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37.未知
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風香と貴弘は風香の部屋のベッドで横になっていた。手を繋いで今まで二人の間にできた穴を埋めるように話をした。知らないことや意外なことも多かった。二人は狭いベッドで向かい合い語り合った。風香のベッドは横幅も狭いが何より短かった。背の高い貴弘は足元がベッドからはみ出していた。
「昔はホラー映画無理だったでしょう?」
「最初だけだ。あとは風香が抱きしめてくれるから怖いふりをした」
「中学卒業の日、何で俺に会いにきてくれたんだ?」
「あれは……貴弘にラブレターを渡してくれって言われてたの。会ってくれなかったから困ったんだから」
「貴弘は女の子最初に付き合ったのは高校?」
「中学……いや、そんな顔するなよ。だから言いたくなかったんだって……」
二人は時に笑い、時に驚き、明らかになる真実にふてくされながら時間を過ごした。あっという間に時間が過ぎていく……。張り合って向き合わなくなってからかなりの時間が過ぎてしまっていたようだ。話をしながら風香は眠たそうに目を掻いた。貴弘が風香の髪を解いてやる。ただそれだけなのに貴弘の胸がほっこりと温まる。
「寝ろよ……」
「明日休みだもん。勿体無いでしょ」
風香の何気ない言葉に貴弘は笑う。風香の耳朶にキスをすると優しく囁いた。
「寝たくないんなら……寝かさないけど。いいのか?」
風香は貴弘の言葉の意味に気づいて顔を真っ赤にした。貴弘はもちろん本気じゃない……付き合ってその日に体を重ねることは過去にもあるが、風香は処女だ。そんなこと出来るわけもない。大切にしてやりたい。風香がいいと言うまでは待とうと貴弘は決めていた。真っ赤になった風香の口元まで布団をかけてやると額にキスをした。
「おやすみ」
貴弘は風香の部屋を出て行った。リビングに置かれた壁時計は朝の四時だった。随分と長く話し込んでいたらしい。貴弘はリビングで水を飲むと自分の部屋へと戻った。ベッドに腰掛けるとそこはとてもひんやりとしていた。先ほどまで一緒にいたあのベッドの温もりが恋しくなる。貴弘は手に残った風香の温もりを握りしめてベッドに潜り込んだ。暫くの辛抱だ……じきに温かくなるはずだ。貴弘が体をギュッと固くして堪えていると自分の部屋の戸が開く音が聞こえた。
え……?
貴弘が振り返るとそこには風香が立っていた。ホラー映画を見た日と同じように枕を抱えて立っている。
あの時と違うのは風香は俺の幼馴染みじゃなくて俺の恋人だという事と、風香の顔が恐怖で凍りついているのではなく、恥ずかしそうに顔を伏せている事だ。風香の訪問は貴弘の心を掻き乱した。抑えていた欲望がふつふつと湧いてきた。思わず唾を飲み込むとやっとの思いで声を出した。その声は緊張しているのか枯れてしまっていた。
「ど、どうした。寝れないか?」
「……あの、ね。一緒に寝たいんだけど……」
風香がベッドに近付くと寝たままの貴弘を見下ろした。貴弘は風香を見つめたまま動かない。
「俺は、男だぞ。一緒に寝るって……意味を分かって──」
「分かってるの……分かってる」
風香が貴弘の手を取り自分の首へと誘う……。貴弘の脈の拍動と風香の触れた肌から感じる拍動が一緒になったような感覚だった。二人の視線が絡み合った瞬間貴弘は電気が走ったように鳥肌が立った。怖いほど欲情した。
「貴弘、悪いんだけど……寝かさないでくれる?」
風香の言葉を聞き終えると貴弘は手を取り風香をベッドに座らせると二人の唇が重なり合った──。
「昔はホラー映画無理だったでしょう?」
「最初だけだ。あとは風香が抱きしめてくれるから怖いふりをした」
「中学卒業の日、何で俺に会いにきてくれたんだ?」
「あれは……貴弘にラブレターを渡してくれって言われてたの。会ってくれなかったから困ったんだから」
「貴弘は女の子最初に付き合ったのは高校?」
「中学……いや、そんな顔するなよ。だから言いたくなかったんだって……」
二人は時に笑い、時に驚き、明らかになる真実にふてくされながら時間を過ごした。あっという間に時間が過ぎていく……。張り合って向き合わなくなってからかなりの時間が過ぎてしまっていたようだ。話をしながら風香は眠たそうに目を掻いた。貴弘が風香の髪を解いてやる。ただそれだけなのに貴弘の胸がほっこりと温まる。
「寝ろよ……」
「明日休みだもん。勿体無いでしょ」
風香の何気ない言葉に貴弘は笑う。風香の耳朶にキスをすると優しく囁いた。
「寝たくないんなら……寝かさないけど。いいのか?」
風香は貴弘の言葉の意味に気づいて顔を真っ赤にした。貴弘はもちろん本気じゃない……付き合ってその日に体を重ねることは過去にもあるが、風香は処女だ。そんなこと出来るわけもない。大切にしてやりたい。風香がいいと言うまでは待とうと貴弘は決めていた。真っ赤になった風香の口元まで布団をかけてやると額にキスをした。
「おやすみ」
貴弘は風香の部屋を出て行った。リビングに置かれた壁時計は朝の四時だった。随分と長く話し込んでいたらしい。貴弘はリビングで水を飲むと自分の部屋へと戻った。ベッドに腰掛けるとそこはとてもひんやりとしていた。先ほどまで一緒にいたあのベッドの温もりが恋しくなる。貴弘は手に残った風香の温もりを握りしめてベッドに潜り込んだ。暫くの辛抱だ……じきに温かくなるはずだ。貴弘が体をギュッと固くして堪えていると自分の部屋の戸が開く音が聞こえた。
え……?
貴弘が振り返るとそこには風香が立っていた。ホラー映画を見た日と同じように枕を抱えて立っている。
あの時と違うのは風香は俺の幼馴染みじゃなくて俺の恋人だという事と、風香の顔が恐怖で凍りついているのではなく、恥ずかしそうに顔を伏せている事だ。風香の訪問は貴弘の心を掻き乱した。抑えていた欲望がふつふつと湧いてきた。思わず唾を飲み込むとやっとの思いで声を出した。その声は緊張しているのか枯れてしまっていた。
「ど、どうした。寝れないか?」
「……あの、ね。一緒に寝たいんだけど……」
風香がベッドに近付くと寝たままの貴弘を見下ろした。貴弘は風香を見つめたまま動かない。
「俺は、男だぞ。一緒に寝るって……意味を分かって──」
「分かってるの……分かってる」
風香が貴弘の手を取り自分の首へと誘う……。貴弘の脈の拍動と風香の触れた肌から感じる拍動が一緒になったような感覚だった。二人の視線が絡み合った瞬間貴弘は電気が走ったように鳥肌が立った。怖いほど欲情した。
「貴弘、悪いんだけど……寝かさないでくれる?」
風香の言葉を聞き終えると貴弘は手を取り風香をベッドに座らせると二人の唇が重なり合った──。
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