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(3)同じ部屋、同じベッド
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浴室も謙太が言うように大きな窓が横にまで回り込んで、まさに大パノラマのオーシャンビューだった。
しかし膝くらいの高さより下は大理石貼りの普通の壁で、海からの視線を遮るようになっている。
洗面脱衣室でそれぞれ背を向けて衣服を脱ぎ去り、「せーの」でお互い向かい合った瞬間の、紗絵のからだの眩しさに聡は胸を射抜かれてしまった。
紗絵はぽっちゃり体型だと思っていたが、裸になるとバストやヒップが大きいだけでウエストはくびれているのが分かった。
浴室では海に向かって腰掛けながら、紗絵はそのからだを聡に洗わせた。
ふたりとも泡だらけになりながら、聡は背後から紗絵の前を愛撫するように洗う。
「あん・・・あん・・・ああん・・・」
乳房を円く揉みながら乳首を指先でそっと摘んだり転がしたり、下腹を撫でてその下の恥毛をシャンプーするようにこすったり。
当然ながら、両脚の付け根の柔らかい部分は特に念入りに。
「ああ・・・そこ、もっと・・・サトルくん、上手・・・ああん、気持ちいいよ~・・・」
紗絵は何度も生唾を飲み込みながら、首を振りながら、そして時折脚を伸ばして軽く宙に浮かせながら、感じる。
彼女が感じれば感じるほど、聡は彼女の背中に胸をより強く当て、そして愛撫も密度を濃くしていく。
ふたりのからだがより密着するように・・・そんな思いを込めながら。
そしてそうするほどに彼のモノは紗絵のヒップに強く押し付けられ、おそらくは彼女もそれを確かに意識しているはずだ。
本当は・・・それを紗絵の中に挿入したい、そうすることで本当の意味でふたりのからだをひとつにしたい・・・そんな熱い願いを秘めながら、彼女を歓ばせることに徹する。
彼女の息がいよいよ切迫するのを五感で受け止め、聡は彼女への刺激に専念する。
「ああっ! ああっ! あああ~、ああ、ああ、ああん・・・いい・・・いい・・・」
紗絵の全身が小刻みに震え始めた。
彼女は腰回りを中心として全身の筋肉を暴れさせ、聡はとっさにもう片腕を彼女の胸の下に回して固定するように力を込める。
「いい! いい! ・・・いい・・・イク、イク、ああ、イッちゃう・・・イクうっ!」
あまり激しく紗絵が暴れるものだから、聡は全身を痙攣させる彼女の動きを両腕で制する。
数秒間それが続き、そして紗絵は脱力したように前かがみになった。
聡は湯船から湯桶に湯を取って、激しい息の残る紗絵の背中を流す。
白い泡が洗い流され、湯を弾きそうに滑らかで滑らかな背中が現れた。
聡も自分のからだを洗い流し、紗絵を残してひとりで広い湯船に浸かった。
彼の心にはひとりの女性をイカせたという満足感が溢れ、程よい温度の湯が気持ちよかった。
ただ・・・自分の股間でまだ大きくなったままのモノは、なんだか寂しそうに見えた。
彼は腰を上げて、それを潜望鏡のように水面上に出した。
そのままそれをぼうっと眺めていると、紗絵が気だるさと甘さを混ぜた声で言った。
「今度は私が・・・手で出してあげようか?」
彼女の中に挿入するのではないが、聡は「ありがとう」と彼女の厚意に甘えることにした。
今日のところは、彼も満足だろう・・・。
紗絵は浴槽に入って聡を海に向かって仁王立ちにさせ、横からモノを軽く扱いた。
数回、優しく扱いてから彼女はその先端に顔を寄せて「チュッ」とキスをして、それから彼の背後に回って本格的に扱きだす。
