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116.フランスからこんにちは
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フランスから誠大の両親が帰国する当日……屋敷の中は戦争だった。いつもはゆったりとした空気が流れているが、メイドたちは朝からキビキビと己の任務を全うしている。メイドをほぼ引退していたはずの美智も駆り出されている。朝からバインダー片手に地下のワイン貯蔵と厨房の往復だ。雫はそんな空気に圧倒されっぱなしだ。雫は掃除以外の仕事は不得意だ。梅原が気を利かせてジャックの散歩に近くの公園に行くように言う。雫は何か手伝いたいと言いたかったが、実際足手まといになるためおずおずと引き下がった。
「染み抜きと清掃はできるけど……張り切って昨日までにやり切っちゃったしなぁ」
ジャックのリードを持ち近くの公園に散歩に向かった。ジャックは雫との散歩が楽しいようで尾をブンブン振りながら歩く。ジャックは天然の毛皮を着ているので寒くないようだが雫は安くて薄いダッフルコート一枚だ。マフラーを巻いてくるのを忘れてしまい風が吹くと雫は耐えかねて首を竦めた。
「寒いね……待ってジャック、暖取らせて──あったかぁい、最高ね」
ジャックは大人しくお座りすると雫の抱擁に嫌がる事もなくされるがままになっている。先ほどより尾が激しく振り回されている。
「モフモフしてないで散歩させてあげなさいな……可哀想でしょ?」
「え──あ、魔女さん!!」
ねっとりと嗜める声の主はやはり魔女だった。狐の毛皮らしきマフラーに真っ白なロングコートを羽織った魔女は以前よりも薄化粧になっているようだ。トレードマークの真っ赤な口紅ではなく淡いピンクだった。以前の魔女よりも洗練された気品が溢れていた。また公園で魔女に再会するなんて……やはり魔女は魔女だった。近くのベンチに座るとあの日初めて出会った日のことを思い出した。
「魔女さん! 会いたかったんです……お礼をずっと言いたかったのに……就職先紹介してくれたのにすみませんでした。本当にどう謝ったらいいか……」
「あら、良いのよ。気にしないで……出世払いにしておくわね、ふふ。ところで、そのメイド服似合っているじゃない。元の職場に戻ったんだって?」
「あ……そうなんです。その……あの、報われない恋が成就しまして……へへ」
雫は東郷家の屋敷にいる事を伝えた。魔女は少し驚いていたが嬉しそうだった。今日は誠大の両親が帰国するので食事会が開かれる事と、足手纏いなのでこうして犬の散歩をしている事を話すと魔女はクスクスと笑っていた。
「どうなの? ご両親との初対面でしょ? 緊張しているんじゃない?」
「そうですね……そうなんですけど……間違いなく良い方だと思います!」
雫の自信に魔女はつられて笑った。拳を振り上げて言うセリフではない。魔女は雫の表情がパッと華やいだのを見て思わず雫の頭を撫でた。魔女は時計を見ると残念そうに首を傾げた。
「タイムアップ……今から仕事に行かなきゃダメなのよ。その前にウサギちゃんに会えてよかったわ」
「魔女さん……本当にありがとうございました。また、荷物持ちが必要なときに連絡してください。私の携帯電話の番号──」
魔女は人差し指を雫の唇に当てた。
「ダーメ、東郷グループの次期奥様にそんな事させられないわ……一緒に買い物に行きましょうね」
魔女は微笑むと颯爽と歩き出した。魔女は通りすがりにジャックの頭を優しく撫でる。その後ろ姿は相変わらず格好良かった。雫は気合を入れるとジャックと共に公園内を駆け回った。寒さなんてどこかへと飛んでいってしまった。
