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26.伝えられない理由は
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仕事場に到着すると貴弘の姿に驚いた有川がオーバーリアクションで迎えた。他の社員も居なくなりネクタイも外しイヤホンで音楽を聴きながら仕事をしていたらしい。イヤホンを耳から外しハグを求めるように腕を広げた。
「どうした? まじで寂しくて戻って来たのか?」
「馬鹿。仕事、気になったから戻ってきた」
貴弘は口数少なく有川の隣の自分の席に座るとパソコンを立ち上げた。有川は貴弘の様子が気になったが自分の仕事に集中しようと外していたイヤホンを装着した。
どれぐらい時間が立ったのだろう。貴弘も途中からイヤホンをつけてロックを聴きながら作業をしていた。目の前の資料のデータを打ち込み終わり一区切りついた。椅子の背もたれにもたれて背伸びをすると背後で人の気配がした。隣にいたはずの有川はいつのまにか後ろの席に座りコーヒーを飲んでいた。貴弘はかなり集中していたらしい。
「俺も今終わったー、はい、コーヒー」
有川は貴弘のデスクに紙コップのコーヒーを置いた。有川は付箋にコーヒーと書き込むとご丁寧に貴弘のモニター画面の淵に貼った。どこかのタイミングでコーヒーを奢ることになってしまった。有川らしい労いに貴弘もつられて笑った。
「なぁ、高畑ー、聞いてくれる?」
「なんだ」
「なぁ、高畑ー、俺……女の子が好きだ」
「唐突……知ってるけど」
有川は「だよな」と言い笑った。貴弘は有川の笑顔がいつもと違う事に気がついてそれ以上何も言わずに有川の言葉を待った。広いフロアに二人しかいない……沈黙が続くが貴弘はそれが嫌じゃなかった。有川は他に第三者がいると饒舌が止まらない。それは有川なりに求められているキャラを演じているのだと貴弘は感じていた。寡黙な自分と一緒にいると無理をさせることも無い。有川が本当の有川でいられるように貴弘は有川を見守った。
「俺が、女の子が好きなのは、本当に好きな子が手に入らないから。だからその子以外の女の子を、変わりに愛してる。だから、女の子は皆好きなんだ」
「有川……」
有川の言葉に貴弘は何も言えなかった。根っからの女好きだと思っていた。声が掛かればどこへだって合コンにも行くし、俺と違って臆することなく誰とでも仲良くなれる。有川の告白はかなり驚いた。有川の言葉はその子以外は皆同じだという意味だ。
「手が、届かないのか? 誰かと付き合ってるとか──」
「無理だろうな、犯罪だもん──結婚してる、俺の兄貴と」
有川は「笑えるだろ」と貴弘に笑顔を見せた。貴弘はじっと有川を見つめていた……。話を聞くと有川の好きな子は幼馴染みだった。有川と同じ年齢で二つ上の兄と三人でよく遊んでいたらしい。いつのまにかその子と兄が惹かれ合い……付き合いだした。有川は恋心を隠すためにいろんな女の子と遊びまくったらしい。そうしなければどうしようもなかった……。そして二人は幾多の危機を乗り越え一年前に二人は結婚した。有川は笑いながら泣いているように見えた。有川のそんな表情を見るのは初めてで……貴弘は目頭が熱くなった。
「だからいいなぁって思うんだよね。お前と風香ちゃん……障害は、ないだろ。彼氏彼女もいねーし……あ、セフレか。それはまぁいっか! モラルも法律も問題ないんならさっさとくっついちゃえって思うけどね。あ、体の事じゃない。心ね、心。どっちでもいっか」
「…………」
貴弘は立ち上がると有川の前に立った。じっと椅子に座った有川を見下ろしている。眉間にシワを寄せた貴弘の威圧感に有川は後退りする。徐ろに有川の頭を抱き寄せると自分の腹に押し付けた。突然頬に感じる貴弘のシャツの感触に有川は声を上げた。男同士でするようなことではない。有川が貴弘の腰を何度もタップするが貴弘は抱きしめたまま離さなかった。
「う……ちょ、待て! 何してんだ、俺、男だぞ」
「悪い」
「……なんだよ。そう思ってんならさっさと告って飯奢れ」
「分かってる、悪い」
有川は抵抗を止めてじっとしていた。恥ずかしがっていた表情が消え有川は目を瞑っていた。貴弘は有川が泣きそうになったんじゃないかと思った。幼馴染みに恋をした俺たちの境遇は全く違う。有川は恋心を伝えたくても伝えられない。俺は怖くて恋心を伝えられない。伝えられない理由はまったく違う。有川はまだ塞ぎ切っていない心の傷口を自ら開いて俺に教えようとしてくれた……その気持ちに俺は答えたいと思った。風香に思いを伝えなきゃ後悔する……そう思った。どうせフラれるとしても。
