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2.人生最悪の日
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「悪いね春日さん、休みだったのに出てもらって……」
「大丈夫です。暇でしたから」
同僚の女性が急遽用事で仕事を休みたいと連絡があった。ちょうど休みだった雫は二つ返事で派遣先のビルに向かいいつものように清掃の仕事をこなした。この会社はほぼ毎日入るお得意先だった。雫も二日に一回は掃除に来ていた。大理石のような床を入念に磨け上げるのが楽しかった。床に残る汚れを落としきったときは最高の気分だ。
「お疲れ様です」
「お疲れ様、社長に代わりに春日さんが仕事に出てくれた事伝えとくね」
まぁ、伝えなくても、分かってるんだけどな。ま、言えないけど。
雫は同僚の言葉に優しく微笑んだ。思ったよりも早く仕事を終え、外に出ると大きく背伸びをする。屋内の仕事なので外の空気が新鮮に感じる。例えそのそばをトラックが通ろうとも空気が美味しい。
すっかり辺りは暗くなっていた。夕日が沈むのもいつのまにか早くなった。暗くなるのが早くなるとその分早く帰らなければという思いが強くなる。縄文時代から続く狩猟民族の本能だろう。雫は買い出しのため最寄りのスーパーに寄る。自動ドアの前で随分と重そうな買い物袋を持つお婆さんとすれ違い、雫は思わず寄り添い声を掛ける。
「大丈夫ですか? 持てますか?」
「家はすぐそこなの、大丈夫よ、ありがとうね」
お婆さんが頰を赤らめ深くお辞儀をした。それを確認すると雫は別れを告げた。店内を回り必要なものを購入し家路を急いだ。
淳が私の帰りを待っていてくれているだろう──。
実は先程同僚の言っていた社長は淳の事だ。雫は勤め先の社長、淳と交際していた。
淳は清掃業を営む先代から跡を継いだ若き社長だ。同僚として出会い自然と付き合うようになったが、つい半年ほど前に淳は跡を継いだ。恋人同士だということは隠していたので職場の誰も私たちの関係は知らない。
淳とは付き合って二年だ。一緒に住み始めてもうすぐ一年……このまま結婚するかもしれない……そうなるといいな。
思わず一人でにやけてしまう。気分が良くなり雫は走り出した。
「わ!」
「……あっ」
曲がり角で誰かとぶ激しくつかった。その勢いで跳ね返るように転倒する。雫が尻餅をつくと目の前の男が電信柱に掴まり痛そうに頬を押さえた。もしかしたら自分のせいで電信柱にぶつかったのかもしれない。雫は慌てて駆け寄る。
「すみません、だ、大丈夫ですか? ケガを……」
「大丈夫です、少しぶつけただけですから……」
若い会社員らしき男は片目を瞑り痛みを堪えている。雫は慌てて買い物袋の中にあったカップアイスを取り出して男の頬に当てた。雫の真剣な表情に男は抵抗の言葉が出てこなかったようでおとなしくされるがままになっていた。
そのまましばらく冷やし続けた。暗闇で良く見えなかったが頬の腫れが引いてきたのかもしれない……男の目が開くようになっている。
「大丈夫ですか? すみませんでした。あ、良かったらこのアイス食べてください。ちょっと渋好みですけど」
「あ、いや……すみません、ありがとうございます」
余っていた小さめのビニール袋にアイスを入れて手渡す。アイスには抹茶金時と書かれていた。雫は囃子をかけて買い物袋を手に取ると男にもう一度頭を下げた。
「じゃ、本当にすみませんでした。さようなら……」
雫が電灯の灯りの下をふらふらした足取りで歩いていく。一人残された男はアイスが入っている袋を見ると所々に血痕がついていることに気付いた。男は自分の頬に手を当ててみるが出血の形跡はなかった。雫が去った方角を見つめて大きく溜息をついた。
◇
雫がアパートにつくと部屋に灯りが点いていた。階段を跳ねるように駆け上がると鍵穴に鍵を押し込んだ。
「ただいまー、淳……」
部屋のドアを開けるとなぜか若い男女が抱き合い弄り合っていた。淳と髪の長い女が今からまさにお楽しみのところだった。女の細い腕が淳の首の後ろに回されていた。
「んもう……がっつかないで」
甘ったるい女の声が聞こえた。赤いネイルが施された爪が捕食するクモのように見えた。雫の存在に気がつくと淳は一瞬顔が強張った。相手の女はほくそ笑み唇の縁からはみ出たルージュを指でなぞった。