◇
散歩から上機嫌で帰った雫を待っていたのは鬼の形相で玄関に仁王立ちする美智だった。怒られるような事をした覚えはなかったがそのオーラに雫はビビりまくり慌てて踵を返す。
「ゴラァ……逃げないの。こんな時間までどこで汗だくになっていたが私に分かるように説明して、雫……」
「ずみまぜん……」
美智に首を拘束されてあっという間に牡丹の間に連れて行かれた。そこにはいつか見たときのようにドレスや和装……メイクアップの道具がテーブルに並べられていた。デジャブというか……何というか、嫌な予感がした。梅原が部屋にやってくると冬にも関わらず汗だくの雫を見て額を押さえて天井を見上げた。「想定外だわ……」と腕時計を見て慌てて雫を浴室に押し込んだ。それから雫は肌をピカピカに磨かれ、髪をトリートメントされ、バスローブ姿で椅子に座らされた。その時点で疲労困憊だ。
「前回は自分も着飾っていたから、雫を飾れなくて残念だったのよね……嬉しいったらありゃしないねぇ……」
雫は牡丹の間で美智や梅原に囲まれていた。椅子に無理やり座らされた雫が二人の視線に息を飲む。梅原が巨大なパフを、道が柔らかそうなブラシを手に雫に詰め寄った。それから本格的に雫の自由はなくなった。
誠大が着飾るとまでは言わないまでも少しフォーマルなスーツに身を包み牡丹の間をノックした。もうすぐ両親が到着する時刻だった。ノックをしたが雫の返事はない。もう一度ノックしようとするとドアが軋みながら開いていく。誠大が訝しげに部屋の中を覗くと椅子に座った雫と目が合った。
雫は白地に赤の牡丹や金糸の鶴の刺繍が目を引く振袖を着ていた。部分的な絞り細工がより鶴に躍動感を出している。お団子頭はそのままですだれ梅のかんざしが飾られていた。誠大は驚きすぎて声を失った。綺麗なんてものじゃない……美しい人形のようだった。
「そ、そんなに……無言にならなくても……」
誠大の様子に雫が頬を膨らませてそっぽを向いた。その仕草すら愛おしい。誠大は雫のそばに寄ると一気に破顔した。
「本当に、素敵だ」
片膝を突き雫の顔を覗いた。まるで求婚するような仕草と、誠大の甘い笑顔に雫は恥ずかしくなる。二人の世界が出来上がっている中、壁際に立っていた美智や梅原……雫を着飾ったメイド達が揶揄うようにニタリと微笑んでいた。誠大は雫に夢中で何も見えなくなっていた。梅原が咳払いをするとそれを合図に皆部屋を出ていくがその口元は緩んでいた。誠大は何事もなかったかのように立ち上がり雫の手を取った。
「行くぞ……時間だ」
「はい」
「不安か?」
「いいえ」
雫が微笑みかけると誠大はしっかりと手を握った。二人がエントランスに向かうとちょうど屋敷の門扉が開かれる警告音が響いた。屋敷にいる全ての人間がエントランスに集まり花道を作るかのように真っ直ぐ並んだ。誠大と雫はその先頭に立ち出迎える準備をした。
群青色の高級車がゆっくりと玄関前で止まった。すると真っ黒で光沢のある執事服を来た初老の男性が降り立った。姿勢も良くダンディな男性だった。胸元からチェーンで結ばれた懐中時計を取り出し時刻を確認する。銀色に光る懐中時計が様になる。
「あ、もしかして……」
「郡司の父親だ。礼司さんだ」
雫はその佇まいや仕草が郡司そっくりだと思った。あと数十年後の郡司を見ている気持ちになった。礼司は流れるように後部座席に向かうとドアを開けた。中から車と同じ群青のスーツにベッコウのループタイをした色気ムンムンの男性が降り立った。さすがの雫も雑誌やテレビで見た事がある顔だった。しかし、本物はもっと凄かった……背格好は誠大そのものだが、眉間のシワや額のシワ、さらに整えられた顎髭が出来る男のオーラを醸し出す。圧倒的な存在、これが東郷グループの主……東郷秋生なのだと感じた。何も話していないのに、その姿だけで平伏してしまいそうになった。
