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プチ番外編
おれの可愛いたぬき ※
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いつものように俊と琴音はグラス片手に微笑んでいた。
目の前の琴音は演歌歌手並みに「くぅシビれるぅ」と拳を握りしめている。
「喉越しも悪くないな」
俺は箸を持ち琴音に南蛮漬けを取り分けてやる。琴音は犬のようにじっとその様子を見つめ、手元に皿が置かれるとふにゃりと笑った。
「俊くん、ありがとー」
まだ二杯目だが既に琴音はほろ酔いだ。最近イタズラを警戒して飲まなかったからだろうか。
あれから、琴音は酒を少し控えた。
いつだったかイタリア産の白ワインを同僚にもらった時に琴音はあまりの旨さにペース配分を間違った。泥酔したあと、まぁ、その、まぁ……抱き潰したわけだが……額に肉を書かれただけでなく頬には魚の絵を描いておいた。本人からしたら敗北感がすごかったのかあれから本当に少ししか飲まない日が続いた。
今日はそんな琴音を陥落すべく切り札を投下した。琴音の好きな新潟の地酒を用意した。以前、小さな瓶を試しで買ってみたのだがそれが美味しかったらしく瓶を逆さにして最後の一滴まで飲み干そうとしていた。
案の定というかなんというか、メールを送ると琴音は食らいついた。もうそれは凄まじく。
いく! 今日!
目の前の琴音は「眠い……」と言い出した。俺はもう琴音に泊まっていけばなんて言わない。当たり前のように琴音は洗面台に向かった。
ドサッ
ベッドに横たわる琴音は気持ちが良さそうだ。髪の毛のゴムが頭に当たって痛そうだ。そのゴムを外すとまだ髪は乾ききっていないようだ。しっとりとしている。
そのままお腹の上にタオルケットをかけてやると俊はテーブルの上を片付け始めた。
俺はベッドへ横になると琴音の背中に抱きつく。
「琴音……もう寝た?」
いつものように尋ねて、返事がないのを確認する。首筋に唇を当て舌でうなじを擦る。相変わらず反応がない。
そのまま琴音を仰向けにするとゆっくり口付ける。起きているのか、寝ているのか分からない。琴音のたぬき寝入りはもう名人芸だ。
これは……勝負だな──。
俺は琴音の首筋にキスを落とし着ていた服の上から琴音の脇腹をなぞる。
「…………」
何となく力が入った気がするがどうだろうか起きているのか? 俺は耳元で囁く。
「起きてるんだろ……? 琴音」
「…………」
仕方がない。じゃあ勝手にさせてもらう。
俊は上の服を捲り上げて琴音の胸の周りを指でなぞる。一瞬背中が反応した気がした。
そのままわざと音を立てるように舐めると琴音の身体がピクンと跳ねた。ごまかそうと琴音が壁側を向いて横になったのを見計らって背中にぴったりと体を寄せる。
琴音の服の裾から手を入れるとそのまま横向きで琴音の胸を揉みしだく。ぐにゃりと形を変えてやると一瞬琴音の肩が上がった。うなじにキスを落とし耳元で囁く。
「──降参か?」
触れた耳は既に熱い。酒のせいではないだろう、きっと羞恥でこうなっているはずだ。琴音の瞳が見たい……。蕩けて俺を欲しているはずだ。たぬき寝入りの時には見れなかった瞳を最近は欲するようになった。
俺は一気にたたみ掛けることにした。
俊は琴音のTシャツをめくり上げると一気に脱がす。
「……ッ!」
脱がし切るあたりで手首に纏められたTシャツの上からさっき琴音の髪から抜いたゴムを八の字につける。
まるで拘束されているみたいだ。
そのままコロンと仰向けにさせると真っ赤なに染まった顔をしている琴音と目が合った。その瞳はやはり濡れていてそれだけで自身が昂ぶる。その琴音に俺はゆっくり跨り上から見下ろす。
「おはよう、琴音──」
とぼけたふりして俺は声をかける。俺のイタズラに反応して身体が熱くなっている琴音に気づかないふりをして──。
「ず、ずるい──こんなの、お、起きちゃう……」
決して起きていたとは言わない。
琴音はされたことをしっかり覚えていて後で仕返す悪いたぬきだ。おれはそれをちゃんと覚えている。
「不公平?」
「…………」
「じゃあこれでどう?」
俺は琴音に跨ったまま着ていた上の服を脱ぎベッドの外へ投げ捨てる。
琴音の喉が鳴ったのがわかる。月明かりに照らされた俺の首や鎖骨、胸や腕、腹筋……そしてスウェットに覆われた下腹部に目をやるのを俺は黙って見ていた。
琴音の眼が欲望に包まれるこの瞬間はたまらなく嬉しい。
琴音の体を引き起こし、あぐらをかいた俺の太腿に琴音を座らせる。
琴音が息を飲んだ。俺の下腹部の昂りを肌で感じたはずだ。そのまま繋がれた両腕の中に俺の頭を通させると琴音にキスをする。カーテン越しにぼんやりとした月明かりに照らされた琴音は薄目でぼんやりと俺の口元を見つめている。
──どうやら、ここらで形勢逆転だろう。琴音が限界らしい。
「続きは──?」
「仕返し……させて──」
「ふーん、上等……」
そこからは俺たちの秘密だ。俺たち以外みんなたぬき寝入りしていてくれ──。
目の前の琴音は演歌歌手並みに「くぅシビれるぅ」と拳を握りしめている。
「喉越しも悪くないな」
俺は箸を持ち琴音に南蛮漬けを取り分けてやる。琴音は犬のようにじっとその様子を見つめ、手元に皿が置かれるとふにゃりと笑った。
「俊くん、ありがとー」
まだ二杯目だが既に琴音はほろ酔いだ。最近イタズラを警戒して飲まなかったからだろうか。
あれから、琴音は酒を少し控えた。
いつだったかイタリア産の白ワインを同僚にもらった時に琴音はあまりの旨さにペース配分を間違った。泥酔したあと、まぁ、その、まぁ……抱き潰したわけだが……額に肉を書かれただけでなく頬には魚の絵を描いておいた。本人からしたら敗北感がすごかったのかあれから本当に少ししか飲まない日が続いた。
今日はそんな琴音を陥落すべく切り札を投下した。琴音の好きな新潟の地酒を用意した。以前、小さな瓶を試しで買ってみたのだがそれが美味しかったらしく瓶を逆さにして最後の一滴まで飲み干そうとしていた。
案の定というかなんというか、メールを送ると琴音は食らいついた。もうそれは凄まじく。
いく! 今日!
