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15.再び 貴弘side
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次の日、貴弘はいつも通り出勤した。上司や同僚に迷惑をかけたことを謝罪すると溜まった仕事を片付けるべく黙々と作業を開始した。傷めた右肩は随分と楽だ。動かせば痛みがあるものの突き刺さる様な自発痛は無くなった。ただ、肩を怪我したことよりももっと大事件が起こってしまった……。
「あー……えっと、肩だけ怪我したんだよな? 負のオーラ酷くないか?」
悪友の有川が話しかけてくるが貴弘は一瞥し溜息を漏らす。パソコン画面に視線を移し悲しげな表情で仕事を続けている。先日の鬼のような表情から一転、憂いを帯びた何とも言えない顔をしている。だが、タイピングは素早くそれでいて正確だ。まるで腕から下が別人のように軽やかに動き続ける。
いつも黙々と仕事をするこいつらしくない。こりゃ余程のことがあったかな……。きっと、例の幼馴染みか……。しょうがない、俺の出番だな。
覇気がない貴弘を見て有川は貴弘のパソコン画面の淵に付箋を貼った。貴弘が視線を移すと黄色の付箋には有川の大きな字で【今晩付き合え。元気出してやる】と書かれていた。貴弘は力なく頷くと有川は自分の席へと戻って行った。休んだ分を取り戻すべく貴弘は昼休憩も惜しんで仕事に邁進した。
帰宅時間になり貴弘はパソコンの電源を切ると同じく帰宅準備をしている有川の椅子の背もたれを鞄で叩いた。
「おい、行くぞ。いつもの居酒屋でいいか?」
「焦るなって……はいはい。ってか、俺金欠だからよろしくな」
有川は悪戯っぽい笑みを浮かべると貴弘の肩を組んだ。貴弘は少し微笑むとそのままエレベーターに向かって歩き出した。
有川は世渡り上手だ。いつもへらへらして笑っていて、人見知りもしない。友人も多くいる。そんな男が俺みたいな奴と一緒につるんでくれるのは有り難い。こうして様子がおかしいとさり気なく気を利かしてくれる。身長も俺よりも高く割といいガタイをしているこいつの欠点は一つだけだ。女好きの遊び人だ。
「お、いつもより混んでるな……平日なのにな。奥空いてるぞ、行こう」
有川は店内に入るといつものように席に座って生ビールを頼んだ。注文した品が届くまでの間有川は声を潜めて貴弘にだけ声が聞こえるように顔を寄せた。その表情は楽しんでいる。
「んで? とうとうヤっちゃった?」
「バカ。いや、ヤってない……ヤってないんだけど……やらかした」
貴弘は昨日の風呂場の一件を思い出して自己嫌悪に陥っていた。揶揄うだけのつもりがいつのまにか我を忘れて風香に酔ってしまった。後悔の波が押し寄せては引きを繰り返す。どうしても素直になれない。風香にはどうしてもそんな態度をとってしまう。掌を見つめて昨日の胸の感触を思い出し頭を抱える貴弘を有川が冷めた目で見ていた。
「よく分かんないけど……欲求不満じゃねぇの? 今彼女いないし……無防備な幼馴染が部屋の中をうろちょろしてたら正常な男はやらかすかもな」
「いや、風香は無防備じゃない。ただ……」
「……ただ?」
貴弘はビールを勢いよく飲むとやさぐれたように息を吐く。店内は賑わっていてあちらこちらで笑い声が上がる。有川は貴弘の言葉を逃すまいと前のめりになった。
「風香は恥ずかしがり屋で男と話すと顔を赤らめる奴だったのに……いつのまにか、経験豊富な奴になっててイライラした。ムカつくんだ、男の影に」
「……は?」
有川の口からすっとぼけた声が出た。貴弘の言うそれは嫉妬というやつだ。しかもどう考えても幼馴染に向けたものじゃない。貴弘は有川の口が開いたままなことに気づき舌打ちをしてビールを飲み干した。貴弘は自分で訳の分からないことを言っているのは分かっていた。でも、正直な気持ちだった。有川にしか言えない、こんな馬鹿みたいなこと。
「それって、嫉妬してんの? 嫉妬してやらかしてんの? それ言うなら高畑も何人も付き合ってんじゃん」
「分かってる。風香には……意外というか……その、セフレまでいるらしい──」
有川は貴弘の言葉にネクタイを緩めた。思わず背もたれに寄り掛かるとと大きく頷いた。幼馴染がセフレ持ちだなんてかなりの衝撃だ。しかも話によると純情だと思っていたらしいのでその反動は相当なものだったろう。
「マジか。いや、まぁ……それはすごいな」
有川は貴弘の気持ちが分かった。黙って貴弘の肩を叩いて慰める。その肩の重みに貴弘は苦笑いを浮かべることしか出来なかった。それからしばらく酒を酌み交わしながら他愛もない話をしていると背後から声が掛かった。
「あー、やっぱり、有川くんじゃない」
「あれ? 速水さん、徳永さんまで……」