秋生は地面に降り立つと感慨深そうに屋敷を見渡した。
「故郷は何も変わらないな、礼司……突然ホームシックになった気持ちだよ。胸が熱くなるな……」
「……時差ボケですか?」
二人の会話から二代に渡ってこの関係が続いている事を知り雫は思わず笑ってしまう。雫の存在に気がつくと秋生が優しく微笑みかけた。そして、隣に立つ誠大の姿に破顔した。
「悪いな。出迎えてくれたか」
「おかえり、父さん」
秋生が噛みしめるように頷くと、後部座席に座っているだろう誠大の母が不機嫌そうに声を掛けた。
「あなた、私の事をお忘れですか?」
「おっとっと……失礼した。さ、どうぞ──」
秋生が屈んでまだ車中に残る妻に手を差し伸べた。逆光で見えないが淡い黄色のワンピースの裾が見えた。雫は緊張が高まり手汗を拭う為隠れて手を振った。真っ白な足と栗色のヒールが後部座席から現れて地面に着くと、秋生の手を取り車から降り立った。
清楚で優しそうな女性が現れたが、突然雫と誠大を見て吹き出した。さらに声を出して楽しそうに微笑んだ。誠大は呆れたように母親である麗子を見た。久しぶりの再会だ。さらにいえば雫との初対面なのに笑ってばかりいる麗子の思考が全く読めなかった。麗子は我慢できず何度も吹き出して笑っている。
「母さん、失礼だぞ。すまない……雫?」
「……あが、あが──」
隣を見ると雫は口をあんぐりとさせたまま動けない……心配する誠大に上手く反応できない。
それもそのはずだ。だって、目の前に現れた人物のことをよく知っていたのだから。
「くく、最高ね! 予想を超えてきたわぁ……だから好きなのよ。ウサギちゃん、はじめまして」
「ま、ままま魔女さん……え、魔女さんが……誠大さまの、お母さんで……えぇ!?」
雫の顔色がみるみる真っ青になる。誠大はふらつく雫の体を支えると両親と礼司を見た。お気楽な両親は笑みを絶やさないが、誠大の追求の視線に耐えかねて礼司は視線を逸らした。
「染み抜きと清掃はできるけど……張り切って昨日までにやり切っちゃったしなぁ」
ジャックのリードを持ち近くの公園に散歩に向かった。ジャックは雫との散歩が楽しいようで尾をブンブン振りながら歩く。ジャックは天然の毛皮を着ているので寒くないようだが雫は安くて薄いダッフルコート一枚だ。マフラーを巻いてくるのを忘れてしまい風が吹くと雫は耐えかねて首を竦めた。
「寒いね……待ってジャック、暖取らせて──あったかぁい、最高ね」
ジャックは大人しくお座りすると雫の抱擁に嫌がる事もなくされるがままになっている。先ほどより尾が激しく振り回されている。
「モフモフしてないで散歩させてあげなさいな……可哀想でしょ?」
「え──あ、魔女さん!!」
ねっとりと嗜める声の主はやはり魔女だった。狐の毛皮らしきマフラーに真っ白なロングコートを羽織った魔女は以前よりも薄化粧になっているようだ。トレードマークの真っ赤な口紅ではなく淡いピンクだった。以前の魔女よりも洗練された気品が溢れていた。また公園で魔女に再会するなんて……やはり魔女は魔女だった。近くのベンチに座るとあの日初めて出会った日のことを思い出した。
「魔女さん! 会いたかったんです……お礼をずっと言いたかったのに……就職先紹介してくれたのにすみませんでした。本当にどう謝ったらいいか……」
「あら、良いのよ。気にしないで……出世払いにしておくわね、ふふ。ところで、そのメイド服似合っているじゃない。元の職場に戻ったんだって?」