貴弘は有川を解放するとセットしていた髪型が乱れたのが気に食わなかったのか唇を尖らせて前髪を手櫛で整えた。その頬は赤く貴弘を見ようともしない。色々な感情が巡っていた。有川も貴弘に封印した想いを話せたことで心が軽くなった。
貴弘は自宅に戻ると風香の帰りを待った。忘年会が終了する時間を過ぎても風香から連絡はない。遅くなるだろうから駅まで迎えに行くとメールしたが既読にもなっていない。再度連絡してみても返信がない……。もしかしたら同僚の介抱に追われているのかもしれない。飲酒を禁止されている風香はきっと大忙しだろう。
貴弘はソファーに座ってテレビの電源ボタンを繰り返し押していた。番組の内容が頭に入ってこない。ソファーに座っても居心地が悪くすぐに立ち上がると部屋を一周回りまたソファーに腰を掛けた。馬鹿みたいだがこうしていないと落ち着かない。
くそ。夕方の風香と森のツーショットのせいだ……もしかしたら同僚なのかもしれない……。そのまま今夜泊まるなんてこと、無いよな。
想像して一人落ち込む貴弘だったが突然インターホンが鳴った。何回も連打しているようだ。慌てて貴弘が玄関のドアを開けると風香がインターホンを愛おしそうに両手で包み込んでいた。その頬は赤く足元はふらついていた……。いつか見た光景が広がっていた……なぜか風香が泥酔していた。
「げ……何やって──っておい!」
「貴弘、寒いよ……」
風香が貴弘の胸に飛び込むと体を委ねた。思わず抱きとめるが右肩を痛めているので支えきれない。外はだいぶ冷え込んできたというのに風香はコートを着ていなかった。何がどうなったのか分からないが酒を飲んでしまったらしい。コアラのように貴弘の腰にしがみつく風香は幸せそうだ。貴弘はちゃんとここへ戻ってきてくれた事に安堵していた。風香を無理やり立たせると風香の頭に顎を置いた……風香は抱きしめられて無邪気な笑い声を上げた。貴弘は確かめるように風香を強く抱きしめた。風香の花のようなシャンプーの香りが鼻腔をくすぐる。
「まったく……心配かけやがって」
その時廊下の奥からスーツ姿の会社員の男がこちらに向かって来た。その手には見慣れたコートがあった。風香の上着だと気づくや否やその男が何者か気付いた。駅のホームで風香と一緒にいた森だった。森は風香と俺が抱き合っているのを見て大きく目を開けたままその場に立ち尽くしていた──。
「どうした? まじで寂しくて戻って来たのか?」
「馬鹿。仕事、気になったから戻ってきた」
貴弘は口数少なく有川の隣の自分の席に座るとパソコンを立ち上げた。有川は貴弘の様子が気になったが自分の仕事に集中しようと外していたイヤホンを装着した。
どれぐらい時間が立ったのだろう。貴弘も途中からイヤホンをつけてロックを聴きながら作業をしていた。目の前の資料のデータを打ち込み終わり一区切りついた。椅子の背もたれにもたれて背伸びをすると背後で人の気配がした。隣にいたはずの有川はいつのまにか後ろの席に座りコーヒーを飲んでいた。貴弘はかなり集中していたらしい。
「俺も今終わったー、はい、コーヒー」
有川は貴弘のデスクに紙コップのコーヒーを置いた。有川は付箋にコーヒーと書き込むとご丁寧に貴弘のモニター画面の淵に貼った。どこかのタイミングでコーヒーを奢ることになってしまった。有川らしい労いに貴弘もつられて笑った。
「なぁ、高畑ー、聞いてくれる?」
「なんだ」
「なぁ、高畑ー、俺……女の子が好きだ」
「唐突……知ってるけど」
有川は「だよな」と言い笑った。貴弘は有川の笑顔がいつもと違う事に気がついてそれ以上何も言わずに有川の言葉を待った。広いフロアに二人しかいない……沈黙が続くが貴弘はそれが嫌じゃなかった。有川は他に第三者がいると饒舌が止まらない。それは有川なりに求められているキャラを演じているのだと貴弘は感じていた。寡黙な自分と一緒にいると無理をさせることも無い。有川が本当の有川でいられるように貴弘は有川を見守った。
「俺が、女の子が好きなのは、本当に好きな子が手に入らないから。だからその子以外の女の子を、変わりに愛してる。だから、女の子は皆好きなんだ」
「有川……」
有川の言葉に貴弘は何も言えなかった。根っからの女好きだと思っていた。声が掛かればどこへだって合コンにも行くし、俺と違って臆することなく誰とでも仲良くなれる。有川の告白はかなり驚いた。有川の言葉はその子以外は皆同じだという意味だ。
「手が、届かないのか? 誰かと付き合ってるとか──」