有川は意外そうに声を上げる。席と席の間の通路に同年代ぐらいの女性が数人立っていた。どうやら店を後にする途中で有川に気が付いて声を掛けてきたらしい。
貴弘は聞き覚えのある名前だが、一瞬ど忘れして反応ができなかった。有川に話しかける速水の姿を見て少し前に有川が言っていた紹介したい女性だと思い出した。確かにどことなく風香に似ている。速水は貴弘の視線に気がつくと頬を赤らめて笑った。
「今晩は、何か……付いている? 高畑くん」
「あー、気にしないで。今日はコイツ酔っているから」
有川は貴弘の頭を殴ると誤魔化すように笑った。徳永が速水と高畑の顔を見て嬉しそうに速水と目配せをした。
「よかったら一緒に飲まない? まだ飲み足りないなって思ってたの」
速水さんの後ろに立っていたパーマをかけた女性が有川に声をかける。有川は快諾し隣の空いていた席をくっ付けると店員に飲み物のメニューを持ってくるように声をかけた。さすがとしか言いようがない早技だ。合コン、飲み会の幹事を任せられることが多い有川の俊敏な動きに貴弘は思わず笑ってしまった。今夜は有川と二人で飲みたいとは言い出せない空気になってしまった。それから男二人のしんみりとした飲み会から賑やかなものへと変わった。
有川はぼうっとした俺を心配して目配せをした。俺がいつもより酔いが回っていることに気がついているのだろう。手を上げて大丈夫だと合図をする。
貴弘の横には速水が座り、頼んだサラダを取り分けてくれた。黒髪が艶やかでいい香りがした。速水は嬉しそうに貴弘に声を掛けた。
「良かった、高畑くんと一度話してみたいと思っていたの」
「あー、そうなんだ……」
貴弘は愛想笑いをしながら頷いた。有川と徳永は気を利かせて他のメンバーと馬鹿話を繰り広げている。貴弘は仕方なく速水と二人で世間話をした。
速水の育った地元はあまり治安の良くない地域らしく話のネタが尽きる事はなかった。珍事件や地元であった武勇伝など速水の話は面白かった。純粋そうに見えてなかなか活発な女性らしい。「一周まわって真面目になった」と舌を出して笑う速水はとても明るかった。
時折耳に掛ける黒髪を見て貴弘は風香を思い出していた。速水の背格好は風香に似ているが全然違う。
風香はもっと柔らかいオーラが出ているし、甘くて首筋がもっと白くて……って、俺ダメだ、酒で脳が毒されている……。
貴弘は昨日の記憶を思い出し額を押さえる。肩の炎症のせいで随分と早く酒が回ったようだ。目眩がし始めた。速水は心配そうに貴弘の顔を覗くが貴弘は「ありがとう、平気だから」と言い席を立った。一人トイレに向かい水で顔を洗った。冷たさで一瞬頭が冴えた。
認めたくはないが、認めざるを得ない……俺は、風香が好きだ。まさかこの年で初恋が再び再燃するとは思わなかった。過ぎ去ったはずの恋は淡かったはずだが、時が経ち濾されたように思いが濃くなったように思えた。風香に関しては大人気なくなるのはそのせいだ。惚れた女と一つ屋根の下……しかも相手は俺の事を同居しているただの幼馴染みと思っているはずだ……実のところどう思っているか聞いてみたいがその一線は大きい。
もうそろそろ宴はお開きだろう。貴弘は頬を叩いて皆が待つ席へと戻った。
「あー……えっと、肩だけ怪我したんだよな? 負のオーラ酷くないか?」
悪友の有川が話しかけてくるが貴弘は一瞥し溜息を漏らす。パソコン画面に視線を移し悲しげな表情で仕事を続けている。先日の鬼のような表情から一転、憂いを帯びた何とも言えない顔をしている。だが、タイピングは素早くそれでいて正確だ。まるで腕から下が別人のように軽やかに動き続ける。
いつも黙々と仕事をするこいつらしくない。こりゃ余程のことがあったかな……。きっと、例の幼馴染みか……。しょうがない、俺の出番だな。
覇気がない貴弘を見て有川は貴弘のパソコン画面の淵に付箋を貼った。貴弘が視線を移すと黄色の付箋には有川の大きな字で【今晩付き合え。元気出してやる】と書かれていた。貴弘は力なく頷くと有川は自分の席へと戻って行った。休んだ分を取り戻すべく貴弘は昼休憩も惜しんで仕事に邁進した。
帰宅時間になり貴弘はパソコンの電源を切ると同じく帰宅準備をしている有川の椅子の背もたれを鞄で叩いた。
「おい、行くぞ。いつもの居酒屋でいいか?」
「焦るなって……はいはい。ってか、俺金欠だからよろしくな」
有川は悪戯っぽい笑みを浮かべると貴弘の肩を組んだ。貴弘は少し微笑むとそのままエレベーターに向かって歩き出した。
有川は世渡り上手だ。いつもへらへらして笑っていて、人見知りもしない。友人も多くいる。そんな男が俺みたいな奴と一緒につるんでくれるのは有り難い。こうして様子がおかしいとさり気なく気を利かしてくれる。身長も俺よりも高く割といいガタイをしているこいつの欠点は一つだけだ。女好きの遊び人だ。