「あ……そうなんです。その……あの、報われない恋が成就しまして……へへ」
雫は東郷家の屋敷にいる事を伝えた。魔女は少し驚いていたが嬉しそうだった。今日は誠大の両親が帰国するので食事会が開かれる事と、足手纏いなのでこうして犬の散歩をしている事を話すと魔女はクスクスと笑っていた。
「どうなの? ご両親との初対面でしょ? 緊張しているんじゃない?」
「そうですね……そうなんですけど……間違いなく良い方だと思います!」
雫の自信に魔女はつられて笑った。拳を振り上げて言うセリフではない。魔女は雫の表情がパッと華やいだのを見て思わず雫の頭を撫でた。魔女は時計を見ると残念そうに首を傾げた。
「タイムアップ……今から仕事に行かなきゃダメなのよ。その前にウサギちゃんに会えてよかったわ」
「魔女さん……本当にありがとうございました。また、荷物持ちが必要なときに連絡してください。私の携帯電話の番号──」
魔女は人差し指を雫の唇に当てた。
「ダーメ、東郷グループの次期奥様にそんな事させられないわ……一緒に買い物に行きましょうね」
魔女は微笑むと颯爽と歩き出した。魔女は通りすがりにジャックの頭を優しく撫でる。その後ろ姿は相変わらず格好良かった。雫は気合を入れるとジャックと共に公園内を駆け回った。寒さなんてどこかへと飛んでいってしまった。
◇
散歩から上機嫌で帰った雫を待っていたのは鬼の形相で玄関に仁王立ちする美智だった。怒られるような事をした覚えはなかったがそのオーラに雫はビビりまくり慌てて踵を返す。
「ゴラァ……逃げないの。こんな時間までどこで汗だくになっていたが私に分かるように説明して、雫……」
「ずみまぜん……」
美智に首を拘束されてあっという間に牡丹の間に連れて行かれた。そこにはいつか見たときのようにドレスや和装……メイクアップの道具がテーブルに並べられていた。デジャブというか……何というか、嫌な予感がした。梅原が部屋にやってくると冬にも関わらず汗だくの雫を見て額を押さえて天井を見上げた。「想定外だわ……」と腕時計を見て慌てて雫を浴室に押し込んだ。それから雫は肌をピカピカに磨かれ、髪をトリートメントされ、バスローブ姿で椅子に座らされた。その時点で疲労困憊だ。
「前回は自分も着飾っていたから、雫を飾れなくて残念だったのよね……嬉しいったらありゃしないねぇ……」
雫は牡丹の間で美智や梅原に囲まれていた。椅子に無理やり座らされた雫が二人の視線に息を飲む。梅原が巨大なパフを、道が柔らかそうなブラシを手に雫に詰め寄った。それから本格的に雫の自由はなくなった。
誠大が着飾るとまでは言わないまでも少しフォーマルなスーツに身を包み牡丹の間をノックした。もうすぐ両親が到着する時刻だった。ノックをしたが雫の返事はない。もう一度ノックしようとするとドアが軋みながら開いていく。誠大が訝しげに部屋の中を覗くと椅子に座った雫と目が合った。
雫は白地に赤の牡丹や金糸の鶴の刺繍が目を引く振袖を着ていた。部分的な絞り細工がより鶴に躍動感を出している。お団子頭はそのままですだれ梅のかんざしが飾られていた。誠大は驚きすぎて声を失った。綺麗なんてものじゃない……美しい人形のようだった。
「そ、そんなに……無言にならなくても……」
誠大の様子に雫が頬を膨らませてそっぽを向いた。その仕草すら愛おしい。誠大は雫のそばに寄ると一気に破顔した。
「本当に、素敵だ」
