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31.森くんと貴弘くん
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リビングは静まり返ったままだった。風香は貴弘が本気で怒っていることがわかった。きちんと決まるまで貴弘には言っていなかったのは本当に悪いと思っていたけれど、希望通りの物件が見つかるか分からなかったし不確定な事を言いたくなかった。忘年会の日、問い合わせた不動産屋から連絡があり、値段交渉が上手く行ったこと……来年の中旬から入居可能だと言われた。時期外れということもありなかなかいい物件がなかったが地元の小さな不動産屋に駆け込んだ甲斐があった。その物件は最高な環境だった。それは風香にとってだけではない。
「もう、決めたんだろ……森くんと住むんだろ」
貴弘の冷たい視線やその声の低さに風香は足が震えた。二メートルほどしか離れていないはずなのに随分と離れているように感じた。貴弘には森くんを引き取りたいことを言っていなかったがどうやら雑誌とペット可の特集に貼られた付箋でバレてしまったようだ。世間一般には森くんは中型犬に属しているらしく問い合わせてみても断られることもあった。
「森くんが今いる所が来年大型のトラックを停めるスペースになっちゃうの……それで社長と勧めで一緒に住めたらなって……いい感じのところがようやく見つかって……隣が離れてて走り回っても、声がうるさくても問題無くて、庭にはバス──」
「いや、詳しくは聞きたくない」
貴弘は風香の言葉を切ると賃貸情報誌を風香に手渡した。その表情はまだ怒っているようだった。風香は貴弘に話さなければいけないことがあった。もし、その物件が決まったら貴弘に伝えようと思っていた。風香は貴弘の服の袖を摘んだ……捕まえていないと貴弘が離れていきそうで怖かった。
「それで、その……元々貴弘は一人暮らしが良かったし……そのつもりだったのは知ってる……だけど、貴弘が嫌じゃなければ、貴弘さえ良ければ、森くんと私と一緒に住んで、くれる?」
「は?」
「あの子は、人懐っこいから……きっとすぐ仲良くなれると思うの。も、もちろん生活空間は端と端にするし! その、貴弘と住めば家賃が安くなるっていうのもあるけど……貴弘の会社も近くなるし、私も電車の乗り換えが楽に──」
風香はカバンに入れっぱなしだった携帯電話を取り出して契約する予定の物件の情報を貴弘に見せようとするがその手を貴弘が制した。
「……三人で、住む?──あり得ない。あいつと二人で住めばいい」
「あ、うん……そっか。いや。ごめん。そりゃそうだよね……」
貴弘の声は静かで冷たかった。眉間にシワを寄せて怒る貴弘に風香は何も言えなくなった……。突然こんなことを言い出して怒るのも当然だ。住んでまだ半年経たない……こんなわがままが通るはずがないことは風香にも分かっていた。だけど、こんな風に冷たく言い放たれると悲し過ぎて涙が出そうになる。風香は泣きそうなのを堪えて掴んでいた貴弘の服を離した……。
「なんで、俺と一緒に住みたいんだ?」
「……え、いや……一緒の方が楽しいかなって……」
好きだから──もっと一緒にいたいから。喧嘩して小言を言い合って、貴弘の優しさに甘えたいから。貴弘が好き。その気持ちを伝えたいが、同棲を断られた。貴弘は自分のことを恋愛対象で見ていない……手のかかる幼馴染みとしか思っていない……。貴弘の様子に好きだからと言えなかった……。
口籠っていると貴弘は「もういい」と言うと飲んでいたコーヒーを流し台に下げて洗い流した。貴弘は自分の部屋から小さな鞄を肩から掛けると上着を持った。どうやら外出する予定だったらしい。玄関に向かう貴弘の後を追った。素早く靴を履いた貴弘は振り返ると風香をじっと見つめた。もう怒っているわけでもなさそうだが、その瞳は見知らぬ人間を見るようだった。