目の前には、よりきらめきを強くした広い海。
はるか沖にはクルーズ客船だろうか、大きい船が横切っていくところだった。
いくら窓の下に目隠しがしてあっても、立ち上がっていればあの船からは見える角度になっているかもしれない。
けれどもあの船の乗員乗客のだれひとりとして、聡と紗絵の行為に気づく者はいないだろう・・・そう考えると愉快な気持ちにさえなる。
「・・・まだ? ・・・もうちょっと?」
紗絵は聡にしがみつきながら、懸命に彼のものを扱く。
本当はもう少しでイケそうで実際に先走り液は先っぽから滲み出していたが、イケないふりをして彼女に咥えてもらおうかと悪魔の囁きめいたものを感じた。
しかし・・・それを振り切り、目を閉じて精神を下腹に集中させる。
まだあと2日もある・・・ここはゆっくり、じっくり機会を醸成しようと思った。
程なく下腹にエネルギーが強烈な快感を放射しながら集中するのを感じ、そして次の瞬間、先端から白い精液が激しく射出された。
それは2メートル近い距離のある窓の手前まで放物線を描いて飛び、そして第2弾、第3弾と勢いを弱めながらも更に飛んだ。
「わあ! すごい!」
紗絵は若干の無邪気さとともに歓声を上げ、急速に萎んでいくモノを横から不思議そうに覗き込んだ。
聡は彼女の頭に手を添えて、ゆっくりと撫でた。
目の前には、きらめく海。
ふたりは揃ってゆっくりと湯船にからだを沈め、並んで一言も発せずにその景色を眺めた。
・・・
一緒にお風呂に入っていたと気付かれないように、まずは紗絵が先にテラスに上がった。
それから10分ほどの時間差で聡がテラスに上がるとすでに肉を焼き始めており、炭火の煙と脂が焼ける香ばしい匂いがコンロの上にたちのぼっていた。
「やっと来た来た!」
「ささ、どうぞ」
紗絵のすぐ隣の椅子を勧められ、腰を下ろす。
彼女は聡にプラスチックのコップを渡し、炭酸水をなみなみと注いだ。
「お酒じゃなくて、ごめんねぇ~・・・。お兄ちゃん、妙に道徳的なんだから」
「ちがう、道徳とかモラルとか、間違っても法律の話をしているんじゃないんだ。医者の卵としてだな、僕は未成年が酒に手を出すことを、医学、健康の見地から止めなければならないんだ」
そう言いながら謙太は、二十歳までまだ4ヶ月はある泉のコップにはビールを注いでいる。
まぁそこはあえて、ツッコむような無粋な真似はしないに限ると聡は妥協する。
「乾杯・・・の前に、ひとつふたりに報告しておくことがある」
謙太のフェイントに高々と上げかけたコップを、聡と紗絵は引っ込める。
何事かと思いながらふたりを見ると、泉もどこか照れたような笑みを浮かべていた。
「ついさっき母さんから電話があったんだ。明日の昼食後、僕たちふたりは別荘を抜けて実家に行く。ふたりでお茶に呼びだされたんだ」
「わぁ、お兄ちゃんたち、すごい! いよいよ正式にご挨拶?」
「まぁまぁ・・・あまり急いてもいけないが、新しい一歩になると確信しているよ、僕は。だから・・・」
「お兄ちゃんと泉さんの未来を祝福して、乾杯!」
4つのコップが中空の一点で交差する。
乾杯の音頭を紗絵に掠め取られながらも、謙太は上機嫌だった。
「さぁさぁ、どんどん焼くぞ! そして食うぞ!」
謙太がどんどん肉やら野菜やら網の上に放り込むものだから、聡も紗絵も遠慮なんかする暇もなく箸を動かす。
脂を含んだ煙はもうもうと上がり、宵の色に青く染まりつつある初夏の澄んだ空に消えていく。
海の方を見れば、いつの間にか日が沈んでいた。
