ちょっと待っててください──」

 ガラ

 突然風呂場に葵が入ってきた。思わず置いていたバスタオルで前を隠す。もう何度も見られているとは思うが風呂場で見られるのは訳が違う。

「ななな、なな!なんですか!?」

 慌てる華子と違い葵は呆然と華子の姿を捉えたまま動かない。

 葵は華子を抱きしめるとそのまま顔を傾け深いキスをする。服を着ている葵に対して華子は裸だ……いけないことをしているようで心臓が痛い。

「……ん──」

 突然感じる葵の味に全身の力が抜けそうになる。ひと通り丹念に舐め上げると葵が離れる。白いTシャツの襟ぐりを引っ張り鎖骨を華子に見せる。

「……犯人、ですね?」

「あ、あの……その──つい……」

 葵は華子の濡れた肩から腕までを優しく撫でる。体の前はバスタオルで隠されているがまるで葵には全て見られているようで恥ずかしくなる。

「朝起きて、こんなもの見つけたら……外は明るいのに……したくなるでしょう?華子さんにこんな事させるほど飢えさせてるのなら──」

 声が漏れないように、ここでしましょうか?

 葵の囁いた声に華子は真っ赤になる。
 そんなつもりはなかった、ただ出来心だったのだが、今の葵に言ってもムダだろう。狙いを定めた獣のような目をしている。こうしている間にも華子の背中に手を回し首からお尻までを撫で続けている。思わず背筋が反る。

「んあ……葵、さん……」

「華子、さん……」

 二人は風呂場で燃え上がった。日曜日の朝から溶け合った。葵は笑顔で華子を追い立てていく。妖艶な笑みをした葵に華子は翻弄されるばかりだった。

 日曜日の昼間には華子はベットの上でぐったりとしていた。精根尽きた……と言った方がいいのかもしれない。

「華子さん……すみません……ちょっと、やりすぎたかも……」

「ううん、最初に手を出したのは私だから……」

 葵の愛をいっぱいに受けて華子は嬉しかった。体が重くて眠たい。
 華子がベッドの空いているスペースをポンポンと叩くと葵がそこへ寝そべる。

「一緒に寝て?」

「華子さんを添い寝してあげます……」

 葵は華子を抱きしめた。華子が眠るまで頭を撫でて、ふわふわの髪にキスをした。

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