「無理だろうな、犯罪だもん──結婚してる、俺の兄貴と」
有川は「笑えるだろ」と貴弘に笑顔を見せた。貴弘はじっと有川を見つめていた……。話を聞くと有川の好きな子は幼馴染みだった。有川と同じ年齢で二つ上の兄と三人でよく遊んでいたらしい。いつのまにかその子と兄が惹かれ合い……付き合いだした。有川は恋心を隠すためにいろんな女の子と遊びまくったらしい。そうしなければどうしようもなかった……。そして二人は幾多の危機を乗り越え一年前に二人は結婚した。有川は笑いながら泣いているように見えた。有川のそんな表情を見るのは初めてで……貴弘は目頭が熱くなった。
「だからいいなぁって思うんだよね。お前と風香ちゃん……障害は、ないだろ。彼氏彼女もいねーし……あ、セフレか。それはまぁいっか! モラルも法律も問題ないんならさっさとくっついちゃえって思うけどね。あ、体の事じゃない。心ね、心。どっちでもいっか」
「…………」
貴弘は立ち上がると有川の前に立った。じっと椅子に座った有川を見下ろしている。眉間にシワを寄せた貴弘の威圧感に有川は後退りする。徐ろに有川の頭を抱き寄せると自分の腹に押し付けた。突然頬に感じる貴弘のシャツの感触に有川は声を上げた。男同士でするようなことではない。有川が貴弘の腰を何度もタップするが貴弘は抱きしめたまま離さなかった。
「う……ちょ、待て! 何してんだ、俺、男だぞ」
「悪い」
「……なんだよ。そう思ってんならさっさと告って飯奢れ」
「分かってる、悪い」
有川は抵抗を止めてじっとしていた。恥ずかしがっていた表情が消え有川は目を瞑っていた。貴弘は有川が泣きそうになったんじゃないかと思った。幼馴染みに恋をした俺たちの境遇は全く違う。有川は恋心を伝えたくても伝えられない。俺は怖くて恋心を伝えられない。伝えられない理由はまったく違う。有川はまだ塞ぎ切っていない心の傷口を自ら開いて俺に教えようとしてくれた……その気持ちに俺は答えたいと思った。風香に思いを伝えなきゃ後悔する……そう思った。どうせフラれるとしても。
貴弘は有川を解放するとセットしていた髪型が乱れたのが気に食わなかったのか唇を尖らせて前髪を手櫛で整えた。その頬は赤く貴弘を見ようともしない。色々な感情が巡っていた。有川も貴弘に封印した想いを話せたことで心が軽くなった。
貴弘は自宅に戻ると風香の帰りを待った。忘年会が終了する時間を過ぎても風香から連絡はない。遅くなるだろうから駅まで迎えに行くとメールしたが既読にもなっていない。再度連絡してみても返信がない……。もしかしたら同僚の介抱に追われているのかもしれない。飲酒を禁止されている風香はきっと大忙しだろう。
貴弘はソファーに座ってテレビの電源ボタンを繰り返し押していた。番組の内容が頭に入ってこない。ソファーに座っても居心地が悪くすぐに立ち上がると部屋を一周回りまたソファーに腰を掛けた。馬鹿みたいだがこうしていないと落ち着かない。
くそ。夕方の風香と森のツーショットのせいだ……もしかしたら同僚なのかもしれない……。そのまま今夜泊まるなんてこと、無いよな。
想像して一人落ち込む貴弘だったが突然インターホンが鳴った。何回も連打しているようだ。慌てて貴弘が玄関のドアを開けると風香がインターホンを愛おしそうに両手で包み込んでいた。その頬は赤く足元はふらついていた……。いつか見た光景が広がっていた……なぜか風香が泥酔していた。
「げ……何やって──っておい!」
「貴弘、寒いよ……」
風香が貴弘の胸に飛び込むと体を委ねた。思わず抱きとめるが右肩を痛めているので支えきれない。外はだいぶ冷え込んできたというのに風香はコートを着ていなかった。何がどうなったのか分からないが酒を飲んでしまったらしい。コアラのように貴弘の腰にしがみつく風香は幸せそうだ。貴弘はちゃんとここへ戻ってきてくれた事に安堵していた。風香を無理やり立たせると風香の頭に顎を置いた……風香は抱きしめられて無邪気な笑い声を上げた。貴弘は確かめるように風香を強く抱きしめた。風香の花のようなシャンプーの香りが鼻腔をくすぐる。
「まったく……心配かけやがって」
その時廊下の奥からスーツ姿の会社員の男がこちらに向かって来た。その手には見慣れたコートがあった。風香の上着だと気づくや否やその男が何者か気付いた。駅のホームで風香と一緒にいた森だった。森は風香と俺が抱き合っているのを見て大きく目を開けたままその場に立ち尽くしていた──。
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