片膝を突き雫の顔を覗いた。まるで求婚するような仕草と、誠大の甘い笑顔に雫は恥ずかしくなる。二人の世界が出来上がっている中、壁際に立っていた美智や梅原……雫を着飾ったメイド達が揶揄うようにニタリと微笑んでいた。誠大は雫に夢中で何も見えなくなっていた。梅原が咳払いをするとそれを合図に皆部屋を出ていくがその口元は緩んでいた。誠大は何事もなかったかのように立ち上がり雫の手を取った。
「行くぞ……時間だ」
「はい」
「不安か?」
「いいえ」
雫が微笑みかけると誠大はしっかりと手を握った。二人がエントランスに向かうとちょうど屋敷の門扉が開かれる警告音が響いた。屋敷にいる全ての人間がエントランスに集まり花道を作るかのように真っ直ぐ並んだ。誠大と雫はその先頭に立ち出迎える準備をした。
群青色の高級車がゆっくりと玄関前で止まった。すると真っ黒で光沢のある執事服を来た初老の男性が降り立った。姿勢も良くダンディな男性だった。胸元からチェーンで結ばれた懐中時計を取り出し時刻を確認する。銀色に光る懐中時計が様になる。
「あ、もしかして……」
「郡司の父親だ。礼司さんだ」
雫はその佇まいや仕草が郡司そっくりだと思った。あと数十年後の郡司を見ている気持ちになった。礼司は流れるように後部座席に向かうとドアを開けた。中から車と同じ群青のスーツにベッコウのループタイをした色気ムンムンの男性が降り立った。さすがの雫も雑誌やテレビで見た事がある顔だった。しかし、本物はもっと凄かった……背格好は誠大そのものだが、眉間のシワや額のシワ、さらに整えられた顎髭が出来る男のオーラを醸し出す。圧倒的な存在、これが東郷グループの主……東郷秋生なのだと感じた。何も話していないのに、その姿だけで平伏してしまいそうになった。
秋生は地面に降り立つと感慨深そうに屋敷を見渡した。
「故郷は何も変わらないな、礼司……突然ホームシックになった気持ちだよ。胸が熱くなるな……」
「……時差ボケですか?」
二人の会話から二代に渡ってこの関係が続いている事を知り雫は思わず笑ってしまう。雫の存在に気がつくと秋生が優しく微笑みかけた。そして、隣に立つ誠大の姿に破顔した。
「悪いな。出迎えてくれたか」
「おかえり、父さん」
秋生が噛みしめるように頷くと、後部座席に座っているだろう誠大の母が不機嫌そうに声を掛けた。
「あなた、私の事をお忘れですか?」
「おっとっと……失礼した。さ、どうぞ──」
秋生が屈んでまだ車中に残る妻に手を差し伸べた。逆光で見えないが淡い黄色のワンピースの裾が見えた。雫は緊張が高まり手汗を拭う為隠れて手を振った。真っ白な足と栗色のヒールが後部座席から現れて地面に着くと、秋生の手を取り車から降り立った。
清楚で優しそうな女性が現れたが、突然雫と誠大を見て吹き出した。さらに声を出して楽しそうに微笑んだ。誠大は呆れたように母親である麗子を見た。久しぶりの再会だ。さらにいえば雫との初対面なのに笑ってばかりいる麗子の思考が全く読めなかった。麗子は我慢できず何度も吹き出して笑っている。
「母さん、失礼だぞ。すまない……雫?」
「……あが、あが──」
隣を見ると雫は口をあんぐりとさせたまま動けない……心配する誠大に上手く反応できない。
それもそのはずだ。だって、目の前に現れた人物のことをよく知っていたのだから。
「くく、最高ね! 予想を超えてきたわぁ……だから好きなのよ。ウサギちゃん、はじめまして」
「ま、ままま魔女さん……え、魔女さんが……誠大さまの、お母さんで……えぇ!?」
雫の顔色がみるみる真っ青になる。誠大はふらつく雫の体を支えると両親と礼司を見た。お気楽な両親は笑みを絶やさないが、誠大の追求の視線に耐えかねて礼司は視線を逸らした。
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