「……え? 何で……」
「雫……」
そこからは早かった。まさに人生最悪の日だ。淳は開き直り、雫を見下すような態度に豹変した。
「お前とは終わりだから出て行け。ここは俺の家だから、荷物をまとめて出ろ」
恐ろしいほどの手のひら返しだった。こんな極悪非道な男だとは思わなかった。半年前に社長に就任してから少し淳は変わった。付き合いと称して夜も遅くなったし、責任感もあるのかストレスでイライラするようにもなっていた。それでも雫は慣れるまでは仕方がない事だと目を瞑っていた。少しでも手助けできればと真面目に仕事にも取り組んだ。それなのに……こんな仕打ちは酷すぎだ。
涙も出ない……ただ、自分の大切なものを必死でスーツケースにかき集めた。女は邪魔にならないようにトイレのドアにもたれかかったまま笑いを堪えている。短い丈のワンピースの裾から細い太腿が見えた……本当にお似合いの二人だ。
「じゃあな。あ、仕事も明日から来なくていいから」
雫が玄関から一歩外に出ると淳はドアを閉めた……振り返った時には既に扉は閉まり掛けていて淳の姿は見えなかった。雫は背中越しに愛していた人と最後の別れをした。
ガチャン
悲しいぐらい施錠の音が暗闇に響いた。その瞬間部屋の中から女の笑い声が聞こえた気がした。さっき買ったばかりの大特価のかぼちゃも、美味しそうな里芋も部屋の中だ。虚しくなって心が冷たくなる。
なんで、こんな目に合うんだろう。災難って重なるのかな……。好きな人も、住む家も、仕事も失った。
雫はしばらく部屋のドアの前に立っていたがゆっくりと重いスーツケースを引きずり歩き出した。暗い道を歩いていると歩道と道路の境界の柵のそばに誰かが立っている。雫の存在に気付くとゆっくりと近づいて来た。
「大丈夫、ですか?」
「え──?」
よく見るとさっき曲がり角でぶつかった男だった。頰はもう随分と良いみたいだ。さっきは気が付かなかったが眼鏡を掛けている。雫は呆然と眼鏡が割れなくて良かったと思っていた。
「怪我を、されているでしょう?」
雫はその言葉に自分の手足を確認する。よく見ると左の掌から血が出ていた。男はすっと雫の前に何かを差し出した。それは一枚の絆創膏だった。
「これで、足りそうですか? 他に、痛む箇所はありますか?」
男の顔を見て雫はようやく涙が溢れてきた。本当は体より何より心に絆創膏が必要だった。差し出された絆創膏に我慢していた感情の封が開けられた。
泣く暇も与えられないほどあっという間の出来事だった。大好きな仕事も、住む家も、彼氏も、夢に見た幸せな未来も消えた。さっき会った、たまたまぶつかっただけの人なのにどうしてこんなにも気が緩んでしまうのだろう。
「行くところは、ありますか?」
「…………」
雫の後ろにある大きなスーツケースを見た男は優しく声を掛けた。雫は黙って首を横に振る。
男は頷くと雫のスーツケースを握った。ずり落ちた眼鏡を上げると指を鳴らす。その音が合図だったように暗闇からスーツを着た別の男が現れるとスーツを受け取る。薄暗い道路が突然明るくなった。ヘッドライトを付けた車がゆっくりと動き出し雫の方へと近づいて来る。その車の全貌が見えて雫はあんぐりと口を開ける。俗に言うリムジンだ。艶のある黒色で海外の要人が乗るような畏まったやつだ。思わず雫の涙も引っ込んだ。
「え? ええ?」
「さ、参りましょう──」
男は雫の腰の後ろに手を添えて淀みのない完璧なエスコートでリムジンに乗せた。
「ちょちょ、ちょっと待って!」
男は優しく微笑みドアが閉めた。そのまま車の前方へ移動するとリムジンの助手席に乗り込んだ。てっきり隣に乗るものだと思っていたのに拍子抜けだ。一人で座るには広すぎる。車とも思えない広さだ。高級革張りソファーのような硬さと光沢がある。一生に一度有るか無いかの経験だ。喜びたいところだがこの状況はまずいのでは……。
雫がこの状況に戸惑っているのを見て男は面白そうに笑った。
「申し訳ございません。私はそちらに同乗出来かねます……雫さまは大事なお客様ですから」
「雫……さま?」
なぜ私の名前を知っているのだろうか、初対面だったはずなのに……。
人生で初めてこの敬称で呼ばれ思わず怯む。声を掛けようにも運転席との境目の仕切りが閉められそれ以上会話はできなかった。
「え、ええ? ちょっと待って! どこに行くの!?」
