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2.共同生活
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とある朝──朝日が差し込む部屋にピンクの掛け布団を頭まですっぽり覆って風香は深い眠りについていた。朝の微睡みは最高の時間だ。布団の中からなかなか出ることが出来ない。
◇@&〓∞◉×✳︎☆!~\$、BABY!
突然部屋の外からヘビメタロック調の音楽が大音量で流れ出した。風香は眉間にシワを寄せながらも布団から出まいと耳を塞ぎ体を丸める。それでも音楽は鳴り止まない。
「あぁ! なんなのよ!」
風香は部屋を飛び出すとリビングを大股で通り過ぎて、向かいの部屋の引き戸を目一杯叩く。爆音との戦いだ。戸が壊れそうなほど叩きまくる。
「ちょっと! 貴弘、起きなさいよ! そのクソみたいな音楽止めて」
部屋の主はまったく起きようとしない。痺れを切らした風香は引き戸を開けるとこんもりと膨らんだベッドへと歩み寄る。そのままグレーの掛け布団を掴むと一気に引っ張り上げた。仰向けで寝ていた貴弘はなぜか下着一枚だった。風香は貴弘の頭を手で叩く。
「起きろってば!」
寝癖であらゆる方向へと毛先が飛んでいる貴弘は眩しそうに顔を腕で覆った。
「ん……なんだよ、眩しいだろうが……」
貴弘は頭元に置かれた携帯電話を掴むと爆音を止めた。面倒臭そうに携帯電話を放り投げると体を起こした。風香は貴弘を睨みつける。
「最悪な目覚めだし……この爆音で起きないなんて信じられない。よくそれで一人暮らしをしようと思ってたわね……」
「うるさいな……いま起きようと思っていたところだって……ってか、風香スッピンひどいな」
あれから私たちは一緒に暮らし始めた。共同生活がスタートしてもう三日目だがこの爆音アラームは初めてだ。どうやら今日は寝坊してはいけない何かがあるのだろう。
風香は掛け布団を床に落とすとある事に気がついた。貴弘の一部がとても元気であることに……。下着姿なのでより際立って見える。貴弘の下半身を見て風香は固まった。それはもうマネキンのように。
あれって……もしかして、アレだよね? う、そでしょ……。
一人っ子で男兄弟もいない風香にとって初めて見る光景だった。貴弘は風香の視線に気が付いて一瞬視線を泳がせたが面白くなったのかベッドから立ち上がると風香に近付く……。
「なんだ……風香もしかして男の朝勃ち、見るの初めて? まさかな……」
「ば、馬鹿言わないで。そんなもの、見たこと……あるし」
貴弘は揶揄うように耳元に唇を近づけて囁く。その息遣いに思わず鳥肌が立つ。胸板が頬にあたり風香は息を呑む。思わず体を引いて例の部分が体に当たりそうになるのを回避する。もちろん風香は朝勃ちを見たこともない。だが、ここで動じているとバカにされるに決まっている。風香はあたかも当然のように振る舞う。
風香は貴弘の股間の膨らみを一瞥すると笑い飛ばした。
「……ふうん? そんなもんなの? 中の下ね」
風香は呟くと貴弘の部屋を出て行った。貴弘の怒号が部屋から聞こえたが風香は無視を決め込んでリビングを走り抜けると自分の部屋へと飛び込んだ。
そのまま口元を押さえると風香は一気に顔に血が集まったのが分かった。瞬きを繰り返し先程の貴弘の股間を思い出し頭を振る。
いやいやいや、ちょっと待て。なんだアレ?