水平線の上に残照に彩られた雲が浮かび、思わずそれに見とれてしまう。
同時に、紗絵と一緒に湯船に浸かりながら見た先ほどの夕日が、甘く切なく思い出されてきた・・・。
・・・まさにその時、手に持つ紙皿に重みを感じて見てみると、紗絵が肉をどんどん彼の皿に取り分けていくところだった。
「サトルくん、何をぼうっとしてるの? 焦げちゃうよ! まったく、お兄ちゃんたら後先考えないんだから・・・あれで医者になるつもりよ!」
「わはははは! なんとでも言え!」
謙太は高笑いしながら泉のコップにビールを注ぎ足し、そしてふたりで小さな乾杯をした。
「ふん!」と紗絵は大げさに鼻を鳴らし、空になっていた聡のコップに炭酸水を注ぐ。
「さ、乾杯よ、乾杯」
聡も彼女のコップに炭酸水を注ぎ返し、軽く乾杯する。
半分ほど飲み干して、紗絵はこんどは「ふふふ・・・」と彼に笑ってみせた。
聡も笑みを返し、肉にがっつく。
紗絵もそんな彼に微笑みを向けながら、彼女なりのペースで肉や野菜を口に運ぶ。
いつの間にか西の空の残照も闇に包まれ、星が街では見られないほどの密度で空を埋めていた。
その頃には食材も尽きて、炭火が消えかかるのに合わせて静かにお開きとなった。
・・・
紗絵が承諾したので、聡は彼女と同じ部屋で寝ることになった。
彼は彼で泉と謙太に遠慮したというのが大きいが、浴室であんなことをしてしまった以上は今さら別の部屋で寝るというのも白けてしまいそうなのもあった。
歯磨きをして、副寝室へ。
深呼吸ののち一応軽くノックしてから、「いいよ」という紗絵の返事を待ってもう一度深呼吸しドアを開ける。
紗絵はトレーナーとジャージのズボンに着替え、すでにベッドの上にうつ伏せになってスマホを眺めていた。
聡はもう一方のベッドに転がり、スマホは出してみるが紗絵の横顔を眺めてしまう。
「・・・なに?」
「なんでもない・・・」
悪戯っぽく笑う紗絵から、慌てて目を逸らす。
スマホの画面を開くが何も頭には入ってこず、いつの間にか再び紗絵を眺めている。
「ふふ・・・さっきから、なに?」
「なんでもない・・・」
また紗絵は笑いながら、スマホを閉じて毛布を被ってしまった。
しかし顔は彼の方を向いたまま。
「私、今日はなんでか疲れちゃった・・・もう寝るから、サトルくんが寝る時は電気を豆球にしてね」
「うん・・・僕も、もう寝る」
立ち上がってドア脇のスイッチで常夜灯に切り替える。
彼も、疲れていた・・・しかしそれは心地よい疲れで、もう少し紗絵と一緒に楽しんでみたかった。
「そっち行って、いい? 紗絵さんのそば」
自分のベッドに腰を下ろし、声をかけてみる。
紗絵は黙って彼を見つめ、その瞳が暗い中で光っているようにも見える。
「・・・ううん、やっぱり、疲れてる。まだ明日もあるし、サトルくんもゆっくりしたら? 明日は明日の楽しみがあるし」
長い沈黙の後に彼女が出した言葉に、従うことにした。
彼も毛布を被り、横向きに紗絵と向き合う。
「ふふ・・・」
ふたり同時に、静かな笑い声が漏れる。
辺りに民家も幹線道路もないから本当に静かで、聞こえてくるのは潮騒の音くらい・・・。
「・・・!」
・・・海の音に紛れて、隣の主寝室からなにか気配が感じられた。
それは激しい息遣いと押し殺した呻き声、そして微かな振動からなるものらしかった。
どうやら風呂場での激しい行為では飽き足らず、謙太と泉がセックスを始めたらしい。
紗絵も気づいたようで、聡と紗絵は黙ったまま顔を見合わせる。
隣室の動物的な気配を無視できないまま、どれだけ沈黙を守ればよいのだろう・・・?