雫の質問に誰も答えてくれない。
人生最悪の日のはずが何故か高級リムジンに乗る羽目になってしまった。
「大丈夫です。暇でしたから」
同僚の女性が急遽用事で仕事を休みたいと連絡があった。ちょうど休みだった雫は二つ返事で派遣先のビルに向かいいつものように清掃の仕事をこなした。この会社はほぼ毎日入るお得意先だった。雫も二日に一回は掃除に来ていた。大理石のような床を入念に磨け上げるのが楽しかった。床に残る汚れを落としきったときは最高の気分だ。
「お疲れ様です」
「お疲れ様、社長に代わりに春日さんが仕事に出てくれた事伝えとくね」
まぁ、伝えなくても、分かってるんだけどな。ま、言えないけど。
雫は同僚の言葉に優しく微笑んだ。思ったよりも早く仕事を終え、外に出ると大きく背伸びをする。屋内の仕事なので外の空気が新鮮に感じる。例えそのそばをトラックが通ろうとも空気が美味しい。
すっかり辺りは暗くなっていた。夕日が沈むのもいつのまにか早くなった。暗くなるのが早くなるとその分早く帰らなければという思いが強くなる。縄文時代から続く狩猟民族の本能だろう。雫は買い出しのため最寄りのスーパーに寄る。自動ドアの前で随分と重そうな買い物袋を持つお婆さんとすれ違い、雫は思わず寄り添い声を掛ける。
「大丈夫ですか? 持てますか?」
「家はすぐそこなの、大丈夫よ、ありがとうね」
お婆さんが頰を赤らめ深くお辞儀をした。それを確認すると雫は別れを告げた。店内を回り必要なものを購入し家路を急いだ。
淳が私の帰りを待っていてくれているだろう──。
実は先程同僚の言っていた社長は淳の事だ。雫は勤め先の社長、淳と交際していた。
淳は清掃業を営む先代から跡を継いだ若き社長だ。同僚として出会い自然と付き合うようになったが、つい半年ほど前に淳は跡を継いだ。恋人同士だということは隠していたので職場の誰も私たちの関係は知らない。
淳とは付き合って二年だ。一緒に住み始めてもうすぐ一年……このまま結婚するかもしれない……そうなるといいな。
思わず一人でにやけてしまう。気分が良くなり雫は走り出した。
「わ!」
「……あっ」
曲がり角で誰かとぶ激しくつかった。その勢いで跳ね返るように転倒する。雫が尻餅をつくと目の前の男が電信柱に掴まり痛そうに頬を押さえた。もしかしたら自分のせいで電信柱にぶつかったのかもしれない。雫は慌てて駆け寄る。
「すみません、だ、大丈夫ですか? ケガを……」
「大丈夫です、少しぶつけただけですから……」
若い会社員らしき男は片目を瞑り痛みを堪えている。雫は慌てて買い物袋の中にあったカップアイスを取り出して男の頬に当てた。雫の真剣な表情に男は抵抗の言葉が出てこなかったようでおとなしくされるがままになっていた。
そのまましばらく冷やし続けた。暗闇で良く見えなかったが頬の腫れが引いてきたのかもしれない……男の目が開くようになっている。
「大丈夫ですか? すみませんでした。あ、良かったらこのアイス食べてください。ちょっと渋好みですけど」
「あ、いや……すみません、ありがとうございます」
余っていた小さめのビニール袋にアイスを入れて手渡す。アイスには抹茶金時と書かれていた。雫は囃子をかけて買い物袋を手に取ると男にもう一度頭を下げた。
「じゃ、本当にすみませんでした。さようなら……」
雫が電灯の灯りの下をふらふらした足取りで歩いていく。一人残された男はアイスが入っている袋を見ると所々に血痕がついていることに気付いた。男は自分の頬に手を当ててみるが出血の形跡はなかった。雫が去った方角を見つめて大きく溜息をついた。
◇
雫がアパートにつくと部屋に灯りが点いていた。階段を跳ねるように駆け上がると鍵穴に鍵を押し込んだ。
「ただいまー、淳……」
部屋のドアを開けるとなぜか若い男女が抱き合い弄り合っていた。淳と髪の長い女が今からまさにお楽しみのところだった。女の細い腕が淳の首の後ろに回されていた。
「んもう……がっつかないで」
甘ったるい女の声が聞こえた。赤いネイルが施された爪が捕食するクモのように見えた。雫の存在に気がつくと淳は一瞬顔が強張った。相手の女はほくそ笑み唇の縁からはみ出たルージュを指でなぞった。
「……え? 何で……」
「雫……」
そこからは早かった。まさに人生最悪の日だ。淳は開き直り、雫を見下すような態度に豹変した。