子供の時に一緒に風呂に入った時と全然違う。揶揄われて咄嗟に経験あるようなそぶりをしたが風香は動揺していた。男性経験などそこまでない。女子校育ちの風香はまだ男性と深い仲になったことがない。いつもデート止まりだった。見たこともないのにとんだ虚勢を張ってしまった。あんな卑猥なことを自分が言うだなんて信じられなかった。
「だから一緒に住みたくなかったのに、母さんのバカ! もう、何が中の下よ……嫁入り前なのに……」
風香はクッションを壁に放り投げた。母親に怒りを向けると朝勃ちのことを忘れられた。それから何事もなかったように朝食を食べると風香と貴弘はアパートを出た。お互い一言も話さなかった。
風香は会社に到着すると電話応対に追われて朝の出来事はすっかり忘れていた。いつものようにパソコンと睨めっこをしてはクレーム対応をし、会社と資材庫を這いずり回っていて考え事をする間もなかった。帰宅するのはいつも晩の八時頃になる。
いつものように玄関の鍵を開けるとどうやら貴弘の方が早く帰宅していた。茶色の革靴が揃えて置かれている。今晩はカレーを作ったのだろう……いいスパイスの香りが部屋に充満している。
「ただいま、貴弘、ご飯食べたー?」
声を掛けるが返事がない……。リビングに行くとシャワー音が聞こえた。どうやら入浴中のようだ。風香はコンロに置いてあった鍋の蓋を開けて味見をする。意外にも美味い……。
風呂のドアが開いた音がして風香が振り返って貴弘に声を掛けた……いや、掛けようとした。驚いて声が出なかった──。
「…………」
「おう、帰ってたか」
脱衣所から出てきた貴弘はなぜか下半身にバスタオルを巻きつけただけだった。
風香は朝の出来事がフラッシュバックした。あの時は心地よい目覚めを台無しにされた怒りで気付かなかったが、貴弘の上半身が男の人になっている事に気がついた。当たり前のことなのに、なぜか信じられない気持ちでいた。
貴弘の濡れた前髪から落ちそうな雫……あまり日に焼けていないが程よく筋肉の付いた肩甲骨周りや胸板そして……腹筋のラインに目がいく。男の身体など……きれいだと思ったことはない。触れたいと思ったこともない……そもそも男性経験がないのだから。それなのにどうして目が離せないのだろう……。
そんな風香の様子に気がつかない貴弘は風香に徐ろに近付くとカレーの鍋を覗き見る。満足そうにおたまでかき回すと出来栄えに何度も頷く。
「お、ちゃんと美味そうになったな。飴色になるまで玉ねぎを炒められなかったから心配だったけどな」
「…………」
風香の前を通り過ぎた貴弘からボディーソープのいい香りがした。同じ香りのはずなのに一瞬目眩がした。
なんでこんな事になってんの? いやいやいや、貴弘だよ? 腐れ縁なのになんでこんなに緊張してんの、私。
風香は痛む頭を押さえて部屋へと向かった。
◇@&〓∞◉×✳︎☆!~\$、BABY!
突然部屋の外からヘビメタロック調の音楽が大音量で流れ出した。風香は眉間にシワを寄せながらも布団から出まいと耳を塞ぎ体を丸める。それでも音楽は鳴り止まない。
「あぁ! なんなのよ!」
風香は部屋を飛び出すとリビングを大股で通り過ぎて、向かいの部屋の引き戸を目一杯叩く。爆音との戦いだ。戸が壊れそうなほど叩きまくる。
「ちょっと! 貴弘、起きなさいよ! そのクソみたいな音楽止めて」
部屋の主はまったく起きようとしない。痺れを切らした風香は引き戸を開けるとこんもりと膨らんだベッドへと歩み寄る。そのままグレーの掛け布団を掴むと一気に引っ張り上げた。仰向けで寝ていた貴弘はなぜか下着一枚だった。風香は貴弘の頭を手で叩く。
「起きろってば!」
寝癖であらゆる方向へと毛先が飛んでいる貴弘は眩しそうに顔を腕で覆った。
「ん……なんだよ、眩しいだろうが……」
貴弘は頭元に置かれた携帯電話を掴むと爆音を止めた。面倒臭そうに携帯電話を放り投げると体を起こした。風香は貴弘を睨みつける。
「最悪な目覚めだし……この爆音で起きないなんて信じられない。よくそれで一人暮らしをしようと思ってたわね……」
「うるさいな……いま起きようと思っていたところだって……ってか、風香スッピンひどいな」
あれから私たちは一緒に暮らし始めた。共同生活がスタートしてもう三日目だがこの爆音アラームは初めてだ。どうやら今日は寝坊してはいけない何かがあるのだろう。
風香は掛け布団を床に落とすとある事に気がついた。貴弘の一部がとても元気であることに……。下着姿なのでより際立って見える。貴弘の下半身を見て風香は固まった。それはもうマネキンのように。
あれって……もしかして、アレだよね? う、そでしょ……。
一人っ子で男兄弟もいない風香にとって初めて見る光景だった。貴弘は風香の視線に気が付いて一瞬視線を泳がせたが面白くなったのかベッドから立ち上がると風香に近付く……。
「なんだ……風香もしかして男の朝勃ち、見るの初めて? まさかな……」
「ば、馬鹿言わないで。そんなもの、見たこと……あるし」
貴弘は揶揄うように耳元に唇を近づけて囁く。その息遣いに思わず鳥肌が立つ。胸板が頬にあたり風香は息を呑む。思わず体を引いて例の部分が体に当たりそうになるのを回避する。もちろん風香は朝勃ちを見たこともない。だが、ここで動じているとバカにされるに決まっている。風香はあたかも当然のように振る舞う。
風香は貴弘の股間の膨らみを一瞥すると笑い飛ばした。
「……ふうん? そんなもんなの? 中の下ね」
風香は呟くと貴弘の部屋を出て行った。貴弘の怒号が部屋から聞こえたが風香は無視を決め込んでリビングを走り抜けると自分の部屋へと飛び込んだ。
そのまま口元を押さえると風香は一気に顔に血が集まったのが分かった。瞬きを繰り返し先程の貴弘の股間を思い出し頭を振る。
いやいやいや、ちょっと待て。なんだアレ?