「風香、昨日、俺が言った事……少しでも覚えてるか?」
「昨日──貴弘が?」
「……俺は、風香と一緒にいたかった。お前が、好きだと言った。俺は本気でお前が好きだ」
「…………え」
貴弘は顔色一つ変えずに淡々と自分の気持ちを伝えた。昨晩とは違う……その言葉に熱量はない。ただ、事実を報告した。風香は突然の貴弘の告白に言葉が出てこない。嬉しいはずなのにまるでテレビ画面の映像を見ているようだった。
「でも、もういい。お前が俺をセフレ感覚でいるのなら、もう……」
「え? セフレ? セフレ──え、前言ってたセフレ? どういう意味?」
なぜここでそんな言葉が出てきたのか分からない……。風香には全く話が読めなかった。貴弘からその話題が出るのは久しぶりだった。ムキになってついた嘘がどうしてここで出てくるのか風香は分からない。詳しく聞きたいのに貴弘は風香に背中を向けるとドアの鍵とチェーンを外しドアノブを握った。貴弘の背中を見つめることしか出来ない……その背中に触れたいのに触ってはいけない気がした。
「ここを出て、森と住めばいい。風香なんて……大嫌いだ」
ドアが開け放たれて明るい光と共に貴弘が出て行った。風香はそのドアを見つめたまま時が止まったようだった。どうしてこうなったのか分からないが、貴弘を怒らせて、呆れさせた。貴弘の言っていた言葉を思い返して何度も噛み締めて、噛み締めて、言葉を飲み込んだ。その声は冷たかった。
好きだったけど、大嫌い──貴弘は確かにそう言った。ようやく理解できて目頭が熱くなった……視界が歪みだして頬に幾筋も涙が通っていく。嗚咽が止まらなくて両手で口元を押さえるが涙は止まらない。堰を切ったように流れ出した涙はただ重力に従うしかない。
俺は本気でお前が好きだ──貴弘から聞きたかった言葉だった……偽物の口説きではなく、自分のことを想って言ってくれることを望んでいた。その待ち望んでいた瞬間は……紙飛行機のように一瞬で駆け抜けて地面に落ちた。
「……っ、ふ……何でぇ……」
大嫌い──風香は再び貴弘から距離を置かれた。二度も貴弘に見捨てられてしまったのだと知った。
「もう、決めたんだろ……森くんと住むんだろ」
貴弘の冷たい視線やその声の低さに風香は足が震えた。二メートルほどしか離れていないはずなのに随分と離れているように感じた。貴弘には森くんを引き取りたいことを言っていなかったがどうやら雑誌とペット可の特集に貼られた付箋でバレてしまったようだ。世間一般には森くんは中型犬に属しているらしく問い合わせてみても断られることもあった。
「森くんが今いる所が来年大型のトラックを停めるスペースになっちゃうの……それで社長と勧めで一緒に住めたらなって……いい感じのところがようやく見つかって……隣が離れてて走り回っても、声がうるさくても問題無くて、庭にはバス──」
「いや、詳しくは聞きたくない」
貴弘は風香の言葉を切ると賃貸情報誌を風香に手渡した。その表情はまだ怒っているようだった。風香は貴弘に話さなければいけないことがあった。もし、その物件が決まったら貴弘に伝えようと思っていた。風香は貴弘の服の袖を摘んだ……捕まえていないと貴弘が離れていきそうで怖かった。
「それで、その……元々貴弘は一人暮らしが良かったし……そのつもりだったのは知ってる……だけど、貴弘が嫌じゃなければ、貴弘さえ良ければ、森くんと私と一緒に住んで、くれる?」
「は?」
「あの子は、人懐っこいから……きっとすぐ仲良くなれると思うの。も、もちろん生活空間は端と端にするし! その、貴弘と住めば家賃が安くなるっていうのもあるけど……貴弘の会社も近くなるし、私も電車の乗り換えが楽に──」