「お前とは終わりだから出て行け。ここは俺の家だから、荷物をまとめて出ろ」
恐ろしいほどの手のひら返しだった。こんな極悪非道な男だとは思わなかった。半年前に社長に就任してから少し淳は変わった。付き合いと称して夜も遅くなったし、責任感もあるのかストレスでイライラするようにもなっていた。それでも雫は慣れるまでは仕方がない事だと目を瞑っていた。少しでも手助けできればと真面目に仕事にも取り組んだ。それなのに……こんな仕打ちは酷すぎだ。
涙も出ない……ただ、自分の大切なものを必死でスーツケースにかき集めた。女は邪魔にならないようにトイレのドアにもたれかかったまま笑いを堪えている。短い丈のワンピースの裾から細い太腿が見えた……本当にお似合いの二人だ。
「じゃあな。あ、仕事も明日から来なくていいから」
雫が玄関から一歩外に出ると淳はドアを閉めた……振り返った時には既に扉は閉まり掛けていて淳の姿は見えなかった。雫は背中越しに愛していた人と最後の別れをした。
ガチャン
悲しいぐらい施錠の音が暗闇に響いた。その瞬間部屋の中から女の笑い声が聞こえた気がした。さっき買ったばかりの大特価のかぼちゃも、美味しそうな里芋も部屋の中だ。虚しくなって心が冷たくなる。
なんで、こんな目に合うんだろう。災難って重なるのかな……。好きな人も、住む家も、仕事も失った。
雫はしばらく部屋のドアの前に立っていたがゆっくりと重いスーツケースを引きずり歩き出した。暗い道を歩いていると歩道と道路の境界の柵のそばに誰かが立っている。雫の存在に気付くとゆっくりと近づいて来た。
「大丈夫、ですか?」
「え──?」
よく見るとさっき曲がり角でぶつかった男だった。頰はもう随分と良いみたいだ。さっきは気が付かなかったが眼鏡を掛けている。雫は呆然と眼鏡が割れなくて良かったと思っていた。
「怪我を、されているでしょう?」
雫はその言葉に自分の手足を確認する。よく見ると左の掌から血が出ていた。男はすっと雫の前に何かを差し出した。それは一枚の絆創膏だった。
「これで、足りそうですか? 他に、痛む箇所はありますか?」
男の顔を見て雫はようやく涙が溢れてきた。本当は体より何より心に絆創膏が必要だった。差し出された絆創膏に我慢していた感情の封が開けられた。
泣く暇も与えられないほどあっという間の出来事だった。大好きな仕事も、住む家も、彼氏も、夢に見た幸せな未来も消えた。さっき会った、たまたまぶつかっただけの人なのにどうしてこんなにも気が緩んでしまうのだろう。
「行くところは、ありますか?」
「…………」
雫の後ろにある大きなスーツケースを見た男は優しく声を掛けた。雫は黙って首を横に振る。
男は頷くと雫のスーツケースを握った。ずり落ちた眼鏡を上げると指を鳴らす。その音が合図だったように暗闇からスーツを着た別の男が現れるとスーツを受け取る。薄暗い道路が突然明るくなった。ヘッドライトを付けた車がゆっくりと動き出し雫の方へと近づいて来る。その車の全貌が見えて雫はあんぐりと口を開ける。俗に言うリムジンだ。艶のある黒色で海外の要人が乗るような畏まったやつだ。思わず雫の涙も引っ込んだ。
「え? ええ?」
「さ、参りましょう──」
男は雫の腰の後ろに手を添えて淀みのない完璧なエスコートでリムジンに乗せた。
「ちょちょ、ちょっと待って!」
男は優しく微笑みドアが閉めた。そのまま車の前方へ移動するとリムジンの助手席に乗り込んだ。てっきり隣に乗るものだと思っていたのに拍子抜けだ。一人で座るには広すぎる。車とも思えない広さだ。高級革張りソファーのような硬さと光沢がある。一生に一度有るか無いかの経験だ。喜びたいところだがこの状況はまずいのでは……。
雫がこの状況に戸惑っているのを見て男は面白そうに笑った。
「申し訳ございません。私はそちらに同乗出来かねます……雫さまは大事なお客様ですから」
「雫……さま?」
なぜ私の名前を知っているのだろうか、初対面だったはずなのに……。
人生で初めてこの敬称で呼ばれ思わず怯む。声を掛けようにも運転席との境目の仕切りが閉められそれ以上会話はできなかった。
「え、ええ? ちょっと待って! どこに行くの!?」
雫の質問に誰も答えてくれない。
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