子供の時に一緒に風呂に入った時と全然違う。揶揄われて咄嗟に経験あるようなそぶりをしたが風香は動揺していた。男性経験などそこまでない。女子校育ちの風香はまだ男性と深い仲になったことがない。いつもデート止まりだった。見たこともないのにとんだ虚勢を張ってしまった。あんな卑猥なことを自分が言うだなんて信じられなかった。
「だから一緒に住みたくなかったのに、母さんのバカ! もう、何が中の下よ……嫁入り前なのに……」
風香はクッションを壁に放り投げた。母親に怒りを向けると朝勃ちのことを忘れられた。それから何事もなかったように朝食を食べると風香と貴弘はアパートを出た。お互い一言も話さなかった。
風香は会社に到着すると電話応対に追われて朝の出来事はすっかり忘れていた。いつものようにパソコンと睨めっこをしてはクレーム対応をし、会社と資材庫を這いずり回っていて考え事をする間もなかった。帰宅するのはいつも晩の八時頃になる。
いつものように玄関の鍵を開けるとどうやら貴弘の方が早く帰宅していた。茶色の革靴が揃えて置かれている。今晩はカレーを作ったのだろう……いいスパイスの香りが部屋に充満している。
「ただいま、貴弘、ご飯食べたー?」
声を掛けるが返事がない……。リビングに行くとシャワー音が聞こえた。どうやら入浴中のようだ。風香はコンロに置いてあった鍋の蓋を開けて味見をする。意外にも美味い……。
風呂のドアが開いた音がして風香が振り返って貴弘に声を掛けた……いや、掛けようとした。驚いて声が出なかった──。
「…………」
「おう、帰ってたか」
脱衣所から出てきた貴弘はなぜか下半身にバスタオルを巻きつけただけだった。
風香は朝の出来事がフラッシュバックした。あの時は心地よい目覚めを台無しにされた怒りで気付かなかったが、貴弘の上半身が男の人になっている事に気がついた。当たり前のことなのに、なぜか信じられない気持ちでいた。
貴弘の濡れた前髪から落ちそうな雫……あまり日に焼けていないが程よく筋肉の付いた肩甲骨周りや胸板そして……腹筋のラインに目がいく。男の身体など……きれいだと思ったことはない。触れたいと思ったこともない……そもそも男性経験がないのだから。それなのにどうして目が離せないのだろう……。
そんな風香の様子に気がつかない貴弘は風香に徐ろに近付くとカレーの鍋を覗き見る。満足そうにおたまでかき回すと出来栄えに何度も頷く。
「お、ちゃんと美味そうになったな。飴色になるまで玉ねぎを炒められなかったから心配だったけどな」
「…………」
風香の前を通り過ぎた貴弘からボディーソープのいい香りがした。同じ香りのはずなのに一瞬目眩がした。
なんでこんな事になってんの? いやいやいや、貴弘だよ? 腐れ縁なのになんでこんなに緊張してんの、私。
風香は痛む頭を押さえて部屋へと向かった。
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