「お、いつもより混んでるな……平日なのにな。奥空いてるぞ、行こう」
有川は店内に入るといつものように席に座って生ビールを頼んだ。注文した品が届くまでの間有川は声を潜めて貴弘にだけ声が聞こえるように顔を寄せた。その表情は楽しんでいる。
「んで? とうとうヤっちゃった?」
「バカ。いや、ヤってない……ヤってないんだけど……やらかした」
貴弘は昨日の風呂場の一件を思い出して自己嫌悪に陥っていた。揶揄うだけのつもりがいつのまにか我を忘れて風香に酔ってしまった。後悔の波が押し寄せては引きを繰り返す。どうしても素直になれない。風香にはどうしてもそんな態度をとってしまう。掌を見つめて昨日の胸の感触を思い出し頭を抱える貴弘を有川が冷めた目で見ていた。
「よく分かんないけど……欲求不満じゃねぇの? 今彼女いないし……無防備な幼馴染が部屋の中をうろちょろしてたら正常な男はやらかすかもな」
「いや、風香は無防備じゃない。ただ……」
「……ただ?」
貴弘はビールを勢いよく飲むとやさぐれたように息を吐く。店内は賑わっていてあちらこちらで笑い声が上がる。有川は貴弘の言葉を逃すまいと前のめりになった。
「風香は恥ずかしがり屋で男と話すと顔を赤らめる奴だったのに……いつのまにか、経験豊富な奴になっててイライラした。ムカつくんだ、男の影に」
「……は?」
有川の口からすっとぼけた声が出た。貴弘の言うそれは嫉妬というやつだ。しかもどう考えても幼馴染に向けたものじゃない。貴弘は有川の口が開いたままなことに気づき舌打ちをしてビールを飲み干した。貴弘は自分で訳の分からないことを言っているのは分かっていた。でも、正直な気持ちだった。有川にしか言えない、こんな馬鹿みたいなこと。
「それって、嫉妬してんの? 嫉妬してやらかしてんの? それ言うなら高畑も何人も付き合ってんじゃん」
「分かってる。風香には……意外というか……その、セフレまでいるらしい──」
有川は貴弘の言葉にネクタイを緩めた。思わず背もたれに寄り掛かるとと大きく頷いた。幼馴染がセフレ持ちだなんてかなりの衝撃だ。しかも話によると純情だと思っていたらしいのでその反動は相当なものだったろう。
「マジか。いや、まぁ……それはすごいな」
有川は貴弘の気持ちが分かった。黙って貴弘の肩を叩いて慰める。その肩の重みに貴弘は苦笑いを浮かべることしか出来なかった。それからしばらく酒を酌み交わしながら他愛もない話をしていると背後から声が掛かった。
「あー、やっぱり、有川くんじゃない」
「あれ? 速水さん、徳永さんまで……」
有川は意外そうに声を上げる。席と席の間の通路に同年代ぐらいの女性が数人立っていた。どうやら店を後にする途中で有川に気が付いて声を掛けてきたらしい。
貴弘は聞き覚えのある名前だが、一瞬ど忘れして反応ができなかった。有川に話しかける速水の姿を見て少し前に有川が言っていた紹介したい女性だと思い出した。確かにどことなく風香に似ている。速水は貴弘の視線に気がつくと頬を赤らめて笑った。
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「あー、気にしないで。今日はコイツ酔っているから」
有川は貴弘の頭を殴ると誤魔化すように笑った。徳永が速水と高畑の顔を見て嬉しそうに速水と目配せをした。
「よかったら一緒に飲まない? まだ飲み足りないなって思ってたの」
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有川はぼうっとした俺を心配して目配せをした。俺がいつもより酔いが回っていることに気がついているのだろう。手を上げて大丈夫だと合図をする。
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風香はもっと柔らかいオーラが出ているし、甘くて首筋がもっと白くて……って、俺ダメだ、酒で脳が毒されている……。
貴弘は昨日の記憶を思い出し額を押さえる。肩の炎症のせいで随分と早く酒が回ったようだ。目眩がし始めた。速水は心配そうに貴弘の顔を覗くが貴弘は「ありがとう、平気だから」と言い席を立った。一人トイレに向かい水で顔を洗った。冷たさで一瞬頭が冴えた。
認めたくはないが、認めざるを得ない……俺は、風香が好きだ。まさかこの年で初恋が再び再燃するとは思わなかった。過ぎ去ったはずの恋は淡かったはずだが、時が経ち濾されたように思いが濃くなったように思えた。風香に関しては大人気なくなるのはそのせいだ。惚れた女と一つ屋根の下……しかも相手は俺の事を同居しているただの幼馴染みと思っているはずだ……実のところどう思っているか聞いてみたいがその一線は大きい。
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