聡が生唾を飲み込んだとき、紗絵が聡に聞いた。
「ね・・・私がそっち行っていい?」
「いいよ」
紗絵はするりと毛布から抜け出して、またするりと聡の毛布に潜り込んだ。
彼の額に軽くキスをすると、彼女は言った。
「まったく、発情したケモノみたい・・・そう思わない?」
「・・・うん」
自分たちも浴室での一件がすでにあるから、聡は曖昧に返事をする。
紗絵はさらに聡に近づき、彼は彼女に腕枕をしてやる格好になった。
「もう、お兄ちゃんはあなたのお姉さん一筋だよ・・・あれくらい一途なお兄ちゃんを見るのは、初めて。・・・明日のお茶会で、決まるんじゃないかなぁ・・・」
「決まるって、何が?」
「それはもう、結婚までいっちゃう可能性が高いと思う・・・何年先になることやらだけど。でもそうなったら私とサトルくんは義理の姉弟だね」
「きょうだい」という言葉に聡は心に瞬間的な震えを感じ、思わず紗絵を抱き寄せて軽くくちびるを重ねた。
紗絵はいったん顔を離し、今度は彼女の方からやや強めに吸ってきた。
ふたりとも念入りに歯を磨いたはずなのに、どこか肉っぽい味のキスだった。
そしてもう一度キスをしながら、聡はトレーナーの上から紗絵の乳房を撫でた。
彼女も手を彼の股間に這わせるが、しかし強く触れたり掴んだりなどしない。
静かなままその雰囲気を破らないように、聡は慎重に紗絵の下半身のものをずらして彼女のアソコに手を伸ばす。
「・・・あ・・・ああ・・・」
隣室を気にして、紗絵は必死に声を我慢する。
だから聡も、さらに繊細にそこを弄った。
「指・・・挿れて、いいよ・・・」
聡は、一瞬だけ戸惑った。
童貞の彼には未知の領域であり、だから浴室でも紗絵の中に挿れるということは思いもしなかったのだけれど。
紗絵は処女ではない、だから大丈夫だ・・・。
そう自分に言い聞かせながら、おそるおそる指先を当て、押すようにゆっくりと進ませる。
「あ・・・ああ・・・」
声に出せないぶん、紗絵は腰をくねらせ脚を曲げ伸ばししながら快感を表現する。
聡はトレーナーの下の胸も刺激するものだから、いくら静かにゆっくりでもだんだんと紗絵は苦悶の表情を浮かべ始めた。
そして・・・。
声をたてずに、からだ全体をうねらせて、紗絵は静かにイッてしまった。
それからふたりは乱れた衣服を直し、再び聡が腕枕する態勢になった。
本当は彼もイキたくてその思いも強かったのだが、しかし紗絵は今度こそ本当に疲れ切ってしまったようで、彼の腕の中で安らかな寝息をたて始めた。
隣の部屋もいつの間にか静まり、潮騒の音だけが常夜灯の黄色い明かりの部屋を満たしている。
微笑みを浮かべた紗絵の寝顔を眺めるうちに、聡もいつの間にか深い眠りに落ちていった。
しかし膝くらいの高さより下は大理石貼りの普通の壁で、海からの視線を遮るようになっている。
洗面脱衣室でそれぞれ背を向けて衣服を脱ぎ去り、「せーの」でお互い向かい合った瞬間の、紗絵のからだの眩しさに聡は胸を射抜かれてしまった。
紗絵はぽっちゃり体型だと思っていたが、裸になるとバストやヒップが大きいだけでウエストはくびれているのが分かった。
浴室では海に向かって腰掛けながら、紗絵はそのからだを聡に洗わせた。
ふたりとも泡だらけになりながら、聡は背後から紗絵の前を愛撫するように洗う。
「あん・・・あん・・・ああん・・・」
乳房を円く揉みながら乳首を指先でそっと摘んだり転がしたり、下腹を撫でてその下の恥毛をシャンプーするようにこすったり。
当然ながら、両脚の付け根の柔らかい部分は特に念入りに。
「ああ・・・そこ、もっと・・・サトルくん、上手・・・ああん、気持ちいいよ~・・・」
紗絵は何度も生唾を飲み込みながら、首を振りながら、そして時折脚を伸ばして軽く宙に浮かせながら、感じる。
彼女が感じれば感じるほど、聡は彼女の背中に胸をより強く当て、そして愛撫も密度を濃くしていく。
ふたりのからだがより密着するように・・・そんな思いを込めながら。
そしてそうするほどに彼のモノは紗絵のヒップに強く押し付けられ、おそらくは彼女もそれを確かに意識しているはずだ。
本当は・・・それを紗絵の中に挿入したい、そうすることで本当の意味でふたりのからだをひとつにしたい・・・そんな熱い願いを秘めながら、彼女を歓ばせることに徹する。
彼女の息がいよいよ切迫するのを五感で受け止め、聡は彼女への刺激に専念する。
