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41.売り買い
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貴弘がマンションのエレベーターを降りるとどこかの部屋から焼肉の匂いがした。きっと鳥を焼いているのだろう。廊下を歩き出すとその香りが増していく気がする。当然だ、今晩は聖なる夜だ。皆にとって特別な夜だ。
風香に連絡するとすぐに返信があった。了解と一言書いてあっただけだった。少し冷たいようにも思えたが年末は色々と忙しいと言っていたので仕方がないと思い返信はしなかった。
風香は、この状況をどう思っているのだろう。風香は……俺の事を──。
考え事をしながらもその足は部屋へと一歩ずつ進んだ。部屋に到着し鍵を開けると部屋の中は真っ暗だった。当然だ、風香は草刈りだ。戻ってくるのには早すぎる時間だ。貴弘の持つ紙袋には小ぶりなケーキとローストチキンのサラダがある。暗い玄関で革靴を脱ぐと手探りでリビングの照明のスイッチに手を伸ばした。部屋が明るくなった瞬間何かが弾ける音とともに目の前が真っ白になった。目を瞑り衝撃に耐えていると近くで誰かの気配がした。
「メリークリスマス! 貴弘ー!」
「…………」
風香がサンタのコスプレをしてリビングに立っていた。貴弘は突然の事に呆然と立ち尽くしていると風香は貴弘の顔の前で手を振る。
「あ、あれ? あ……生きてる、よね?」
「生きてる。何で──」
貴弘がリビングを見渡すと折り紙の輪で作られた飾り付けとテーブルの上にはシャンパンと大量のオレンジジュースが置かれていた。風香は頭に被っていたサンタの帽子を外すと申し訳なさそうな顔をした。
「ごめん、サプライズ失敗したね。草むしりは大家さんが草刈機でちゃちゃっと終わらせてくれて──」
「俺の事……避けてたの、そのせいか?」
「え?」
「俺が近付くと、避けてたろうが。風香、何を考えてる……」
貴弘がテーブルに買ってきた紙袋を置くと風香を見下ろした。その目は怒っているようだった。風香は「それは……その、えっと……」と言い口籠ったまま俯く。貴弘が溜息を吐くと風香を背にして歩き出した……風香は咄嗟にそのコートを掴んだ。
貴弘が振り返ると風香が燃えるように真っ赤な顔をしていた。耳朶どころか首まで真っ赤に染まっている。一瞬にして様子が変わった風香に貴弘は大きく目を開いた。
酒を飲んだわけでもないのに一体どうしたのか……。
貴弘は振り返り風香の額に手を置いて風香の腰を屈めて顔を覗いた。風香の額はとても熱かった。
「お前、熱が──。大丈夫か? 何やってんだ……」
「へ? あ、いや……これは、その……」
年末の忙しさと引っ越しの準備で無理をしていたのだろう。こうなる前に作業を止めるべきだった。
瞳が潤み出し自身の頬に触れて慌て出す風香に貴弘は舌打ちをすると抱き上げた。突然お姫様抱っこをされて風香は足をバタつかせて声を上げた。
「きゃ、ちょ、ちょっと! 待って!」
「静かにしろ。熱が上がる」
貴弘は風香の部屋に行くとベッドに風香を寝かせた。体温計を取りにリビングに戻ろうとすると風香の手が再び貴弘のコートを掴んだ。病人とも思えない凄い力だった。貴弘がその手を外すとベッドから立ち上がる。
「貴弘!! 違うの、熱なんてない! た、貴弘のせいなの……元気すぎて、その……んもう!!」
薄暗い部屋に風香の叫び声が響いた。風香はベッドから飛び降りた。貴弘は訳がわからず風香をじっと見つめていた。
風香の手が貴弘の胸に触れた……撫でるようにその手が上へと上がっていく……。身長の高い貴弘の首の後ろに手を掛けると貴弘が自然と前屈みになる。少しの間視線が合っただけなのに心臓の鼓動が早くなるのが分かった。
風香は唇を結び「馬鹿……」と呟いた。貴弘が何かを言おうとするとその口を風香の唇が押さえた……風香は貴弘にキスをした──。
「ん……」
突然の事に戸惑っていると風香は貴弘の頬に手を添えてより深く唇を重ねた。閉じていた目をゆっくりと開けながら風香が名残惜しそうに貴弘から離れていく……。まだ風香の頬は赤いままだった。
「避けてたのは……その、体がおかしいから。いや、そうじゃないな……頭がおかしいから。あの日から貴弘の全てに胸がドキドキして、その……あの夜のことばっかり考えちゃうからで……その、避けてたのは──貴弘が好き……だから」
風香の告白に貴弘は呆気に取られていた。風香は貴弘の反応に噴火したように再び顔を赤らめた。