風香はカバンに入れっぱなしだった携帯電話を取り出して契約する予定の物件の情報を貴弘に見せようとするがその手を貴弘が制した。
「……三人で、住む?──あり得ない。あいつと二人で住めばいい」
「あ、うん……そっか。いや。ごめん。そりゃそうだよね……」
貴弘の声は静かで冷たかった。眉間にシワを寄せて怒る貴弘に風香は何も言えなくなった……。突然こんなことを言い出して怒るのも当然だ。住んでまだ半年経たない……こんなわがままが通るはずがないことは風香にも分かっていた。だけど、こんな風に冷たく言い放たれると悲し過ぎて涙が出そうになる。風香は泣きそうなのを堪えて掴んでいた貴弘の服を離した……。
「なんで、俺と一緒に住みたいんだ?」
「……え、いや……一緒の方が楽しいかなって……」
好きだから──もっと一緒にいたいから。喧嘩して小言を言い合って、貴弘の優しさに甘えたいから。貴弘が好き。その気持ちを伝えたいが、同棲を断られた。貴弘は自分のことを恋愛対象で見ていない……手のかかる幼馴染みとしか思っていない……。貴弘の様子に好きだからと言えなかった……。
口籠っていると貴弘は「もういい」と言うと飲んでいたコーヒーを流し台に下げて洗い流した。貴弘は自分の部屋から小さな鞄を肩から掛けると上着を持った。どうやら外出する予定だったらしい。玄関に向かう貴弘の後を追った。素早く靴を履いた貴弘は振り返ると風香をじっと見つめた。もう怒っているわけでもなさそうだが、その瞳は見知らぬ人間を見るようだった。
「風香、昨日、俺が言った事……少しでも覚えてるか?」
「昨日──貴弘が?」
「……俺は、風香と一緒にいたかった。お前が、好きだと言った。俺は本気でお前が好きだ」
「…………え」
貴弘は顔色一つ変えずに淡々と自分の気持ちを伝えた。昨晩とは違う……その言葉に熱量はない。ただ、事実を報告した。風香は突然の貴弘の告白に言葉が出てこない。嬉しいはずなのにまるでテレビ画面の映像を見ているようだった。
「でも、もういい。お前が俺をセフレ感覚でいるのなら、もう……」
「え? セフレ? セフレ──え、前言ってたセフレ? どういう意味?」
なぜここでそんな言葉が出てきたのか分からない……。風香には全く話が読めなかった。貴弘からその話題が出るのは久しぶりだった。ムキになってついた嘘がどうしてここで出てくるのか風香は分からない。詳しく聞きたいのに貴弘は風香に背中を向けるとドアの鍵とチェーンを外しドアノブを握った。貴弘の背中を見つめることしか出来ない……その背中に触れたいのに触ってはいけない気がした。
「ここを出て、森と住めばいい。風香なんて……大嫌いだ」
ドアが開け放たれて明るい光と共に貴弘が出て行った。風香はそのドアを見つめたまま時が止まったようだった。どうしてこうなったのか分からないが、貴弘を怒らせて、呆れさせた。貴弘の言っていた言葉を思い返して何度も噛み締めて、噛み締めて、言葉を飲み込んだ。その声は冷たかった。
好きだったけど、大嫌い──貴弘は確かにそう言った。ようやく理解できて目頭が熱くなった……視界が歪みだして頬に幾筋も涙が通っていく。嗚咽が止まらなくて両手で口元を押さえるが涙は止まらない。堰を切ったように流れ出した涙はただ重力に従うしかない。
俺は本気でお前が好きだ──貴弘から聞きたかった言葉だった……偽物の口説きではなく、自分のことを想って言ってくれることを望んでいた。その待ち望んでいた瞬間は……紙飛行機のように一瞬で駆け抜けて地面に落ちた。
「……っ、ふ……何でぇ……」
大嫌い──風香は再び貴弘から距離を置かれた。二度も貴弘に見捨てられてしまったのだと知った。
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