「ああっ! ああっ! あああ~、ああ、ああ、ああん・・・いい・・・いい・・・」
紗絵の全身が小刻みに震え始めた。
彼女は腰回りを中心として全身の筋肉を暴れさせ、聡はとっさにもう片腕を彼女の胸の下に回して固定するように力を込める。
「いい! いい! ・・・いい・・・イク、イク、ああ、イッちゃう・・・イクうっ!」
あまり激しく紗絵が暴れるものだから、聡は全身を痙攣させる彼女の動きを両腕で制する。
数秒間それが続き、そして紗絵は脱力したように前かがみになった。
聡は湯船から湯桶に湯を取って、激しい息の残る紗絵の背中を流す。
白い泡が洗い流され、湯を弾きそうに滑らかで滑らかな背中が現れた。
聡も自分のからだを洗い流し、紗絵を残してひとりで広い湯船に浸かった。
彼の心にはひとりの女性をイカせたという満足感が溢れ、程よい温度の湯が気持ちよかった。
ただ・・・自分の股間でまだ大きくなったままのモノは、なんだか寂しそうに見えた。
彼は腰を上げて、それを潜望鏡のように水面上に出した。
そのままそれをぼうっと眺めていると、紗絵が気だるさと甘さを混ぜた声で言った。
「今度は私が・・・手で出してあげようか?」
彼女の中に挿入するのではないが、聡は「ありがとう」と彼女の厚意に甘えることにした。
今日のところは、彼も満足だろう・・・。
紗絵は浴槽に入って聡を海に向かって仁王立ちにさせ、横からモノを軽く扱いた。
数回、優しく扱いてから彼女はその先端に顔を寄せて「チュッ」とキスをして、それから彼の背後に回って本格的に扱きだす。
目の前には、よりきらめきを強くした広い海。
はるか沖にはクルーズ客船だろうか、大きい船が横切っていくところだった。
いくら窓の下に目隠しがしてあっても、立ち上がっていればあの船からは見える角度になっているかもしれない。
けれどもあの船の乗員乗客のだれひとりとして、聡と紗絵の行為に気づく者はいないだろう・・・そう考えると愉快な気持ちにさえなる。
「・・・まだ? ・・・もうちょっと?」
紗絵は聡にしがみつきながら、懸命に彼のものを扱く。
本当はもう少しでイケそうで実際に先走り液は先っぽから滲み出していたが、イケないふりをして彼女に咥えてもらおうかと悪魔の囁きめいたものを感じた。
しかし・・・それを振り切り、目を閉じて精神を下腹に集中させる。
まだあと2日もある・・・ここはゆっくり、じっくり機会を醸成しようと思った。
程なく下腹にエネルギーが強烈な快感を放射しながら集中するのを感じ、そして次の瞬間、先端から白い精液が激しく射出された。
それは2メートル近い距離のある窓の手前まで放物線を描いて飛び、そして第2弾、第3弾と勢いを弱めながらも更に飛んだ。
「わあ! すごい!」
紗絵は若干の無邪気さとともに歓声を上げ、急速に萎んでいくモノを横から不思議そうに覗き込んだ。
聡は彼女の頭に手を添えて、ゆっくりと撫でた。
目の前には、きらめく海。
ふたりは揃ってゆっくりと湯船にからだを沈め、並んで一言も発せずにその景色を眺めた。
・・・
一緒にお風呂に入っていたと気付かれないように、まずは紗絵が先にテラスに上がった。
それから10分ほどの時間差で聡がテラスに上がるとすでに肉を焼き始めており、炭火の煙と脂が焼ける香ばしい匂いがコンロの上にたちのぼっていた。
「やっと来た来た!」
「ささ、どうぞ」
紗絵のすぐ隣の椅子を勧められ、腰を下ろす。
彼女は聡にプラスチックのコップを渡し、炭酸水をなみなみと注いだ。
「お酒じゃなくて、ごめんねぇ~・・・。お兄ちゃん、妙に道徳的なんだから」
「ちがう、道徳とかモラルとか、間違っても法律の話をしているんじゃないんだ。医者の卵としてだな、僕は未成年が酒に手を出すことを、医学、健康の見地から止めなければならないんだ」
そう言いながら謙太は、二十歳までまだ4ヶ月はある泉のコップにはビールを注いでいる。
まぁそこはあえて、ツッコむような無粋な真似はしないに限ると聡は妥協する。
「乾杯・・・の前に、ひとつふたりに報告しておくことがある」
謙太のフェイントに高々と上げかけたコップを、聡と紗絵は引っ込める。
何事かと思いながらふたりを見ると、泉もどこか照れたような笑みを浮かべていた。
「ついさっき母さんから電話があったんだ。明日の昼食後、僕たちふたりは別荘を抜けて実家に行く。ふたりでお茶に呼びだされたんだ」