「いや、その……貴弘を見てエロいことばっかり考えちゃうからうから……その、梱包しないといけないのに、集中できないし──貴弘がダメなんだよ! 何よ! その綺麗な手は! 風呂上がりにいい香りさせてんじゃないわよ! 襟元が開いた服なんて卑怯よ! 何よ、何よ──何とか言いなさいよ!」
風香はあの晩から貴弘の誘惑(?)に困っていた。貴弘の眠たそうな寝起きの声や、冷蔵庫から牛乳を取る動作ですら目眩がするほど欲情した。数日前まで経験も何もなかったというのに貴弘の何もかもが気になって仕方がなかった。
貴弘に触れたい。貴弘に触れられたい。あの筋肉質な体に抱きしめられたい。あの夜のように……もう一度──。
風香はその変化に戸惑い。自分が痴女になってしまったのかと思ったが他の男性を見てもこの症状は出ない。なぜか貴弘だけにこんな気持ちになった。そして自覚した……自分がかなり貴弘に惚れている。大好きなのだと。
貴弘は突然顔を隠して笑い出した。その耳朶は赤く染まっていた。風香は恥ずかしくて更に大きな声を出す。
「な、何よ! この卑怯者! アンポンタン! エロ親父! バスケ馬鹿!」
「風香──来い」
貴弘は風香の体を引き寄せると静かに抱きしめた。抱きしめてそっと頭を撫でた。あまりにも優しく撫でられたので風香は涙が出そうになった。
「構わない。風香のその症状は、正解だ。それに……我慢するとよくない。俺が治してやる」
「え?」
貴弘はベッドに風香を押し倒した。風香がベッドの上で驚いていると貴弘はあっという間にコートを脱ぎスーツのボタンに手を掛けている。余りにも早い脱ぎ技に風香は慌ててベッドの上に正座した。
「ちょっと待って! クリスマスケーキは!? パーティは? 飾り付けもしたのに……」
「はいはい……後でな」
貴弘は風香を押し倒してキスをした。貴弘は風香の首に齧り付くと妖艶な笑みを浮かべた。首に貴弘の唇が当たっただけで風香の口から甘い声が出た。貴弘はネクタイを外すと襟元のボタンを外していく。エロ神さまが降臨したようで風香は黙って貴弘を見上げていた。貴弘は首を回して準備運動を開始した……。
「俺だって相当溜まってる……頑張れよ、風香」
「ちょ──」
風香の反論は貴弘の口腔内へと消えて行った。二人がケーキを食べたのは深夜を過ぎた頃だった。風香は真っ赤な顔をしてベッドの上でケーキをもぐもぐ頬張った。その隣で貴弘は嬉しそうに風香にオレンジジュースを手渡した。二人は後日クリスマスパーティをやり直す事にした。
風香に連絡するとすぐに返信があった。了解と一言書いてあっただけだった。少し冷たいようにも思えたが年末は色々と忙しいと言っていたので仕方がないと思い返信はしなかった。
風香は、この状況をどう思っているのだろう。風香は……俺の事を──。
考え事をしながらもその足は部屋へと一歩ずつ進んだ。部屋に到着し鍵を開けると部屋の中は真っ暗だった。当然だ、風香は草刈りだ。戻ってくるのには早すぎる時間だ。貴弘の持つ紙袋には小ぶりなケーキとローストチキンのサラダがある。暗い玄関で革靴を脱ぐと手探りでリビングの照明のスイッチに手を伸ばした。部屋が明るくなった瞬間何かが弾ける音とともに目の前が真っ白になった。目を瞑り衝撃に耐えていると近くで誰かの気配がした。
「メリークリスマス! 貴弘ー!」
「…………」
風香がサンタのコスプレをしてリビングに立っていた。貴弘は突然の事に呆然と立ち尽くしていると風香は貴弘の顔の前で手を振る。
「あ、あれ? あ……生きてる、よね?」
「生きてる。何で──」
貴弘がリビングを見渡すと折り紙の輪で作られた飾り付けとテーブルの上にはシャンパンと大量のオレンジジュースが置かれていた。風香は頭に被っていたサンタの帽子を外すと申し訳なさそうな顔をした。
「ごめん、サプライズ失敗したね。草むしりは大家さんが草刈機でちゃちゃっと終わらせてくれて──」
「俺の事……避けてたの、そのせいか?」
「え?」
「俺が近付くと、避けてたろうが。風香、何を考えてる……」
貴弘がテーブルに買ってきた紙袋を置くと風香を見下ろした。その目は怒っているようだった。風香は「それは……その、えっと……」と言い口籠ったまま俯く。貴弘が溜息を吐くと風香を背にして歩き出した……風香は咄嗟にそのコートを掴んだ。
貴弘が振り返ると風香が燃えるように真っ赤な顔をしていた。耳朶どころか首まで真っ赤に染まっている。一瞬にして様子が変わった風香に貴弘は大きく目を開いた。
酒を飲んだわけでもないのに一体どうしたのか……。
貴弘は振り返り風香の額に手を置いて風香の腰を屈めて顔を覗いた。風香の額はとても熱かった。