目の前の琴音は「眠い……」と言い出した。俺はもう琴音に泊まっていけばなんて言わない。当たり前のように琴音は洗面台に向かった。
ドサッ
ベッドに横たわる琴音は気持ちが良さそうだ。髪の毛のゴムが頭に当たって痛そうだ。そのゴムを外すとまだ髪は乾ききっていないようだ。しっとりとしている。
そのままお腹の上にタオルケットをかけてやると俊はテーブルの上を片付け始めた。
俺はベッドへ横になると琴音の背中に抱きつく。
「琴音……もう寝た?」
いつものように尋ねて、返事がないのを確認する。首筋に唇を当て舌でうなじを擦る。相変わらず反応がない。
そのまま琴音を仰向けにするとゆっくり口付ける。起きているのか、寝ているのか分からない。琴音のたぬき寝入りはもう名人芸だ。
これは……勝負だな──。
俺は琴音の首筋にキスを落とし着ていた服の上から琴音の脇腹をなぞる。
「…………」
何となく力が入った気がするがどうだろうか起きているのか? 俺は耳元で囁く。
「起きてるんだろ……? 琴音」
「…………」
仕方がない。じゃあ勝手にさせてもらう。
俊は上の服を捲り上げて琴音の胸の周りを指でなぞる。一瞬背中が反応した気がした。
そのままわざと音を立てるように舐めると琴音の身体がピクンと跳ねた。ごまかそうと琴音が壁側を向いて横になったのを見計らって背中にぴったりと体を寄せる。
琴音の服の裾から手を入れるとそのまま横向きで琴音の胸を揉みしだく。ぐにゃりと形を変えてやると一瞬琴音の肩が上がった。うなじにキスを落とし耳元で囁く。
「──降参か?」
触れた耳は既に熱い。酒のせいではないだろう、きっと羞恥でこうなっているはずだ。琴音の瞳が見たい……。蕩けて俺を欲しているはずだ。たぬき寝入りの時には見れなかった瞳を最近は欲するようになった。
俺は一気にたたみ掛けることにした。
俊は琴音のTシャツをめくり上げると一気に脱がす。
「……ッ!」
脱がし切るあたりで手首に纏められたTシャツの上からさっき琴音の髪から抜いたゴムを八の字につける。
まるで拘束されているみたいだ。
そのままコロンと仰向けにさせると真っ赤なに染まった顔をしている琴音と目が合った。その瞳はやはり濡れていてそれだけで自身が昂ぶる。その琴音に俺はゆっくり跨り上から見下ろす。
「おはよう、琴音──」
とぼけたふりして俺は声をかける。俺のイタズラに反応して身体が熱くなっている琴音に気づかないふりをして──。
「ず、ずるい──こんなの、お、起きちゃう……」
決して起きていたとは言わない。
琴音はされたことをしっかり覚えていて後で仕返す悪いたぬきだ。おれはそれをちゃんと覚えている。
「不公平?」
「…………」
「じゃあこれでどう?」
俺は琴音に跨ったまま着ていた上の服を脱ぎベッドの外へ投げ捨てる。
琴音の喉が鳴ったのがわかる。月明かりに照らされた俺の首や鎖骨、胸や腕、腹筋……そしてスウェットに覆われた下腹部に目をやるのを俺は黙って見ていた。
琴音の眼が欲望に包まれるこの瞬間はたまらなく嬉しい。
琴音の体を引き起こし、あぐらをかいた俺の太腿に琴音を座らせる。
琴音が息を飲んだ。俺の下腹部の昂りを肌で感じたはずだ。そのまま繋がれた両腕の中に俺の頭を通させると琴音にキスをする。カーテン越しにぼんやりとした月明かりに照らされた琴音は薄目でぼんやりと俺の口元を見つめている。
──どうやら、ここらで形勢逆転だろう。琴音が限界らしい。
「続きは──?」
「仕返し……させて──」
「ふーん、上等……」
そこからは俺たちの秘密だ。俺たち以外みんなたぬき寝入りしていてくれ──。
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