「わぁ、お兄ちゃんたち、すごい! いよいよ正式にご挨拶?」
「まぁまぁ・・・あまり急いてもいけないが、新しい一歩になると確信しているよ、僕は。だから・・・」
「お兄ちゃんと泉さんの未来を祝福して、乾杯!」
4つのコップが中空の一点で交差する。
乾杯の音頭を紗絵に掠め取られながらも、謙太は上機嫌だった。
「さぁさぁ、どんどん焼くぞ! そして食うぞ!」
謙太がどんどん肉やら野菜やら網の上に放り込むものだから、聡も紗絵も遠慮なんかする暇もなく箸を動かす。
脂を含んだ煙はもうもうと上がり、宵の色に青く染まりつつある初夏の澄んだ空に消えていく。
海の方を見れば、いつの間にか日が沈んでいた。
水平線の上に残照に彩られた雲が浮かび、思わずそれに見とれてしまう。
同時に、紗絵と一緒に湯船に浸かりながら見た先ほどの夕日が、甘く切なく思い出されてきた・・・。
・・・まさにその時、手に持つ紙皿に重みを感じて見てみると、紗絵が肉をどんどん彼の皿に取り分けていくところだった。
「サトルくん、何をぼうっとしてるの? 焦げちゃうよ! まったく、お兄ちゃんたら後先考えないんだから・・・あれで医者になるつもりよ!」
「わはははは! なんとでも言え!」
謙太は高笑いしながら泉のコップにビールを注ぎ足し、そしてふたりで小さな乾杯をした。
「ふん!」と紗絵は大げさに鼻を鳴らし、空になっていた聡のコップに炭酸水を注ぐ。
「さ、乾杯よ、乾杯」
聡も彼女のコップに炭酸水を注ぎ返し、軽く乾杯する。
半分ほど飲み干して、紗絵はこんどは「ふふふ・・・」と彼に笑ってみせた。
聡も笑みを返し、肉にがっつく。
紗絵もそんな彼に微笑みを向けながら、彼女なりのペースで肉や野菜を口に運ぶ。
いつの間にか西の空の残照も闇に包まれ、星が街では見られないほどの密度で空を埋めていた。
その頃には食材も尽きて、炭火が消えかかるのに合わせて静かにお開きとなった。
・・・
紗絵が承諾したので、聡は彼女と同じ部屋で寝ることになった。
彼は彼で泉と謙太に遠慮したというのが大きいが、浴室であんなことをしてしまった以上は今さら別の部屋で寝るというのも白けてしまいそうなのもあった。
歯磨きをして、副寝室へ。
深呼吸ののち一応軽くノックしてから、「いいよ」という紗絵の返事を待ってもう一度深呼吸しドアを開ける。
紗絵はトレーナーとジャージのズボンに着替え、すでにベッドの上にうつ伏せになってスマホを眺めていた。
聡はもう一方のベッドに転がり、スマホは出してみるが紗絵の横顔を眺めてしまう。
「・・・なに?」
「なんでもない・・・」
悪戯っぽく笑う紗絵から、慌てて目を逸らす。
スマホの画面を開くが何も頭には入ってこず、いつの間にか再び紗絵を眺めている。
「ふふ・・・さっきから、なに?」
「なんでもない・・・」
また紗絵は笑いながら、スマホを閉じて毛布を被ってしまった。
しかし顔は彼の方を向いたまま。
「私、今日はなんでか疲れちゃった・・・もう寝るから、サトルくんが寝る時は電気を豆球にしてね」
「うん・・・僕も、もう寝る」
立ち上がってドア脇のスイッチで常夜灯に切り替える。
彼も、疲れていた・・・しかしそれは心地よい疲れで、もう少し紗絵と一緒に楽しんでみたかった。
「そっち行って、いい? 紗絵さんのそば」
自分のベッドに腰を下ろし、声をかけてみる。
紗絵は黙って彼を見つめ、その瞳が暗い中で光っているようにも見える。
「・・・ううん、やっぱり、疲れてる。まだ明日もあるし、サトルくんもゆっくりしたら? 明日は明日の楽しみがあるし」
長い沈黙の後に彼女が出した言葉に、従うことにした。
彼も毛布を被り、横向きに紗絵と向き合う。
「ふふ・・・」
ふたり同時に、静かな笑い声が漏れる。
辺りに民家も幹線道路もないから本当に静かで、聞こえてくるのは潮騒の音くらい・・・。
「・・・!」
・・・海の音に紛れて、隣の主寝室からなにか気配が感じられた。
それは激しい息遣いと押し殺した呻き声、そして微かな振動からなるものらしかった。
どうやら風呂場での激しい行為では飽き足らず、謙太と泉がセックスを始めたらしい。
紗絵も気づいたようで、聡と紗絵は黙ったまま顔を見合わせる。
隣室の動物的な気配を無視できないまま、どれだけ沈黙を守ればよいのだろう・・・?