「お前、熱が──。大丈夫か? 何やってんだ……」
「へ? あ、いや……これは、その……」
年末の忙しさと引っ越しの準備で無理をしていたのだろう。こうなる前に作業を止めるべきだった。
瞳が潤み出し自身の頬に触れて慌て出す風香に貴弘は舌打ちをすると抱き上げた。突然お姫様抱っこをされて風香は足をバタつかせて声を上げた。
「きゃ、ちょ、ちょっと! 待って!」
「静かにしろ。熱が上がる」
貴弘は風香の部屋に行くとベッドに風香を寝かせた。体温計を取りにリビングに戻ろうとすると風香の手が再び貴弘のコートを掴んだ。病人とも思えない凄い力だった。貴弘がその手を外すとベッドから立ち上がる。
「貴弘!! 違うの、熱なんてない! た、貴弘のせいなの……元気すぎて、その……んもう!!」
薄暗い部屋に風香の叫び声が響いた。風香はベッドから飛び降りた。貴弘は訳がわからず風香をじっと見つめていた。
風香の手が貴弘の胸に触れた……撫でるようにその手が上へと上がっていく……。身長の高い貴弘の首の後ろに手を掛けると貴弘が自然と前屈みになる。少しの間視線が合っただけなのに心臓の鼓動が早くなるのが分かった。
風香は唇を結び「馬鹿……」と呟いた。貴弘が何かを言おうとするとその口を風香の唇が押さえた……風香は貴弘にキスをした──。
「ん……」
突然の事に戸惑っていると風香は貴弘の頬に手を添えてより深く唇を重ねた。閉じていた目をゆっくりと開けながら風香が名残惜しそうに貴弘から離れていく……。まだ風香の頬は赤いままだった。
「避けてたのは……その、体がおかしいから。いや、そうじゃないな……頭がおかしいから。あの日から貴弘の全てに胸がドキドキして、その……あの夜のことばっかり考えちゃうからで……その、避けてたのは──貴弘が好き……だから」
風香の告白に貴弘は呆気に取られていた。風香は貴弘の反応に噴火したように再び顔を赤らめた。
「いや、その……貴弘を見てエロいことばっかり考えちゃうからうから……その、梱包しないといけないのに、集中できないし──貴弘がダメなんだよ! 何よ! その綺麗な手は! 風呂上がりにいい香りさせてんじゃないわよ! 襟元が開いた服なんて卑怯よ! 何よ、何よ──何とか言いなさいよ!」
風香はあの晩から貴弘の誘惑(?)に困っていた。貴弘の眠たそうな寝起きの声や、冷蔵庫から牛乳を取る動作ですら目眩がするほど欲情した。数日前まで経験も何もなかったというのに貴弘の何もかもが気になって仕方がなかった。
貴弘に触れたい。貴弘に触れられたい。あの筋肉質な体に抱きしめられたい。あの夜のように……もう一度──。
風香はその変化に戸惑い。自分が痴女になってしまったのかと思ったが他の男性を見てもこの症状は出ない。なぜか貴弘だけにこんな気持ちになった。そして自覚した……自分がかなり貴弘に惚れている。大好きなのだと。
貴弘は突然顔を隠して笑い出した。その耳朶は赤く染まっていた。風香は恥ずかしくて更に大きな声を出す。
「な、何よ! この卑怯者! アンポンタン! エロ親父! バスケ馬鹿!」
「風香──来い」
貴弘は風香の体を引き寄せると静かに抱きしめた。抱きしめてそっと頭を撫でた。あまりにも優しく撫でられたので風香は涙が出そうになった。
「構わない。風香のその症状は、正解だ。それに……我慢するとよくない。俺が治してやる」
「え?」
貴弘はベッドに風香を押し倒した。風香がベッドの上で驚いていると貴弘はあっという間にコートを脱ぎスーツのボタンに手を掛けている。余りにも早い脱ぎ技に風香は慌ててベッドの上に正座した。
「ちょっと待って! クリスマスケーキは!? パーティは? 飾り付けもしたのに……」
「はいはい……後でな」
貴弘は風香を押し倒してキスをした。貴弘は風香の首に齧り付くと妖艶な笑みを浮かべた。首に貴弘の唇が当たっただけで風香の口から甘い声が出た。貴弘はネクタイを外すと襟元のボタンを外していく。エロ神さまが降臨したようで風香は黙って貴弘を見上げていた。貴弘は首を回して準備運動を開始した……。
「俺だって相当溜まってる……頑張れよ、風香」
「ちょ──」
風香の反論は貴弘の口腔内へと消えて行った。二人がケーキを食べたのは深夜を過ぎた頃だった。風香は真っ赤な顔をしてベッドの上でケーキをもぐもぐ頬張った。その隣で貴弘は嬉しそうに風香にオレンジジュースを手渡した。二人は後日クリスマスパーティをやり直す事にした。
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