聡が生唾を飲み込んだとき、紗絵が聡に聞いた。
「ね・・・私がそっち行っていい?」
「いいよ」
紗絵はするりと毛布から抜け出して、またするりと聡の毛布に潜り込んだ。
彼の額に軽くキスをすると、彼女は言った。
「まったく、発情したケモノみたい・・・そう思わない?」
「・・・うん」
自分たちも浴室での一件がすでにあるから、聡は曖昧に返事をする。
紗絵はさらに聡に近づき、彼は彼女に腕枕をしてやる格好になった。
「もう、お兄ちゃんはあなたのお姉さん一筋だよ・・・あれくらい一途なお兄ちゃんを見るのは、初めて。・・・明日のお茶会で、決まるんじゃないかなぁ・・・」
「決まるって、何が?」
「それはもう、結婚までいっちゃう可能性が高いと思う・・・何年先になることやらだけど。でもそうなったら私とサトルくんは義理の姉弟だね」
「きょうだい」という言葉に聡は心に瞬間的な震えを感じ、思わず紗絵を抱き寄せて軽くくちびるを重ねた。
紗絵はいったん顔を離し、今度は彼女の方からやや強めに吸ってきた。
ふたりとも念入りに歯を磨いたはずなのに、どこか肉っぽい味のキスだった。
そしてもう一度キスをしながら、聡はトレーナーの上から紗絵の乳房を撫でた。
彼女も手を彼の股間に這わせるが、しかし強く触れたり掴んだりなどしない。
静かなままその雰囲気を破らないように、聡は慎重に紗絵の下半身のものをずらして彼女のアソコに手を伸ばす。
「・・・あ・・・ああ・・・」
隣室を気にして、紗絵は必死に声を我慢する。
だから聡も、さらに繊細にそこを弄った。
「指・・・挿れて、いいよ・・・」
聡は、一瞬だけ戸惑った。
童貞の彼には未知の領域であり、だから浴室でも紗絵の中に挿れるということは思いもしなかったのだけれど。
紗絵は処女ではない、だから大丈夫だ・・・。
そう自分に言い聞かせながら、おそるおそる指先を当て、押すようにゆっくりと進ませる。
「あ・・・ああ・・・」
声に出せないぶん、紗絵は腰をくねらせ脚を曲げ伸ばししながら快感を表現する。
聡はトレーナーの下の胸も刺激するものだから、いくら静かにゆっくりでもだんだんと紗絵は苦悶の表情を浮かべ始めた。
そして・・・。
声をたてずに、からだ全体をうねらせて、紗絵は静かにイッてしまった。
それからふたりは乱れた衣服を直し、再び聡が腕枕する態勢になった。
本当は彼もイキたくてその思いも強かったのだが、しかし紗絵は今度こそ本当に疲れ切ってしまったようで、彼の腕の中で安らかな寝息をたて始めた。
隣の部屋もいつの間にか静まり、潮騒の音だけが常夜灯の黄色い明かりの部屋を満たしている。
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